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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ヒッグス以外,SUSY探索とか

盛り上がりを見せたヒッグスの最新結果でしたが,ヒッグス以外の探索では今のところエキサイティングな結果は出ていません。標準模型を超える物理で,まあ一番人気はSUSYと思いますが,SUSY探索も今のところ兆候らしきものは見えてきていません。

SUSY探索について質問があったので少し説明します。SUSYの中でも人気の高いモデルがmSUGRAというものでした。このモデルだと,ニュートラリーノという素粒子の一番軽いもの(ニュートラリーノは4種類あります)がダークマターの有力候補でした。もうちょっと正確に言うと,このシナリオが正しく,かつ,軽いグルイーノやスクォークが存在するようなパラメータ(模型の中のフリーパラメータ)の場合,一番軽いニュートラリーノの性質が宇宙の観測からわかったダークマターの性質と一致する,というものでした。ですので,mSUGRAでかつ,一番軽いニュートラリーノがダークマターであるというシナリオの場合は,軽いグルイーノやスクォークが存在するはずで,7TeVのわずかな統計でもSUSYを発見できると期待されていました。それが見つかっていないということは,mSUGRAでダークタマーを説明するというシナリオはうまくいきそうにない,ということです。決してSUSY自体を否定しているわけではありません。

それから,SUSYだとヒッグスが5個というのは,あくまでSUSYの中でも一番単純な模型の場合,です。普通私たちがSUSY探索という場合は,この単純な模型を指針にしているのでヒッグスは5種類というように言われます。なんで5個かというと,その前に,標準模型の場合になぜ1個かを説明しないとなりません。ヒッグスは定義によりスカラーで(勝手にスカラー場を導入した),かつSU(2)xU(1)の模型ですから,複素スカラー場の二重項が必要になります。標準模型ではこの二重項が1つ,ということで,自由度は4個あります。この4個のうち,ゲージボソンであるW^+,W^-,そしてZが質量を獲得したので,自由度が3個減り,残った1個の自由度が物理的なヒッグスボソンとなります。で,私たちが普段考えている単純なSUSYの模型ではヒッグス二重項が2つなのです。1つだと色々矛盾が発生してしまうので,2個以上必要なのですが,なるべく単純な模型ということでヒッグス二重項2つの模型がよく使われます。複素スカラー場二重項が2つですから,今度は自由度が全部で8個。ゲージボソンで質量を持っているのは相変わらず3個ですから,残りの自由度は5ということになり,物理的なヒッグスが5種類存在することになります。

標準模型のヒッグスは電荷中性ですが,今私が説明した単純なSUSYの場合,中性のヒッグスが3個に荷電ヒッグスが2個になります。では,ヒッグス探索はどう変わるかというと,中性ヒッグス3個のうち一番軽いやつは標準模型のヒッグスと性質が似ているので,探索方法を大きく変えなくてもSUSYのヒッグスを探索しているのとほぼ同じことになります。ただし,SUSYのパラメータによっては,生成断面積は崩壊比が標準模型と変わってくるので,そこらへんは若干注意が必要です。ちなみに,SUSYが正しかった場合,一番軽い中性ヒッグスは質量が軽くなければならないという予言があります。まあ,理論屋さんは軽いヒッグスがないとなったら,そのときはあの手この手で質量を重くしようとするのかもしれませんが,現状では,どんなに重くても135から140GeVくらいまでが限界だろうと言われています。ですので,ヒッグスがもし見つかった場合,軽ければSUSYは生き残りますが,重い場合はかなり前途が暗くなります。あ,もちろん私が言ってるのは,なんというか標準的なSUSYの模型の枠組みですので,あらゆる可能性,模型について述べているわけではありません。

残りの2個の中性ヒッグスは標準模型のヒッグスよりも重くなると考えられていますし,荷電ヒッグスは電荷が違いますから,これらを探そうと思うと,標準模型ヒッグスとは別の探索手法が必要になってきます。これらの探索については,解析はやっていますが,今のところ,公開されている結果がありません(たぶん)。

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