ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

新粒子発見で感じていること

久しぶりの更新になりました。

金曜から昨日まで出張でした。金曜は富山大学と金沢大学合同のセミナーでトーク。土曜と日曜は富山のKさんが中心となってやっているヒッグスの現象論の研究会にちょっとお邪魔して,金曜のトークのダイジェスト版。理論屋さんの話にはついて行けず大抵振り落とされていましたが,雰囲気は満喫してきました。

しかし,考えれば考えるほどヒッグスというのは不思議というか,もっと正確に言うと不自然感甚だしいです。他の研究分野の人にとっては気にならないのかもしれませんが,指導原理のない理論あるいは模型というのは,それが自然を上手く説明できることがわかっても,やっぱりすっきりしません。ゲージ対称性のためにヒッグスを導入してはみたものの,ヒッグスセクターにはどういう原理があるのかわからないので,ヒッグスそのものについての性質は理論でいくら説明されても誰もが納得するということはほとんどありません。ゲージ対称性からゲージボソンが自分で固有の質量を持つのは禁止,仕方がないから真空中にヒッグスが凝縮してると思ってヒッグスから質量をもらっている,とヒッグス機構は考えるわけですが,肝心のヒッグス自身には質量パラメータなるものが存在します。ヒッグスポテンシャルが自発的に対称性を破った後は,質量パラメータはヒッグス自身の自己結合と真空期待値で表せるので他の粒子の質量と同じように考えられないこともありませんが,自発的対称性の破れの前から質量パラメータは存在しているんですね。ゲージボソンに手で質量を与えるのはダメだからヒッグスによって質量が生成されるとしてるけれども,ヒッグス自身の質量は手で入れちゃってるんです。これって問題の単なるすり替えのように感じて,その辺が非常に胡散臭く感じてしまいます。いや,それだけじゃなく,そのうち纏めて不自然さを説明してもよいですが,ヒッグスセクターについては怪しい点が満載です。

今回発見した粒子がヒッグスだとすると,そういう怪しい粒子=理論的に不自然な粒子が見つかったので,これからしばらくは実験が今後の方向性を決める,実験主導の時代になったとも考えられます。いえ,実験屋としてはそういう受動的な感覚ではなく,これからしばらくはヒッグスの性質を実験的に精査してこれからの素粒子物理学の方向を自分たちで決めるんだ,という気概に満ちあふれています。なんというか,実験屋主導の時代が来た,みたいな感覚があります。そうしてヒッグスの性質を明らかにしていき,自然を正しく記述する現象論が構築され,さらにその先にヒッグスセクターに関する指導原理が見つかれば,と思っています。

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大学近況

いやー,昨日はびっくりしました。ヒッグスでニュースになるならいいですが,人が刺されたなんていうニュースはこりごりです。真相が何だったのか学内でも発表ありませんから,マスコミ報道や,周りの人との会話で出てくる不確実な情報しか知りません。個人情報だかなんだか知りませんが,わかってることをどこまでわかってるかハッキリ教えてくれないから憶測が憶測を呼びます。

それはさておき,水曜は大学院生相手の授業の日ですが,今日を1学期の最終日としました。火曜の実験の授業も終えていますので,残りは月曜の電磁気学の講義だけとなりました。しかし,こうなってみるとやはり月曜の授業は遅くまでやらないとならなくて自由度を大きく奪うので,かなり鬱陶しいです。ハッピーマンデーでそもそも1週遅れなのに,なぜか1学期の開始が中途半端な火曜日から。会わせて2週ほど他の曜日よりも授業を終えるのが遅くなります。でもって成績入力が他の曜日と同じというのも不条理です。細かいところでは,授業が3限にある場合は弁当を買っているのですが,その弁当販売は学生数が少なくなる8月はやりません。なにしろ,月曜以外は今週でほぼ授業終わりのはずですからね。けれども,月曜の最終授業は8月に入ってから。なんだかなぁ,という感じです。それに,今週で授業が終わっていれば,暑い日本を脱出して別の意味で熱いCERNに行けるのですが…無念。

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WW

ATLASは,先日のヒッグスセミナー,そしてそれに続くICHEPではH→WWの今年のデータの結果を公表していませんでした。まあ一言で言うとmissing ETの理解が足りないので発表は時期尚早という判断でした。詳しく見ることはできませんが,CMSの分布も結構酷いという印象があります。Bunch crossingあたりの衝突数が30とか40という状況では,missing ETの低い部分を理解するのはやはり難しいです。

ですが,ATLASはちゃっかりとemuチャンネル(一つのWが電子とニュートリノに,もう一つの電子がミューオンとニュートリノに崩壊する事象)の結果だけ公表しました。このチャンネルにはZ+jetsがあまりないので,low missingETの理解が今ひとつでも最終結果に効いてこない,なおかつ,eeチャンネルmumuチャンネルよりも圧倒的に感度が良いのでemuだけで公表する価値がある,というわけです。

その結果は,2011年のデータと違って,γγやZZ同様バックグラウンドよりもかなり上ブレ。というか,標準モデルの期待値よりもかなり多い事象数となりました。Combinationには入っていませんが,もしこれを入れると新粒子発見に関する統計的有意さがさらに一押し上がります。ATLASのγγ,ZZ,WWの結果は,背景事象を上回るexcessどころか,どのモードも標準モデルの期待値より上ブレ。かなりのラッキーです。私はツモは弱い方なのですが,ATLASにはツモの強い人がたくさんいるみたいです。

次はいよいよττ,あるいはbbで,湯川があるかどうかをすっきりと決めたいですね。

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ヒッグス解説会

会場まで足を運んでくださったみなさまありがとうございます。前に大阪で一般向け講演会をやったときは,サッカーワールドカップ日本戦とかぶってしまい,当初の想定よりも来場された方が少なくなってしまいました。今日はサッカーとはかぶりませんでしが,解説会開始2時間前くらいから物凄い豪雨で,会場に来てくださる方いるのかなぁと非常に心配しました。しかも今回はポスターやチラシなどの宣伝なしのまさに緊急企画。全然来場者がいなかったらどうしようかと思いましたが,会場がちょうど満員になるくらいの来場者があり胸を撫で下ろしました。

さらに今回はニコニコ生放送。こちらもどうなることかと思いましたが,滞りなく中継ができこれまたホッとしました。内容もさることながら私の心配はネットワークでした。途中でトラブルでもあったらどうしようとこっそりと(?)心配していたのですが,こちらも問題なく配信ができ,まずはそれだけでも私にとっては成功でした。プラス,来場者数,アンケートの内容,ともにそこそこの数字で,これまた一安心の結果でした。

運営側の気持ちとは別に毎回アウトリーチをやるたびに感じるのですが,参加者の熱意がひしひしと伝わってくるので非常にやり甲斐を感じます。パネルディスカッション,そしておしゃべりタイム,どちらも鋭い質問がびしびしと飛んでくるので,答える私たちにとっても非常に有意義な,そして楽しいひとときでした。手作りの運営で毎回それなりにしんどいのですが,毎回充実感が凄く高くて,終わってみるとまた次やりたくなってしまいます。しかも新しい試みはないかと,そういう前向きな気持ちになれます。アウトリーチと言いつつ,一番楽しんでいるのは私たちなのかもしれません。

最後に,こういう満足度の高い催しにするために裏方作業を頑張ってくれたみなさま,どうもありがとう。

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21日の準備

また同じ話題になって申し訳ないのですが,21日(土)のアウトリーチ企画の話です。

今回は何人くらい聴衆が来るか全然読めないので,200人弱入れる会場とは別に,画像と音声を配信できる教室を別途3部屋確保。スペアとしてさらに200人(?)程度入れるだけのキャパシティを用意しています。今日はその企画の手伝いをしてくれる学生さん4人と一緒に会場のテスト。画像と音声を配信できるか確認しました。合わせて部屋の大きさの測定。というのも,解説会の様子をニコニコさんが配信してくれることになり,カメラ位置などを決めるために部屋の大きさの情報が必要になったからです。いつもの講演会と違うパネルディスカッション風の解説会,それに加えてニコニコでの動画配信と,今回は,解説内容がホットなだけでなく,アウトリーチ手法も新たな試みばかりでちょっとドキドキしています。

色々初めてのことだらけ,かつ,人の捌き方を考えなければならないので,明日の準備打ち合わせミーティングに備えて,今必死に段取りを考えているところです。人数がわからないという不確定要素は,段取りを考える上でなかなかのスパイスとなっています...。

[追記]
ニコニコ生放送の告知が公開されました。
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7/21 14:00~
「神の粒子」発見!? 質量の源『ヒッグス粒子』解説会
http://live.nicovideo.jp/watch/lv100946082
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無農薬有機野菜

梅雨が明けて,暑さがより厳しくなりました。この勢いで暑くなったら電力不足で大変だなぁと思っていたのですが,関西ではもう一つ原発が動き始めて当面の需給逼迫はなくなったみたいでよかったです。計画停電でも,瞬停電でも,家にいる分にはあまりダメージありませんが,仕事をしようと思ったら物凄いダメージです。計算機とネットワークが動かなかったら,ほぼ仕事できませんから。

それはそうと,危険なネタなので今まで触れませんでしたが,今日は軽い原発ネタです。私は推進派でも反対派でもないので(=どっちがいいのか判断できるほど勉強していない)ポイントはそこではありません。原発あるいは化石燃料による発電にも,再生可能エネルギーを使った発電にも,それぞれ長所や短所があります。でもって,どういう発電方法かによってかかるコストも違います。だったら,単位電力あたりの電気料金を発電方法によって変えられたら面白いですよね。火力は1kWあたりいくら,原発だったらいくら,太陽光発電はいくら,風力はいくら...というように値段を分けて,消費者は自分が好きな発電方法で得られた電力を使えたら,噛み合ない議論をするよりも話が単純明快でよくないですか。原発推進派は原発の電力を,反対派はそれ以外を,エコエコ言ってる人は太陽光やら風力を使えば恨みっこ無しでいいと思うんですよね。野菜とかもそうじゃないですか。味がどれくらい違うかはわかりませんが,同じ野菜でも無農薬有機野菜とか高いですよね。それは高いと思って買わない人もいれば,それをよしとして買う人もいるわけで,それと同じようにできたらいいのではないか,と。

はい,もちろん絵空事です。そんなこと技術的にできるわけありませんから。でも,一昨日人と話をしてあまりに面白いアイデアだったので,ネタとして書いてみました。

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ここ数日のこと

先々週のヒッグスセミナー以来慌ただしい日が続いていましたが,日曜日はゆっくりと休むことができました。長男を映画に連れて行き,久々に父親らしいことをしてあげることができました。

昨日は名古屋にてアウトリーチ関連の諸々についてみっちりと打ち合わせ。午後まるまるやったので結構疲れましたが,純粋に物理の議論なんかも多くて心地よい疲れでした。

今日火曜日は,何度も書いてますが,私にとっては週の中で一番予定がぎっちりと詰まっている恐怖の日なのですが,1年生相手の実験の授業は先週で終わったのでだいぶ楽な一日となりました。とはいえ,レポートの採点を午後は延々とやっていました。でもこれで,再提出分を除き大体全てのレポートの採点も終えたので,実験に関しては前期の業務をほぼ終えた感があります。夏休みが近づき,本当に嬉しいのは学生よりも教員かもしれません。ははは。

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もう一回21日の宣伝

7月21日(土)の一般向け解説会の宣伝です。

場所:大阪大学豊中キャンパス理学部D棟D501
行き方は以下を参考に,入口にご注意ください。
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/atlas/outreach/summer2012/Access.html

13:30 開場
14:00 解説
14:30 研究者による公開座談会
15:30 休憩
16:00 研究者とのおしゃべり
17:00 終了時間目安

解説,座談会(パネルディスカッション?),おしゃべり会,に参加確定の研究者は,アウトリーチ仲間のN大学Tくん,K大学Yさん。そして,今回は特別ゲストとしてT大学のバリバリの理論屋Hくんが参加してくれることになりました。いつもと違って,講演会中心ではない新たな企画ですが,なかなかに面白い催しになりそうな気がしてきました。

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MPPC読み出しボードで遊ぶ

KEK測定器開発室グループとMさん,Hくんらで作ったMPPC読み出し用のボードで,昨日,今日と2日間続けて遊びました。去年から使っていて,Tくん,Hくんと伝承されてきていたのですが,HくんはSVX4読み出しをしているので,ここしばらくは使う人がいませんでした。M1に伝授する前に私自身が使い方を3ヶ月くらい前に教えてもらったのですが,結局自分でやる機会を作れず,今までズルズルとほったらかしになっていました。

でも流石にこれではいかんと一念発起。昨日,M1のIくんを捕まえ,一緒に動かしてみようということになりました。しかし,3ヶ月前に一回教えてもらっただけの私の知識では当然色々な問題が発生。Hくんの助けを借りて,ようやく今日はまともに信号が読めました。タイミング調整やなんかもできるようになったので,これでIくん一人でも研究を進められるはずという状態になりました。次はMPPCにファイバーをつけて,宇宙線,あるいはレーザーで信号を見ようかという話になりました。

大学の授業は前期が終わりに近づいていますので,今がM1の研究の開始時期なんですね。他の大学,他の研究グループは知りませんが,Y研究室では,M1前期は授業に専念。単位を集めてしまい,M1の後期以降は研究に集中しようという体制なので,多くのM1の学生の研究立ち上げが夏休み前後になります。

というわけで,Iくんが研究を一人で始められるような下地作りを始めたというわけです。ATLASグループのもう一人のM1Wくんについても,ぼちぼち研究を立ち上げ始める予定です。

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めでたいこと続き

ヒッグスらしき粒子の発見だけでなく,私の周りではプライベートでめでたいことが続いています。

親友の一人に子供が誕生。生まれたのがヒッグスセミナーの前日なので,その子供の誕生日は私の記憶に刻み込まれそうです。色々と大変だったらしいので,無事に生まれて本当によかったです。

別の親友からは,先月結婚したという嬉しい知らせをつい先日貰いました。詳しいことは書けませんが,特別な事情により私としては彼が早く結婚することを長いこと願っていました。なので私も嬉しさひとしお。

普段確率を振り回す私ですが,良いニュースって続くものだなぁと思ってしまいました。

二人とも,本当におめでとう。

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新聞記事の方が早い?

ヒッグス発表関連のお祭り騒ぎの裏で,加速器はテクニカルシャットダウンから順調に立ち上がり,セミナー当日も淡々とデータ収集を行っていました。検出器の運転は日々続くわけで,データ収集のための地道な努力を重ねている人々がLHC実験成功の立役者でもあります。

そんなLHC実験ですが,ランが少し延長されることになりました。年内でランを終えて,年明けからは重心系エネルギーを14TeVになるべく近づけるべく加速器の修理を行うために1年半程度の長期シャットダウンに入る予定でした。この予定では,10月中旬に陽子陽子衝突を終え,年内の残りの期間はイオン衝突するはずでした。ところが,年内一杯,実際にはクリスマスの少し前まで陽子陽子衝突を延長し,クリスマスシャットダウンの後イオン衝突,ということで約3ヶ月間ランを延長,シャットダウンを遅らせることになりました。

しかし驚いたのは,その情報の伝わる早さです。先週知ったこの情報を,週末の研究会に来ていた理論の人がすでに知っていましたし,今朝の朝刊にすらすでに載っていました。油断してると,グループ内の人間よりもマスコミの人のほうが重要な情報を知るのが早いのではないかと恐ろしくなりました。誰かの番記者みたいな人がもやはいるんですかね。なんか,こう,微妙な気分です。

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日常へ戻る

昨日の研究会でのヒッグスの話はなんとか無事に終えることができました。4日にCERNで発表,そしてその翌日からFPGA講習会,特定領域研究会と催し物が連続していましたが,今日,大学で授業をするといきなり日常に引き戻された感があります。お祭り気分がいきなり抜けた気分です。

一方で,7月21日の緊急解説会と8月以降に各地を巡業する一般向け講演会の準備に相変わらず追われています。私たちのアウトリーチは,企画,立案,講演はもちろんのこと,ポスター・チラシ・ウェブでの宣伝,会場の設営その他一切合切を首謀者数人で自らやっているので,今回のように急ぎで準備しようとすると本当にてんやわんやです。どこぞの大学や研究所みたいに,このテの活動を専門でサポートしてくれるスタッフが物理学科あるいは理学部にいてくれると大助かりなのですが...。

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特定領域研究会

今日は,ヒッグスらしき粒子発見に関するトークを特定領域研究会というところでするために,奈良県の吉野に行ってきます。と言ってもトークは明日の朝イチ。明日の早朝家を出ればギリギリ間に合うかもしれないのですが,遅刻が怖いので前泊することにしました。家も大学も大阪の北部なので,吉野まではかなり遠いです。時間にしたら東京のT大あたりに行くよりももしかするとかかってしまうのかもしれません。

なんてことを言ってますが,行くことよりも問題は準備です。4日のセミナー後はFPGA講習会や,アウトリーチの企画準備に追われて,今慌ててスライドを集め,資料を眺め,自分のスライドを作っているところです。今日はメルボルンで開催されているICHEP2012という高エネルギー業界最大の国際会議の一つで,ヒッグスのパラレルセッションが開かれます。すでに,講演者ほぼ全員のスライドがagenda systemにアップロードされているので,とりあえずそれらをダウンロード。コンピューターに集められるだけの資料を集めて吉野に持って行くつもりです。というのも,その特定領域研究会は研究に集中するために(?)ネットワーク環境のない会場,宿舎なんだそうです。

ところで,こういう時のトークで私が気になるというか面倒だと感じるのは,どの結果を見せて,どの結果を見せてはダメなのかというcollaboration内のルールがはっきりわからないところです。研究という観点からは公表が許されていないプロットや数字なんかに面白いものがあること多いですし,今回のようにインパクトの大きい結果のときは,普段のcollaboration内の手続きとは違うpathで結果が出てきたりするので,これが公表OKなもの,というはっきりとした資料がなかったりして,ちょっと神経を遣っています。

それにしても,ヒッグスのセミナーの後は急に忙しくなりました。アウトリーチを自ら沢山やることにしたというのが大きな原因の一つですが,それ以外にも今回のトーク。それから,また別の研究会からセミナーの依頼も来ています。でも,こういう機会は何十年に一回。有り難い忙しさですね。

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アウトリーチ緊急企画

今回のヒッグスらしき新粒子発見をうけて,一般向けの解説および講演会等を企画中です。

まずは大阪大学での緊急解説会を7月21日(土)に大阪大学理学部で行います。これは講演会というよりも,初めての試みのパネルディスカッション風,座談会風の催しです。ポスターやチラシの準備もせずにウェブだけで宣伝しようとしてますのでどれくらいの人に集まってもらえるか不安なのですが,とりあえずニュース性を重視した企画です。

それからもう一つは,何度かやっている講演会です。3月に名古屋でやったときのように研究者と話をする時間を多く設けます。ただし,こっちの企画の特徴は,同じ内容の講演会を名古屋を皮切りに,大阪,神戸,福岡と4箇所で行うところです。アウトリーチ全国行脚といった感じでしょうか。こちらはまだ不確定要素があるのですが,
8月19日(日)名古屋
8月26日(日)大阪
9月22日(土)神戸
?月??日(土)福岡
の日程で開催する予定です。福岡の日時は9月末が有力ですが,今のところまだ確定していません。7月21日に比べれば緊急度は低いですが,それでもポスターやチラシを準備するとなるとかなり切迫した日程です。TくんとYさんがどんどん準備を進めてくれて助かります。

興味のある方,ぜひお越しください。どちらの企画も私たち研究者と話をする時間を長く設けますので,聞いてみたいと思うことをお持ちの方には特にお勧めです。

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激励の言葉を送ってくださった皆様

本当にありがとうございます。

色々な人から,懐かしい人から,メッセージを送ってもらって本当に感激しています。ヒッグスらしき粒子が見つかり,みなさまから激励の言葉をいたたき,物理をやっていてよかったなぁと実感します。つまらないブログだと思いますが,これからも頑張って続けていきます。

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夕刊ニコニコニュース

今日18時からの夕刊ニコニコニュースというものに,声だけ出演することになりました。15分の番組の冒頭2,3分をヒッグスのニュースに使うので,電話でコメントを喋るという内容です。ニュース全体で2,3分ですから,私が喋る時間はせいぜい30秒くらい。その短い時間で今回の発見の意味や意義なんかを喋るというのはかなり難しいのですが,引き受けたからにはベストを尽くすべく何を喋ったらいいか今考え中です。

その一方で,今日,明日と,FPGA講習会を主催。オフィスと講習会会場の間を走り回っています。

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興奮さめず

ヒッグスを探してきた人間としては,興奮が冷めません。
とりあえず,ATLASとCMSの公表した結果が以下で詳しく見られます。

ATLASの結果
CMSの結果

CMSのほうがexpected significanceは高いですが,ATLASはラッキーで,同じくらいのobserved significanceになってます。CMSのγγの質量分布が美しいのには驚きました。しかし,勝負はこれから。発見したのはあくまでヒッグス粒子らしき新粒子であって,ヒッグスボソンかどうかはこれからの実験結果次第です。ゲージ結合と湯川結合の大きさを,いえ,まずは,特定のフェルミオンに対する湯川結合が存在するのかどうか,そこら辺を是非測りたいですね。私たち大阪グループが注力するH→bbがいよいよ重要になってきました。Oくん,頑張ってくれ。

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ヒッグスボソンとみられる粒子を観測

今ヒッグス探索最新結果のセミナーの真っ最中ですが,CERNのプレスリリースに記事が載りました。以下がATLAS日本グループによる日本語訳です。

###引用開始###

長年探索してきたヒッグスボゾンとみられる粒子を CERN の実験で観測

ジュネーブ発 2012 年 7 月 4 日、本日のCERNでのセミナーは、メルボルンで開 かれる今年の重要な国際会議ICHEPの序幕となるものであるが、そこで、 ATLAS と CMS の両実験は長年続けてきたヒッグス粒子の探索に関して最新の暫定結 果を発表した。両方の実験ともに質量 125-126GeV 付近に新粒子を観測した。

「私たちは、126GeV 付近の質量領域に、5σ程度の、顕著な新粒子の信号を観測し た。LHC と ATLAS 測定器の非常に優れた性能と、多くの人の多大な労力により、こ のすばらしい結果が出てきた。」ATLAS 実験代表者のファビオラ・ジャネッティ氏 は語る。「しかし、この結果を論文として正式発表するまでにはもう少し時間が必 要である。」

「今日見せる結果はまだ暫定的なものであるが、125GeV 付近に 5σの信号が見えて いるということは画期的だ。これはまさに新粒子である。(スピンが整数の)ボゾ ン(ボーズ粒子)であることがわかるので、これまで発見されたボゾンの中で最も 重いものだ。」CMS の実験代表者のジョー・インカンデラ氏は語る。「これが意味 するものは非常に重要で、だからこそ私たちは非常に念入りに解析と検証を進めな くてはいけない。」

「この結果には興奮を禁じ得ない」CERN の研究担当副所長のセルジオ・ベルトル ッチ氏は続ける。「昨年、私たちは『2012 年にはヒッグス粒子のような粒子を発見 するか、標準理論が言うヒッグス粒子を否定できる』と言った。非常に慎重に進め ないといけないが、私には今や重要な分岐点にいると思われる。この新粒子が観測 されたということで、さらに精密な理解をするための今後の道筋が見えてきた。」

今回セミナーで見せた結果は「暫定的」なものである。2011 年と 2012 年に収集し たデータを基にしているが、2012 年のデータはまだ解析途中にある。今回の解析結 果の最終公表は 7 月末になると考えられる。LHCの両実験がさらにデータを収集 した後に、今年中には今回の観測結果の全体像が見えてくる。

この粒子の性質を精密に測定し、宇宙を理解するうえでどのような役割をはたして いるかを明らかにすることが次のステップである。この粒子の性質は、長年探して きた標準理論最後の未発見粒子、ヒッグスボゾンと一致するのか?あるいはもっと 奇妙な粒子であるのか? 標準理論は、我々自身やや宇宙で実際に見えている物質 を形作っている基本粒子の性質と、その間に働く力を記述する理論である。しかし 我々が観測できる物質は宇宙全体のわずか 4%に満たないと考えられている。ヒッ グス粒子の性質が標準理論の予想と異なることがわかれば、まだ得体のしれない宇 宙の 96%の成分の理解につながる可能性がある。

「自然を理解する上での新たな段階に入った」CERN 所長のロルフ・ホイヤー氏は 語る。「ヒッグスボゾンとみられる粒子の発見は、それの詳細な研究へと続いてい く。たくさんのデータを溜めることで、新粒子の性質をさらに調べることができ、 そこから我々の宇宙の他の謎を解き明かすことができるかもしれない。」

新粒子の特徴をきちんと同定するには、多くのデータと時間が必要だ。しかし、ヒ ッグス粒子がどのような形で現れようとも、物質の基本構造に対する我々の理解は、 今まさに次の段階に進むといえる。

###引用終わり###

素晴らしいっ。

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Tevatronヒッグスの結果

明日のCERNでのヒッグスセミナーを前に,Tevatronが最終結果(?)を公表しましたね。プレスリリースされてますし,2012夏の結果というサイトもありました。

今から授業なので,最後の結果と各チャンネルでの結果のプロットを眺めただけですが,LHCのようにmass peakを作るモードで信号らしきものが見えてるわけではないので,最近のFermilab,というかCDFの無茶苦茶な結果同様,かなり微妙だという印象を受けます。以下感度がありそうなモードの結果に対する感想です。

CDFのH->bb:上ブレしているが,質量分解能が悪いからか,分解能以上の幅で上ブレしてるのかわかりませんが,とにかくenhancementの領域が非常に幅広いので信号らしく見えない。
CDFのH->WW:背景事象と無矛盾。
DzeroのH->bb:背景事象と無矛盾。
DzerのH->WW:上ブレしてるが,分解能がないので判断しずらい。

一目気になったのは,上記2012夏の結果の一番したのほうにある背景事象を引いた後のH->bbの質量分布。実データの分布を半ビン分くらい左にズラすとexpectationとよく合うようになって,130GeV付近のenhancementが消えてしまいそうに見えます。最初はジェットエネルギースケールかと思いましたが,CDFとDzeroの結果のコンビネーションなので,そういう話ではありませんよね,きっと。見せているピークは物凄ーく莫大な,しかもフラットではない背景事象を引いた後の分布なので,形があっていないのかもしえません。そういえば,CDFにはb-tagなしのときに130GeV付近にenhanceありましたよね。そういう胡散臭いものを平気で公表しているだけに,信憑性が下がってしまいます。

LHCのH->γγ,あるいはZZのように,ピークを作り,ある程度その分解能がよくないと,信号かどうかの判断というのは博打みたいなものですね。背景事象よりも単に数が多いというだけでなく,そのenhancementのある領域の幅が,検出器の分解能と一致しているかどうかというのは,信号っぽいかそうでないかの判断の重要な材料となります。

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運転免許証更新

先日,車の運転免許証の更新に行ってきました。日本では20年以上無事故無違反なのですが,数年サイクルで日本とアメリカの間の引っ越しをしていた私は,免許証の更新のときは毎回初心者講習を受けていました。今回初めて優良者講習という短い講習になって,今の職に就いてからかなり時間が経っていることを実感しました。

いや,ホントは,過去講習をを受けるたびに,なんで毎回毎回初心者講習(=免許証も新規発行)を受けなくてはならないのか,なんで人材の国際交流を妨げるシステムばかり日本の役所は作るのか,と腹を立てていた自分を思い出しました。講習時間も長いし,金も多く取られるんですよね。外国で運転していた証拠,長期にわたって海外在住だった証拠等を提出しても,初心者講習になってしまう理不尽さにいっつも腹を立てていました。

それはさておき,優良者講習というのは30分なので短いと言えば短いのですが,それでもやはり退屈は退屈です。でも,私はその講習で配られた交通教本を見て退屈せずに30分間過ごせました。というのも,交通違反のペナルティ一覧が私の興味をひいたからです。罰金あるいは点数制度で判断する違反の悪質度(?)の度合いと,私の感覚がかなりかけ離れているんですね。いえ,一致するものも多いのですが,大きくかけ離れているものを発見して,それで興味津々になってしまいました。

たとえば信号無視。罰金たったの9千円なんですね。信号無視したらかなりの確率で事故が起きると思うのですが,他の事故の原因となる確率が信号無視に比べて圧倒的に低いと思える他の違反とあまり変わらないのです。ちょっと驚きました。ちなみに点数の加算はたったの2点。ちなみに,厳しいとよく言われる酒気帯び運転は酔っぱらい度合いに応じて13点か25点。信号無視もそれくらいの処分があってもいいと思ったのですが,あまりの甘さにびっくりしました。だから,うちの近所では信号無視が多いのかと妙に納得したりもしました。見通しがいいところで,自分以外に誰もいないから無視,というのは,まあそういう人もいるだろうなと思ってしまいますが,私が近所で遭遇するのはそうではなくて結構悪質です。歩行者のときは轢かれるのではないかと思うことありましたし,車を運転してるときは私のほうが青なのに横から車が飛び出してきて急ブレーキを踏んだこともあります。そういう危険な運転の行政処分の軽さに本当に驚きました。

それ以外にも,なんでこれがこんなに罰則軽いんだろう。逆になんでこれがこんなに重いんだろう,と感じるものが幾つもあって,何を基準に誰が処分を決めているのか考え始めたら30分なんてあっという間でした。いやー,無茶苦茶と思える罰則一覧のおかげで,講習の間退屈せずにすみました。

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