ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

3σevidenceと言うか?

参加中のLHCP2017の昨日のヒッグスのセッションでのこと。結合定数測定の話をした講演者がttHをマルチレプトンチャンネルで3σで見つけたと発言し,ちょっとした物議を醸しました。発表後の質疑応答でも厳しく突っ込まれていましたし,晩飯を一緒に食べた人からも「あれは酷い」という話になりました。

CMSの結果がμ=1.5+/-0.5だったことについて講演者は3σevidenceと言ったのですから,ある意味間違ってないとは言えないのですが,うーん,そう言うか?という感じがします。だったらμの値が1.5だと主張して欲しいですが,そういう主張ではなく標準模型とconsistentだという主張。いや,それも間違ってないので頭ごなしには否定できないのですが,測定する前から答えはμ=1だと思っているのがヒシヒシと伝わってきて,なんのために実験してるのかという印象を強く受けてしまいました。私だけでなくそう感じた人が多かったら話題になったわけで,うーん,何だかなぁという感じです。

もし答えありきで実験やるなら,わざと感度を落とした測定をやって運良く3σになるのを待ってるようなものです。たとえば,統計量を減らして誤差が物凄く大きくなるように,たとえば+/-2くらいになるように統計を減らしたとしましょう。2の誤差があれば,ぶつ切りにしたデータセットそれぞれで中心値が大きくブレるはずで,その中にはμ=6+/-2になるデータセットがあるかもしれません。それも3σevidenceだし,かつ,標準模型ともconsistentです。

これでは答えの捏造になってしまいますから,そんなことはしませんが,ポイントは感度の悪い測定を色々な方法でやって,たまたま自分が欲しいと思った答えになったものを3σevidenceというのは,もはや捏造に近いのではないかということです。頑張っているけど感度が足りないというのであれば,出た結果に対する解釈に対して責任を持った発言をして欲しいです。じゃないと,パーツを切り出すとどの発言も間違ってないのに,全体としては間違った方向(今の場合,測定をする前から答えがμ=1だと強く信じて測定を行い,どういう結果であっても標準模型とconsistentだと主張する方向)に進んでしまっていると思います。

それに比べて,2012年にヒッグスの発見をクレームするかどうかというときには,熱い議論があって楽しかったです。測定前に答えありきではなく,そういう厳しい議論をしないと,データを取っても金の無駄遣いになってしまいます。

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