ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

KEK一般公開

久々の更新になりました。何か理由があって書くのを休んでいたわけではなく,単にサボっていました。

面倒で行きたくないロシア行きでしたが,順調にビザも発給され,仕方なく(?)今日これから行ってきます。羽田発の夜行便で,ドバイ経由のサンクトペテルブルグ行きです。初めてエミレーツに乗るのですが,楽しみ半分不安半分といったところです。というか,飛行機は乗るだけなので不安はあまりありませんが,問題は着いてからです。まだルーブルを買ってないし,空港からホテルに行くのもバスや地下鉄について全然調べてないので,多少高くてもタクシーに乗るつもりで,ぼったくられないかとそこら辺が本当の心配です。

そのロシア出張は非常に短期で,実質滞在日数は自分のプレゼンテーションの日のみで,その前後は移動日です。移動のための出張となり,金曜の夜には日本に帰って来ます。というのも,日曜にKEKの一般公開があり,そこで講演を引き受けているので余裕を持って金曜着の便にしました。あと,サンクトペテルブルグに行こうと思うとアエロフロート以外だと毎日フライトがあるわけではなくて,飛行機の予約の都合というのもありました。

と,そういうわけで,9月6日(日)のKEK一般公開では一般向けのヒッグスの講演をします。興味のある方はぜひお越しください。関東地方での一般公開は,平成科学財団の高校生向けのやつでしか話したことがないので,過去に話した内容でもほとんどの方にとっては初めての話となるはずです。詳しいことは,「KEK 一般講演」くらいでググってもらうのがよいかと思います。

KEKの一般講演は,私自身初めてなのですが,毎年大勢の人が来るらしいです。どんなお祭り騒ぎなのか楽しみです。私の講演だけでなく,施設見学等もお楽しみいただけるのではないかと思います。

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科学館巡り

何度か書いているように私は野球ばかりしている子供でしたし,家に科学技術に触れるようなものがあったわけではないのですが,なぜか科学館に行くのが好きな子供でした。その名残か今は子供を連れて科学館に行くのが好きで,友人Eくんのいる大阪私立科学館にはかなりの回数足を運んでいます。加えて,上野の国立科学館とつくばのエキスポランドに長男を連れて行ったことがあるのですが,昨日はさらに,お台場の日本科学未来館というところに行ってきました。

個人的な感想としては,科学未来館は科学というより技術を前面に押し出すコンセプトなのかなぁという印象を持ちました。しかし,施設の立派さは驚きです。それから,KEKBの展示がしっかりしてあったのは感謝の一言です。ちなみに,そのKEKBのコーナーは,立派なディスプレイを使ったゲームがあるのですが,そのゲームの趣旨が難しくて,普通の人に説明するのはなかなか難しいものでした。まあ,意味をわからず単にゲームだけやるという人も多いですから別にそれはそれで構わないのですが,ゲーム自体も結構難しくて,私たちの前にやっていた人たちも意味がわからず途中で止めていました。

その内容というのは,ローラーを転がす速さでビームのエネルギーをコントロールし,あるresonanceで生成される粒子種に応じて得点を得るというものです。私も挑戦しましたが,ローラーを転がす速さの調整が難しい上に,ビームエネルギーは棒グラフで表示されるだけなので,どこにresonanceがあるのかわかりません。って,まあ,数値を書いて意味をなすのは物理屋相手だけですが。また,どの粒子を生成すると得点が高いのかも不明で,伝えたい趣旨は物理をやっているのでなんとかわかりましたが,ゲームとしての戦略は理解できないままでした。

それから,Belleのシリコン・バーテックス検出器も展示してありました。国立科学館にも最近Belleの何かが展示されているという噂ですが,いずれにせよ,素粒子実験関連のグッズを展示してもらえるのはありがたいことです。

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アンパンマンを見て

今回はATLASとも物理とも全く関係のない話です。

下の子はアンパンマンが好きで録画したものを繰り返し見ています。週末それに付き合わされてふと思ったのですが,ジャムおじさんとバタ子さんはどういう関係なんでしょうか?

全くもってちゃんと見たことがなかったので,いつも二人一緒にいるので夫婦かと勝手に思っていたのですが,よく見ると年齢差がかなりありそうです。親子くらいは十分離れていそうです。でもお互いの呼称からして親子という設定ではなさそうにも思えます。となると,やっぱり夫婦。物凄く年の差のあるカップルなのでしょうか。子供向けの作品だから,内縁の妻みたいな設定はないでしょうし,あとあるとしたら,親戚,たとえば叔父と姪とかなんでしょうか。

まあ,アンパンマンがいるくらいですから,こんなこと考えても仕方ないのですが,でも子供向け作品とはいえ登場人物の設定はきっと何かあるはずですよね。私が知らないだけで,世間の常識では二人の関係は明らかなんでしょうか?

[タイトルが間違っていたので編集しました。]
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陽子陽子衝突の回数

一般の人やマスコミの人と話をすると,陽子陽子衝突の回数について尋ねられることがあります。そこで今回はそれに関するメモです。以前にも同じようなことを書いたかもしれませんが,まあ,それは気にせずいきましょう。

私たちがよく使う,陽子陽子衝突に関する数値は,陽子と陽子がどれくらいの頻度で当たるか(と言っていいのかどうかわかりませんが)の尺度であるルミノシティ(単位はcm^{-2}s^{-1})と,陽子と陽子が衝突して反応を起こす確率みたいなものである断面積(単位はcm^2)です。それらの単位からわかるように,ルミノシティと断面積をかけると毎秒何回の陽子陽子衝突反応が起きているかがわかります。

ルミノシティは陽子と陽子がどれくらいの頻度で当たるかの尺度ですから,自然が決めるというよりも人間の努力次第で変化する値です。ざっくり言うと,陽子と陽子を正面衝突させたいわけですから,それぞれの陽子が空間的に接近していればしてるほどルミノシティは高くなります。そして,ここが大事なのですが,加速器の中では陽子がそれぞれ1個だけ回っているわけではなく,大量の陽子が塊となって,LHCの場合設計値では10^{11}ですが,実際にはもっと多くの陽子を1塊として使っています。そしてその塊が加速器の中に何個もあります。これまたLHCの場合全部で約2800個の塊を加速器の中に入れられるようになっています。ということを考えると,ルミノシティをあげるには,塊となっている陽子群の大きさを小さく絞るか,陽子の数を増やす(一塊あたりの陽子数を増やすか,塊の数を増やす)必要があります。このルミノシティ,LHCの設計値では10^{34}(cm^{-2}s^{-1})です。

一方,断面積は陽子と陽子が出会ったときにどれくらいの確率で反応するか,なので,人間にコントロールすることはできません。また,陽子ビームのエネルギーにも依存します。LHCの場合,ざっくり言うと約100mbという数字をよく使います(bは10^{-24}cm^2)。

以上を纏めると,ルミノシティ×断面積が単位時間あたりの反応数ですから,10^{34}×100m×10^{-24}=10^9となり,毎秒10億回の陽子陽子衝突反応が起きていることになります。

ただし,人に尋ねられて確かにややこしいと気づいたのは,私たちは陽子陽子衝突の頻度を尋ねられると40MHz(毎秒4000万回)と答えることがあります。これは何を言ってるかというと,先に説明した加速器内の陽子の塊同士がすれ違う(当たる)頻度なのです。つまり,10^{11}個の陽子が集まった塊が40MHzの頻度ですれ違うと,その塊には大量の陽子がいるので1回すれ違うことに平均すると25個の陽子同士が反応を起こすということなのです。25回の陽子陽子衝突反応が40MHzで起きていますから,25×4000万回=10億回の陽子陽子衝突反応が毎秒起きているということになります。

なぜ私たちが,陽子陽子衝突の頻度を尋ねられた時,毎秒10億回ではなく,40MHzと咄嗟に答えてしまうかというと,ルミノシティは加速器の調子により大きく変化するものですが,40MHzというのは陽子の塊の間隔でそれは加速器内の高周波で決まってくる数値なので一定。ということで答えやすいというのが一つにはあります。それから,実験的な観点では,陽子の塊同士がすれ違ったときに実際に何個の陽子が衝突反応していても,時間的に同時に発生する事象なので,1事象としか捉えられないからです。つまり,実際の陽子陽子衝突反応が1回でも25回でも100回でも,1事象というのは,陽子の塊同士がすれ違った瞬間生成される粒子たち全てを意味するのです。

さて最後におまけですが,ルミノシティというのは単位時間あたりにどれくらいの数の反応が起きているかの尺度になりますが,反応数の総数(ルミノシティの時間積分)を積分ルミノシティという数値で表します。ルミノシティの単位がcm^{-2}s^{-1}ですから,積分ルミノシティの単位はcm^{-2}になります。ということは,積分ルミノシティと断面積を掛けると,これまでに起きた陽子陽子衝突反応の数になります。たとえば,今年当初のLHCの目標は,今年中に10(fb)^{-1}の陽子陽子衝突反応を生成することでした。繰り返しですが,断面積は100mbですので,10(fb)^{-1}×100mb=10^{15}回の陽子陽子衝突反応数ということになります。

ある粒子がどれくらい生成されやすいかという尺度として私たちは断面積を使いますから,陽子陽子衝突の数よりも(積分)ルミノシティのほうが便利です。積分ルミノシティと目指す物理の断面積を掛ければどれくらいの数の信号が生成されているか概算できますので。それだけが理由かどうかは自信ありませんが,まあ,そんなわけで,私たち物理屋は滅多なことでは陽子陽子衝突の数を使うことはなく,積分ルミノシティを統計量の目安として使います。

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宇宙飛行士ネタ

国際宇宙ステーションに油井さんという方が滞在されているそうですが,世間のニュースに敏感でない私は,このニュースをフォローしていませんでした。ところが,とある筋から,ダークマター探索をやっているMくんがこのニュースの中でテレビに出ていたという話を聞き,それで油井さんという方が今宇宙ステーションに行ってるということを知りました。

Mくんは,宇宙飛行士の試験でかなりいいところまで残ったことがあるという男で,その試験時に油井さんとも一緒だったのだそうです。それが影響してなのかどうか知りませんが,油井さんを乗せたロケット打ち上げに関連して(?)ダークマター探索についてテレビでコメントをしていました。普段よく酒を飲むこともあるMくんが,すました顔でインタビューを受けているのは,普段を知っている人間にとってはその落差がなかなかに趣深かったです。

で,宇宙飛行士つながりで無理やり話題を変えてしまいますが,CERN bulletin の記事に,宇宙飛行士を宇宙線から守るために高温超伝導材を使うみたいな話があり,私はこの記事に興味をそそられました。記事のタイトルが「超伝導シールドで宇宙飛行士を守る」となってるので,一目なんだこりゃと思ったのですが,記事を読むと,どうも強い磁場を発生させて低エネルギーの荷電粒子を弾いてしまおうということのようです。その際に線材として,高温超伝導材であるMgB2というものを開発してるとか。

LHCのビームエネルギーの上限を決めているのは,陽子ビームの軌道を曲げるための双極子電磁石の磁場の強さで,より高いビームエネルギーを求めて磁石の線材開発が行われています。よく使われているのがNbTiで,HL-LHC用にCERNなどで開発してるのがNb3Snなのですが,高温超伝導材というのも開発の視野に入っているそうで,先週CERNに行ったときにも委員会の中のプログラムの一つとしてCERNの磁石開発施設を見学してそういう説明を受けたので,上記のCERN bulletinの記事が妙に目に入ってきたというわけです。今更ながらに,高温超伝導というのは,実用化できれば色々なところでご利益があるんだろうなという実感を持ちました。

しかし,話を宇宙飛行士に戻すと,前にもこのブログで記事として書きましたが,被曝線量みたいなものは法律で決まってないのですかね。普通の放射線作業従事者なんかとは比べものにならないくらい被曝してそうです。

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灼熱バス

一昨日CERNから日本に戻って来たのですが,空港からつくばへの帰り道が試練でした。

今回の便は羽田着でして,普通はモノレールと電車を利用するのですが,数少ないつくばへのバスの待ち時間が1時間未満と比較的短かったことと,暑いので乗り継ぎが面倒だったことと,バスがどんなもんか使ってみようという気持ちが入り混じり,迷った末に結局バスを選びました。

ところがこのバス,猛暑の中,エアコンが効いていません。というか,後からまた言いますが,おそらく運転手がエアコンを入れていませんでした。それはもう大変な暑さで,乗客一同皆が暑がり,私が運転手にアピールしたのですが状況は変わりません。運転手は,冷房効率の向上のためにカーテンを閉めてくれと言うのですが,そもそも冷気はおろか風が出ていません。ですからカーテンを閉めても当然涼しくはならず,それを悟った乗客一同はしばらくするとみんなで窓を全開にしました。とはいえ,バスの窓は大きく開きませんし,首都高はかなり渋滞していて風も入って来ず,つくばまでトータル2時間くらいかかるのですが,最初の1時間常磐線に乗るまでは本当に気分が悪くなるくらいの暑さでした。

先に書きましたが,運転手は冷房能力が低いからだと最初言ってました。でも私は「そんな問題じゃない,風が出てないんだよ。どっかのスイッチがONになってないはずだ」と言いたかったのですが,いつもの私と違って(?)そう言いたいところをぐっと我慢しました。というのは,私はバスの運転手に対する恐怖感を持っているからです。だって,彼らが私たちの命を握ってますから。床屋でヒゲを剃られるときに首にカミソリを当てられているときと同じ感覚でいつもバスに乗っています。実際,この運転手狂ってると思う場面に遭遇したことがあり,それ以来,バスの運転手を刺激してはならないと常々考えるようにしています。というわけで,暑くて気分が悪くても死ぬことはないと思い,最初に暑いからエアコンを入れてくれと言った後は,もう何も言いませんでした。

結局,バスが常磐道を降りて下道に入り,最初の停留所で止まったときからエアコンが入りました。というか,風が出始めました。その風は冷房能力うんぬんは知りませんが十分に冷たい風で,その冷たい風が出てきたのを感じた乗客が一斉に窓を閉めると,ものの1,2分で快適な温度になりました。停留所に止まり,荷物室を開けに一旦車外に出た運転手が運転室に戻ったときに,どこかのスイッチを入れ忘れていたことに気づいたのが真相ではないかと予想しています。

こんな体験をしてしまうと,次回もし時間がちょうどよくてもバスに乗ることを躊躇してしまいます。。猛暑日のつくばでしたが,バスの外に出たら涼しく感じられました。。

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