ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ストックホルムにて

火曜からストックホルムに来ています。ノーベル賞をもらったときの下見のため...なわけはなく,ATLASグループ内の研究会があって,それに参加しています。

予想していたこととはいえ物価が高くて驚きですが(地元の人が利用するコンビニで500ccのソフトドリンクが1本300円とか400円強です),それ以外はストックホルム快適です。日本ほどではないと思いますが,あらゆるところが衛生的だし,公共交通機関が秩序だって整備されていて,ラテン系の国にありがちなケイオスがなく,私のような小心者旅行者にとっては心地良い都市です。

研究会は昨日から始まって3日間あります。昔は加わっていた研究グループなのですが,研究員と学生の配置にともなって最近はすっかり縁遠くなっていました。が,博士課程1年のJくんがその研究グループで仕事をする予定で,jくん自身もそれを念頭においてここ1,2ヶ月間は準備を進めてきました。今回は,自分の知識をアップデートするいい機会だと考え勉強をしに,また,研究グループの関係者と打ち合わせをするためにやってきました。そのおかげで研究会初日の昨日だけでも,どういうところが問題点で,これからどういうことをしていけばいいのか,というようなことがだいぶわかってきました。残り2日間さらなる情報収集をしつつ,研究グループ内の調整を図り,大阪グループとしてどういう方針で研究を進めていくのか決めていかないとなりません。

そんなわけで,今日はこれから研究会2日目に向かいます。

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北上山地なのですね

誘致するかどうか決まったわけではないですが,誘致を目指していた地元の人にとっては大きな決定ですね。あ,ILCの国内誘致先の話です。

1ヶ月くらい前にあった拡大高エネルギー委員会というところで,誘致先決定のプロセスや,発表方法などを議論しました。なかでも,機密を守るのが重要で,どうやって機密を守り,どうやって発表するのかというようなことをかなり議論しました。それなのに...です。

ちなみに,決定を知っていたのは本当に立地評価会議のメンバー数人だけで,研究者でもそのメンバーでない人はこの報道までどちらになるのか知りませんでした。どちらになるにしろ,正式な発表で知りたかったです。

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電磁気学の採点を終える

昨日は,大学の一般公開での模擬授業と称した講演会を除いては,あ,いや,午前中は研究室のミーティングもあったので,そこも除いて,2週間前にやった電磁気学の授業での試験の採点に明け暮れました。一昨日から始めて,さっきようやく全て(=試験の採点だけでなく,出席点やらレポートの点を合計する計算などを含む)を終えて,成績を登録しました。これで,成績登録に関しては,大学院の授業だけとなりました。大学院の授業では受講者数が10人弱なので,こっちは採点が楽です。

しかし,試験の成績が悪かったのが意外というか,もっと正確に言うと,サービス問題として出題して問題のデキがあまりに悪くて驚きました。全体的な得点分布は,同じ授業を同じ学部学科の学生相手にやっていれば学生のレベルがわかってくるので予想がつくのですが,自分が想定した難易度と実際の得点との相関が弱い,いえ,逆相関してるときすらあって,今回がそうなのですが,驚きます。驚きと同時に,想定していた平均得点がガラっと変わるので困ってしまいます。

これは授業に限った話ではなく,受験問題の時にもあります。複雑な過程を踏まないと解けない問題でも既出の問題だと短時間にもかかわらず解いてくるのに,こちらが易しいと思って出した問題でも,定型の問題じゃないと解けないことが多々あります。よく言われていることですが,物理なり,その問題で問いたい本質を理解してるのではなくて,解き方を覚えちゃってる受験生,そして学生が圧倒的多数なんですね。

今回の電磁気学の問題でも,こんなに易しくしちゃっていいのだろうかと自答しつつ,正答率90%越えるだろうという予想のもと作った問題がほぼ全滅。中学生の知識で解けてしまうし,実際,正解に辿り着けていない学生も書いている内容から,問題を解くのに必要な知識は十分だということがわかるのです。けれども,全く違った方向に進んでしまうのです。いや,参りました。この問題のおかげで平均点がガクッと下がってしまったので,全体の配点を調整するのに物凄く時間を費やしました。いや,単に変えるだけなら苦労はしないのですが,デキの良かった人が損をするような単なるスケールはしたくないので,様々な試行錯誤を繰り返しました。

とまあ,そんな苦労もありましたが,とにもかくにも成績を入力できてホッとしました。

それから,昨日の講演ですが,予想はしていたのですが,多くの高校生は後半部分の説明で置いていかれたようです。ヒッグスをどうやって捕まえるのか,無数の背景事象の中からどうやって信号を同定するのか,という部分の説明をあまり端折らずに直球勝負で臨んだのですが,なんというか,玉砕した感があります。ヒッグスを含む素粒子物理の一般論(=理論的な部分)のところはいいのですが,実験になると,チャレンジすれどもすれども,毎回玉砕してる気がします。加速器の話,検出器の話,ここら辺からして高校生だと厳しくなってきて,具体的にじゃあどうやって見えない粒子を同定するのか,という内容になると,大方の高校生を振り切ってしまいます。

その辺の説明はしない,というのも一つの方法だとは思うのですが,実験屋としてはどうしても説明したい部分なんですよね。理論的な内容を一般人にわかりやすく説明するだけなら,別に実験は必要なくて,理論屋が説明すればいいわけですから。じゃあどういう説明をすれば高校生にもわかってもらえるかを考えると,大人は実験の話をしてもそれなりにわかってくれることが多いという事実(ではなくて,私の勘違いなのかもしれませんが)にヒントがあるはずなのですが,その核心が今ひとつ見えてきません。大人なら知ってる知識なのか,どこかに論理の飛躍があるのか,そこら辺を考えつつ,11月にはまた高校生相手に同じような話をする機会があるので,そのための構想を練っていこうと思っています。

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休み明け

先週後半から盆休みを取っていました。その間メールのチェックをしたり,明日の一般公開でのトークの準備をしたりはしていましたが,モチベーションの上がらない事務仕事の類いを一切していなかったので,かなりのんびりと過ごすことができ,心身ともにだいぶリフレッシュしました。

しかし逆にそのおかげで,仕事はだいぶ溜まっていて,今日も報告書の類いを2つやっつけました。が,大学の成績登録の締め切りが迫っていること,金曜日のとあるミーティングで何か発表しなければならないこと,この2点が今週の私の宿題で,なかなかに厳しいスケジュールとなっています。特に試験の採点は膨大な数をこなさなければならず,ひぃひぃ言いながらやっています。

そんな中,前にも宣伝しましたが,明日は理学部の一般公開です。興味のある方は大学までぜひ足をお運びください。先に書いた通り私も講演します。

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講演終了

高校の先生を対象とした講演を終えました。講演時間2時間という長丁場だったので,まずは,話す量が適当かどうか不安だったのですが,それに関してはほぼ想定の時間で終えることができたのでまずまずでした。しかし,普通の(?)一般向け講演会と違うからなのか,聴衆の先生方の反応が読めず,わかりにくかったのか,易し過ぎたのか,その辺がどうだったのかよくわかりませんでした。

高校のしかも物理の先生ですから,古典力学に関しては私なんかよりもずっとプロなはずです。一方で,量子力学や場の理論はやっていたとしても相当昔なはずですから,そこら辺に議論を持っていきたくはありません。また,素粒子に独特の概念や実験技術なんかも当然ありますから,その辺りの説明は普通の一般向けと同様の説明をしました。実際,私が無知なせいもありますが,このテの講演では,自分の専門外だと一般向けの説明じゃないと全く理解できませんので。

ということで,どれくらいの深さの説明をすればいいのか手探り状態で,聴衆の反応を見ながら微調整をしていこうと思っていたのですが,その反応が今ひとつよくわからなかったので,的外れな説明になっていないことを今は祈るばかりとなっています。

にしても,2時間弱話し続け,その後の質疑応答を含めると2時間15分ほどは喋り続けたわけですが,これはなかなかに疲れました。普段の授業は90分ですが,90分間みっちりと喋り続けるということはあまりありません。また,90分と135分だと50%違うわけで,この違いが大きいのか,講演を終えた後はかなりぐったりしました。

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今日もまたトークの準備

全くもって,余裕を持って準備してこなかった自分が悪いのですが,今日もまたトークの準備に追われています。月曜に,高校の物理の先生を対象にした講演があり,その準備をしています。2日間かけて行われる高大連携という物理教育に関する研究会の一環で,私を含めて3人の大学教員が余興として研究の紹介を行います。高校の物理の先生が聴衆,かつ,講演時間が120分もあるので,普通のアウトリーチでの講演よりも内容を若干濃いめにして準備を進めています。

とは言え,その準備をしているのは大学の冷房の効いたオフィスで,今日みたいな超暑い日に室内で仕事をできるのは有り難いことです。自分が暑がりの汗っかきなので,こんな日に外で仕事してる人を見ると,ホント大変そうだと思ってしまいます。そういうわけにもいかないのかもしれませんが,外での仕事に関しては,夏は夜中に働いて,昼間寝るとかいうわけにはいかないんですかね。それはそれで,別の面で色々シンドイかもしれませんが。

話は逸れましたが,そういうわけで,暑い中足を運んでくださるであろう聴衆の方々に面白いと思ってもらえるようにトークを準備しています。

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KEKにて打ち合わせ

昨日今日とKEKに来ています。シリコンとMPPCの信号読み出しボードの開発関連の打ち合わせのためです。シリコンについては打ち合わせだけでなく,陽子照射後のセンサー測定用のセットアップを大阪にも徐々に準備していこうと考えていて,KEKのセットアップを参考にすべく,どういう測定用機材を使ってどういうやり方で測定しているのかを見に来ました。しかし,全てを一気に準備して立ち上げるのは,時間的にも予算的にも大変そうなので,できる部分からぼちぼちという感じになりそうです。

そしてもう一つ。昨日の晩は旧友というか飲み仲間というか仕事仲間というか,まあ関係はどうでもいいですが,私を含めた3人で久々に酒を飲みに行きました。あ,酒を飲みに行くのは久々ではなく,このメンツで飲みに行くのが久々という意味です。このメンバーは無茶苦茶酒を飲む上に,尋常ではない量の食べ物を意地になって食べるという子供じみた習慣があって,飲んだときは毎回数日間胃腸の調子が悪くなるのですが,今回は少しは大人になったのか多少の自制があって,今朝は胃腸の調子を悪くしないですみました。気心の知れた仲間と飲む酒は格別でした。

と,こんなことを書いてる間に次の打ち合わせの時間となりました。

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トークの準備

ヤバいです,かなり焦っています。

明日は,京大の基研でトークをしなければならないのですが,その準備がまだ終わっていません。でもって,明後日とその翌日はKEKに出張なのですが,来週の月曜には高校の先生方を相手に2時間ほどの講演をしなければならないのですが,その準備は当然のごとくまだ手つかずです。。

東北大学での照射試験の後に準備する時間あると思っていたのですが,浜松の出張やら,担当している授業の試験問題の作成,諸々のミーティングがあって,全くもって準備が捗りませんでした。来週の講演は,週末に時間を作れればなんとかなりますが,明日のトークは本当にヤバいです。

ヤバいと言えば,天気予報が恐ろしいことになっています。私が住んでる場所の向こう1週間は予想最高気温が35℃から37℃,最低気温で26℃から29℃です。準備ができてないだけでも憂鬱なのに,猛暑の中京都に行くかと思うとさらに憂鬱です。というか,本当は,京都に行くこと自体が億劫です。トークは,理論で活躍してる人達の研究会に呼ばれているので実は楽しみにしているのですが,京都の交通網が好きではない上に,京大は私の家からだと距離の割に時間がかかるので,その移動がそもそも面倒なんですよね。

って,こんなことをダラダラ書いている場合じゃなくて,一刻も早く準備です。

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アトピー痒い

全くもって私事ですが,って,いつも私事ばかり書いてるわけですが,今日は本当に私自身のことです。

ここ数日アトピーが酷くて参ってます。元々アトピーがぼちぼちあって,どこか痒くなったらしばらくの間ステロイドを塗り治まるのを待つ,ということを繰り返しているのですが,ここ数日,特に夜寝てる時痒くて困っています。今年に入ってくらいから,今まであまりアトピーではなかった部分,手の指と顔がアトピーになってしまい,良くなったり悪くなったりしていました。ところが,ここ数日指が凄く痒くて夜目が覚めてしまい,薬を塗ってはみるものの痒くてなかなか寝られません。そのおかげで少々寝不足です。。

そこから話が飛ぶのですが,アトピーはまあ仕方がないですが,医者に行って「掻くから悪くなるんだ,掻かないようにしろ」と言われると,かなり凹みます。というか,私の場合,腹が立ちます。それはその通りだとわかっていますが,痒くなければ掻かないわけで,いかにもお前の我慢が足りないみたいに言われると本当に腹が立ちます。特に,なぜ腹が立つかというと,運悪くATLAS大阪グループには私以外にもアトピーの学生が複数いて,彼らにも確認したのですが,アトピーの人が痒みに対するこらえ性が足りないとは思えないんですよね。というのは,私は妻や家族にいつも言っていますが,アトピーの痒さって,蚊に刺された痒さの100倍くらい(は,大袈裟かな)痒いのです。だから,蚊にさされたくらいでは痒いなんて思ったりしません。IくんもAくんも全く同じことを言ってます。

いや,もちろん,蚊にさされても痒いのは痒いですけど,アトピーに比べたらホント全然大したことありません。で,世間では虫さされ程度でも痒いと言って薬を塗る人が山ほどいるわけですよ。そういう人がアトピーの痒さを経験したら発狂してしまうのではないかと,真面目に思ってしまいます。ということで,少しムズムズするからって掻いてるようなレベルではないんですよね,自分的には。本当に辛くて医者に行くのに,そこで先の言われようだと,ホント凹みます。

掻かないほうがいいのはよーくわかっています。でも,それを敢えて言わないでくれと,全国の皮膚科医の方々にはお願いしたいです。私だって痒くないところは掻きませんから。

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からクジ

しばらく前の新聞で,当たりのないクジを売っていたからという理由で露天商(だったでしょうか?)が摘発されたという記事がありました。が,しかし,これはどういう法律にひっかかるんでしょうね。

いや,まあ常識的には,外れだらけのクジを売るというのは倫理的によろしくないかもしれません。でも,法律で還元率何%以上と指定されてるものなのだろうか,というのが私の疑問です。競輪や競馬などの公営ギャンブルや,宝くじには還元率に対して数字が定められているはずですから,それを外れたら法律違反なのはわかります。でも夜店のクジにそういう法律あるいは規制なんていうものがあるのでしょうか。

そういう数字がなければ,たまたま1日か2日の販売クジのなかに当たりがなかっただけで,つまり物凄い低い確率で当たりが含まれているのかもしれません。科学の世界と一緒で,何かがない,ということを証明するのは極めて難しいです。にもかかわらず摘発というのは,どういう理由,論理なんでしょうね。

というか,そもそも私がこの記事にひっかかったのは,そういう店のクジなんて最初から当たりがあるとは大人は思ってなくて,というか正確には,当たりがあったとしても極めて確率が低い,還元率が低いということはわかっていることで,それに対してそんなに目くじらを立てる必要があるのかな,ということでした。綺麗ごとしか教えない学校では学ぶことのできない世間というものを子供が学ぶための場所として結構貴重な場だと思うのですが,綺麗ごとだけを追い求める人達というのは,そういう些細なことにも目くじらを立てるものなのですね。

還元率が謎のパチンコ屋が繁盛している国なのに,不思議な話だと思ったのでした。

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照射試験その2

東北大学での照射試験から1週間ほど経ちました。続きを書く,みたいなことをそのとき書いたと思うのですが,その後何も書いていなかったので,時間がなくて前回触れられなかったことについて今日は少しお話します。

照射試験というのは,前回も説明したように,基本的にはシリコンセンサーに放射線をたくさん当ててダメージを与えることが本質です。しかし,ただ放射線を当てていればよいというものではありません。大きく言って2つ大事なことがあります。

一つ目は,シリコンセンサーに当てた放射線の量をなるべく正確に知る,ということです。使っているビームは陽子だとわかっているので,ビームの電流値をリアルタイムで正確にモニターすることができれば,センサーに入射した陽子の数を求めることができます。(電流の定義は,とある断面を通過した単位時間あたり電荷量です。陽子の電荷量は1.6x10^{-19}だとわかっているので,測定した電流値とビームを当てていた時間から,入射陽子数がわかります。)

LHCなんかだと,リング内を回っている陽子の数というか電流値をモニターできるのですが,私たちが使ったビームラインではリアルタイムでセンサーへの入射陽子の電流値を正確に測り,それを随時記録しておくというシステムがありません。そこで,入射させたい陽子の数に合わせて,照射前の陽子の電流値から照射時間を逆算し,その時間だけ陽子ビームをセンサーに当てるということをします。

ただ,これでは,それほどの精度が出ないので,シリコンセンサーと一緒にアルミを入れておき,ビーム照射後にそのアルミがどれだけ放射化しているかを測定することで,実際の入射陽子数を見積もります。アルミの放射化度合いは,高分解能のゲルマニウム検出器を使い特定の放射性物質から放出されるγ線を同定,その量を測定することでわかります。

少し長くなりましたが,照射陽子数の正確な評価というのが,今回の実験での大切なポイントとなります。って,なぜそれを知りたいかを言ってませんでしたが,私たちの究極の目標は,センサーがどれだけの放射線を浴びると,性能がどのように変化していくかを調べることなので,個々のセンサーにどれだけの放射線ダメージを与えたかを定量的に知っておかなければならない,というわけです。

そしてもう一つ大事なのは,実験している私たちが浴びる放射線量を最小化するということです。もちろん,健康に問題があるようなレベルの放射線量ではありませんし,法令で定められた上限値よりは遥かに小さいのですが,それでも油断してるとかなりの放射線を浴びてしまいます。照射中は当然ビームラインに入らないので全く問題ないのですが,問題は,後片付けです。

強度の高い陽子ビームが入射していたビームダンプ周りで後片付けの作業をしないとならないので,放射線取り扱い講習で習うALARAを強く意識して行動します。ちなみに私がこれまでに経験した中では最も高い放射線環境でした。持っていったカウンターでそこら辺を測りながら片付けの作業をしていたのですが,強度は距離の逆2乗に比例するということを強く実感しました。まさにALARA通りで,少しでも強い放射線源からは遠ざかり,少しでも短い時間で作業を終える,ということを心の片隅ではずっと意識していました。あ,ちなみに,ALARAというのは,As Low as Reasonably Achieval(だったかな?)の略で,放射性物質からはなるべく距離を置き,作業時間を最小化することで,浴びる線量を減らそうという考えのことです。

あと,厄介なのは,陽子ビームを照射したシリコンセンサー自体も,放射性物質となっていることです。大学の研究室に転がっているチェッキングソースくらいの弱い放射線しか出しませんが,それでも,法令的には特別な取り扱いを要するレベルなので,ビームラインから持ち出したりするのは結構面倒です。ある一定のレベル以下にまで放射線量が下がらないと管理区域外に持ち出せませんし,その後も,輸送などの際にはきちんと放射線レベルを測定し,ある基準値以下にまで下げないと輸送できません。

ちなみに,私たち自身も管理区域から外に出る時にはイチイチ被曝量を測定し,被曝していないことを確かめてから外に出ます。人間だけでなく,管理区域からモノを外に出すためには,あらゆるものの線量を測ってからでないと持ち出せません。

とまあ,そういうわけで,私にとっては未知の体験ばかりだったので,非常に興味深く実験をやることができました。あと,余興として,ちょっとした装置のトラブルがあったのもよかったです。あまりに順調だと面白くないし,あまりに不調だと実験の目標を達成できず非常に困ってしまいます。が,今回は1時間くらい右往左往した結果,装置の不調を回復することができたので,実験のスパイスとしてちょうどいいトラブルでした。

現場でのトラブルって本当に興奮(?)します。どうやって問題を見つけ,どうやって復旧するのか,それを限られた時間の中でやらなければなりませんし,もし時間内に復旧できないようなトラブルだった場合実験計画を変更せざるを得ませんが,その際,やれる範囲で何を優先的に測定していけばよいのか即断しなければなりません。まさに脳味噌フル回転で,一緒に実験してる人と熱い議論になるのですが,そのプロセスは本当に楽しいです。実験現場って楽しいなぁと強く思える瞬間でした。

長くなりましたが,放射線照射試験の続きでした。

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反水素のセミナー

今日は,トライアンフのFさんを招き反水素生成実験ALPHAについてのセミナーをやってもらいました。研究室ミーティングでの文献紹介でも何度か話題になったことがあり,関係者から話を聞きたいものだと思っていたところ,先週東北大学へ行ったときにばったりとFさんに会い,たまたま日本にいるということで,トントン拍子でセミナーをやってもらうことになりました。

Fさんは長いこと現場で実験を主導してきている優秀な人で,かつ,トークも上手いので,セミナーは(少なくともスタッフには)盛況でした。もう少し学生からも質問があるとよかったのですが,大勢の前で質問するのはやはり腰が引けるんでしょうね。研究室単位のミーティングくらいでしょっちゅう質問する癖をつけてないと,人が多く集まった場所では余計に質問できなくなってしまいます。

内容について印象に残っているのは,素粒子物理の目的は普通はラグランジアンを決めることだけど,そのラグランジアンは場の理論の枠内で組み立てられているので,もっと引いて,場の理論そのものが正しいのか,場の理論が立脚しているCPTが正しいのかを検証したい,というコメントです。私も常々,素粒子物理の究極の目的はラグランジアンを決めることだと公言していますが,確かにそう言われるとその方がより大きな枠組みでモノを見る,考えることになりますね。

他にも実験屋として共鳴できる部分が多く,もっと話をしたかったのですが,彼の都合で酒を飲みに行けなかったのは残念でした。またの機会に期待です。

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