ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ポジトロニウム状況

今年こそはと意気込んで始めた4年生の卒業研究のテーマがポジトロニウムの寿命測定です。4年生3人がそれぞれ熱心に取り組んでいて,ここまでの予備実験的なことはかなり順調に進んでいました。私を含めて誰も経験のないまま始めて,手探り状態で色々と問題を解決してきた4年生の逞しさに感心しています。ポジトロニウムの寿命測定の準備万端というところまで漕ぎ着けています。

ですが,ここに来てわかったのは,寿命測定のためのTDCスタート用のトリガーカウンターがまだ厚過ぎるということ。例年の4年生実験同様,研究室にころがっている物を利用して実験をやるというコンセプトなので,薄いカウンターということでファイバー数本でファイバートラッカーをトリガー用に作りました。Na-22からの陽電子がトリガー用のファイバートラッカーを通過し,標的であるエアロジェルでポジトロニウム生成。ファイバートラッカー出力でTDCをスタートして,ポジトロニウム崩壊によるγ線をNaIで検出,それをTDCのストップにしようとしていました。

ところがどうもファイバートラッカーでも物質量が多過ぎるみたいで,ほとんどの陽電子がそこで対消滅してしまうみたいなんですね。どれくらいの確率で対消滅するのか計算してないのでわかりませんが,いずれにせよ,通過してないか,あるいはthresholdを十分低く押さえ込めていないかで,現象としてはファイバーでの対消滅ばかりを観測してしまいます。そこで4年生が出してきたアイデアは,Na-22が陽電子を出す際についでに出すγ線をトリガーに使うというアイデアです。自分たちで思いついたのか,どこかで調べてきたのか,あるいは誰かに聞いてきたのか,その辺はわからないのですが,とにかくそういうアイデアを出してきたというところが素晴らしいです。

新しい問題が次々と出てきますが,それを順次解決していく4年生達を見てると,なんとか寿命測定まで辿り着きそうな予感がします。

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粒子の性質の違いその2

前々回の話の続きで,粒子の性質-特に物質との相互作用の仕方-の違いについての説明です。

都合上,以下のように粒子を分類しました。
- 電子
- ミューオン
- 陽子の仲間たち(荷電ハドロン)
- 光子(γ線,X線)
- 中性子

前々回のエントリーでは,電子,ミューオン,荷電ハドロンが物質を通過すると物質をイオン化させて,持っていた運動エネルギーを失っていくということをお話しました。だから,基本的には物が厚いほうが荷電粒子を通しにくくなるというのが一つのポイントでした。あ,正確に言うと物質の密度も考慮に入れて,同じ物質なら厚い方が,同じ厚さなら密度の高い物質の方が荷電粒子を止めやすいということになります(正確には密度ではなく別の指標=放射長というものを使わないとならないのですが,ざっくりと密度と思ってもらっても大きく違ってることはありません)。ところが電子の場合,あるエネルギー以上になると制動輻射によってγ線を放出するほうが主要なエネルギー損失メカニズムとなり,電子とγ線の物質中での反応は似たものになるということも説明しました。今日はそのあたりの事情から書き始めます。

電子はγ線を放出すると,その放出したγ線のエネルギー分だけ電子自身の運動エネルギーは小さくなります。そしてまたその電子は制動輻射によりエネルギーを失い...ということを繰り返してエネルギーが徐々に小さくなっていきます。制動輻射の確率は運動エネルギーの減少とともに減少しますので,徐々に制動輻射よりもイオン化損失によるエネルギー損失の方が大きくなっていき,最後は制動輻射を起こさないような低エネルギーになり,その後はイオン化損失だけとなります。

一方,上記の過程では何度もγ線が放出されます。γ線,というか光ですね,と物質との相互作用には大きく分けて以下の3パターンがあります。
1) 光電効果(光が原子に吸収されて,光電子が放出される。終状態は光電子のみ)
2) コンプトン散乱(光が原子中の電子を叩き出す。終状態は入射して散乱された光子と叩き出された電子)
3) 電子陽電子対生成(その名の通り電子・陽電子対が生成される。終状態は電子と陽電子)
エネルギーが低ければ低いほど1>2>3の寄与が重要になり,エネルギーが高くなると3>2>1となります。可視光だと1)ばかりですし,高エネルギー物理で扱う領域だとほとんど3)になります。いずれにせよ,荷電粒子と違って物質を通過すると通過した分だけイオン化損失するということがなく,ある距離進むとある確率で上記の反応が起こります。

ということは,です。電子が物質に入射して制動輻射によりγ線を作ると言いましたが,そのγ線もまた電子陽電子対を生成し,そしてその電子あるいは陽電子がまたγ線を放出し...という過程がエネルギーが小さくまで繰り返されることになります。つまり,電子でもγ線でも物質に入るとγ線→電子陽電子対→γ線ということを雪崩式に繰り返していきます。これを電磁シャワーと呼び,そのシャワーを見ただけだとγ線と電子の区別をするのは容易ではありません。つまり,電子あるいはγ線のエネルギーを測定する検出器的にはどちらも同じようなもんだというわけです。

ということで,これで中性子以外の説明が終わったとして,最後は中性子の反応です。

中性子は光子同様電荷を持っていませんので,物質を通過してもイオン化損失がありません。なので,荷電粒子に比べると遥かに物質を通過しやすくなります。電磁相互作用をしない中性子がどうやって物質と相互作用を起こすかというと,強い相互作用になります。物質中の原子を見ると,中心にむっちゃ小さい原子核があって,その中心から遥か離れたところに原子核を囲むように電子の雲があります。だからこそ荷電粒子が物質に入るとその電子雲と相互作用を起こすのですが,原子核は電子雲の広がりに比べて遥かに小さいので,原子核と衝突・反応するのはなかなか大変です。なので,中性子は強い相互作用をしようと思ってもなかなか相互作用しないで物質中を進んでしまいます。

しかし,物質には原子がむっちゃたくさんありますから,ある程度物質中を進めばそれなりの確率で原子核との相互作用が起こります。その相互作用によりπをはじめとするハドロンが生成されます。で,今度はそのハドロンがある程度進むとまた強い相互作用を起こして別のハドロンを作る。そしてまた生成されたハドロンが別のハドロンを作るということが繰り返されます。この過程は電磁シャワーと同様に雪崩式に続きますのでやはりシャワーと呼ばれ,電磁シャワーと区別してハドロンシャワーというように呼ばれています。中性子だと強い相互作用しかしないので,このハドロンシャワーが物質中での相互作用と思ってよいのですが,荷電ハドロンだと一番先に説明したイオン化損失もあるので,その点はご注意ください。

電磁シャワーは電子の制動輻射,あるいはγ線の電子陽電子対生成が元になっていますが,ハドロンシャワーはハドロンと原子核との相互作用が元になっています。先に書いたように物質中の電子雲が大きく広がっているのに対して,原子核は空間の極めて狭い部分を占有してるに過ぎませんので,強い相互作用を起こす確率は電磁相互作用を起こす確率に比べて非常に小さく,同じエネルギーの粒子が入射したとすると,電磁シャワーに比べてハドロンシャワーのほうがオーダーとして10倍くらい大きくなっていまいます。入射粒子のエネルギーが電磁相互作用により1/eに減衰する距離をradiation length(放射長;X0)と呼び,強い相互作用により1/eに減衰する距離をnuclear interaction length (λ)と呼び,上記のように同じ物質だとX0はλのオーダー10倍くらいになります。たとえば鉃だとX0=1.8cm,λ=17cmです。ハドロンシャワーは電磁シャワーに比べてエネルギーを落としづらい。それゆえ,イオン化だけでは運動エネルギーを失うのが難しいような粒子を扱っている場合(=高エネルギー実験),ハドロンは電子や光子よりも止めにくいということになります。

逆に粒子を同定しようというときは,この違いが役立ちます。つまり,物を並べておいて,その物質に入射直後にシャワーを作るのが電子あるいは光子,しばらく進んでからシャワーができたらそれはハドロンシャワー,つまり,ハドロンが入射した確率が高いということになります。加えて,電磁シャワーでは生成される粒子もまた電子や光子なので,電磁シャワーの広がりそのものがハドロンシャワーに比べると小さくなります。ハドロンシャワーに比べて空間的に高い密度にエネルギーを落としているかどうか,というのが電磁シャワーとハドロンシャワーの識別に使えることになります。

とまあ,ごちゃごちゃ書きましたが,多くの場合放射線というとβ線あるいはγ線なので,そこら辺の性質を掴んでおけば私たちがやってる測定については理解できるのではないかと思います。

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門真運転免許試験場

門真運転免許試験場へ昨日行ってきました。日曜に込むであろうことは予想できますが,だからといって平日に行くこともできないので仕方がありません。混雑覚悟で行ってきました。ただ,免許証の更新ではなくて記載事項の変更だったので,少しはマシかもと一縷の望みを持っていたのですが,それは甘かったです。

更新の手続きを14時半までに済ませると即日交付なので,14時くらいからは混雑がマシになると思い,試験場へは14時前に到着しました。予想通り混雑は減っているようでしたが(試験場から出てくる人が物凄い勢いでいるのに対して,入る人は凄く少なかった),結局45分ほど待たされました。しかも納得がいかないのは,申請の書類が用意されていないことです。ある窓口に一回並ぶと申請書を渡されます。で,その申請書を書いた後にまた同じ窓口に並ばされます。市役所とか普通の施設だと必要な書類がその辺に用意されているので,窓口で並ぶのは一回で済みます。相変わらずのサービスの悪さに苛つきます。

まあでも運良く私が並んだときはそれほどの人じゃなかったのでよかったのですが,申請書を提出してから,上記のように結局45分ほど待ちました。トータルで約1時間。駐車場を見つけるのにも苦労してウロウロしたこともあって,移動時間を除くと全部で1時間半くらいの時間を費やしました。

おっと,ここまでは毎回感じる免許証関連の手続きのイライラでしたが,今日は一つ有用情報があります。

もし更新の手続き以外,たとえば今回のような記載事項変更,あるいは国際免許証の申請等だったら,手続き終了間際の15時半以降に行くことをお勧めします。14時時点だと近所の駐車場はどこも満車,試験場の駐車場に入ろうものなら路上にできた長蛇の列に加わらなければなりません。ところが15時半を過ぎると,もはや試験場の駐車場もガラガラです。って,そこまでガラガラではないかもしれませんが,占有率60%程度。駐車場に入れるための待ち時間もゼロです。更新の場合,14時半までという縛りがありますから役立ちませんが,手続きの受付時間が14時半以降まで大丈夫な場合は,受付終了間際に行くのが賢そうです。

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粒子の性質の違い

前々回のエントリーで,性能試験-たとえば検出効率-を測定したい検出器があったら,その検出器を別の検出器2つで挟み,その2つの検出器が粒子を検出すれば,試験したい検出器を粒子が通過したことがわかると書きましたが,そもそも粒子が検出器すなわち物質を通過するのかしないのかは,お前にとっては常識でも普通の人には常識ではないと言われました。ごもっともです。そこで今日は,粒子が物質に入射するとどういうことが起こるのか,物質を通過するのかしないのかということについて軽く説明しようと思います。

忘れる前に書いておきますが,粒子と物質との相互作用を利用してどうやって粒子を識別するのか,みたいな話をだいぶ前に書いたことがあり,それをここの一覧の下の方にリストアップしているので,興味のある方はそちらも合わせてご覧ください。

さて,粒子といっても色々な粒子が存在しますが,説明の都合上,以下のような分類をします。
- 電子
- ミューオン
- 陽子の仲間たち(荷電ハドロン)
- 光子(γ線,X線)
- 中性子

この中で,電荷を持つのが電子,ミューオンそして陽子の仲間たちです。これらを総称して荷電粒子と呼びますが,まずはこれらに共通の性質について。

荷電粒子が物質に入ると,物質を構成する原子と電磁相互作用をします。その結果,入射した荷電粒子の運動エネルギーが原子を電離することに使われ,徐々に粒子は運動エネルギーを失っていきます。ですので,物質に入射している時にもっていた運動エネルギーが全て電離に使われたところで粒子は止まってしまいます。このように物質を電離させることでエネルギーを失うことをイオン化損失と呼びます。もし粒子のエネルギー損失がこのイオン化損失だけだとしたら,粒子が通過できる物質の厚さは,入射エネルギーによって決まってきます。実際に,ミューオンは通常のエネルギー領域=数100GeV程度以下では,イオン化損失がエネルギー損失の大部分なので,通過できる物質の厚さはミューオンのエネルギーに比例します。

また,荷電ハドロンはクォークからできていますので原子中の原子核と強い相互作用をすることもあるのですが,原子に比べて原子核は無茶苦茶小さいので,今はとりあえず強い相互作用を忘れてもらい,ミューオンと同様の振る舞いをすると考えてもらっても構いません。ただし,高エネルギー物理実験で扱うエネルギー領域では(それよりもっと下から)強い相互作用の寄与もそれなりにあるのですが,それについてはまた後ほど。

荷電粒子の中で,電子の振る舞いだけは更なる注意が必要です。とにかく他の粒子よりも軽いことに特徴があります。もう一つマイナーな点では,相互作用する対象である原子中の電子と同種粒子であることも真面目な計算をするときは注意が必要です。そんな真面目な計算をすることは滅多にないので,私は普段忘れてしまっていますが。。

電子は軽いがゆえに,物質に入射すると制動輻射といってγ線を放出します。制動輻射を起こす確率は電子の速度に依存して,速ければ速いほど制動輻射により多くのエネルギーを失います。LHCで扱う数GeVとか数10GeVのエネルギーだとエネルギー損失のほとんどは制動輻射になり,イオン化損失はもはや無視できるようになります。というわけで,通常私たちというか私個人は電子というと,すぐに制動輻射でγ線を出すものなので,γ線と同じようなものと考えています。

一方で,放射性物質の崩壊によって出てくるような電子,世間でよくβ線と言われてるような電子のエネルギーはせいぜい1MeV程度で,その領域だと制動輻射よりもイオン化損失が主なエネルギー損失の原因となります。ざっくり言っちゃうと先に書いたミューオンのような振る舞いになります。ちなみに1cmの水があれば2MeV程度以下の荷電粒子はイオンか損失によって全運動エネルギーを失ってしまいます。なので,むっちゃざっくりと世間で言われてる「β線は透過力が弱い」というのは,ここら辺の事情によります。電子の場合,エネルギーによって振る舞いが大きく違うというわけです。

ところで,先の例だと,試験したい検出器DUTの前後に検出器AとBを置き,AとBが粒子を検出したらそのときはDUTを粒子が通過してると考えてよいと書きました。その仮定のもとでたとえばDUTの検出効率を算出したりします。この際に使っている粒子がミューオン-特にそれなりの運動量で飛んでくる宇宙線ミューオン-だと非常に話は簡単なのですが,たとえば低エネルギーの放射線源から放出されるβ線なんかだと話がややこしくなります。

というのは,1MeVだったとしてもそこそこの確率で制動輻射を起こしますので,エネルギー損失がイオン化損失だけでなく,生成されたγ線による持ち逃げかもしれません。また,説明していませんでしたが,荷電粒子が物質に入ると物質中の原子との散乱がありますので,物質中を進むにつれ,入射したのと違う方向に曲がっていく場合もあります。この散乱角度は入射粒子の運動量と速度の逆数に比例するので,遅い粒子は大きな角度で散乱されます。ということは,粒子が検出器A・DUT・Bを真っすぐに通過しないで,Aに斜めに入射してDUTには当たらず,しかしDUT周りの物質で散乱されてBには入射なんていうこともそれなりの確率で発生します。こうなるとAとBが粒子が検出したときを母数としてDUTの検出効率を算出するのは間違いになってしまいます。

逆に,エネルギーの高い電子の場合も,制動輻射の効果が大きくて,後述しますが高エネルギー電子が物質に入ると電磁シャワーというものを作ってしまい,これまた話がややこしくなります。ということで,検出効率の測定に使う粒子としてはミューオンが理想的,それが使えないなら,荷電ハドロンを使いたいということになります。ただし,加速器で使える粒子が陽子と電子のため,ビームテストなどでは陽子,それから陽子を標的に当てることで生成する荷電π,そして電子がよく使われています。

いずれにせよ,放射線源から得られる低いエネルギーのβ線は,検出効率の測定用プローブとしては適していません。実際,今私たちのグループでは,シリコンセンサー中に落とす粒子のエネルギーを測定しようとしているのですが,線源を使った試験では思うような結果が得られていません。Hくんがイスだけでなく色々と調べているのですが,未だに想定しているエネルギー損失量を量れていないのがなぜなのかわかっていません。

...話の続きがあるのですが,もうだいぶ長くなってしまったので今日はここら辺で辞めておきます。

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知らないときは罰せられない?

どこぞの条例で禁煙になってる場所で煙草を吸ったために罰金を払わされたが,そんな条例わしゃ知らんかった,罰金払わないとならないことも知らなかった。だから罰金を返せという訴訟をおこした人が裁判で勝ったという新聞記事を読みました。

罰金が2000円だったこと,それに加えて裁判にかかる費用と時間を考えると,訴訟をおこした人はよっぽど腹が立ったんでしょうね。あるいはとんでもなく時間と金を持て余してる人なのか。いずれにせよ,凄く頑張ったなぁという変な感想を持ちました。

それはそれとして,何度も話題にしたことがありますが,法律やら条例ってなかなかに難しいですよね。条文そのものが訳わからんというのもありますが,今言いたいのは法律や条例の解釈ではなく適用についてです。たとえば,自転車に乗るには免許は要りませんが,道路交通法が適用されて,違反すると罰則があります。今回の判決では,禁煙を知らせる掲示が十分ではなかったから禁煙だということを知らなくても仕方がない,という理由で裁判をおこした人が勝ちました。でも,自転車に乗ってる人は「知らんかった」という言い訳はできません。って,言い訳するでしょうが,だからといって罰金を払わなくていいなんてことにはなりませんよね。きっと?

もうちょっと言うと,駐車禁止かどうかわからないような場所ってそこら中に多々あります。禁止だとわからないので駐車したけど,そこが実は駐車禁止の場所だったので切符を切られるということもありえます。知らんかったからという理由で罰則を逃れられる場合とそうでない場合があるのって,どこでその分水嶺が引かれているのでしょうか。不思議です。

不思議と言えば,ある法律を破ると定義により違法ではありますが,罰則のない法律というのもありますよね。これまた不思議な話です。それだったらもはや社会の一般常識の範疇で,法律としなくてもいいのではないかと思ってしまったりするのですが,そういう法律って意味あるんですかね。まあ,実際問題としては警察に捕まると物凄い時間を取らされますから,それが十分罰になってるということはあるかもしれませんけど。

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検出器の試験に使う粒子

素粒子物理実験では,検出器を自分たちで作ることが多々あります。大規模な実験になればなるほど,最先端の技術を投入して,実験目的に合わせた検出器を自分たちで作ることになります。私たちもシリコン検出器を開発しているのは,欲しい性能を持った検出器を売ってないからです。検出器開発そのものが面白くて,素粒子物理とういよりも検出器屋という人も中にはいますが,まあ,基本的には要求性能を満たす検出器は自分たちで作るしかないというのが現状です。

どんな検出器開発でも同じだと思いますが,最終的には作ったもの,プロトタイプを試験する必要があります。想定どおりの検出効率が出ているのか,位置分解能はどれだけなのか等々を私たちの場合は,粒子を使って測定します。たとえば,検出効率を測定したいなら,測定すべき対象(Device Under Test: DUT)の前後に別の検出器を設置し,入射粒子をDUTの前後の検出器が検出したときのDUTの反応を調べることになります。DUTの前後の検出器が粒子を検出したということは,入射粒子がDUTを高い確率(DUT前後の検出器にノイズが多いときは,ノイズで偶然前後の検出器が鳴る場合がありますので,偶然ノイズによる偽事象の確率も実際には考えないとなりません)で通り抜けたことを意味しますから,そのときにDUTが信号を出力しているかどうかを見れば検出効率を測定できるわけです。

さて,ではどういう粒子を試験に使うかというと,一番身近で手っ取り早いのが宇宙線中のミューオンです。宇宙線ミューオンは,4年生の卒業研究でも大活躍しますが,素粒子原子核関係の検出器を触ってる人間にとっても非常に重宝する粒子源です。他によく使う粒子源としては放射線源がありますが,素粒子物理実験用の検出器試験では放射線源では上手く機能しない場合が結構あるので,本当に宇宙線にはお世話になっています。

ただし問題はレートです。この業界でよく使われている言葉に「宇宙線(ミューオン)は掌に1秒間に1発降ってくる」というものがあります。約100平方センチ当たりに1ヘルツの頻度だと思ってください。ですので,試験すべき検出器が大きい場合は宇宙線ミューオンは非常に有効なのですが,検出器が小さいときはなかなか苦労します。私たちが開発しているシリコンピクセルセンサーは,一つのピクセルの大きさが数10μmから数100μmオーダーですので,1つ1つのピクセルに対する試験というのはほぼ不可能です。ピクセル全体としての性能評価は頑張ればできますが,それでも,DUTの上下にDUTに宇宙線が入射したことを知るための検出器を置いた場合,飛んでくる宇宙線の方向を絞ってしまうことになるため,先の1Hz/平方センチの頻度よりも更に落ちてしまい,1センチ角程度の大きさの検出器の性能評価を宇宙線でするというのはかなり厳しくなります。

じゃあどうするかというと,加速器を使った粒子ビームを使います。所謂ビームテストというやつです。特定の領域に高い頻度で粒子が飛んで来ますので,ピクセル検出器のような小さな検出器でもテスト可能になります。でも,そういう加速器がどこにでもあるわけではなく,まして,私たちが使いたいような高いエネルギーを持った粒子を生成できる加速器というのは世界でも限られているため,ビームテストですら国内ではやれなくて,外国に行ったりします。CERNやDESY,
SLACなど色々なところに行ってやるしかなく,ビームテスト用の良い施設が欲しいよね,というのが検出器開発,特にシリコン検出器開発をしている人の口癖のようになっています。

私たちシリコングループでは,100GeVを超えるハドロンを使えるのでCERNでビームテストをやれるのが理想なのですが,LHCだけでなくその前段加速器たちも今はシャットダウン中のためCERNでは今ビームテストをやれなくて,仕方なく低エネルギーではありますがDESYの電子ビーム(数GeV)を使った試験をときたま行ってきました。が,そのDESYの電子ビームもしばらくお休みということで,CERNのビームが出るまでは数GeV以上のビーム源というものが本当に少なく,これまでビームテストで使ったことのなかったFermilabのビームラインで試験をやれないかその可能性を探ることになりました。

Fermilabでビームテストをやれればもちろんそれはそれでよいのですが,ビームテストのためにわざわざ国外まで行かないとならないとうのはなかなかに辛い状況です。せめて1GeVくらいでもいいので自分たちが自由に使える加速器が身近にあるとよいのですが,まあ,無理な相談ですかね。その点,原子核の人,特に低エネルギーの原子核の人は,そこら中に実験施設があって,むっちゃ羨ましいです。

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Fine Tuning 問題(微調整問題)とSUSY現状

ほぼ現実逃避で,いきなりSUSY探索の現状について書いてみます。

ヒッグスが存在すると,ヒッグス質量を100GeV程度にするには,裸の質量項と輻射補正による項が物凄い精度で釣り合ってないとならないという事実があります。その精度が非常に高いことから,なぜ自然はそんなに上手くバランスをとっているのだろうか?という疑問が生まれ,この謎のことをFine Tuning問題とか微調整問題とか呼んでいます。この辺の事情は大昔に「Fine Tuning問題とか」というタイトルでエントリーを書きましたので,もしFine Tuning問題って何?と思う方はそのエントリーを読んでから,次に進んでもらうのがよいかと思います。

宇宙あるいは自然が恣意的とも思えるような高い精度での微調整を行わずとも"自然に"ヒッグスの質量が観測値になるはずだ,という考え方がFine Tuning問題の根底にあることから,微調整問題はあってはならないという考え方ことをnaturalnessと呼んでいます。そして,先にリンクをはったエントリーでも紹介しましたが,SUSYを愛している(?)人のモチベーションの一つがnaturalnessだったりするんですね。1%とか0.1%という微調整をしなくてもSUSYがあればヒッグスの質量が100GeV前後でもnaturalnessという考え方に接触しない,というのがSUSYがこの宇宙に存在する対称性であるというモチベーションの一つだというわけです。

では,SUSYはまだ見つかっていないという現状からnaturalnessを考えるとどうなの?というのが今日のお話です。

皆様ご存知のように,残念ながらSUSYは見つかってなくて,第3世代は除いてスクォークとグルイーノはかなり重そうだ,一声1TeVよりは重そうだというのが実験の現状です。で,ヒッグスの質量がネタであるFine Tuning問題で一番重要なのは(たぶん)トップクォークの超対称性パートナーであるストップの質量です。ヒッグスの質量は,裸の質量と輻射補正による寄与なのですが,輻射補正に強く寄与するのがストップの質量だからです。

ところが,このストップの質量が曲者です。というのは,ヒッグスの質量が126GeVとわかった今,ストップ質量にも制限が与えられ,その制限を満たそうとするとやっぱり微調整しないと=裸の質量と輻射補正の寄与が1%とか0.1%の精度で釣り合ってないとならないということがわかってきたのです。

本筋とは少し離れてしまいますが,この辺の事情をもうちょっとだけ書くと,ヒッグス質量がわかったことによって既知だった真空期待値と合わせると,ヒッグス場のポテンシャルの形が理論上決まってきます。この形を実証すべく自己結合定数を測定したいというのがHI-LHCの動機の一つだったりするわけですが,とにかく,"理論上は"ポテンシャルの形が決まります。ヒッグスポテンシャルは

V = -m^2(H*H) + λ(H*H)^2

という形で書けて,ヒッグス質量の測定値などからmとλの値が決まってくるのです。で,問題は,SUSYの枠組みでその値を出そうとすると,m^2からはストップの質量は軽くあるべし,λからはストップ質量は重くあるべし,という制限が生じることです。矛盾した数値的な制限が与えらてしまい,その矛盾に打ち勝とうとすると,どうやってもヒッグスの裸の質量(上記のmではありません。上記のmは m = μ(裸の質量) + 補正項のつもりで書いてます)が大きくなり,ヒッグス質量126GeVに対して裸の質量μが1.5TeVとかになってしまい,0.1%よりも高い精度の微調整が必要ということになってしまうのだそうです。「だそうです」というのは,この前の集中講義のときだったかに,T大のHくんから聞いたことを今そのまま書いているからです。ははは。

さて,そんなわけで,SUSYを愛する人たちのモチベーションだったnaturalnessという考え方は,実験結果から窮地に追い込まれています。そんな人々が取りうる選択肢は次の3つです。1) SUSYをあきらめる,2) naturalness至上主義で,なんとか軽いSUSYで頑張る=Fine tuningしないで済む方法を考える,3) SUSYとnaturalnessは別物と考えて重いSUSYを考える=Fine tuningしちゃいましょうと考える。

理論屋,実験屋ともにSUSYな人たちはこのどれかで頑張るので,って1)は頑張ってないけど,最近の研究会では軽いSUSYで頑張るか,naturalnessを諦めて重いSUSYにいくか,というのがよく議論されています。いずれにせよ,ストップの質量というのはnaturalnessに強い制限を与えているみたいなので,発見できなくとも,ストップ質量に制限を付けることはSUSYの枠組みを考える上で重要みたいです。

ちなみに,ATLASでのストップ探索では質量の下限値として200から500GeVくらいを与えています。第3世代は第1,2世代よりも軽くてよいこと,実験的には第3世代の生成断面積が第1,2世代よりも小さいことから,他のスクォークたちよりも下限値がだいぶ小さくなっています。

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理科系の作文技術

研究室の週例ミーティングでは,各回一人が論文(文献)紹介を行っています。今日のミーティングでは私が「理科系の作文技術」という本の内容を解説しました。多くの場合,素粒子物理関連の論文紹介なのですが,たまには今回のような余興のこともあります。常日頃から学生にまとめて言いたい内容だったこと,そして修論・卒論のシーズンと重なったことからかねてからの計画を今日実行しました。

その本は木下是雄によるもので,ロングセラーでありベストセラーなので,このブログを見ていると思われる人の中でも読んだことのある人が多いのではないかと思います。私も,たぶん修論を書く前に,やはり学生のときにこの本を指導教官に薦められそれで読みました。自分が持っているものは1994年発行の35版ですので,もう20年も前のことになりますが,その内容については今回読み返さなくてもほとんど覚えていました。今はミーティングをやって学生に何かを聞いても,全く同じことを翌週のミーティングには尋ねている始末ですが,そんなダメダメな自分でも若いときの記憶力はまだマシだったんですね。単なる記憶力というよりも,その内容を日々実践しようと反復しているからよく覚えているというのが正しいのかもしれませんが。

能書きはさておき,理科系の職業の人といわず,人に書いた者を見せる必要のある職種の人には強く一読を勧めたい本です。報告書の類いは理科系と限らず,多くの職業の人が書くでしょうし,一般的な報告書を書く際にも非常に役立つはずです。Y教授とも今日話しましたが,報告書等を書くためのノウハウは一生モノでかつ応用範囲が広いので,読んでおいて損のないそんな一冊だと思います。

しかし,その本にも書いてあり,今日のミーティングでも議論になりましたが,人様に読んでもらう報告書,レポート,マニュアル,論文の類いを書く技術が不足しているという事実が「理科系の作文技術」が執筆された当時(1981年初版発行)から認識されていたにもかかわらず,学校教育には取り入れられずに30年以上が過ぎているというのは嘆かわしいことです。作文といえば,読書感想文を代表とする情操教育(?)ばかりで,人に何かを報告するための文書の書き方というのは,大学生で実験のレポートでも書かなければ,一生学ぶ機会がありません。

著者の木下氏も嘆いていますが,アメリカでは日本の作文とは違うEnglish compositionの授業がありますが,日本では本当に皆無です。というか,国語の授業で,たとえば遠足についての作文を書かされたとき,今私たちが書いている論文のような作文をしたら間違いなく学校の教師にダメ出しをされます。遠足の何が一番印象に残ったか,どのように感動したかを生き生きと描きなさい,なんていうことを言われてしまいます。何をしたか,どう考えるかを第3者にわかりやすく簡潔に,という観点でモノを書く機会がないというよりも,それを否定すらされてしまいます。そういう教育を受けているのですから,学生にいきなり論文を書けというのは無茶な話で,多くの学生にとって学部生時代に実験のレポートを書くことが唯一の訓練の場に違いありません。しかしそれも,実験の内容の理解がどうしても主眼になりますから,書き方そのものをキチッと学んでいるわけではありません。

私は,学生のよき理解者を装って学生に迎合することは嫌いなのですが,こと論文・レポート作成技術に関しては,それを教える機会のない教育側に大きな不備があると思っています。第3者に読んでもらう文書を書く上で一番肝心なのは,究極的には,誰に読んでもらうのか想像し,読む側の立場に立って文章を練ることだと思うのです。自分の考えていることを知らない第3者だとしたらこう考えるという配慮というか,想像というか,主観に基づかずに,一段引いたところから物事を俯瞰する態度が必要で,そういう態度を身につけるためにも情操教育ではない,相手に何かを伝えるための文章を書く訓練というのは役立つのではないかと思っています。

自分の感情を生き生きと描くだけでなく,第3者がどういう風に物事を捉えるのかを意識する訓練,第3者の反応を意識しながらモノを書く訓練を義務教育段階くらいではぜひやって欲しいものです。

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ノイズ続報

ノイズを作るイスに関する続報です。

Hくんが中心となって進めていたノイズ探索は佳境を迎えました。あまりにも面白い話だったので,その話を聞いたY教授も当然一緒になり,昨日はイスで相当遊びました。まずは,イスあるいは電源をグラウンドから浮かせても,つまりDC的な接続を完全に遮断してもノイズが乗ることから,電磁波としてノイズを受け取っていることがわかりました。そこで,Y教授考案(?)のアンテナを(ケーブルをコイル状にしてそれをプローブに繋いだもの)使い電磁波探索をやりました。

つまり結論はいわゆる静電気なのですが,問題はどこで発生しているか,です。イスを分解していき,辿り着いた結論はバネというかサスペンションというか,座面を支えている支柱が上下すると物凄い勢いで静電気を放っていました。静電気を起こしやすそうな服を下敷きのようなもので擦ってもやはりノイズとなる電磁波を作ることはできるのですが,その頻度が大違いで,その問題のイスの場合は一回座面を上下に動かしただけでかなりの確率で物凄いノイズを作ります。晩でグラフかっていうくらいすごい勢いでチャージアップしてました。

と,さっくりと書いていますが,実際にはいい大人2人+HくんとAくんの4人が,カプトンシートでイスを絶縁したり,イスを分解したりとかなりの時間楽しんで上記の結論に到達しました。次の問題は,原因はわかったので,今度はそれをいかに防ぐかです。一番簡単なのはそのイスを排除することですが,次に物理屋的に気になるのはその電磁波を読み出しシステムのどこでピックアップしてるか,です。まあ,目的はイスの排除で達成できるので,本来の研究上は重要ではないのですが,気になるといえば気になる部分です。

いや,しかし,こんなことがあるものなのですね。こんな想像もつかない原因まで到達したHくんたちの粘りに拍手です。

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ノイズ源となるイス

私たちのグループでは,シリコン検出器用の新型ICの信号読み出しをやっているという話を何度も書いていますが,その研究過程で驚愕の事実が見つかりました。このブログで何度も登場しているHくん,そしてM1のAくんの2人からの報告によると,ある特定のイスがデータ収集システムにノイズを与えているというのです。しかも特別の個体がノイズを発生させるのではなく,同じタイプのイスは全てノイズ源となるというのです。

キッチリと仕事をするHくんは以前から謎のノイズに悩まされていました。何が原因なのかを系統立てて調査し,特定の電源コンセントが原因ではないかと一旦は結論づけました。ところが,最近になって誰かが動くとノイズが乗るという謎な現象を見つけ,その謎の解明に取り組んでいました。そして見つけたのが上記の事実で,誰かが動くとノイズが乗るのではなく,誰かがそのイスに座るなどイスを動かすとノイズが乗るということを突きとめました。さらに,特定の電源コンセントがノイズ源だったというのも間違いで,実はその電源コンセント近くにあったノイズ源のイスが問題だったっぽいということもわかってきました。

しかし,本当に驚きです。その問題のイスは何の変哲もないどこにでもあるようなオフィス用のイスで,電気に関係する装備は何も付いていません。動くとノイズが発生するということだったので,車輪が転がると電磁波でも作るのかとまずは思ったのですが,Hくんたちの調査によると車輪が転がらなくてもイスが並行移動しただけでノイズが乗るし,イスに腰掛けただけでもノイズが乗るというのです。

あまりの不思議さに,今日はKEK出張で何もできなかったのですが,明日以降自分でも色々と調べたくてうずうずしています。こんな面白い現象が見つかるのがわかっていれば,それで学会発表でもしたかったです。「イスによるノイズ生成」というようなタイトルで。いや,他にもチャンスはあります。今日のKEK出張でこの話をT大でT2KをやってるYくんと理論のHくんに話したら大ウケで,高エネルギーニュースの記事にするというナイスなアイデアを貰いました。

冗談ともかく,本当に不思議で面白い現象です。何が原因なのか探るのが楽しみです。

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バナナで釘が打てる寒さ

2012-13年の冬も寒いと思いましたが,2013-14年もまた寒いですね。12月からずっと冬らしい寒さが緩むことなく続いている気がします。地球温暖化のせいで日本の冬が寒くなってるという話を聞きました。北極の氷が融けてだったか温度変化だったか忘れましたが,ジェット気流が変わりシベリアの寒気が流れ込みやすくなってるとかなんとか。それが本当かどうかは知りませんが,とにかく,ここ最近寒くてたまりません。オフィスのドアは基本開けておきたいのですが,この寒さでは到底ドアを開けっ放しにできません。ほとんどの部屋が使われているのですから,その辺のオフィスビルみたいにセントラルヒーティングにすればいいと思うのですが,私たちの大学(というか理学部だけ???)では廊下が寒くて寒くて凍えそうです。

この寒さにフェルミラボの暖かさを思い出していたら,アメリカでは寒波が到来しているというニュースを目にしました。それでもきっと,建物の中は日本よりもずっと暖かいんですよね,きっと。外はマイナス20℃でも建物の中ではTシャツ1枚の人がいるというのがアメリカでの光景で,どこに行っても建物の中は暖かく,日本と違って寒い思いをする機会は稀でした。

が,中西部の寒さは半端ではありません。タイトルを見てそのCMを思い出せた方は私と同じかそれよりも上の世代だと思いますが,バナナが凍って釘を打てるような寒さになっても粘性度を保ったままだという宣伝をしていたエンジンオイルがありました。日本ではそんな寒さは,ほんの一部の地方を除いて体験することないと思いますが,シカゴ周辺ではしょっちゅうありました。今でも覚えているのは,当時私が学生だったときのことですが,今は京都にいるNさんから朝電話があり「車が動かないからラボに行く時に一緒に乗せて行って欲しい」との連絡を受けたときのことです。

寒くて車が動かないということだったので,エンジンがかからないのかと思ったら,エンジンはかかるけどミッションオフィル(?)が凍ってしまったらしく,ギアが入らない=シフトレバーが動かないというのです。びっくりしました。確かにうちのボロ車も冬寒くなると,ATだったのですが,ギアが上がらなくなってしまうので,トルクコンバーターのオイルが凍りかけているのかなと思ったことはありますが,マニュアルの車のシフトレバーが全く動かなくなるなんていうことがあるものなのですね。

いやしかし,本当に寒い。この寒さは気温のせいだけでなく,自分が年とってきたせいもあるのかと戦々恐々としています。

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新年

年が明けました。更新の頻度が落ちつつある今日この頃ですが,今年もよろしくお願いします。

去年は盆休みが終わった頃くらいから猛烈に忙しくなり,年末まで休んだという実感のある日がないまま4ヶ月くらいを過ごしました。その上,プライベートでも一生に一度あるかないかという大イベントがあり,2013年は本当に休むことなく走り続けた感じがします。

一方で,2012年からの引き続きですが,ヒッグスフィーバーという10年か20年に一度のお祭りがあり,それに関連して色んな講演会で話をしたり記事を書く機会に恵まれました。それだけでなく,自分が直接指導をする学生が初めてD論を仕上げ,見事高エネルギー物理学奨励賞というものを射止めました。研究の上では,成果が花開いた1年と言ってもよいのでしょう。

2014年はそういうお祭りも終わりますので,公私ともに少し腰を落ち着けてゆっくりと歩む1年にしたいものだと考えているのですが,さてどうなることか。

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