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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ICFAセミナーの様子

ICFA(International Committee for Future Accelerators)というのは将来の加速器計画を考えるための委員会です。今回はセミナーということで、色々な実験の現状報告、加速器研究の現状報告などが中心に行われています。普通の国際会議と一番違う(と私が感じる)のは、参加メンバーです。普通の会議では解析や検出器のオペレーションを実験の最前線で頑張っている研究者、ポスドクなど若いスタッフが参加者の中心です(もちろんシニアな研究者もいますが、相対的に若いスタッフが多い)。ですが、今回の参加者はCERNの所長、SLACの所長、ドイツの研究所DESYの所長、日本のKEKの所長、あるいは各研究所の元所長といった具合に、この業界の大物が中心で、私みたいな若造はほとんどいません。ということで、知り合いも少ないため、休憩のときや、バンケットのときなど、自分の身の処遇に困ってしまいます。いや、普通の会議なら知らない人ばかりでも会話の和に加われますが、小心者なのだ所長クラスの人たちの話の輪には入りづらいです。

トークの内容も普通の会議とはちょっと違っていて、あるジャンルの専門的な発表プラスそれについての議論というのが普通の会議ですが、今回のは非常に広い分野からのoreviewの塊といった感じです。また、追い風が吹いているとは言えない基礎科学の一つである高エネルギー物理の将来をどうやって切り拓いていけばいいのか、どういう方向へ持って行くのが
いいのか、そういう観点の議論が多いです。将来をどうするか議論するための委員会主催のセミナーなので当然と言えば当然ですが、初めてこういうものに出席したので私にとっては
新鮮というか、非常に勉強になります。

中でもインプレッシブだったのは、バートン・リヒターというノーベル賞受賞者(1974年にcクォークを発見、翌1975年に受賞)で1999年までSLACの所長をしていた人のトークです。かなりのご高齢で、そのときだけ会場に現れ、しんどいからと自分のトークを終えるとすぐに帰ったのですが、スライドを一切使わずたまにメモに目を落とすだけで、スラスラと色んな話題を語るのには驚きました。話の内容もさることながら、とにかく話が上手でした。

それから気になっていたSUNとMicrosoftの人のトーク。Computing Scienceの話で私には内容を理解するのは難しく、印象に残ったのは内容とは別のポイントでした。そのポイントというのは、2人とも非常にシンプルなスライドだったことです。よく目にするトークで私が嫌いなのは、スライドを作るツールの機能を不必要と思えるほど使ったり、1枚のスライドに内容を詰め込み過ぎて見づらかったり、フォントが小さすぎて字が全然読めなかったり、要は聴衆が見やすいスライドを作ることを心がけていないものです。ところが、2人とも非常にすっきりとした、余計な機能を全く使っていない見やすいスライドだったのが印象に残りました。特に、Microsoftの人はパワーポイントの機能をやたらと使ったゴテゴテしたスライドなのかと思っていたので、完全に予想を裏切られました。

あと、2人ともトークの時間をきっちり守っていたのも印象的でした。高エネルギー業界の欧米人(日本人でも勿論時間を守らない人はいますが、圧倒的に欧米人、特にヨーロッパの人は予定の2倍話す人もいるくらい時間を守らない人が多いです)はトークの時間を完全に
無視して、いつも予定よりスケジュールが遅れます。いつも頭にきている私にとってはこの点でも彼らのトークに好感がもてました。ちなみに、トークの時間を守る人というのは、時間を気にしながら話しているのが聞いていてもわかりますが、割り当てられた時間の2倍もの時間を話す人というのは、時間が過ぎるのを感じないのかと、いつも不思議に思っています。特に、実験のスケジュールの議論をしている時に予定の時間を大幅に過ぎると、ミーティングの時間すら守れない人たちがスケジュールの議論をして意味あるのか、と思ってしまいます。

それから……SUNの人はMacを使ってkeynoteでスライドを作っていたようですが、Microsoftの人はやはりパワーポイントですね。ははは。


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