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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

MINOSでも

昔,ニュートリノの速度を測っていたのですね。arXivの0706.0437にありました。2007年の論文です。その結果は,(v-c)/c=(5.1+/-2.9)x10^{-5}で,誤差がデカイので何にも言えませんが,とりあえず中心値はタキオン領域だったのですね。1.8σなので,ゼロとconsistentと見るのがまあ普通でしょうけど。

ところで,MINOSの時間分解能は系統誤差分だけで64ns。一方,OPERAでは7.4nsですから,OPERAの分解能の良さが際立ちます。さらに,T2K関係者に聞いたところ,T2Kでは一声100nsくらの系統誤差がありそうなので,結果を出すにはこれから色々と頑張らなければならないそうです。ちなみに,スーパーカミオカンデは非常に大きいので,ニュートリノが反応した地点からPMTに光が届くための時間も数10nsから場所によっては100nsオーダーになります。って,偉そうに書いてますが今までそんなことを気にしたことはなく,これまたT2K関係者に指摘されました。ですので,ニュートリノが水と反応した地点からPMTまでの距離の補正が必要で,そこら辺も頑張らないとならないのかもしれません。GPSという私にとってのブラックボックスもきっと重要でしょうし,10nsくらいにまで分解能を上げるのは結構時間がかかるのかもしれません。

それから,今回のタキオン問題の反証として,素粒子物理屋はすぐに1987年の超新星爆発のニュートリノ観測を引き合いに出します。数日前のコメントにも書いた通り,光とニュートリノが同時に放射されたら,ニュートリノの方が4年早く地球に到達してしまうが,実際にはほぼ同時に観測された。よって,ニュートリノがタキオンのはずない,というものです。しかし,天文の友達は超新星爆発のメカニズムに間違いがないのか,というようなことを言っていて,私にとっては目から鱗でした。普段は何でも疑うくせに,他分野の専門知識,ここでは超新星爆発のメカニズム,について全然疑いを持たなかった自分に気づいて驚きました。実際問題としては,光だけが先に放出されてその数年後にニュートリノが放射されるという超新星爆発のメカニズムを考えるのは難しいのでしょうが,そのメカニズムを知らないくせに疑わなかったというのはダメダメですね。

ところで,今回のマスコミ報道の盛り上がりが恣意的と感じるのは私だけなのでしょうか。世間のSF好きが喜ぶのはわかりますが,新聞報道とかを見ると,原発問題と同じように扱われているように感じてしまいます。科学(彼らの言葉では科学技術)の世界で正しいと考えられていたことが覆って(は,いないのですが),それを喜んでいるかのような印象を受けてしまいます。公務員イジメから科学技術イジメに方向転換したかのような,いや,公務員イジメに科学技術イジメを加えたような,印象です。私がひねくれているからそう見えてしまうだけで,素直に大々的な報道を喜んでいればいいのかもしれませんが。

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この記事のコメント

啓蒙書レベルの知識ですが、、、
超新星爆縮時、ニュートリノの発生によって、吹き飛ばす方向に力が働かないと、
白色矮星になるくらい質量の恒星でも、BHになってしまう
という計算結果があります。
昭和50年頃の知識なので、今では違うかもしれませんが、、、
ご参考になれば。

ニュートリノは、相互作用が非常に小さいので、
眉唾と思われるかもしれませんが、
岩波の「科学」か「自然」に、そうありました。
2011-09-28 Wed 13:22 | URL | kafuka [ 編集]
コメントをありがとうございます。

ニュートリノの相互作用が小さいので,放出されるのは
ニュートリノと光は同時か,あるいはニュートリノのほうが
早いはず,と一秒も考えずにそう思ってしまいました。
超新星爆発のメカニズムなんて全然知らないくせに。

コメントを参考に少し勉強してみます。
2011-09-29 Thu 09:08 | URL | ExtraDimension [ 編集]
kafukaさんへ
  
物理学徒ですが、一言
  
今回の実験は光とニュートリノを同時に発射して
競争させたわけではなく、ニュートリノの絶対速度を
測定したら光よりほんのわずか速かった結果です。
従って、ニュートリノの相互作用が非常に小さいから
光より早く検出器に到達したのではありません。
もしそうだとするとニュートリノが光速で運動して、
光が電磁相互作用で遅れた結果がでます。しかし、
そうでないこの結果は一体何なのか明らかに出来
ないので皆さんも考えて下さいだと思います。
2011-09-30 Fri 12:03 | URL | 他所の学生 [ 編集]
他所の学生さんへ

凡人ですが、一言

http://aurasoul.mb2.jp/_grn/1383.html
にて、本件について私の考えを書いていますので、コメントをいただけると助かります。
2011-09-30 Fri 22:11 | URL | 凡人 [ 編集]
他所の学生さんへ
http://aurasoul.mb2.jp/_grn/1383.html
にコメントを頂き、大変有難う御座いました。
2011-10-01 Sat 11:22 | URL | 凡人 [ 編集]
他所の学生さんへ,

kafukaさんではないのですが,一応コメントしておきます。

kafukaさんが言及(私がそれに対してコメント)していたのは,
OPERAによるニュートリノの速度測定に関してではありません。
1987年の超新星爆発のときに,地球上で光とニュートリノを
ほぼ同時に(ニュートリノのほうが確か2,3時間(?)先に
地球に届いていたのではなかったかと思います)観測したことを
もとに,超新星爆発時にニュートリノと光ではどちらが先に
放出されるのか,という点についてkafukaさんはコメントして
くださりました。
2011-10-01 Sat 14:02 | URL | ExtraDimension [ 編集]
>超新星爆縮時、ニュートリノの発生によって、吹き飛ばす方向に力が働かないと、
>白色矮星になるくらい質量の恒星でも、BHになってしまう
の件ですが、ニュートリノの相互作用率は非常に低く、弱い力の結合定数も小さいので、恒星の重力崩壊を支えるだけの力は発生しないのではないかと思います。
ニュートリノは、恒星の中心部の熱エネルギーを恒星外に持ち運び、恒星が収縮してBHになる事を促進するという事はありえないでしょうか?
2011-10-01 Sat 17:07 | URL | 凡人 [ 編集]
ExtraDimension の言われるように、
上記のコメントは、今回の実験結果についてでは、ありません。

尚、実験結果について、素人考えではありますが、
理論的考察を僕のブログにまとめてあります。
(いわゆる「新理論」ではありません)
速度に虚数項がある場合、ミンコフスキー座標の回転となるとか、
参考になるかも知れません。
(何故、速度が複素数になるかと言えば、
 ニュートリノ振動は過渡的に -exp(ax)の項があるから
 というのが、僕の着想です)
もちろん、運動量演算子は、エルミートである、つまり、
「固有値=測定値は、複素数になるわけない」
というのは わかっていますが、、、
2011-10-03 Mon 10:51 | URL | kafuka [ 編集]
ブログ主さんの迷惑になると思いますので、
恐縮ですが、ここでは、議論しません。

ただ、超新星の爆発の件は、確かな文献にそうあるということです。

それから、時間の不確定性については、
他の方に誤解されては、いけないので、
ここに、書かせて頂きます。

時間の不確定性は、位置や運動量と違います。
何故なら量子論では、時間は、物理量ではなく、パラメータだからです。
どういうことかと言えば、
時刻とエネルギーを同時に測定したとすると、不確定性原理により、
エネルギーが、パラパラと値が測定されますが、
時刻の値がパラパラと1秒後とか1分前とか出るのはおかしいわけです。
時間は、常に、今という「1つの確定値」を持っています。

時間は、他の物理量に対するパラメータなのです。
清水明「新版 量子論の基礎」によれば、
時間の不確定性は、「結果がはっきり出るまでの時間」です。

今回の実験結果では、6.6*10^-8s間のニュートリノのカウント値は、有意ですから、
今回の実験結果を、おっしゃるようには、
説明できません。
2011-10-03 Mon 11:15 | URL | kafuka [ 編集]
>ただ、超新星の爆発の件は、確かな文献にそうあるということです。
済みませんが、文献名と該当部分の文面内容を正確にお教えいただけないでしょうか?

>時間の不確定性は、位置や運動量と違います。
>何故なら量子論では、時間は、物理量ではなく、パラメータだからです。
私の今回の考えが正しいかどうかは別として、↑については、時空を量子化した場合は話が変わってくるかもしれない事にご注意下さい。
2011-10-04 Tue 03:38 | URL | 凡人 [ 編集]
ブログ主さんの迷惑になると思いますので、
恐縮ですが、ここでは、議論しません。
回答は、僕のブログの方に書きます。

ただ、超新星の爆縮とニュートリノ放出の関係は、
ExtraDimensionさんの参考になることもあるかも知れませんので、
ちょっと、書きます。

僕が見た、昭和50年頃、雑誌で紹介された論文は、見つかりませんでしたが、、、
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/physics/supernova.html
>超新星爆発の際、太陽が45億年間に放出する全エネルギーの99%以上を、約10秒間にニュートリノとして放出します。

http://www.astro.phys.s.chiba-u.ac.jp/~miyaji/class/shakaijin/SN-and-neutrino.pdf
>(爆縮でできた)中性子星の重力エネルギーのほとんどをニュートリノが運び去る。

こちらの解説には、具体的な式が載っています。
http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~shima/Ukakuren/ws/JPS2008a/Oyamatsu.pdf
2011-10-04 Tue 09:01 | URL | kafuka [ 編集]
どう検証しましょうか? と考えるが実験物理学者ですよね。。。ExtraDimensionさんなら、どうしますか?
2011-10-05 Wed 01:02 | URL | WB [ 編集]
たしかに、
>超新星爆発の際、太陽が45億年間に放出する全エネルギーの99%以上を、約10秒間にニュートリノとして放出します。

>(爆縮でできた)中性子星の重力エネルギーのほとんどをニュートリノが運び去る。
のエネルギーの質量換量と恒星の質量の比率がどの程度かによっても、ニュートリノが恒星が重力崩壊した時にブラックホールになる事を促進するのか、否かが確定する事にもなりますが、私はこれらのエネルギーの質量換算量は恒星の質量よりそれなりに少ないため、結局、ニュートリノは恒星が重力崩壊した際にはブラックホールになる事を促進する側に作用すると思います。
2011-10-05 Wed 01:24 | URL | 凡人 [ 編集]

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