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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

電磁波のエネルギー

午前中のミーティングでの文献紹介をやっつけ仕事でクリア。昨日書いたように,まさにお茶を濁したような内容でしたが,とにもかくにもノルマを果たし,最近の締め切り地獄からようやく解放されました。

昼飯の後は,物理学実験のレポートの採点。前期の授業が先々週で終わり,残りの業務は提出されてきたレポートの採点だけとなっていました。それをまあ大体終わらせ(大体というのは遅れて提出してくる学生とか,再提出を要求したりもするので,完全には終わっていないという意味です),今オフィスに帰って来て一息ついているところです。

物理学実験の授業も一段落ですが,通常の講義の電磁気学も後少しで終わりです。来週は休講,再来週に講義をもう1回やって,その次の週に試験で終わり,という流れです。初めての担当だったこともあり,準備にはそれなりに苦労しましたが,それなりに面白い再発見もありました。電流に付随する伝導電子の移動速度が遅いにも関わらず電磁波はちゃんと(真空中なら)光速で伝わって行くことや,電磁波のエネルギーが空間を伝わっていくこととか,直感的には理解し難い,イメージし難いことが起こっているというのがわかるのは面白いものです。

以前,ブログのコメントにもあった気がしますし,友人のEくんにも言われたのですが,閉回路において,電磁波のエネルギーが導線ではなく空間を伝わるというのはなかなかに興味をそそる話なので,いつかブログに書こうと思っていました。というわけで,締め切り地獄からの解放感もあって今日はその話を簡単に書いてみます。

電磁波のエネルギーといえば,ポインティングベクトルです。一言で言うと,電場と磁場のエネルギーの時間変化を出そうとすると,ジュール熱とそれ以外が出てきて,ジュール熱以外の部分をポインティングベクトルと定義(?)します。つまり,熱として消費されてる部分をさっぴいた後の電磁波のエネルギーの流れで,電場と磁場に直交します。

で,面白いのは,ポインティングベクトルが運ぶエネルギーを具体的に考えた場合です。たとえば,導線に電流が流れているとします。完全導体はだめです。いや,ダメかどうか知りませんが,私には難しくてわかりません。普通の,抵抗をちょっと持った導線を考えると,とある長さで,その抵抗に応じた電圧降下があって,つまり,電場やジュール熱が発生します。次に,導線の表面あたりでポインティングベクトルを考えると,電場の向きは電流の方向。磁場の向きは導線をぐるぐる回る方向。ですので,ポインティングベクトルの向きは導線の半径方向中心に向かいます。で,ポインティングベクトルは単位時間単位面積あたりのエネルギーの移動ですから,とある長さの導線に対してどれくらいのエネルギーが流れ込むかというと,それがちょうどその長さの導線が消費しているジュール熱になります。つまり,ジュール熱になるエネルギーって導線内部ではなく,外側から運び込まれているっぽいんですね。

あるいは,コンデンサに電荷を送って充電してるときも面白いです。平行板コンデンサ(計算が簡単になるように,私は2枚の円板を使いました)を考えますと,電場は板に垂直な方向になりますよね。電荷が蓄積されればだんだん電場が強くなります。充電中は変位電流もありますので,電場を囲むように円還状(?)に磁場も発生します。そうです,上の導線の例と同じで,ポインティングベクトルは円板の外側から中心に向かう向きになります。でまた,同様にエネルギー収支を数えると,ポインティングベクトルとして平行板コンデンサの側面からコンデンサに流れ込んだエネルギーが,コンデンサに蓄えられたいわゆる電気エネルギーと同じなんです。

いやー,びっくりじゃないですか。どうも電磁場のエネルギーって導線内ではなく空間を伝わっているみたいなんですよね。不安だったので授業の前に幾つかの教科書をひっくり返すと,たとえば,有名なファインマンの教科書にも全く同じ記述があります。なので安心して授業でも学生にこの話をしたのですが…それはさておき,もし空間を電磁場のエネルギーが伝わるのだとしたら,exactにどういうpathになるのか謎です。同軸ケーブルとか導波管はいいですけど,単なる導線で作った閉回路とかだとどういう流れになるんでしょうね。電源近くからなんでしょうか。なかなか不思議な問題です。

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