ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

本をもらう

今日は,Nさんから彼が最近出版した本をもらいました。朝倉の教科書4冊1セットの著者といえばNさんが誰なのかわかってもらえる方が多いかもしれません。高エネルギー物理業界の重鎮で約10年ほど前に定年退職し,その後は,各種委員会の委員を務めたり,大学の非常勤講師として授業を担当されるかたわら,朝倉の教科書と同等,いえそれを超える大作となる英語の教科書を執筆しておられました。

その第2巻をいただきました。タイトルは"Elementary Particle Physics"。第1巻も同じタイトルで,内容的には1巻は基礎っぽいこと。2巻は電弱とQCDからなる標準模型の説明が詳しく書いてあります。現象論の教科書としても,高エネルギー物理の教科書としても使えるようなもので,かなり詳しい,専門家向けの一冊です。日本語版同様,辞書のようにあらゆる範囲がカバーされており,かつ,今回の英語バージョンでは大切な実験データの解説が日本語版よりもだいぶ追加解説されているようです。

日本語版は,私がよく使う教科書の一つでして,今回の英語版もよく使う一冊になりそうです。

本の執筆で思い出しましたが,私も含めた3人の共著による「ヒッグス粒子の見つけ方」はどうやら重版されるようです。アマゾンその他のウェブ上の書店ではかなり長いこと売り切れ状態だったので,販売ノウハウに疎い私たちはどうなってるんだろうと長いこと思っていたのですが,これまでの売れ行きデータから出版社のほうで重版するという判断に至ったようです。引き続きご贔屓のほどよろしくお願いします。

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国費留学生奨学金

私にとっては,久々に明るいニュースです。

つい先週,修論を終えた学生の一人はマレーシアからの留学生で,文科省から国費留学生として奨学金を貰っていました。彼は修士取得後,博士課程に進学することが決まっていましたが(=修士論文が博士課程進学の審査),奨学金延長願いを出していたもののその可否は今までわかっていませんでした。その延長許可の通知が今日来ました。いやー,よかったです。

本人は来日前は日本語できませんでしたが,今は読み書きできるようになり,このブログもたまに見てるらしいので滅多なことは書けないのですが,そこを書いてしまうと...学部時代に素粒子物理を専攻していたわけではないし,日本語を母国語としていない学生を指導するのは初めてだったので,彼を私たちのグループに入れるかどうか非常に悩みました。ただ,非常に勤勉な学生だということはすぐにわかったので,そこに賭けて修士の学生として受け入れることを決心しました。

案の定,最初のうちは,素粒子物理わかりませんし,実験のノウハウもわからず,かなり苦労しました。また,非常に大人しいというか,遠慮深いというか,熱心にはやるけどあまり質問してこないので,どうなることかと心配していたのですが,やはり勤勉さは人を裏切りません。2年間で非常に力をつけ,立派な修士論文を仕上げました。博士課程に行ってもさらに伸びることを予感させる力のつけ具合だったので,私としても本人の希望通りにぜひに博士課程に進学して欲しいと思っていました。

が,先立つものがなければやっていけません。ということで,彼はもちろんのこと,私も奨学金延長願いがどうなることか年が明けてからはずっと心配していました。その心配が今日の通知で吹っ飛びました。本当によかったです。Jくん(イニシャルトークにほとんどなっていないが),おめでとう。

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卒業研究発表会

素粒子原子核実験グループの4年生卒業研究発表会がありました。

私たちの研究室の4年生もそつなく発表をこなし,問題なく卒業案件クリアとなりました。多くの人に使われたハードウェアではなかったので,デバッグも自分たち自身で行わなければならず,シリコン検出器からの信号読み出しはなかなかに大変な仕事だったと思います。私の不手際もあり,信号読み出し部分に予定よりも少しだけ時間がかかってしまった分,最後の解析とデータ収集にさける時間が少なくなってしまったのは少し残念ですが,与えられた検出器,すでにある検出器,PMTのように何の苦労もなく検出器として使えるデバイス,等々を使ったのではなく,検出器そのものを動かす経験と苦労ができたのは,それなりに貴重な体験になったのではないかと思います。

4年生のみなさん,お疲れさまでした。

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LHCシャットダウンへ

LHCがいよいよ長期シャットダウンに入ります。今年に入ってから陽子と鉛の衝突を主にやっていましたが,それも昨日終わり,加速器ではこれから調整作業が始まります。エネルギーを7TeVに近づけるべく,まあ一言で言うと,長ーいトンネルの中に設置してある1000個オーダーの超伝導磁石間の接続の補強(?)確認を行います。これにより,より大量の電流を磁石に流すことができるようになり,より強力な磁場を発生させることができるようになるというわけです。

あ,ちなみに,LHCのような陽子加速器では,陽子を加速させるのはそれほど難しいことではありません。陽子がリングを一周してもシンクロトロン放射で失うエネルギーは確か数KeV。陽子のエネルギーは数TeVですから,エネルギー損失は10の6乗分の1程度。ということで,加速させるのは難しくなく,円形軌道を保つための磁場の強さがエネルギーを制限します。より強力な磁石があれば,さらにエネルギーを増やすことが可能なので,超伝導電磁石の技術革新が待たれています。逆に電子の場合はシンクロトロン放射が莫大で,同じトンネルを使っていたLEPでは電子がリングを一周する間に3%だか4%もエネルギーを失っていました。

LHC加速器がシャットダウンになりますので,検出器もこれからぼちぼち運転を停止します。今日あたりは較正作業を行っているはずです。シリコン検出器の場合は,これを2,3日行い,その後電源を落とします。新たな検出器の搬入作業という大きなイベントはありますが,それに携わっていない人にとってはしばらくは解析に専念することになります。LHC再開は2015年の予定です。

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オリンピック種目

レスリングがなくなるなんて信じられません。自分自身がレスリングに強い関心を持っているわけではありませんが,古代オリンピックの頃からある(?)最も伝統的な競技の一つだと思っていたので,物凄い驚きです。よく言われていることですが,オリンピックの商業主義への傾倒は強烈ですね。日本のどこぞのなんちゃら委員会なんていうものとは比べ物にならないくらいIOCって腐ってるのかと邪推してしまいます。

視聴率だけ考えても,他にも視聴率を稼げないと思われる競技は多々あります。競技をやってる人には申しわけありませんが,近代5種,射撃,アーチェリー,馬術,なんていうのが私の頭に浮かびます。レスリングはそれらに比べたら,大技も出るし,盛り上がるので,真っ先にレスリングが落ちるというのはかなり謎です。

しかし,こういうニュースのときのマスコミの日本視線度の高さにも驚きます。日本のメダルが減るから,みたいな論調がありますが,ポイントはそこ?と突っ込みたくなります。話少しそれますが,海外で事故やら事件があったときも,日本人のことしか考えてないかのような報道があるのはどうなんだろうと思ってしまいます。いや,報道だけではなく,インタビューに答えるその辺の人が「日本人が巻き込まれたかと思うと恐ろしい」みたいな発言してるのにも驚きます。日本人じゃなければ事件や事故に巻き込まれてもいいと思ってるんでしょうか。まあ,そういう人ならば,オリンピックの種目に関しては日本がメダルを取れそうかどうかだけが問題だというのは当然なのかもしれません。

国際化のために授業を英語でやるとか,英会話を子供の頃から教えるとか,そんな小手先のことよりも前に考えることがたくさんありそうです。

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時事ネタ円安とか

時事ネタを幾つか。

北朝鮮の核実験怖いです。中国との領有問題もですけど,威嚇やら挑発だけならいいのですが,現場では何が起こるかわかりません。ミスによる核兵器・物質の拡散や,何かの間違いで実弾発射。それをきっかけとした戦争なんちゅうのが一番怖いです。よく知りませんが,第一次世界大戦は間違い,勘違いが引き金となって始まったとよく言われてます。核による抑止力があるのかもしれませんが,やっぱり心配です。

にしても,北朝鮮って国際社会に対して何が望みなのか,さっぱりわかりません。何考えてるかわからないというときは,その人は何にも考えていないんだという秘書さんの至言を少し前に紹介しましたが,北朝鮮指導部も同じなんですかね。アメリカとイスラム勢力が反目しあうのはなんとなくは理解できるのですが,北朝鮮の場合は,何が狙いなのかが全くわかりません。文化的には東アジアだから私たちとそんなに変わらないはずだし,アラブ諸国とかと違って石油の利権を巡る軋轢がアメリカとあるわけでもありません。国際社会から敢えて孤立しようとする意味がわかりません。

北朝鮮からは離れますが,アメリカが円安を容認しているらしいというのにも驚きました。G7だかG20で日本が非難されるかと思っていましたが,あ,いや,実際にはそういう趣旨の声明だったのかもしれませんが,表現としては明らかな非難というわけではありませんでした。さらに,声明の発表前に,アメリカ政府の高官から日本の禁輸緩和に対する理解表明があったのは本当に驚きました。アメリカの自動車会社なんかからは非難轟々にもかかわらずそういう発言が出たというのは驚きです。

そもそも,麻生さんではありませんが,今回の円安は介入したわけではなくて日銀の金融緩和と緩和への憶測で生じたことです。円安への誘導ってドイツの首相とかが言ってますが,笑わせるなという感じです。自分の国はユーロのおかげでとてつもなく安い為替レートによる恩恵を受けてるくせに,何言ってるんでしょうか。しかも,諸外国はちょっと前までは日銀の金融緩和が甘過ぎると非難してました。全くもって言いがかりもいいところです。

それはさておき,そうです,アメリカの円安容認は驚きました。日本がデフレに喘いで,不景気に苦しんでるのって,人口オーナスも大きな原因の一つだと思いますが,やはり円高も大きな原因だと思うのです。何をもって為替レートが適性と判断するのかは非常に難しいですが,日本の輸出型産業が極めて厳しいコスト削減を強いられているのはやはり円が相対的に高いからで,その結果,賃金は上がらず,生産拠点が外国に移り,その結果消費が増えず内需産業も景気低迷。というのが素人が考えるわかりやすい構図です。

じゃあ,日本の為替レートは何で決まるのかというと,超長期的にはアメリカに支配されている気がするんですね。アメリカの戦略で結局決められているのではないかと思うのです。日本が経済であまりに強くなったため,バブルが弾けたきっかけから始まり,円を過剰評価して日本の国力を下げてきたのが過去20年ではないかなぁ,と。ところが,今これだけ円安に動き始めているのにそれを容認しているんです。これは私にとってはかなりの驚きです。

ここから先は何かの新聞記事の受け売りですが,中国が強くなり過ぎたことが影響してるというんですね。日本の競争力を削いだために,日本よりも異質な価値観を持つ中国があまりに強大になってきたため,相対的に日本の強さをもう一度取り戻させるべく円安を容認しているのではないかというのです。アメリカからみたらまさに防波堤である日本を強くしようというわけです。いやー,もしそういう狙いでアメリカが円安を容認しているのだとしたら,賢いというか,本当に恐ろしい国です。

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2012年度修論発表会

今日,明日と修論発表会です。私たちの研究室のM2三人の発表は午前中に無事終わりました。私自身が副査を務める他の研究室の学生の発表もさきほど終わり,ほっと一安心というところです。

修論発表会,あるいは卒業研究の発表会に参加すると毎年同じことを感じてしまいます。そういう発表会に参加すると否応無しに感じさせられてしまうのですが,素粒子実験の検出器を開発している学生の発表では,発表がよっぽど上手くないと原子核関連の人に研究内容の凄さ,難しさを伝えられないのではないかということです。簡単な研究内容の話をそれなりに纏めた発表(そもそも内容が少ないと時間内に発表を纏めるのが易しい)が評価され,難しい研究内容だとその凄さが伝わっていないのではないかと危惧します。

小さい実験ほど全体を俯瞰しやすいので,どうしても原子核関連,もっというと物性の実験だと自分のやっていることが全体の中でどういう役割なのか,というか,自分だけでできてしまう場合も多々あるわけですが,を理解しやすいのですが,素粒子実験,さらにその中でもLHCのような大型実験だと全体を俯瞰するのが非常に難しくて,発表でのやり取りだけを聞いていると自分のやっていることを理解できていないかのような印象を与えてしまうことが多々あります。実験家としてそういう見方ができなければダメなのは確かなのですが,学生にとってはコライダー実験を俯瞰するに足る広範囲の知識と経験を獲得するのはなかなか難しいのではないかと思います。

さらに,私たちが使っているような測定器開発の難しさというのを他の分野で経験することは珍しいので,そこらへんも素粒子実験の学生にとっては説明の難しさがあります。ASICからセンサーまで自分たちで開発し,その信号の読み出しだけで莫大な時間を使ってしまうことが多々ある世界だということを他分野の人には認識してもらわないとなりませんし,発表する学生はそれを伝えないと,他分野の人にとっては単なる検出器の信号読み出しになってしまいます。

私が修士課程のときにやったような,あまりハイテクを使わない検出器(だからこそ修士課程の学生が一人でも開発できる)を設計から開発そして試験まで一通りやるタイプの研究だと他分野の人にも内容がよく伝わるし,好印象を与えやすいのだと思いますが,そうではないタイプ,最先端技術をどっぷりと使う検出器開発のような研究が正当に評価されているのかというところが指導教員としては気になるところです。

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スランプ

ここ最近,スランプ気味です。性格的に終わったことを悔やむということはほとんどありませんし,また幸いなことに,次に処理しなければならないことが山積みされているおかげでクヨクヨするということもほとんどないのですが,何かの拍子に一つ上手くいかなかったことを思い出してしまうと,その連想で上手くいかなかった他のことまで思い出してしまうのには参ります。何か一つだけ結果が伴わなかったのなら,そんなこともあるさと割り切れるのですが,連打を喰らうと自分の頑張り方,進んでいる方向性そのものが間違っているのではないかと疑心暗鬼になってしまいます。

私も含めて多くの職業では好不調ってそれほど明らかではありませんが,スポーツ選手とか私がよく観ている将棋指しとか,好調か不調かがはっきりとわかる職業ってあります。そういう世界で生きてる人は不調というのは明らかなわけで,そういうとき,選手あるいは将棋指しはどういう心持ちでスランプのときを過ごしているんでしょうね。たまたま結果が出ないだけだと割り切り今までの自分のスタイルを押し通していくのか,それとも何かがおかしくなっているはずだと考えて自分のやっていることを総点検するのか,人によって違いはあると思うし,そのときどきで考え方も違うんでしょうが,いずれにせよ悩ましいこと間違いありません。

モノを売る商売をしている人も売り上げという数字が出るので,好不調がはっきりとわかる職業ですね。大企業の場合はどうなっているのか私にはよくわかりませんが,個人経営のような中小企業だと,これまた結果が非常にハッキリとしています。生活もかかっているわけですから,スランプのときの対応は私なんかよりも格段に悩ましいはずです。そう考えると私の悩みなんて小さいものなのかもしれません。

自分のスランプのことなんて書いてどうすると思いましたが,ちょっと筋道立てて書くことを考えてみると,自分の悩みなんて凄く小さいはずだということがわかりました。いやー,いつもこうやって,スランプがあっても問題点をちゃんと反省しないので私には進歩がないのかもしれません。ははは。

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春の学校の宣伝

一昨年,そして昨年の5月に「高エネルギー物理 春の学校」と称してゲリラ的に若手研究者を対象としたスクールを開催しました。学生の講演とスタッフによる講義,あるいは講演からなる催しで,過去2回は自画自賛かもしれませんが非常に盛り上がりました。学会その他のかしこまった(?)研究会よりも遥かに活発な議論ができて有意義というか,若手の元気さが見えて主催者の人間としては非常に楽しい企画でした。

そういうわけで,今年も開催することにしました。って,開催することは前から決めていて,主催者数人で,各研究グループの様子を探りながら日時と場所を調整していました。で,場所は過去2年に引き続き琵琶湖畔。過去と同じ施設ではありませんが,今回は去年の開催場所と非常に近いところとなりました。肝心の日時は,5月30日から6月1日にかけての2泊3日。このエントリーを読んでる関係者の方は宣伝をぜひお願いします。学生の人はぜひ参加を申し込みください。指導教員に旅費をお願いしてダメだった場合は,旅費補助もあります。指導教員の方はぜひご協力をお願いします。

なぜこんなことを今書いているかというと,プログラムを今相談しているからです。大まかな内容は決まり,今は講師役と名前が挙がった人に参加要請をしているところです。過去2回が盛り上がったのは,参加してくれた講師役のスタッフの話が上手かったせいだということもあり,プログラム内容と講師役の候補者選びは結構真面目にやりました。テレビ会議で世話人全員で集まって議論しました。出演交渉がまとまったところでオフィシャルな(?)宣伝を流しますが,今年も講師の顔ぶれには期待してもらっていいかと思います。

宣伝をよろしくお願いします。

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修論発表練習

修論発表会が12,13日。私たちの研究室の学生が発表するのは12日。というわけで,今日は恒例の修論発表会のための練習会でした。ATLASの学生が2人,Kaon実験の学生が1人の合計3人ですが,いつも同様今回もみっちりとやったので,昼食後に始めて今さっきまで練習をやっていました。

今回の3人の内容には大きな問題はないので,基本的には発表の仕方に関する議論でした。2回目の練習をやるというオプションがあるときもあるのですが,今回はもういいだろうということで,あとは彼ら自身による修正に任せることになりました。

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研究室見学とか

数日(数週間?)前のエントリーと同じことを書きそうですが,今日は大学教員っぽい生活でした。って,ここ最近は修論中心の生活だったので,それも十分大学教員っぽいですけど。

予備審査を終えた理論の学生の公聴会が今朝1限にありました。前回同様,Hさんからの鋭いパンチを貰い続けダウン寸前。しかも,公聴会だけでは話がまとまらず,2限は別の公聴会があったのでとばして,12時から14時まで延長戦。これまた前回同様,論文に対するさらなる修正を加えることでとりあえずテンポラリーに合格。事務に結果を提出する締め切りの数日前までにさらに手直しを加えた論文を審査員に提出するということで話が纏まりました。その学生はもうしばらく頑張らないとなりません。

にしても,Hさんのパンチは流石です。どの教授もそうですけど,普段は事務関連その他の雑用,あるいは親しい人となら世間話はしますが,その人の研究の専門の話というのはほとんど聞くことがありません。たとえ研究内容の話をするにしても,異分野の人に説明するときは専門家同士のときのようには話しません。ところが,今日なんかは専門家同士の応酬で,普段は見ることのできない鋭いパンチを見られたというわけです。いや,もう何でもわかってるんですね。その道のプロにこういう表現を使うのは適切でないのかもしれませんが,あらゆる式の意味をちゃんと理解していて,本当に凄いなぁと思いました。何かを理論屋に聞くと計算でごまかされることがあるのですが,そうではなくてちゃーんと物理をわかっているということがよくわかりました。前回の予備審査,そして今日の公聴会,プラスその後の質疑応答でその凄さを思い知らされました。

そして,公聴会の延長戦の後は休む間もなく,研究室見学に来た学生2人にY教授と一緒に対応。今3年生で,来年度の院試受験を考えているわけですが,最近はこうやって研究室見学に来る学生が増えました。大学が高校生相手に大学案内を,そして大学生相手に大学院案内を熱心にやっているからなのか,その辺の理由はよくわかりませんが,昔よりも学部とは違う大学院を受験する学生が増えたような気がします。なんにしても熱心なのはいいことです。

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4年生シリコンで宇宙線を捉える

修論提出日を明日に控えているので,M2の学生たちのラストスパートもさすがに峠を過ぎた感があります。昨日までのiterationで内容は大体まとまり,あとは,Y教授も加えての最後のiterationだけとなりました。って,修論を提出した後も,発表会に向けてまだ準備はありますが。

修士課程の学生たちのスパートを横目に,4年生の卒業研究も佳境を迎えています。日々物凄い勢いで研究が進んでいるのがわかります。4年生を指導するようになったここ数年は,毎年12月くらいまではこの調子で大丈夫なんだろうかと不安なり,1月から2月になると4年生が数人で力を合わせたときの爆発力に驚かされる,というのが毎年のパターンになっています。今年もまさにそのパターンで,ここ数週間の研究の進み具合は見事です。

シリコン検出器からの信号読み出しは完全に確立し,今は宇宙線の観測を始めました。ノイズがかなり多めではありますが,閾値を上げればなんとか信号を見ることができます。タイミング合わせが大変かと思ったのですが,それも4年生が自力でなんとか調整し,検出器を3つ積み重ねてデータを取ると,3つの検出器を通過する宇宙線の飛跡らしきものが見えています。

ここまで来るとあとは事象選択とアラインメントという解析作業が次のステップとなりますが,彼らのここ最近の進捗ぶりを見てると,それもちゃんとやってくれそう,という気がしてきています。まだ終わったわけではありませんが,かなり安心して見ていられる今日この頃です。

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相関を探す

修論の追い込み,本当にラストスパートです。Jくんのほうは一段落した感じであとはもうコスメティックな部分だけです。一方,Hくんのほうは,試験するものができあがったのがごく最近なので,試験結果をまとめきれていないというか,解釈がまだできていない部分があるというか,そういう状況なので,文章を書くのがなかなか大変な部分があります。それでもなんとかまとまりつつあり,あとほんの一息でゴールというところまできています。

しかし,唯一解決できていない問題が残っています。SVX4というASICからの信号を読み出そうとしているのですが,今使っている2チップマウントしているボードだと,2つのチップの両方の同じチャンネル(複数チャンネル)からデータが返ってきません。同じチャンネルからデータが返ってこないということは,チップが故障しているとは考えにくく,色々やってはいるのですが原因を突き止めるに至っていません。

ちなみに,この問題は,1チップだけマウントしているボードのときは発生していませんでした。全てが正常に動いていました。ところが,今さっき驚きの報告がありました。前動いていた1チップボードは2台あるのですが,その両方ともが2チップボードと全く同じ問題を見せて始めたというのです。うーん...ここに来て,これをデバッグするのは大変です。すでに結果が得られいて,動いていたことがわかっているので修論的にはいいといえばいいのですが,なぜそういう問題が起きるのかはいずれは解説しなければなりません。

ところで,こういうように何か実験装置に問題が起き,その原因を突き止めるときには,色々な相関を調べます。これをするとどうなる,あれをするとどうなる,ということを系統立ててやることによって,何が問題かを探ります。あ,大事なのは,系統立ててというところです。絨毯爆撃的にあらゆるパターンを試すだけ試すという方法もありますが,それらのパターンの間にどういう因果関係があるかを理解しながらやらないと,何が結局原因だったのかを理解できなくなります。で,なかなか解決できない問題に取り組むにあたっては,気付きにくい相関関係に気付く,あるいは調べるべき相関関係を思いつけるかどうかが重要となります。なんちゅーか,実験屋のセンスが問われる部分なので,日常生活中のつまらない会話でも,自分の気付いていない相関関係を指摘されるとちと悔しいんですね。

最近も実はありました。Lくんが,とある相関関係を見つけたというのです。でも,私は全然気づいていませんでした。それを確認するには日数を要することなのですが,私も地道に観察を続けました。すると,確かにそういう相関関係がありそうなんですね。やられた,という感じがしています。

って,それはさておき,SVX4なんで同じ問題がおこるんだろう。。。

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早期退職

2月に辞めないと貰える退職金が減ってしまう制度って...何考えてるんだろう。

昼飯のときの話では,予算を繰り越せない都合ではないかという話でした。私たちも会計年度を跨いで予算を使えないための不便,非効率,無駄な努力の多さに日夜,ってのは嘘ですが,年度末は悩まされていますが,今回の話もそこが根っこだとしたら,財務省ホント呆れます。

今回のことなんて,それなら早期退職してもらい,残りの1ヶ月間をボランティアで働いてもらえば学校の生徒だって不都合は生じないのに,それを許さないって。誰がどうやって決めてるのか知らないけど,頭オカシイです。

でもって,呆れるのではなく腹立たしいのは,貰える退職金が少なくなることを避けるため早期退職する人を責める人がいることです。お前何様なんだ,という気持ちです。報道では一声150万円と言われていますが,そういう人達にとっては150万円なんて無視できるくらいの金額なんでしょうか。で,今度の話で驚きなのは,1ヶ月間無駄働きなのではなくて,働くことによって報酬が減るわけですよ。報酬ゼロで働くなら強制労働ですけど,マイナスの報酬で働くって強制労働よりも酷いわけで,そんな無茶苦茶な制度聞いたことありません。そんな無茶を学校の先生に強いる人の頭の中ってどうなっているんでしょう。

責任感がないとか,子供が可哀相とか,偉そうなことばかり並べてますが,その前にお前がまず150万円寄付しろと言いたいです。毎日毎日,金を払って仕事してから人に言えという話です。というか,こういう聖人ぶった発言を振りかざす人ってそんなにいるんですかね。いや,いるから話題になるのかもしれませんが。そうか,赤字を出し続けている企業で,自分の資産を社員の給料に注ぎ込んでいる人の発言ならあり得るかもしれませんね。

いや,常々,聖人ぶった感情論は気に入らないと思っているので,余計に腹が立ちます。錦の美旗か,水戸黄門の印籠かわかりませんが,論理や合理的な思考なしに言ったもん勝ちの発言,反対しづらい発言ってのが大嫌いです。子供のためとか,弱者救済とか,そういうことを盾に取ればどんな無茶を言ってもやってもOKみたいなところがありませんか。ちなみに,大学で出てくるそういう類いの印籠は,学生のため,です。そういうフレーズが出てきた途端,議論はもう終わりです。客観的な議論になんてなりません。

別のパターンもあります。冷静的な状況判断をそのまま発言できない,そういう発言をすると不謹慎だと言って責められるってのもよくあります。たとえば,人が遭難して行方不明,ほぼ助かる見込みがないというときに,客観的な判断に基づいてどういう行動すればいいのかを言うと,家族の気持ちを逆撫ですると責められます。いや,家族が責めるのはわかりますよ。攻めるの普通でしょう。でも,組織の長みたいな立場の人は他の人に対して状況を正確に伝える義務もあるわけで,それを責めてたら,情報の開示なんてできません。状況は違うかもしれませんが,何か問題があったときに,ダメだと言えずに大丈夫だという発言を記者会見でしてしまうのも,同じ背景な気がします。

水戸黄門の印籠フレーズは勘弁してほしいです。

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