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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

解析雑感

データが増えてきたので,解析の議論が熱を帯びてきました。というか,今までも熱を帯びていたのかもしれませんが,私自身は,自分の物理オリエンテーションのせいもあって,自分の身の回りの解析以外はそれほど注視していませんでした。ですが,さすがに最近はヒッグスやらSUSYグループの動きが気になります。

ただ,探索をしているから仕方ないし,そういう姿勢でなければならないのかもしれませんが,一目,統計によるふらつきだと思われる現象をみんなで寄ってたかって議論して,しかも,その探索をしている人間以外まで巻き込むのはどうかと思ってしまいます。

コイントスを100回やったとして,表と裏がそれぞれ50回づつ出ることがイカサマでないコインなら期待されます。が,必ず50回づつになるわけではありません。表が45回のこともあれば55回のこともあります。たまには60回くらいになるかもしれません。そういうふらつきを統計誤差と呼び,期待値50回に対して,45から55回の間になる確率が68%,40から60回の間になる確率が95%...というように,50回にならない確率というのは0ではありません。もちろん,0から100回までの間に入る確率は100%ですが。

逆に,コイントスを100回行うことを1セットとして,コイントスをたとえば100セットやったとすると,その100セット全てが50回になるなんていうことはあり得ませんし,100セット全ての試行で表が45回から55回の間に収まっていたとしたら,それは逆にイカサマがあるわけです。1セット=100回のコイントスで45回から55回の間に入る確率が60%なのですから,100セットの試行で全て45回から55回表が出る確率は(0.6)^{100}というとんでもない小さな確率です。ですから,多数の試行を行ったときに,その全ての試行で期待値に近い値が出るということは確率的におかしいんですね。

という確率の話は知ってるはずの人たちばかりのはずなのに,あらゆる分布のあらゆる場所が期待値に一致してないと気が済まない人がいて,消耗だったりします。そういう人たちは統計によるふらつきかもしれないけど,もしかするとそうでない原因,たとえば,私たちが検出器の振る舞いを正しく理解していないとか(期待値を出すには検出器の性能に仮定が入り,その仮定がどれくらい正しいか,というのが解析の大きなポイントになります),未知の粒子,未知の現象を捉えているのかもしれない,と考えるわけです。

繰り返しになりますが,未知の現象を探している場合にはそういう姿勢は正しいと思います。ですが,期待値からズレる確率がどれくらいかを正しく評価しないで,少ない試行で一目統計によるふらつきで説明できる現象全てに目くじらを立てて文句を言う人がたくさんいるのには困りものです。

それだけ標準模型にみんな辟易してるってことですかね。Beyond the Standard Modelを見つけたくてしようがないということなのかもしれません。

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