ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

LHC Run2 開始直前

重心系エネルギーを13TeVに上げるRun2の開始直前です。少し前の予定では,今週,というか2,3日前にLHCにビームを入れ,加速器の調整の後,5月後半に陽子陽子衝突を開始するはずでした。ですが,陽子の軌道を曲げるための電磁石の準備が学会前にもまだ終わっていなかったのでホントに間に合うのだろうか,と思っていたところ,昨日,ビームを入れるのが少し遅くなるという正式なアナウンスがありました。非常にマイナーと思われる,電源系のトラブルがあったそうで,アナウンスの表現を借りると,a few days から several weeks の遅れになります。いずれにせよ,今年のデータ収集計画を狂わせるほどのトラブルではなく,LHCのような巨大な装置の再開としては心配するほどのことではないと思っています。

ちなみに,上で電磁石の準備状況と書いたのは,電磁石にどれだけの電流を流せるか,流せているか,の数値が6.5TeV相当(余裕をもって実際には6.55TeV相当)を超えているかどうかでの判断です。LHCは大きくわけて8個のセクターに分かれているのですが,学会前は,6個が準備OK。残り2個のうち,1個はもうほとんどOK。そして残り1個も90%到達しているというような状況でした。で,今その数値を見ると,7個目も準備が終わり,8個目が6.48TeV相当の電流値に届いているようです。繰り返しですが,最初の段落で書いたトラブルは非常にマイナーみたいなので,電磁石の準備がほぼ整っていることを考えると,6.5TeVのビーム投入はもう本当に目の前です。

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学会ほぼ終了

土曜から今日までの4日間,物理学会でした。ATLAS大阪グループのメンバーの発表は昨日までに全員終わり,ホッと一安心といったところです。全員問題なく発表をこなし,結果を出せるかどうかの分水嶺にいたIくんもなんと発表をすることができました。本人も頑張ったようですが,解析をフォローしているYくんの貢献も大きかったようです。

今回は,私にとって自分に関係のある研究発表のあるセッションに出ざるをえないようなプログラム(自分の学生の発表と,気になるセッションが重なってるなど)になっていたために,特に印象に残った発表内容はありませんでした。基本的に学会はパラレルセッションの積み重ねなのでこういうことも当然起こりうりますが,全般的に話題になるような結果がなかったような気もします。

LHCのRun2開始を直前に控えている私たちとしては,次回の学会で正式な結果を発表するのは難しいかもしれませんが,1年後には何かエキサイティングな結果を出したいものです。

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4年生ポジトロニウム続報

卒業研究発表会が終わった後も,4年生はなんとかポジトロニウムが見えないかと色々試行錯誤を繰り返していました(います)。前にも書いたかもしれませんが,問題となっているのは,ポジトロニウムを生成させるターゲットであるシリカエアロジェルの有る無しにかかわらず,寿命成分が見えてしまうことです。

見ようとしている信号は,オルソ・ポジトロニウムが3γに崩壊する事象です。背景事象の主なものは,陽電子の対消滅による2γ,あるいはパラ・ポジトロニウムの崩壊による2γです。陽電子の対消滅の場合,トリガーをひっかけた陽電子が起源になっている場合と偶発的な場合(アクシデンタル)の2種類があります。どの背景事象についても,起源は2γなので,光電ピークを作ってるやつについては,511keVのところに綺麗にピークが見えます。一方見たい信号は3γなので,511keVよりも低いエネルギーをまずは要求します。4年生は確か,400keV以下だったような。

エネルギーの要求をした後に残ってるのはコンプトン散乱した2γなのですが,こいつらの崩壊時間分布は,トリガーした陽電子起源なら寿命ゼロ,アクシデンタルなら一声フラットになるはずです。ですから,理想的には崩壊時間ゼロのところのピークに加えて,フラットなアクシデンタルの上に,exponentialで落ちていくオルソ・ポジトロニウムの寿命成分が見えるはずです。実際には,時間分解能があるので,崩壊時間ゼロのピークがなまって寿命成分にしみ込みが出てくるので,時間分解能よりも十分崩壊時間の長い部分だけを見て,そこのexponentialの傾きから寿命を求めます。

以上がざっくりとした寿命測定の方法ですが,寿命を測る前に,まずはポジトロニウムが本当に生成されているのかどうかを調べるために,冒頭のように,エアロジェルがある場合と無い場合とで崩壊時間分布を比べてみたのですが,その違いが全く見られない,というのが今の問題です。で,謎なのは,上記のように背景事象だけだったら,フラットな成分か,ゼロ付近に分解能でなまったピークだけがあるはずなのですが,オルソ・ポジトロニウムの寿命と同じくらいのオーダーの寿命成分が見えてしまっていることです。

この結果をそのまま解釈すると,理由はわかりませんが,エアロジェルなしでもポジトロニウムができてしまっている。しかも,エアロジェルによる生成よりも数が圧倒的に多いことになってしまいます。あるいは,寿命成分をもつなんらかの背景事象が存在することになります。

とりあえず疑っているのは後者で,なんで寿命成分が出てしまうのかということを調べようとしています。過去に多くの人が同様の実験をやっていますので,なんらかの粒子起源という可能性は考えていなくて,検出器起源の偽の信号ではないかと考えているのですが,寿命成分に見える,つまり陽電子によるトリガーと相関を持つ検出器起源の偽信号の原因をあまり思いつきません。一つ思いつくのはPMTがアフターパルスを出しまくっていることなので,この辺りを調べるように4年生にはアドバイスした,というのが最近の状況です。

アフターパルスについては,まずはHVを下げてみるとかありますが,真面目に調べようと思うとそれだけでもかなり面白いテーマになります。来年度も同じテーマでやるなら,この辺りをまずは調べてみるのも,4年生の予備研究としては面白いかもしれません。

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恒例の学会発表練習

昨日と今日は,今週末に始まる学会に備えて,恒例の研究室の学会発表練習でした。今回の発表者数は全部で6人。ATLASが4人,KOTOが2人という内訳です。

6人の発表者のうち,3人がM1で初めての発表。内容はさておき,どういう発表の仕方をするか興味がありましたが,全員がなんとなく想像していた通りの発表でした。3人のうちの2人はATLASなので普段から接しているので,彼らの発表がどんな感じになるかは内容だけでなく,その纏め方というか見せ方も想像がつくのですが,普段研究を見ていないMくんについても,だいたい想像したとおりの発表でした。発表のノウハウというか技巧みたいなものがまだないので,普段の対人コミュニケーションにおける個性がそのまま発表に表れているのでしょうね。面白いものです。

中身については,Iくん以外は材料があるので大丈夫そうですが,Iくんのはなかなか心配です。見せ方の前に,まずは結果を出さなければならない,そういう段階で,本人も必死に結果を出すべく頑張っています。発表までに何とか見せられる結果を出せるといいのですが。

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異動など

毎月一回,物理学専攻の教室会議というものがあります。詳しい説明は省略して,ざっくり言うと,基幹講座と呼ばれる研究室と物理学専攻の運営に深く関わっている協力講座に所属する教授と准教授が主に参加している会議です。ヘビーな議論が長時間に渡り毎回なされているのですが,昨日は,私にとって最後の教室会議となりました。教室会議の議論の内容は重いものが多いし,好きな研究とは全然関係ないので,どの出席者にとってもかなりツライものではないかと推測しますし,私にとっても当然,楽しくない会議ではありましたが,これで出なくていいというのも微妙に寂しい気がしないでもありません。

というのも,このブログを見ている方だとご存知の方もいるかと思いますが,4月からKEKに異動することにしました。追々,どういう経緯だったのか,どういう考えで異動をすることに決めたのかを書くことがあるかもしれませんが,まあ,かなり前に異動することが決まっていました。その異動の時期についても色々と考えなければならないことがあり,また,KEKのほうの事情により(というか,機構長選びの影響を受けた,素核研所長選びの影響を強く受けたのですが),二転三転しました。

結局,来年度1年間は阪大の業務も少しこなす,クロスアポイントメントとなることも決まり,4月から異動ということになりました。クロスアポイントメントについては,阪大とKEKとの間で協定を結ばなければならないとか,お金のこととか,難問が多くあったのですが,Y教授や,理学研究科執行部の方々,アイデアをいつもたくさん提供してくれるRCNPのNさん,事務の方々,そしてKEKの人たちの協力のおかげで,なんとか協定を結べそうという状況です。

4月からは,今までとは違った環境,立場でATLASと関わっていくことになりました。今いる学生の指導はもちろん,来年度もATLASの学生を新たに取る予定ですので,そこら辺は今までと変わりませんが,ATLASグループ,あるいは,ATLAS日本グループに対する立場は今までと大きく変わりそうです。ATLASに参加して以来,今までも予算獲得のことばかり考えていましたが,これからはもっと(?)予算のことばかり考えていかなければならないのかもしれません。Budget Crisisと呼んでもいいくらいKEKの予算はここ1,2年厳しいですし,これから改善されるかどうかも不透明です。その中でHL-LHCを推進していく重責を担うことになり,頭がクラクラしそうですが,逆に,覚悟を決めた上での異動ということもあり,大きなことをやってやろうという野心も満ち満ちています。

相撲の世界で横綱に推挙され,それを受ける時に席取りが難しい口上で決心を言いますが,私も今そういう口上を言いたい心境です。って,カッコいいことを思いつかないので言えませんが。ただ一つ言えるのは,このブログのタイトルを変えなければならないのかな,ってことです。それから,立場上,研究については今までのように思ったことをそのまま書くということを控えなければならないのかもしれません。その辺は考えどころですが,煙草の煙がうざかったとか,その手のくだらないネタはこれからも続けていくつもりです。

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KEK出張連発

先週の木曜から土曜までは,ATLAS関連の打ち合わせその他でKEK出張。そして,昨日は素核研の将来計画委員会のためにまたもKEK。そうです。土曜に一回大阪に帰って来て,昨日は朝イチと最終の飛行機を使い日帰り出張でした。毎回遅いのですが,今回も委員会の日程が固定されるのが遅かったため,日程を上手く調整できなくてこんな無駄の多い出張になってしまいました。。

この委員会にかかわらず,高エネルギー関連の大抵の委員会は東大かKEKです。東京周辺の人は日程調整がそこまで前もって行われなくても平気なのでしょうが,大阪のように東京あるいはKEKから遠く離れた研究機関に属する人間としては,日程はなるべく早く決めてもらいたいところです。委員長にはしょっちゅうそうお願いしているのですが,なかなかうまくいきません。

それはさておき,ATLAS関連の打ち合わせでは,実際のところATLASだけではなくHL-LHCに向けた加速器,もっと言うと電磁石開発関連の打ち合わせもありました。4月から私の環境が大きく変わるのですが,その中でも加速器のアップグレードについてもこれからは考えていかなければならない,というのは変化の中でも特に大きな変化です。今回の打ち合わせでもそれをひしひしと感じると同時に,大きな不安がどーんとわき上がっています。これから,色々と勉強をしなければなりません。

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ちょっと一休み

ビームテストとATLAS西日本グループの会合の後に続いた大学のビッグイベントを乗り切り,日曜は久々,3週間振りに休むことができました。加えて,月曜から今日までの3日間は比較的スケジュールが詰まっていなくて,ちょっとだけ体に優しい生活を送っています。その間,溜まっていた雑用と格闘。ミーティングやゼミを除くと,残りの時間ほぼ全てが雑用処理になっています。

ただし,雑用といっても物理学専攻・物理学科のウェブサイトに関連した仕事はそれなりに楽しくこなしています。今までは反応薄でしたが,新しいサイトになってからは更新依頼がしょっちゅう来ます。まだ足りない機能があるので,それをどうやって構築するか,自分なりに考えたり業者と相談したりもしています。予算的に全部を年度内にやってしまうことはできないので,どうやるかを年度内に決めて,4月早々にそれを業者に発注できればと思っています。

加えて,ウェブサイトとは直接は関係ないのですが,Y専攻長の要望により物理学専攻の教職員がアクセスできるウィキを構築しました。と言っても,アクセス管理などの厄介な作業は全てサーバー管理者のHさんにお任せしたので,私がやったことは運用版のウィキを立ち上げる前に試用版を研究室内計算機に立ち上げて,どういうことができるのか試し,どういう構造にするかをY専攻長と議論したこと,くらいなのですが,こちらについてもとりあえず運用を開始できたので一安心しているところです。

しかし,すでにハマった人がいるようですが(Y教授です),ウィキにしてもウェブサイトにしても目に見えて何かが出来上がっていくのは楽しいものですね。こんなこともできると1人で喜んでみたり,できあがった画面を見て悦に入ったり,物(ではないかもしれませんが)作りの楽しさを味わっています。ですので,雑用ではあるのでが,ここら辺の仕事はそれなりに楽しみながらやっています。

ってなことを言ってられるのも今日までで,明日からまた忙しくなります。今日も体力温存を目指します。

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