ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

KOTO実験ラン中

J-PARCで行っているY研究室のもう一つの実験,KOTO実験は今まさに実験中(のはず?)。本来のビームタイムはもっと先のはず,というのもJ-PARCのフラッグシップ実験はT2K。しかもtheta_{13}の測定を巡ってDouble Choozと争っていますから,ビームタイムの優先度という点ではどうしてもT2Kに軍配が上がります。なので,本来のスケジュールの詳細は忘れましたが,とりあえず地震のダメージから復活したJ-PARCでは数ヶ月間T2Kをやり,その後1、2ヶ月間程度ハドロンホール(KOTO実験をやってるとこ)にビームを出す予定でした。

ところが,T2Kの電磁ホーンというもの(陽子をターゲットに当てて生成したパイオンを前方の1点に集めるための電磁石)の電源が故障したため,しばらく(2、3ヶ月??)実験をやれないということが去年の年末に判明しました。そこで,急遽1月から2月にかけてハドロンホールにビームを出すことが決まり,KOTOな人々は年明け早々からビームタイムに向けて準備を慌ただしく進めていました。先月末に準備を終えて,今月はすでにビームが出ているそうなので,今頃は皆寝る暇がないくらい忙しく頑張っていることでしょう。

とは言え,KOTOの検出器はまだ完成していないので,今回のランはエンジニアリングランで,今日Y教授から聞いた話では,SくんがKe3を使って,Lくんが+-0を使ってKaonの数を測るのが目標のようです。ビームの状況がどんなことになってるのか,検出器が動いているのか,私にはわからないのですが,同じ研究室のメンバーが頑張っているであろう姿を想像すると,なぜか私も興奮してきます。

ところで,KOTO実験のように陽子をターゲットに当てて生成されるハドロンを使うタイプの実験では,加速器リング内を回っている陽子を”ゆっくりと”取り出します(=ターゲットのあるビームラインに送る)。陽子の数はたくさんあり,その陽子を一瞬でターゲットに当てても,生成される粒子の数が多過ぎてデータ収集が追いつかないので,ゆっくりと陽子ビームを取り出すということをします。陽子をリングに入射,加速,取り出し,ということを繰り返すわけですが,この周期が3秒くらい(?)だったので,ビームの取り出しに使われる時間も1秒前後になります。ビーム内にある陽子を1秒かけてゆっくりとビームラインに送り続けるこの方法のことを遅い取り出しと呼びます。

一方で,T2Kのようなニュートリノを使う実験では,ニュートリノは検出器となかなか反応しないのでとにかく粒子数がたくさん必要になります。リング内の陽子全てを使って生成される粒子,が崩壊して最終的に生成されるニュートリノが一瞬で検出器に届いてもデータ収集は問題ありません。前置検出器と呼ばれる,陽子がターゲットに当たり生成された直後の粒子たちを捕まえる検出器は,粒子数の多さからまあ色々と大変ですが,でも本来捕まえるべきニュートリノを考えたときには,とにかく粒子数が欲しい。ということで,遅い取り出しよりも効率良くビームを取り出すべく,リング内の陽子ビームがリング内を1周する間に全ての陽子をターゲットへのビームラインに送り出してしまいます。この方法を速い取り出しと呼びます。

ということで,同じ加速器を使う同じ固定標的実験でも,使う粒子,狙う物理が違うと,検出器だけでなく加速器の技術も大きく違います。素人なのでイメージでしか説明できませんが,速い取り出しは,陽子を外に蹴り出すのに十分,かつ,ターゲットへのビームラインへ入射させるための磁場をガツンと与えてやるのに対して,遅い取り出しだと,リング内の陽子を少しづつ蹴り出す作業が必要になります。陽子を外に蹴り出すような磁場を与えるということは,軌道内を走って欲しい陽子の軌道に悪影響を与えるわけですから,効率良く外に蹴り出すのは難しくなります。蹴り出すというアクションで失う(=リング軌道内にも,ビームラインにも行かない)陽子が増えてしまうわけですね。

おっと,今日はそういうことを書くつもりではなく,KOTOな人々が頑張ってる頃だということを書くつもりでした。
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