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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

4年生実験

私たちの研究室には例年、3、4人の4年生が配属されます。配属された学生は研究室で教員たちがやっている実験とは完全に独立に、学生だけで何か実験を行います。で、その結果を卒業論文に纏めます。

この実験に関しては学生が自分たちで何をやるか考えることができるので、ある意味厳しいのですが、外から見てると非常に面白そうです。加速器を使うことなく大学の研究室内で出来ること、という制約がつきますから、必然的に扱う粒子の対象は宇宙線が多くなります。例えば、一昨年の4年生は宇宙線中の地表での主成分の一つミューオンという粒子の質量測定を試みました。

今年の4年生は予備実験として(毎年、卒業研究のテーマの前に、練習としてもう少し簡単な実験を行います。)宇宙線中のミューオンの寿命を測定しています。ただ寿命を測定するだけなら3年生くらいの学生実験でもあるのですが、自分たちで検出器のセットアップを行い、かつ電荷がプラスとマイナスの場合での寿命の違いを見ようとしています。今日の研究室のミーティングでその途中経過が報告されたのですが、とにかく、何から何まで自分たちでやれるというのは、やっぱり実験の醍醐味ですね。ATLASのような巨大実験だと、目指している物理テーマは当然非常に面白いわけですが、反面、数千人の研究者が行っている実験ですので、実験全体に対して自分たちでコントロール可能な部分が本当にわずかになってしまいます。なので、純粋に実験という部分を比べると、面白さは小規模な実験に軍配が上がります。

例えば、飛行機を作るとして、自分で全部作れる模型飛行機と大型旅客機との違いみたいなものでしょうか。模型飛行機なら全てを自分で作れ、自分で飛ばして遊べますが、大型旅客飛行機だとそうではありませんよね。ただひたすらエンジンの部品を作っていたり、コンピューターのプログラムを開発したり、油断すると、自分が作っているのが何なのかわからなくなりそうです。巨大実験にもそういう危険が潜んでいます。

そういうわけで、巨大実験グループにどっぷりと浸かっている私にとっては、より一層4年生の実験が新鮮で面白そうに見えたのでした。
…昔、宇宙線中のパイ中間子が見えたらしいので今年はK中間子ではどうかと、適当なことを博士課程の学生と一緒に言っていましたが、果たして彼らが何をすることになるのか、楽しみです。


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