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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

赤信号青右矢印

毎回のことですが,CERNから帰ってくるとなぜか突然忙しくなります。CERNにいるとできない,直接顔を合わせて詳細を詰める類の打ち合わせが山盛りに溜まって,それだけでも時間がなくなるのに,そういう打ち合わせをするとディープな宿題が山積みになってしまうからです。

仕方がないので,早朝からKEKにやってくるのですが,そのときの交通ルールは私が知っているものとは違うようです。右折だけ可能な「赤信号+青右矢印」の信号で直進をやめる車がいません。。右青矢印が消えて,直行する道路からの車が出てこなくなるまで延々と直進続けます。茨城県警,なんで取り締まらない???

右折車がいないなら実害を被る人はいないのかもしれませんが,右折車がいても延々と直進する車が多くて真に驚いています。つくばなのか茨城なのか知りませんが,ここら辺の人の交通ルールのマナーの悪さをしょっちゅう書いていますが,本当に辟易とします。

交通マナーといえば,最近のマスコミは,大学入試のミスと車のあおりが大好物みたいですが,その後者のニュースを見るたびに私が思ってしまうのは,おある人もどうかと思うけど,あおられる人はなんで道譲らないんだろう?ということです。2車線の道であおられるということは,敢えてブロックしているわけですよね。そうじゃなくて,元々何かのトラブルがあって追いかけられてあおられる,というのなら,その状況を理解できるし,狂った人に追いかけられて可哀想だなと思うのですが,普通に走っていてあおられるっていうのは,私には想像も理解もできません。たまにいる,狂ったような速さで迫ってくる車には私は瞬時に道を譲ります。そもそも,自分よりも速い車が後ろから来ていたら,狂ったような速さでなくても道を譲るし,追い抜き車線に出ません。たとえ1車線でも走り屋みたいなのがすんごいスピードで迫ってきたら,私は道幅の広いところで道譲ります。自分が育ったところは山だったので,基本山道。そういう状況がよくありました。自分よりも速い車の前に出てブロックする人は,絶対に法定速度を遵守する人で,他の人もスピード出しちゃダメだよ,というサインで敢えて危険を冒してブロックしてるのですかね。。君子危うきに近寄らずでいいと思うのですが。

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Particle Flow

昨日の晩,日本に戻ってきました。2週間ほど前に,CERN行きの飛行機では新しい映画を見ることができてよかったと書きましたが,帰りも2本見ました。1本はミックス。内容なんてもうどうでもいいです。ひたすら新垣結衣かわいい,という映画です。設定やストーリーを楽しむのではなく,新垣結衣のかわいさを楽しむ映画です。もう1本はオリエンタル急行殺人事件。ストーリーを知っていても結構楽しめました。知らずに見てましたが,出演者が凄く豪華です。

映画の話はさておき,先週のATLAS Weekでは色々な報告がされるので,当然,色々新たな情報を仕入れます。実験現場にいれば自然と知ってるような話でも,現場を離れている人にとっては情報をアップデートする良い機会です。中でも印象に残っているのは,ジェットのアルゴリズムにいよいよParticle Flowが導入されたことです。以前からアルゴリズムが組み込まれてはいましたが,ATLASのオフィシャルにはなっていなかったので,あくまでstudyのレベルで使っていました。それがいつの間にかオフィシャルになっていました。CMSでは以前からParticle Flowだったのですが,ATLASではカロリメータの性能がCMSよりいいということもあり,その導入が遅れていたのですが,いよいよですね。その発表では,どれだけ性能がよくなったか詳しく説明されてなかったので,これからその手の資料を眺めてみるつもりです。

ちなみに,Particle Flowというのはジェットのエネルギーを測定するのに,荷電粒子の情報を使う方法です。通常はカロリメータの情報だけを使って,較正値をもとにカロリメータに落としたエネルギーからジェットのエネルギーを推測しますが,Particle Flowでは荷電粒子のエネルギーは飛跡情報から運動量(=ほぼエネルギー)を使って求めます。で,カロリメータで荷電粒子が入射した部分では,飛跡情報で求めたエネルギーをさっぴき,残りのエネルギーを中性ハドロンのエネルギーと思って足しあげます。通常は,カロリメータで測定するハドロンエネルギーよりも運動量測定の分解能が高いので,さっぴきなどの補正がうまくいけば,ジェットのエネルギーとしては分解能がよくなるというわけです。

CMSの場合は,ATLASと違ってソレノイドの中にハドロンカロメータを入れているのでハドロンカロリメータが薄く,ハドロンシャワーの漏れが多くハドロンカロリメータの分解能はよくありません。それをParticle Flowで補うという思想だったので(?)導入が早かったようです。ってか,ATLASの場合は,カロリメータ好きな人が権力を持っていてため,飛跡情報を使うParticle Flow導入が遅れたという説があったり,なかったり。。まあ,CMSほどの改善がなかったというのが本当のところなのかもしれませんが,それを確かめるべく,先の段落で書いたように,どれくらいの改善量だったのかが気になるところです。

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Luminosity leveling

ご存知の方も多いかと思いますが,ATLASでは去年の途中からluminosity levelingを行っています。LHCは2E34cm^{-2}s^{-1}を出せるのですが,ATLASの場合データ収集が追いつかず,フィルの開始当初は1.5E34でluminosity levelingしてます。

どれくらいのルミノシティまで行けるかの制限は複数の要素から来ます。トリガーレートが上がるとデータ転送が間に合わなくなる,トリガーの後段である計算機による処理が追いつかなくなる,金がなくて記録媒体が足りなくなる,検出器の性能が落ちてしまう,などなど色々な要素があります。去年のATLASの場合は,トリガー後段の計算機資源が足りなくなったためにデータ処理が追いつかなくなりluminosity levelingせざるを得なくなりました。(CMSも同じくらいのルミノシティでlevelingしてるみたいですが,何がボトルネックになってるのかは知りません。)

この年末年始のシャットダウンのあいだにCERNが計算機資源を追加することが決まったので,今年の運転ではどれくらいのルミノシティになったらlevelingをすべきかの議論が盛んに行われています。ルミノシティが上がると苦しくなる検出器は当然陽子陽子衝突点近傍に近いもので,ピクセル検出器が一番大変になります。チャンネル数も桁違いですので,データ転送量が半端ではなく,一番最初に帯域の制限にぶつかるのがピクセルです。だったら,トリガーを変えてたとえば閾値を上げるとか,あるものに対してはprescaleを上げるとかの対処もありますが,それについては物理の議論が必要になります。このように複雑な多体問題なのですが,Run CoordinatorになったIさんのトークでは,どうやら2E34でlevelingをするみたいです。

じゃあLHC側はどんなことを言ってるかというと,2.2ないし2.3E34くらいまでは行けそうと言ってます。衝突点最近傍のビーム収束用電磁石の冷却がルミノシティを制限すると考えられていて,もっとバンチ数を増やせばルミノシティ自体を上げる潜在能力はあるみたいですが,どうもその辺の値が上限と考えられているようです。ビーム収束用電磁石だけでなく,LHCの全周に渡って配置されているdipoleの熱負荷も限界に近く,いずれにせよ,冷却能力がルミノシティを制限しています。なにしろ,設計値の2倍以上のところの話ですからね。

今LHCでやってるluminosity levelingは衝突点でのビーム軌道をわずかにズラすものです。Levelingの方法は大きく分けて3つで,今やってるように軌道をズラす方法,crossing angleを変える方法,β*を変化させていく方法,というのがあるらしいです。軌道をズラす方法が一番簡単で,LHCbでは大昔からこの方法でlevelingをしています。crossing angleを変える方法もある意味で使われています。というのは,陽子をLHCに入射した直後はバンチあたりの陽子数が多いために,衝突地点でのビーム同士の相互作用を小さくし上手く衝突させるためにcrossing angleをつけていますが,時間が経つにつれ陽子数が減って来るとビーム同士の相互作用の影響が小さくなるので,今度は逆にルミノシティを稼ぐためにcrossing angleを小さくしています。加速器の人はこれをanti-levelingと呼んでいて,ビーム入射直後に160μradだったcrossing angleを連続的に小さくしています。

ただし,levelingの方法それぞれにproとconがあるので,加速器の人たちはβ*を変化させる方法でのlevelingも考えていて,Machine Developement (CERN界隈ではMDと呼ばれています)と呼ばれる加速器のstudyの時には,すでに陽子陽子衝突をさせながらβ*を変化させるということを実施しています。それを今年の運転では,まずfillの最後のほうで練習として導入する予定みたいです。ちなみに,前にも書いたことあるかもしれませんが,β*は今30cmで設計値の40cmよりも絞っています。これをさらに今後は,27cm, 25cmと絞ることも考えているそうで,LHCの潜在能力に驚かされます。

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女子スケート追い抜き

いやー感動しました。今回のオリンピックで唯一動画を見ました。と言っても,金を獲得したというニュースを読んだ後なので結果がわかっているのに,その動画を見ながら「行けーっ」ってアナウンサーや解説者と同じように叫んでいました。アホです。

個人のタイムではオランダにかなわないけど,チームワークで勝利。というのは日本人が好きそうな展開ですよね。はい,そういう私も大好きです。若い人が全力を振り絞っているのを見るだけで涙腺が崩壊しそうな年寄りになってきているので,昨日動画を見たときはもう大泣きでした。本当に素晴らしい。

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5.3CHF?

私がCERNで食べる朝食は毎日同じです。クロワッサン,シリアル入りのヨーグルト,紅茶,合計4.8フランです。最近,CERNのレストランは微妙な値上げがあって,コーヒーと紅茶の値段が0.1フラン高くなりましたが,この値上げ前は毎朝4.7フランでした。

今朝も同じ物を持ってレジに行き,何も考えずに5フラン渡したら,5.3フランだから後0.3フラン払えと言われました。

日本以外の国はおおらかというか,小銭の計算はいい加減なので,4.8フランの組み合わせでもあるときは,4.7フラン。あるときは,4.9フラン,というように,レジ係の人の計算精度はそれほど高くなく,0.1フランや0.2フランの違いはよくあります。毎日買って平均するとほぼく4.8フランになってるので,大きなバイアスはなく較正されているのですが,分解能がそれほどよくないわけですね。その点,日本の店はどこもバイアスがないだけでなく,分解能も高いですよね。と言っても,スーパーやコンビニだとバーコードで管理されているので精度が高いだけで,飲み屋に行ったりするとこっちが酔っ払って確認しないから気づかないだけで,かなりの間違いがあるのかもしれませんが。

そういうわけで,0.1あるいは0.2フランくらいだったら大目に払っても文句を言わないのですが,今日は5フランコイン1枚で済むか,10フラン札を出さないとならないか(0.2フラン分の小銭を持っていませんでした),という分水嶺だったので,思わず,4.8フランのはずだと言い返してしまいました。0.5フランなら目くじら立てるところではないのに,小銭がじゃらじゃら増えるのは自分相当嫌だったみたいです。速攻で言い返していましたから。

関係あるような,ないような話ですが,日本のスーパーの計算精度は高いと言いましたが,それでもたまにレジの打ち間違いがありますよね。間違えて多く払っているのがわかっても,後からクレームをつけることが私にはできません。私の周りにいる男たちもあまり言えないみたいですが,かみさんはじめ女性はそういうクレームをつけることに抵抗がない人が多い気がします。男女の違いを語るのはこのご時世危険かもしれませんが,自分の感覚では,だいぶ差があるような気がしています。

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ATLASの一部も備品

どういう流れで尋ねられたのかはわからないのですが,KEKがin-kindとして収めたATLAS検出器の一部がまだKEKのものかどうかを教えてくれという依頼が来ました。シリコンストリップ検出器の一部とミューオントリガー用チェンバーとエレキなどをKEKが納入しているのですが,調べたところ,というかTさんに教えてもらったのですが,それらは全て今もKEKの備品でした。いやー,びっくりです。備品シールまであるそうです。MoUにも,なんらかの段取りを踏んで移管の手続きをしない場合は,in-kindでの納入品は納入した側の資産のまま,と書かれていて,わざわざ移管の手続きをしていなかったので,未だにKEKの備品なんだそうです。

こういう不思議なことはよく考えると結構あって,たとえば,私が管理者になっているものには,CERNのPSブースターのアンプがあります。固定資産の確認として,毎年チェックが要求されるリスト一覧に入っていまして,もうすでに現場にインストールされて見えなくなっているものですが,っていうか普通にアクセスできるところにあるとは思えませんが,KEKの備品としてカウントされています。物品管理,資産管理の観点からは当然のことではあるのですが,かなり不思議な感じがします。あ,KEKのキャンパスの外にありますから,機構外使用届というのを出しています。ちなみに,インストール前には,CERNに来た時点で証拠写真を撮ってもらいまして,コンセントの形から少なくとも日本ではないことがわかる場所を背景にしてもらうなどの配慮をしました。

すでに山ほどある備品の管理者として登録されていますが,これからもどんどん増えていくかと思うと,先が思いやられます。

KEKB加速器も当然KEKの備品ですから,QCSマグネット資産価値うん億円,耐用年数X年など,とてつもない高額品がたーくさん登録されているのでしょうね。

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世間のニュース幾つか

将棋やオリンピックなど,最近幾つか気になったニュースがあるので,今日はその感想などを時系列順に並べてみます。

羽生永世七冠王達成:
だいぶ前のことになりますが,羽生ファンなので素直に嬉しいです。が,一昨年・去年あたりから調子を落としているのが気になります。復活して欲しいですが,人間ですから,今後は老いとの戦いになるんでしょうか。ちなみに対戦相手の渡辺が,羽生以上に去年あたりから調子を崩していました。それが永世竜王獲得を後押ししたかもしれません。

香港(?)かどっかでのバスの事故:
バスがスピードを出しすぎてカーブを曲がりきれず横転。多数の死傷者が出たというニュースがありました。常日頃から周囲にバスは怖いという話をしてますし,このブログでも書いたことありますが,バスは本当に怖いです。今回の事故の原因は,乗客から遅いとクレームが来て運転手がキレて猛スピードを出したせいだとか。私も以前高速バスを利用した時に,異常に速度が遅くて(=高速道路でも50-60km/h程度?),後から出発した同じ行き先のバスに抜かれたという恐ろしい経験があります。バスの運転手は精神を病んでるに違いないと推測し,ただひたすら事故しないで到着して欲しいと祈っていた,という経験があります。生身の人間一人に大勢の命が握られている恐怖をバスに乗るたびに感じます。

羽生永世七冠王国民栄誉賞:
将棋ファンとしては非常にめでたいニュースです。けど,囲碁の人と同時受賞?実績にはだいぶ差があるのに,とちょっと思ってしまいました。でもまあ,近隣分野(?)とは仲良くしたほうが色々メリットがあると実感する今日この頃なので納得。

藤井が羽生を破る:
また将棋です。レーティングでは藤井のほうがもはや上だったので,勝っても全く不思議ではなくある意味順当。でも,マスコミや世間に大きく注目されるというプレッシャーの中で実力を出せるのは,やっぱり凄いです。

小平500m金メダル:
今回のオリンピックはほとんどみていませんが,小平選手だけは注目していました。500mで国内外合わせて20うん連勝中ということで,とてつもなく注目され,とてつもなくプレッシャーを感じていたと思うのですが,その中での金メダルは本当に素晴らしいです。伏兵が活躍するのはドラマ性があって面白いかもしれませんが,長いことプレッシャーを受けていた有力候補が勝つほうが私は好きです。屋台骨を長いこと支えてきた苦労が報われないのは可哀想と感じてしまうので。しかし,今回の小平選手のように最有力とされた選手がそのまま勝つのは,精神力も凄いのでしょうけど,その前に実力がやっぱ一つ抜けてるんでしょうね。わずかな失敗があっても勝てるくらい実力差があるのかなぁ,と今回は思ってしまいまいた。それくらい凄いですね。年齢の問題がありますが,4年後も活躍していてもらいたいものです。

[追加]
里見香奈奨励会退会:
重要なの(?)を一つ書き忘れていたので追加です。年齢制限で退会。25歳を過ぎると勝ち越さないと退会になります(勝ち越していても30歳になると退会だったはず)。今回勝ち越しできないことが決まったので残りの対局はありますが,退会決定になってしまいました。女流棋士の中では圧倒的な強さですが,女性初の棋士は残念ながら実現しませんでした。三段になった直後に体調を崩してしまったのが痛かったです。残念。奨励会の年齢制限のことを考えるといつも私たちの世界とダブらせてしまいます。ポスドクが奨励会と重なって見えます。。

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ムール貝

昨日は打ち合わせ密度の濃い1日でした。

午前中は日本シリコングループの定例会合と,ジュネーブ大の人との電話での打ち合わせ。午後は1対1での打ち合わせが3件+自分の学生との研究方針の相談。シリコン開発グループのcollaboration meetingは木曜まで終わったのですが,昨日は個別の打ち合わせの連続となり濃密でした。

そんなこともあって,金曜の晩でしたが珍しく外に出かけず,一人でCERNのレストランで晩飯を食べました。晩飯は昼の残りが出ることが多く,メニューの選択肢がなく辛いことが多いのですが,昨日はムール貝があったので助かりました。この辺のレストランではムール貝をバケツみたいなのに一杯入れて,それとフライドポテトだけをひたすら食べるというメニューがあります。(元々はベルギー料理?)欧米のステーキ屋で出てくるような牛肉があまり好きではないので,外国では肉メニューを避ける傾向がある私にとっては,このムール貝はオアシスで,外に出て食事をするときのお気に入りの一つです。そのムール貝が昨日の晩あったのは幸運でした。数日前の昼飯のメニューにもあったので,その残りっぽいですが,問題なく美味しくいただけました。

フォーとムール貝,この2つがホントにオアシスです。

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結果が全てでは寂しい

今,ウェブのニュースで,スケートの小平選手を支えた企業,というか病院なのですが,の記事を見ました。信州大卒業後進路に困っていた小平選手を職員として雇い,給料,生活費,競技用具の購入費などを負担したという美談が,ネット(私はこの言葉は使いませんが,敢えて原文表記)で話題になっているというニュースです。

その美談自体には何の異論もありません。多くのスポーツ選手,芸術家,そして私たちも,多かれ少なかれ,応援して支えてくれる人や企業,団体に支えられていますから,スポーツ選手を支えている企業にスポットが当たることは喜ばしいと思います。けど,結局,選手が結果を出さないと,選手を支えている人たちにスポットが当たることはありません。当たり前なんですが,結果を出さないと世間の注目が集まりませんから。

だけど,そういう世の中はなんだか寂しいです。結果が出ていても出ていなくても,選手を支える企業や裏方さんにスポットが当たる世界のほうが暮らしやすそうです。もちろん,先に書いたように,結果がないと注目を浴びないので仕方ないことなのですが,日の目を見ないスポンサーや,選手を支えようと頑張っている裏方さんがたーくさんいるんだろうなと思うと,私らしくもないことを考えてしまいました。。

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すり合わせ

今週はATLASアップグレード用シリコン検出器開発関連の大きな会合に参加しています。こういう打ち合わせに出るといっつも同じことを感じます。

昨日出た打ち合わせの一つにピクセル検出器のバレル部分の製造関連のものがありました。大きなプロジェクトなので,いくつものチームが役割を分担して設計,製造を行います。たとえば,センサーなどの配置いわゆるレイアウトは物理屋主導でシミュレーションをもとに物理の性能を最大化させようとします。一方で,実際の検出器の設計はエンジニアリングの世界で物理屋ではなくエンジニアが物質量を減らしつつ要求される冷却性能と強度を保つべくデザインを考えます。すると,エンジニアリング的には,つまり,実際には作れないものあるいは作るのが非常に難しいレイアウトをレイアウトグループが推薦してくることも多々あり,そうすると,両グループの主張の落とし所を探ることになり,これが非常に時間がかかります。

あるいは,エンジニアリング的な設計と一言で言っても,全部を一人あるいは一つのチームで設計するわけではないので,Aという部分を担当しているチームとBという部分を担当しているチームで意見が対立することもよくあります。昨日の例だと,バレル部分のケーブルを通すためには,エンドキャップ部分との境界を通さないとならないのですが,その間隔が1mmしか取れない。それを交渉したが今の所4.5mmしかまだ隙間がない。それじゃまだ足りないからさらに交渉が必要。みたいな話になっていました。

これらはあくまで一例で,一人ですべてをやれないプロジェクトでは多かれ少なかれ,同様の問題があるのではないかと思います。自動車の設計とかでも,きっと,色々なすり合わせがされているはずですよね。営業と設計。設計の中でも,エンジンを作る人とボディを設計する人,シャシーの設計とエンジン,などなど,無数のすり合わせを経て最終的な設計が決まるはずで,その調整作業をいかにスムーズに,違うチーム同士がいかに相手のチームのことを理解して歩み寄れるか,それによって良いものができるかどうかが決まるんだろうなぁ,と,ミーティングに出るたびに感じます。同時にその辺の意思疎通をうまくやれるかどうかがプロジェクトリーダーの腕の見せ所なんでしょうけど,実際に自分でやるの難しいなぁ,とこれまた日々感じています。

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ちょっと久しぶりのCERN

昨日移動日でした。去年は8月から12月にかけて高い頻度でCERNに来ていましたが,今回は12月半ば以来ということで2ヶ月ぶり。たった2ヶ月空いただけなのですが,久しぶりと感じてしまうのが恐ろしいです。

去年の後半のように高い頻度で乗ると,飛行機の中の映画をほぼ見尽くしてしまうので,飛行機の中でほぼ眠れない私にとってはかなり退屈して辛い時間になります。パソコンを出して仕事をできればよいのですが,頚椎ヘルニアが酷くていつ手術しようかと思っている私にとっては,狭い機内でパソコンを出して作業するのは不可能です。ということで,飛行機の中では映画かテレビ番組をかなり見ています。今回は2ヶ月ぶりだったため,新作映画はほぼ入れ替わり,古いものも入れ替えがあり,機内で退屈と戦う必要がなかったのは助かりました。

話題飛んでしまいますが,冬季オリンピックが開幕したのですね。今回の開催期間はCERN出張とすっぽり重なるので,あまり見ることがなさそうです。いや,日本にいてもあまり見なかったかもしれませんけどね。ははは。

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春の学校の申し込み受付開始

昨日の晩,永世幹事からhecforumにアナウンスがあったように,第8回高エネルギー物理春の学校の受付が始まりました。この記事を読んでいらっしゃる方の周りに,学生あるいはポスドクがいましたら,ぜひ参加をお勧めください。元気のある若手が集まり,非常に活発に意見を交わし,自分たちの実験以外をやってる同世代の人間と知り合う,良い機会になっています。場所はいつも通りびわ湖の湖畔。ここ数年は毎年同じ場所でやっています。日程は5月17から19日にかけての2泊3日です。

今回の講師は,理論が永田さん,測定器が三部さん。これら2つの基幹講義に加えてとピカルとして3つ。ATLASが奥村くん,Belle IIが後田くん,そして,ニュートリノが木河くん。意識したわけではありませんが,全体的に例年よりも講師の年齢が若くなっていますね。夜の部もエネルギッシュに対応してもらえそうです。

このスクールを始めた当初はノウハウもなかったので,毎回結構神経を遣い苦労していましたが,最近はノウハウが蓄積されてきた上に,永世幹事が現場を仕切るだけでなく設営から何かやってくれるので,もはやお客さん気分で遊びに行ってる感があります。今回も面白い講義と,若手同士の熱い議論が楽しみです。

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虚数のエネルギー

今日は,不安定な粒子のエネルギーは,質量でもいいですが,なんで虚数なんだっけ?というところから始まって,KEKの有名な理論やのKさんがどこかのスクールで熱く語っていた「粒子=poleなんだ」という話を思い出し,伝播関数からpoleがどうやって出るのか思い出してみたり...と,仕事の合間にちょくちょく素粒子物理屋っぽいことを考えていました。

はい,完全な逃避行動です。。

厳しい予算状況の中,来る日も来る日も金のことを考え,色々な人と金の相談ばかりしていまして,今朝もKEKの主計の人たちとかなりの長時間に渡って今後どうしていくのかの相談。その他にも幾つか金の相談があり,現実逃避で物理のことを考えてたというわけです。

しかし,虚数。不安定な粒子のエネルギーだけじゃなく,色々な物理現象,それも素粒子物理に限らず極めて広範に出てきますから,自然現象を理解するための数学というツールだと思うしかないのかもしれませんが,物理法則の中にあらわに虚数が出てくるたびに違和感を感じてしまうというか,それって一体どういう意味なんだろうと悩んでしまいます。私は学生の頃はCPの破れをやっていまして,そこでも当然虚数が重要な役割を果たします。数学的にはわかっても直感的なイメージがわかず...虚数のエネルギーもしくは質量も一緒です。質量行列に崩壊幅の項があると粒子の存在確率が時間とともに減っていく,というのは,簡単な数学でわかりやすいので,虚数の崩壊項が入ってくること自体は受け入れられるのですが,でも虚数のエネルギーってどういうことですか?と,たとえば一般公開で質問されたら,何と答えてよいのか思いつきません。

でも,虚数があるおかげで,色々な物理現象がうまく記述できてますよね。もはや虚数なしには,説明できない物理がたくさんあるのではないでしょうか。そう思うと虚数って凄いのですが,誰がいつ発明したのか私は知りませんでした。でした,と過去形で書いたのは今グーグル先生に訊いてしまったからなのですが,まあ,誰がいつ発明したのかはさておき,本当に凄い発明でしたね。

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準備色々

5月に開催予定の高エネルギー物理春の学校。そして,6月に開催予定のATLASグループのCollaboration meeting。これら2つの準備が進んでいます。春の学校のほうは永世幹事のNさんがいつものように張り切って準備していて近々アナウンスを流せそうです。Collaboration meetingのほうはYくんを中心とする優秀なLOCの人々がそれぞれの役割を着実にこなし,会場とホテルの手配,ポスターにウェブ,参加登録の設定などなど数多くの準備が滞りなく進み,来週早々にも登録をアナウンスできそう,というところまで準備が進んでいます。

後者については,ウェブとポスターを業者に作ってもらっているのですが,その業者は私が阪大にいるときにお世話になった会社で,いつも綺麗でカッコイイウェブとポスターを作ってくれます。Yさんもお付き合いがあったので,今回はYさんに窓口となってもらいましたが,そのデザインは相変わらず美しく,頼んでよかったなぁと思えるものになりました。昨日はATLASのmanagementも混ぜて,登録開始前の打ち合わせを行いました。ボトルネックとなる問題もなく,上記のように来週には登録を開始することができそうです。

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DCDCコンバータ

検出器の物質量,特に,不感物質の量は少なければ少ないほどいいので,コライダーのように有感領域にケーブルを配線する必要がある場合,最近の流行り・進む方向として電源供給にはDCDCコンバータが使われ始めています。複数のチャンネルに並列に配線するよりもケーブルの数=物質量を大幅に減らせますし,ケーブルで消費する電力も抑えられるので一石二鳥。というわけで,私たちが開発しているATLASアップグレード用のシリコン検出器でもDCDCコンバータを使って送電します。

CMSでは去年入れ替えたピクセル検出器にすでにDCDCコンバータを使っているのですが,去年の運転中からトラブルが発生して,徐々に死んでいっています。信号読み出し用のASICが高い放射線環境なのでSEUを起こすのですが,それをリセットするためにはチップを初期化configしなおすのではなく,電源を供給しているDCDCコンバータのパワーリサイクルをしているのだそうです。なんでパワーリサイクルまで必要なのかは私は知りませんが,とにかく,パワーリサイクルが必要だと。ところが,パワーリサイクルをしようとすると,動作不良を起こすDCDCコンバータが表れ,去年の運転中はその数が着実に増えました。

あまりに増えるとCMSが走れなくなり,LHCではATLASだけあるいはCMSだけでは走らないというルール(?)があるため,LHC自体の運転を止めなければならない,なんていう事態が心配されます。それを年末年始のシャットダウン中に修理,原因解明を行うという話だったのですが,Oくんからの最新情報によると,壊れていたものは全て交換したが,なんでそういう問題が起きるのかの根本解決には至っていないということがわかりました。全部直したので,これからまた壊れてもさらに1年は走れるのかもしれませんが,とにかく,また壊れ始めるという可能性が高いというのは懸念材料です。1年走れば長期シャットダウンになりますから,それまでなんとか持ってくれればいいという考えがあるにはあるのですが,そのDCDCコンバータはCERN開発で実はこれから色々なところで使われる予定のものなのです。

ATLASのシリコンアップグレードでもそれを使用予定ですし,今日聞いた話だと,ミューオン関連のアップグレード,それもPhase-Iのアップグレードでもそれを使う予定だそうで,あちこちで不安の声があがっています。ただ,ミューオンの場合はそれほどSEUしないでしょうから,パワーリサイクルをそれほどしなくてよいのでシリコンほどは深刻な問題ではないかもしれません。が,シリコンのアップグレードでは対岸の火事というわけではなく,今後の調査に注目が集まります。

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学位論文のシーズン

世間は学位論文のシーズンですね。一昨日は総研大の学生のD論の審査会があり,今日は,総研大の素粒子原子核専攻の会議でした。

去年までの何年間かはこの時期,修論の添削に死に物狂いでしたが,今年はそれがありません。KEKに異動して3年目。担当する修士の学生がいなくなったからで,KEKに異動したんだなぁ,ということを妙に実感しています。

そんな私が今日やっていたのは,素核研の研究報告の作成です。素核研のウェブサイトに掲載されるもので,1年に1回か2回執筆が依頼されます。毎月(?)いろいろな研究グループの報告が載るもので,私は当然ながらATLASのレポートを書いています。素核研のウェブサイトは,最近更新が非常に頻繁になっていますので,興味がある方はこのサイトを見ると,素核研の研究活動の最新情報が手に入ります。私が今日書いてるレポートも今月中には掲載されるはずです。


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モデル磁石2号機

ATLAS日本グループが希望しているHL-LHCへの貢献の一つとして,陽子ビーム衝突点近傍に設置する双極電磁石の建設があります。陽子ビーム同士を衝突させるために,ビームの軌道を曲げるもので,KEKのNさんたちが長い間開発を行ってきました。実機よりも短いモデル磁石と呼ばれるものをすでに1台製作して,通電励磁試験等を行い,その結果をもとに2号機を現在製作中です。

ちなみに,私はこのプロジェクトに関わるまで知りませんでしたが,彼らは試作品とモデル磁石という言葉を使い分けています。大きさが実機と同じだけど,実機建設の前に試しに作ってみるのが試作品で,今作っているように,実機とは大きさが違う場合はモデル磁石と呼び分けています。私たちの場合だと,検出器を作る際,実機以外は全部試作品と呼んでしまっている気がしますが,確かに言われてみると,大きさの異なるものだと製造の観点からは「試作」とまでは呼べないのでしょうね。

なんでこの話を突然したかというと,その2号機の製造しているシーンを,それもコイルの巻線を巻いているところを昨日運良く見たからです。上述のNさんと打ち合わせするために,磁石製造現場方面に行ったところ,ちょうど今コイルを巻いてるところだというので急遽軽く見せてもらいました。長さ2メートルくらいのコイルを巻くシーンは圧巻で,現場で作業をしてくださってる人の手際のよさに見とれました。私のブログにときたま登場するNさんなら当然写真撮影をたくさんしてきたのでしょうが,残念ながら私は写真撮影できるものを一切持っていなかったので,写真はなしです。

コイルと言っても,単なる筒状ではありませんので,巻く作業は単一方向ではありません。言葉で説明するのが難しいので,ホント写真があればよかったのですが,初めて見る私にとってはとにかくまあインプレッシブでした。Nさんいわく,そういう作業をやるには経験が必要なので,技術者の後継者育成が重要とのこと。よく言われることですが,作業の現場を見るとその言葉の重みがより伝わってきました。

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