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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

そういう結論になぜなるのか

数学受験の文系大卒は高収入,物理得意の文系もという記事を見つけました。その記事によると,「数学になじむと論理的な思考が身に着き,様々な仕事に適応できる」のだそうです。いや,その記事は,研究者グループの発表内容を引用しているだけで,その主張をしているのは研究者グループなのかもしれません。ついでに,「生物や化学より高い論理性が要求される物理を得意とした人は、年収が高かった」そうです。

おーっ,めでたい。常々多くの人に論理的な思考を身に付けて欲しい,自分もより論理的な考えができるようになりたいと思っている私にとっては,素晴らしい研究結果,記事…と言いたいところですが,この記事からだけだと思いっきりダウトじゃないですか。だって,数学受験する文系大学ってどこですか。国内外で調べたということですが,とりあえず国外の仕組みは日本とは全く違うので忘れてしまうと,日本国内で文系なのに数学の試験が課されている大学ってT大学をはじめ,いわゆるデキル人が母集団の大学なんじゃないんですかね。もちろん,数学ができると高収入という因果関係があるのかもしれませんが,そう簡単には確信が持てる因果関係ではありません。

このテの話って,マスコミに限らず,学者と呼ばれている人でも平気で展開する分野ってあるのですかね。直近そう感じたのは,先月末にスタンフォードに行ったとき。食堂で見知らぬ日本人女性,本人いわく社会学者,の人に話しかけられて少しだけ会話したのですが,彼女の言ってるはまさにこのテの話で,結論ありき,それにどうやって理由付けしようかという内容なのです。たとえば,最近海外に留学する日本人の数が減ったというわけですね。スタンフォードでも減っている,と。いつといつを比べているのか知りませんが,物理屋としては当然,留学する年代の人口で規格化して,かつ,その差が統計的に有意か,あるいは何か突発的な事態(たとえばテロの直後とか)=系統誤差がないか,を考えてから結論を導こうとします。しかし,その人は系統誤差,いえ,統計誤差どころか,人口で規格化しないで自分の結論を押し通そうとするのですよ。短気な私はその時点でその人の相手をしませんでしたが,周りにいた私よりも遥かに包容力のあるATLAS日本グループのメンバーを相手に,私たちから見たら全く根拠がないように思える自説を彼女は延々と展開していました。いや,きっと,彼女は自称社会学者かなんかで,本物の社会学者はそんなことないんでしょうけど,今日の新聞記事を読むと,このエピソードを瞬間想起してしまいました。

別の例をもう一つ。わりと最近読んだ本の話です。その著者は有名な(ビッグな)経済学者らしいのですが,論理の展開がはちゃむちゃ。というか,論理がないんです。ある資料をもとにAという事象とBという事象に相関があることを見つけました。それだけで,Bの原因がAだと結論づけようとするのです。これも先の話と同じで,そういう因果関係がもしかするとあるのかもしれません。けど,相関があるからと言ってA→BなのかB→Aなのかを特定するには,また別の角度から解析しないとわからないじゃないですか。その人の主張は毎回この同じパターンで,何か相関を見つけると,自分の主張したい方向に矢印をひくのです。前の段落のエピソードは,自称社会学者の話なのかもしれませんが,この本を書いているのはゴーストライターでなければれっきとした学者なわけで,私としてはかなり驚きました。

まあ,どちらも,たまたまそういう人がいたというだけで,ステレオタイプ的に社会学者,あるいは経済学者の人々が論理的な思考を苦手にしてるわけじゃないんでしょうけど,とにかく驚きました。

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