ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

不確定性原理のセミナー

大学,というか物理学科のセミナーで,少し前に話題になった不確定性原理検証実験のセミナーがありました。それも,論文主著者のウィーン工科大学の方がスピーカーだったので,喜び勇んで話を聞きに行きました。

実証すべきポイントはこのブログでも以前取り上げた通りで,観測量の分散,測定誤差,測定することにより生じる系の乱れ,これらをきちっと定義すると,ハイゼンベルグの不確定性関係は成立してませんよ,というものです。印象的だったのは,正しい(と考えられる)小澤の不等式の提案者である小澤さんという方の第一の業績は,そもそも,測定誤差と系の乱れを数学的にきちんと定義したことだ,とお話されていた点です。逆に,ハイゼンベルグの不確定性原理の場合はきちんとした定式化なしに,なーんとなくこうだよね,という感じでずっと議論が進んできたということなんですね。いやはや,驚きです。というか,だからこそ,前も書いた通り,奥歯に物が詰まったようなすっきりしない感覚を多くの人が持っていたとは思うのですが,それが半世紀以上も放置されてきたというのはある意味凄いことです。

あ,誤解なきよう繰り返しますが,波動関数の分散が σ(A)σ(B) > (1/2)||という関係は,教科書にも載っているように数学的に正しい式です。問題にしてるのは,測定誤差εと系の乱れηとの間の関係式 ε(A)η(B) > (1/2)|| です。

それはさておき,実験のポイントは不等式を証明するための観測量を見つけることができた点だそうで,まあそれはそうだよな,と素人の私でも納得。スピンを使えばうまいことε(A)とη(B)を同時に測定することができると発見したのが肝だと力説されていました。実験そのものについては,時間の関係からか非常にあっさりの説明だったので,実験技術的に凄いということは正直よくわかりませんでした。ホントはそれだけでも凄いのかもしれませんけど。

実験とは関係ありませんが,印象に一番強く残ったのは,ユーロが使われる前のオーストリアの貨幣であるシリングでは,シュレディンガーが紙幣に描かれていたという話。ψという文字まで書かれていてカッコいいです。シュレディンガー以外だと,モーツァルトやフロイトなんかがいたりして,なんというか文化の香りがする人たちばかり。オーストリアには行ったこともありませんし,イメージも持っていませんでしたが,なんとなく心象が良くなりました。

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