ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

系統誤差無し?

今さらなのですが,先週の物理学会で講演を聞いて非常に驚いたことが一つあります。

宇宙論に関する話では,宇宙のエネルギー密度と物質密度に対する観測値からの制限を描いた図がよく使われますよね。端的には,宇宙の全エネルギーの約3/4がダークエネルギーだということを示していることになっています。言葉で説明してもピンと来ないかもしれませんので,元論文 M. Kowalski et al., Astrophys. J. 686, 749 (2008) から図を切り出します。
エネルギー密度vs物質密度
オレンジ色の帯は,WMAPによる宇宙背景輻射の測定結果から得られた制限。緑色の帯は,バリオン音響振動(Baryon Acoustic Oscillation)を利用して得られた(=バリオン,すなわち銀河団の分布から得られた)制限。そして,青が超新星の観測から得られた制限です。非常によく使われるプロットで,宇宙論のイントロダクションでは必ずと言ってもいいくらいよく使われるプロットです。

で,今回の学会講演で驚いたのは,超新星観測からの制限がもっと太く大きくなっていたことです。そもそも系統誤差が含まれていなかったのか,含まれていたがその評価が甘かったのか,詳細はよくわからなかったのですが,とにかく,物凄く大きくなっているのにはビックリしました。論文にまで出しておきながら,あんなにも大きな変更というのは素粒子物理の世界では聞いたことありません。逆に,天文の世界では別段驚くほどのことではなく,よくあること,つまり,天文と素粒子物理の文化の違いだったりするのかもしれませんが,あんなにも修正というか変更があって,同業者からの信用を失ったりしないのですかね。もともと,前景の評価による系統誤差はどうなのよ?という感じで議論はされていたみたいですが。

宇宙線の測定みたいに高エネルギー物理に近い分野の測定結果は信頼感がありますが,天文分野の観測というのは,今回のもそうですけど,歴史的に(?)間違ってましたという観測結果が山ほどあるので,個人的にはどうも今ひとつ信用できません。というか,膨大な宇宙の中の一点で観測した結果をもとに全宇宙で通用する法則を引っ張り出そうとしているのですから,相当難しい,無理のあることをしているのは間違いありませんよね。しかも,理論の検証のために実験はできなくて,観測に頼っているわけですし。実際,他の講演にもありましたが,宇宙が加速膨張しているのはダークエネルギーではなく,一般相対論が銀河スケール程度では成り立っていても,全宇宙に対して成り立っていないのではないかという議論もありました。すでにその道の人たちの中には,一般相対論の修正版を作ろうとしている人もいるようです。

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