ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

つくばでのメディア懇談会

先週東京でメディア懇談会というものをやりましたが,昨日はそれをつくばでやりました。前回と違って,KEKの催しとしてローカルに行いました。それでも10人を超える記者さんに集まっていただき,活発な質疑応答をすることができました。前回同様,広報の人たちに全てのお膳立てをしてもらい,私はLHCと物理の説明をするだけでした。参加されたみなさま,広報の方々,ありがとうございます。

前回は大勢の記者さんを前に解説するのがほぼ初めてだったこと(大昔に1回だけありましたが),話す内容の整理が不十分だったこと等があり,自分の中では自分のトークはイマイチだったのですが,今回は全ての話を私一人でやれたので好き勝手に話を作れたことが大きく,いつもの一般向け講演のように伸び伸びと(?)説明をすることができました。報道の立場から必要とされる情報だけでなく,物理の面白さを少しでも伝えようとした解説をやったので,もしかすると退屈に感じた方もいたかもしれませんが,まずは記者さん自身に物理,素粒子物理の面白さをわかってもらうことが重要だと思って,敢えてど真ん中の説明をしました。懇談会の後の個別の会話で,そういう私の考えを共有して下さる記者の方がいたのは非常に嬉しかったです。

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喜寿のお祝い


私が学生時代所属していた研究室を主宰していたNさんの喜寿のお祝いの集まりがあって,昨日と今日は伊勢志摩に行ってました。およそ60名の人が集まって,Nさんのお祝い。また,非常に久しぶりに会う先輩後輩同級生にも会えて,楽しい催しでした。

Nさんといえば有名なのは教科書です。全国の高エネルギー物理の研究室にあるのではないかと思える,この業界内のベストセラーです。朝倉より出版された4冊セットで,私たちが学生のときにはそれをゼミに使いました。と言っても,当時はまだ出版されてなくて,Nさんがおそらく一太郎で書いた原稿をゼミに使っていました。

朝倉に加えて,英語でも3冊セットの教科書を書き上げています。内容的には日本語版に近いですが,新たに出版するということで,中身が新しくなっていたり,加筆されている部分があったり,ということで,分量的には日本語よりも多いくらいのこれまた大作です。

今回強く感じたのは,私たちの世代にとってはNさんは凄く偉い人で雲の上の人という感じだったのですが,研究室を立ち上げた当時学生だった先輩方にとっては,当然のことではあるのでしょうが,Nさんがより身近な存在だということです。研究室を立ち上げたときのNさんは今の私より若かったのですから,ある意味当然と言えば当然ですが,Nさんとの絡み方が新鮮でした。

ごちゃごちゃ書きましたが,喜寿のお祝いをできたことはめでたいです。次は米寿でしょうか。いや,傘寿というのもあるそうですが,それだとまたすぐやらないとならなくなってしまうので,次はやっぱり米寿ですかね。いつまでも元気で,また,アイスを食べる姿を見せて欲しいです(内輪ネタ)。

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13TeVでの衝突

とうとう13TeVでの陽子陽子衝突に成功しました。CERNのプレスリリースはこちら

プレスリリースにも書いてありますが,まだ物理のためでデータ収集というわけではなく,加速器の調整作業の一環という位置づけの陽子陽子衝突です。たとえばシリコンストリップ検出器はセンサーへのバイアス電圧を通常よりもだいぶ下げた状態でデータ収集しました。というのも,まだビームの状態を最適化できていないので,なんらかの拍子に陽子ビームが検出器に直接当たってしまうなんていうこともあり得ます。なので,万一ビームが検出器に当たってもダメージを最小限に抑えるために(具体的にはセンサーを流れる電流が少しでも小さくなるように)バイアス電圧を小さくしていました。その他,検出器サイドでもより詳細なタイミング調整をするなど,まだ物理解析用データというわけではありませんが,とにかく,とうとう13TeVで衝突できました。

ところで,CERNのプレスリリースの一番上に貼り付けてある画像は,LHC Page 1と呼ばれるサイトで,LHCの運転状況をライブで見ることができます。CERNの食堂にあるテレビ画面のスクリーンにいつも映し出されてたりします。ちなみに,今見るとBeam SetupとなっていてLHCの中にはビーム入ってなくて,何か準備しているところでした。

LHC Page1
ついでなので,この画像中のグラフを説明します。横軸が時間,縦軸はエネルギー(黒)と陽子数(赤と青)です。赤と青を見ると,8時前から8時15分くらいにかけてLHCにビームを入射していることがわかります。左側のスケールを読むと,最終的に入射された陽子数は2×10^11(2E11)あるいは1.8E11です。黒を見ると8時20分くらいまで450GeV(右側のスケールを読む)で,そこから加速。8時40分くらいに6500GeVに到達していることがわかります。ただこれだけだと衝突していることはわからなくて,衝突させてるつもりかどうかはグラフ左下のコメントから読み取れて,かつ,本当に衝突しているかどうかを判断するためには検出器側で衝突事象が見えているかどうかが一番重要な判断材料になります。

何度か同じことを書いていますが,物理解析用のデータ収集は6月初旬に予定されています。楽しみですね。よっぽどのことがない限り,そのすぐ直後に物理の結果発表ということはなく,最初の物理成果の発表は12月あたりのCERN理事会になるのではないかと勝手に予想しています。

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メディア懇談会

昨日は東京で,メディア懇談会と称して,記者さんたちを集めてLHCおよびATLASについての話をしました。こういう催しを企画段階からやるのは初めてだったので,調整作業等自分の中ではかなり難航したのですが,広報の方々の絶大なるサポートでなんとか乗り切ることができました。でも,私自身のエラーで,しかるべき連絡先に連絡が遅れたのは大失敗でした。次回こういう機会があれば,もう少し段取りを抑えて進めたいです。

もう一人の代表のAさんに比べると記者さんたちと話をする機会はこれまで少なかったので,スライドを使っての説明をするときは珍しく(?)ガチガチでした。しかし,その後ぶら下がりで記者さんたちと話をするのは,私にとってもよい勉強になり,楽しいものでした。次回は,何か大きな発見をしてこういう催しを開催したいものです。

しかし,記者さんの中にこのブログを読んでいるという方がいらっしゃったのには驚きました。こんなつまらないものを読んでもらって,ありがとうございます。

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900GeVでの衝突

Run2開始に向けて加速器の調整作業が佳境のLHCですが,今日というか昨日,LHCに入射したエネルギーのままでの陽子陽子衝突に成功しました。SPSからLHCへの入射エネルギーが450GeVですので,重心系エネルギーにして900GeVでの衝突ということになります。その記事がCERNのウェブサイトに上がっています。

13TeVでの衝突を目指している現状では,900GeVというのは大した数字には感じないかもしれませんが,一昔前だとTevatronのエネルギーが900+900GeVですから,LHCによる加速無しでも,つまりSPSでもかなりの高エネルギーです。ただ,細かいことはまだ知らないのですが,リング内に入れている陽子数はおそらく少ないものと思います。

まあ,いずれにせよ,大きなトラブルなく約2年半ぶりにビーム衝突できたのはめでたいことです。苦い経験をすぐ忘れてしまう人間としては,13TeVまで簡単に行くだろうと思ってしまいがちですが,LHCの立ち上げ時のことを思い出すと,いくら加速器の整備を続けてきたとは言えやはりわずかに不安はあります。順調に進んで欲しいと祈るような気持ちもあります。

それと今回,今までの準備状況からして当然と言えば当然なのですが,ATLASをはじめ,LHCの4つの実験全てでちゃんとデータ収集できてるのは素晴らしいですね。CERNから帰って来て,ゴールデンウィーク後半の連休を謳歌している身としては,実験現場の苦労に余計に頭が下がります。

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