ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ヒッグス粒子の不思議さ

今日もまた東京に来ています。高エネルギー委員からは解放され,将来計画検討小委員会なるものの活動も答申を出したことで一区切り。とうわけで,これらの委員会活動が最近はなかったのですが,今日は,高エネルギー委員会と小委員会の合同委員会があって,それで例のごとくT大学に来ました。

そこで人と会えば当然出る話題はヒッグス探索の現状。素粒子物理をやってる人間なら当然気になる話題ですし,新聞報道などもされてますので一般の人でも興味を持ってる方多いのではないかと思います。嫁の母親ですらヒッグスについて言及してたそうですし。けれども,周囲の学生からはなんにも聞かれないんですよね。ATLASをやってる学生やってない学生にかかわらず,Y研究室かそうでないかにかかわらず,誰からも全く何も聞かれません。そこら辺のメンタリティがどうなってるのか私には分からず不思議なのですが,まあ,それは今書こうとしていることではありません。

ヒッグス探索をしてる人間が言うのは妙かもしれませんが,いや,探しているからこそより強くそう感じるのかもしれませんが,ヒッグスボソンってもし存在したとしたら相当不思議な粒子です。まず,素粒子物理学上未確認のスカラーの素粒子です。でもって,力を媒介するゲージボソンではないのにボソンなんですよ。ボソンってことは排他原理が働きませんから,複数の粒子が同じ状態に入れます。無茶苦茶不思議です。私には直感的にそれがどういう状態なのかイメージすらできません。しかも,よく言われますが,ヒッグスボソンはフェルミオンと相互作用するとき相手が誰かわかるんですよね。素粒子には顔も名札もついていないのに,相互作用する相手が誰か区別できるという極めて不思議な性質を持っています。

よくそんな無理矢理な粒子の存在を仮説とはいえ考えたものだと感心します。そんな怪しげな粒子の存在の有無に結論が出るのか,7月4日のセミナーは私自身も本当に楽しみです。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

壁をこえた?

昨日のエントリーで,ピクセル読み出しに苦労しているということを書きました。しかし,TITまでJくんと二人で行ったのは無駄ではなかったみたいで,Jくんが昨日TITで集めた様々な測定結果をもとに,問題と思われる箇所を今日発見しました。本人はもっときちんと確認してからKEKのTくんに報告すると控えめに言ってますが,私から見ると明らかにそれが原因。複数の原因があるのかもしれませんが,少なくとも一番の大きな原因であることは間違いなく,嬉しくてしかたありません。

その原因というのは,configするパラメータの間違いで,もっとも高い可能性の一つではありました。ただし,マニュアルが間違っていたというのが罠でした。パラメータの数が多いので絨毯爆撃で全ての組み合わせを試すことは不可能。そこで,TITの動いているシステムで,実際に送っているパラメータ=0と1が並ぶビットストリームをオシロスコープで確認,それを私たちのシステムで送っているものを比較しました。それでようやく間違いを,マニュアルの間違いを見つけ出すことができました。

いやー,よかったです。昨日はTITに行ったのに原因を特定できなかったので元気がありませんでしたが,今日はだいぶ元気が出ました。これでJくんの研究内容も大きく前進するはずです。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ピクセルの読み出し苦戦中

今日は日帰りでTITのJくんのところに来ています。ATLASアップグレード用ピクセル検出器の信号読み出しシステムを自前開発しようとしているのですが,これに苦戦中。大まかなフレームワークはKEKのTくんによって整備されて,とりあえず信号を読み出すことはできるのですが,その先のステップになかなか進めません。

一つのチップが数万ピクセルを読み出すのですが,各ピクセルの入射粒子に対する反応を揃えるためには,実際に使う前にテストパルスを入力して,数万ピクセルの反応が揃うように調節しなければなりません。システムがきちんと動いていれば数万ピクセルであろうとソフトウェアを頑張ればなんとかなるのですが,テスト用の入射パルスを思ったように入射できないという問題を抱えています。この問題を解決すべく,TITにあるATLASの別グループが開発した読み出しシステムの挙動を事細かく調べるべくTITまでやって来ました。

私は日帰りですが,この研究をメインにやってるM2のJくんは昨日から問題をつきとめようと頑張っています。Kくんの助けを借りて,私たちが持ってるハードウェア自身に問題がないことは確認。その他,彼らの持ってる読み出しシステムと私たちのシステムの違いを洗い出し,結構色々なところに違いがあることはわかったのですが,問題の原因究明には至らず,残りは大阪に帰ってからということになりました。Jくんは読み出すべきASICのマニュアルを擦り切れるくらい読み込んでいて,チップに関しては非常に詳しいので,この壁を乗り越えてシステムが動き出せばその先は今までよりもスムーズに進むと思うのですが,いかんせん目の前の壁で立ち往生しています。

なんとか助けてあげたいのですが,SVX4とは違い,私自身がそのチップのことをわかっていないので,なかなか良いアドバイスをしてあげることができません。なんとか早く問題解決の糸口を見つけてくれるといいのですが。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

なぜMacが少ない?

この前の土曜に,高校生への講義をしに行ったときの雑感です。

合同の大学説明会なので,私のように講義をしに多くの大学教員が会場には集まっていました。様々な大学から人が来てましたし,私たちの大学は地元の大型大学なので参加教員も多く,大きな教員控え室が用意されていました。そこで気づいたのですが,Macを使っている人が非常に少ないのです。私たちの研究室が特別なのはわかっていますが,素粒子物理関係者は実験,理論を問わずMac比率はかなり高いと認識していました。

が,しかし,その控え室ではMacを使っている人の比率が極端に低くちょっと驚きでした。出張時に空港やら新幹線の中でラップトップを使っている人を見ると,日本ではヨーロッパに比べてMac普及率凄く低いなと感じていたのですが,それはビジネスの世界,あるいは一般の人の世界でのことで,アカデミックの世界ではそれなりにMacを使っている人が多いかと勝手に思っていたのですが,どうもそうでもなさそうです。もちろん,私の勝手なバイアスに基づく判断なので実際の普及率は全然知りませんが,もし私の感覚通りだとしたら,なんで日本人はWindowsが好きなんでしょうね。

会社の人がWindowsを使うのはなんとなく理解できます。きっと,管理上の問題やら何やらで会社からWindowsを使うことを強制(?)されているのでしょう。でもアカデミックの世界ではそういうことありませんから,自由意志でWindowsを使っているわけですよね。コンピュータといっても,高エネルギーのような使い方はせず,メールとOfficeしか使わない人がほとんどなんですかね。それならば,まあ,Windowsで十分だし,Office for Macの狂った使いにくさを体験しないですみますから,そのほうがいいのかもしれません。

と,色々想像を巡らせるとなんとなく腑に落ちたような気がしてしまったのですが,でも逆に,なんでヨーロッパに行くとあんなにMacユーザーに出逢うんだろう?

日常 | コメント:1 | トラックバック:0 |

ヒッグスセミナー

ご存知の方が多いかもしれませんが,7月4日にCERNでヒッグス探索に関するセミナーが開かれることになりました。ICHEPという大きな国際会議が7月初めにあり,7日と9日のヒッグスのセッションで今年の結果(+去年のデータの再解析の結果)を公表するのかと思っていましたが,CERN上層部の要望によりそれよりも前にCERNのセミナーで結果を公表することになりました。重要な結果は何が何でもCERNのセミナーで,プレスリリースもそこで一緒に,というCERNの帝国主義を感じてしまい,ちょっと嫌な感じです。

それはさておき,発表内容はどうなるんでしょうね。と,こういう書き方をしているのは,私自身がCMSの結果を知らないからです。ATLASとCMS両方の結果を見てconsistency checkしたいという意味ではLHC部外者と同じ感覚です。7月4日のCMSの結果は私も楽しみです。

そのセミナーは今度もまたウェブキャストされるようです。詳しくはCERNのプレスリリースのサイトをご覧下さい。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

本執筆中

しばらく前に決まったことなのですが,12月の出版を目指して,アウトリーチをいつも一緒にやってるYさん,Tくんと共著で本を出版することになりました。ヒッグス探索をネタに素粒子物理,特に実験的な部分について一般向けに解説する内容で,最初の締め切りが8月と結構タイトなスケジュールなのですが,いつも私たちがアウトリーチで講演している内容とピタリと一致しているので,私としてはあまり苦しまずに執筆できてます。

というか,出版社の企画会議用に原稿の一部分を送ったのですが,そのために私は自分の担当分の半分近くを書き上げてしまったので,すでにわりと余裕があったりします。もっと言うと,性格がいい加減なので,出版社に渡す原稿すらあまり真面目に推敲せず,このブログを書いてる調子でガンガン書いてしまいかなりの短時間で文章を書けてしまうんですね。実際,編集会議用に送った一つの章に相当する私の担当分を約半日で書けてしまったのには自分でも驚きました。って,中身が雑なだけだという可能性も極めて高いですけど。。

そんなわけで,昨日も子供の相手をするかたわらちょこちょこと原稿を書き貯めました。もし出版されたら,宣伝をぜひお願いします。あ,もちろん私たちの印税のために購入もよろしくお願いします。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

夢ナビライブ

夢ナビライブ大学合同案内というのに行ってきました。インテックス大阪という南港にある国際展示場で行われている(た)のですが,いやー,高校生の多さに驚きました。あんなに大量の高校生を目撃したのは,自分が高校生だった時にウルトラクイズの高校生版の高校生クイズの予選に行ったとき以来でしょうか。大学入試というのが大きな産業になっているんだなぁ,と改めて変なポイントに感心しました。

それはともかく,私には未体験の30分での高校生相手のトークは,そこそこ無難にこなせました。分量が多めなのはわかっていたのですが,面白いポイントを削ることなく30分以内に収めるのに難儀して,時間内に終わらせられるか心配していました。ですが,スキップしてもいいと思っていたスライドを1枚スキップしただけでなんとか30分ちょうどにまとめることができ,とりあえず一安心。30分バージョンという引き出しが一つ増えました。

その30分のトークのあとは,別のブースで高校生からの質問を受け付けたのですが,その数の多さと熱心さに驚きました。比べてはいかんのでしょうが,他の講演者には全然質問者がいなかったり,いても1人か2人。時間も5分かせいぜい10分で皆いなくなっているのですが,私のところには10人以上がずーっと残って私を質問攻め。最初はもっと人が多くて,質問する時間がなくて泣く泣く次の講義を聴きに行く高校生もいたくらいでした。結局,彼らから解放されたのは,講演のさらに1時間後。物理の人気,あるいは素粒子物理の人気の凋落を日々心配している教員の一人ですが,他の分野よりも素粒子物理に興味を持ってくれている高校生が多いことがわかってちょっと嬉しい気持ちになりました。

それと,そうやって熱心に質問をしに来る高校生は,こう言っては身も蓋もないのですが賢いんですね。私がそれなりにややこしい概念を説明してもちゃんと理解する子が多いし,彼らの質問も非常に鋭いものが多く,質問に答える私にとって非常に楽しい時間でした。大学説明会(大学の入試課)の片棒を担ぐために土曜日にわざわざ南港まで行くのは面倒だなぁ,とまあ正直思っていたわけですが,熱心な高校生の質問攻めにあうと,そういう気持ちはすっかり吹き飛びました。引き受けるかどうか迷った仕事ですが,やってよかったです。担当のYさん,ありがとうございました。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

実験を終えようとしない学生

前回のエントリーで,火曜日の実験の授業がシンドイという話を書きました。それで思いついたことがあります。

その授業の担当は外れたくても外れられなくて,もう5,6年目くらいの担当になります。同じ授業をずっと継続して担当してるので学生たちの変化をそれなりに感じるのですが,感じる変化で一番強く感じるのは,実験をさっさと終えて帰ろうとしない学生の比率が年々増えていることです。話をわかりやすくするために単純化すると,5,6年前は,実験を真面目にやりさっさと帰ろうとする学生と,実験なんてどうでもいいから内容なんて理解できなくてもとりあえず帰っていいというお墨付きを教員から早くもらって帰りたい学生,というように2分できました。後者に関しては,教員としては望ましくないのですが,そういう学生が存在すること自体は理解できます。単位だけ取れれば大学の授業なんてどうでもいい,早く帰って遊びたい,あるいはバイトに行きたい。そういう学生ですよね。ですから,真面目に授業内容を理解しようという意志があるかどうかとは無関係に,多くの学生が早く帰りたいという一心で(?)実験をさっさと進めていました。

ところが,年が経つにつれて,実験を終わらせようという意志の希薄な学生が増えているんですね。実験内容を深く理解したくて時間をかけてやってるという学生もたまにはいますが,そういう学生の比率は前とそんなに変わりません。増えているのは,実験をやるでもなく,家に帰りたいという意志があるわけでもなく,ただボーッとしている学生なんです。私も真面目な学生ではなかったので,とりあえず実験を終えて早く帰りたいという学生の気持ちは非常によくわかるのですが,実験をさっさと片付けようとしない,かつ,授業から解放されようともしない学生の気持ちというのが全然理解できません。勉強を熱心にやってくれるのが一番ですが,年代的に遊びたくて仕方ないのではないかと思うんですね。それなのに,帰ろうともせず,無為に時間を過ごす学生というのはどういう心境なのか,非常に理解に苦しんでいます。

それと似た現象なのですが,敢えて混んでいるエレベーターを利用しようとする人々を目の周りで見かけて,それも私には理解不能なことの一つです。私たちのオフィスのある建物には,物理学科の領域(?)にエレベーターが並んで2台,化学科の領域に同じく並んで2台あります。正確には宇宙地球専攻も建物としては繋がっていますが,今する話には影響がないので省きます。物理学科と化学科の位置関係はというと,テキストでズレないといいのですが,(やはりズレルので画像ファイルを追加)

-----------------========================
| | | |
-----------------========================
| | | |
-----------------========================
| | | |
-----------------========================

elevator

上記のようになっています。-は化学科,=は物理学科,|はエレベーターを表してるつもりです。それで,私が不思議に感じるのがどういうときに起こるかというと,昼前の弁当売りの時間です。上の図だと1階の一番右端,物理学科のエレベーターホール前で昼前に弁当を売っているんですね。3限に授業があって昼飯を食べに行く時間のない私もよく利用してます。そこで,物理学科の人間,特に化学科から離れている側にオフィスのある人間が物理学科側のエレベーターを使うのは自然で理解できるのですが,化学科の人間が物理学科側のエレベーターを使うのは私にとっては理解不能です。上の図を見てもらえばわかりますが,構造上,また人数的にも物理学科のほうが化学科よりも圧倒的に多いので,物理学科側のエレベーターの方が普通に混んでしまいます。実際,昼前の弁当を売ってる時間帯の物理学科側のエレベーターは非常に混んでいて,短気な私には待っていられないようなことが多々あります。いえ,短気でない私でも待ってられなくて歩き始める人は多いです。

というような状況ですから,私のオフィスが化学科のほうにあって,なおかつエレベーターを使いたければ,私なら化学科側のエレベーターを使います。同じ距離の道が2本あれば,混雑してない方を選ぶのが普通というか,何も考えてなければそうしてしまうと思うのですが,化学科の人たちはなぜゆえに物理学科側の敢えて混んでいるエレベーターを使おうとするのでしょうか。絶対値はもちろん大したことないですよ。日に数分の時間を無駄にするだけです。私の価値観からは受け入れ難いですが,多くの人はそれくらいの時間の無駄を気にしていないことは百も承知しています。ですが,なんというか,人間の行動パターンとして自然じゃなくて奇異に見えるのです。4車線の道で,行き先が分かれているわけでもないのに,なぜか,特定の2車線だけしか車が走っていないような,そういう不自然さを感じるのです。しかも,観察してると多いんですね,私にとって理解不能な行動をとってる人が。

謎です。私にとっては理解できない行動パターンにも,何か合理的な理由があるんでしょうかね。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

先送りでぬか喜び

火曜日午後の実験の授業は13時から18時までという長丁場。しかも,休憩の暇無くちょっとした時間には大量のレポートの採点をこなさなければならず,しかも,理学部からはちと離れた共通教育棟まで歩いて往復する時間も必要,と数々の苦行(?)が重なるために,今私が担当している授業の中では圧倒的に疲れます。しかも,火曜日は,午前中は研究室のミーティング,夕方はその授業が終わった直後からATLAS関連の解析ミーティング,と一日中みっちりのスケジュールなので余計にその授業に疲れを感じます。

ところが,昨日は台風の影響で警報が出たため,大学の午後の授業は全て休講。その授業も休講になりました。その知らせを聞いた私は嬉しくて,研究室の秘書さんやら学生やらに午後は休講だ休講だと触れ回り,小学生ばりに喜んでますねと皆から言われました。さらに,小学生なら授業がなくなればそれはラッキーでしょうが,私たちの大学の低学年教育では休講というのは実質上なくて,結局後で補講をしなければなりません。そうです,担当する授業が減ったわけではなく単に先送りになっただけなのです。もちろんそれはわかっているのですが,それでも目の前の難事が突然無くなる(無くなったように見える)と大喜びしてしまう私って,なんて頭が悪いんだろうって感心しました。

ところで,警報まで出させた台風ですが,私が住んでる辺りにはほとんど影響ありませんでした。むしろ,警報が出る前のほうが雨が強く,警報が出た後は風はまあそれなりにありましたが雨はほとんど降らず,かなり拍子抜けの台風でした。でも,次の台風がもう来てるんですね。今週の土曜日は,大阪南港のインテック大阪という国際展示場(?)で大学案内の一部として高校生相手に講演をするので,少しだけ天気を気にしています。この時期一番嫌なのが蒸し暑いことですが,台風もやっぱり嫌です。土曜日,なんとか爽やかな天気になって欲しいものです。って,それはこの時期無理か。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

SVX4からの信号読み出し

かなり前にも書いたような気がしますが,Fermilab時代にシリコン検出器からの信号読み出し用に開発されたSVX4というASICの試験をやっていたことがあります。もともとSVX4は,幻のTevatron Run2b計画で使われる予定に開発されたものなのですが,その計画が幻に終わったため(アメリカは政権が変わったり財政事情が変わると,科学計画も瞬時に変更になり,すでに走っている計画でも容赦なく打ち切りになります),Tevatron実験ではDzero実験のシリコン検出器の最内層に入れた小さなシリコン検出器だけにしか使われませんでした。その後,SVX4はBNLのPhenix実験のシリコン検出器アップグレードに使われ,結局のところPhenixが最大顧客となりました。

そのSVX4を使って小さなシリコン検出器を作ろうとしています。シリコンセンサーの開発時などには,開発中のシリコンセンサーの入射粒子に対する反応を調べるために,ビームテストあるいは宇宙線を使った試験を行います。その際,試験すべきセンサーのどこに粒子が入射したかを精度よく決めるための別の検出器が必要となります。このreference用の検出器のことをtelescopeなどと呼び,それを作ろうとしています。

試験すべき対象が微細な構造を持ったシリコンセンサーですから,referenceとなるtelesope検出器は高い位置測定精度(10μm)が要求されます。これを達成するには,ストリップピッチの狭いシリコンセンサーと,センサーからの信号をアナログ読み出しすることが必要になってきます。この用途に上手い具合にマッチするのが私の使ったことのあるSVX4ということで,SVX4を読み出しASICとしてtelescopeを作ろうということになりました。

シリコンセンサーに関しては,センサーフェチ(?)のKEKのUさんに任せればすぐに(?)用意してくれます。よって,私たち大阪グループの重要タスクは,SVX4を動かすことになります。ただ,私が使ったことがあると言ってもすでに10年以上前。しかも,私が試験を始めたときにはLBLグループがすでに読み出しに成功していたので,彼らのノウハウをもとに試験を行い,エレキに関しては細かいことを全く覚えていません。という状況で,修士課程の学生のHくんに,ハイブリッドの回路図をもとにSVX4をマウントするボードを設計してもらい,とりあえずconfigurationできないかとここ1ヶ月ほど悪戦苦闘していました。

Hくんはボードを作っただけでなくFPGAも勉強して頑張ってくれていたのですが,いくらconfig用のビットパターンを送っても,チップから反応が返ってきてくれませんでした。そこで,KEKのFPGAの専門家のUさんやIさんに相談に行ったところ,私たちが怪しいと思っていたのとは別の場所に問題がありそうだということを指摘され,その対応をボード上ですべく,先週に引き続きHくんは昨日からKEKに行き,今日は朝からKEKで作業をしていました。

その彼からさきほど「もしかしたら動いたかも」とオシロスコープの写真が送られてきました。はい,どうやら動いたみたいなんですね。ConfigしようとSVX4に送ったビットパターンと同じようなビットパターンがSVX4から返ってきています。いやー,素晴らしいっ。指摘された箇所と私たちが怪しいと思っていた箇所以外には,いくら回路図等を眺めてみても間違っているような場所が見当たらず,今回の応急処置で動かなかったらどうしようかと内心ビクついていました。Hくんには,そこさえ直せば絶対動くと言ってたんですけどね。ははは。

それはさておき,とにかくよかったです。これでSVX4と交信できていること,正確にはコントロール信号を正しく送れていることを確認できました。次は,configurationに対してSVX4の応答が変わるか確認です。それをクリアできれば,いよいよ信号を読み出すべくconfigurationから次のステップへ進めます。

いやー,本当によかった。Hくんはきっと一人で泣きながら祝杯をあげていることでしょう。

研究 | コメント:0 | トラックバック:2 |

学生の成長度

昨日のエントリーで,授業中に居眠りしてる学生を引き合いにしてなんて勿体ないことをしてるんだと書いた反動でこういうことを書くわけではありませんが,冷静に自分の周りにいる,つまり私たちの研究室にいる学生を見ると,大学4年間,あるいは大学院生生活を通して,みんな大きく成長しているなぁと感じます。私が今担当している授業のうち2つが学部生低学年対象で,そこで話をしている内容と,研究室のゼミで話している内容には非常に大きな開きがあります。3年か4年でそれだけの内容の差を吸収するにはそれなりに勉強しなければならず,世間で言われてるように遊んでるだけの大学生生活では到底吸収することのできない差があります。

さらに,実験になると,高校生以下ではまともな実験をしてきていませんから,大学1年生と私たちの研究室の修士課程の学生では,その能力差は赤ん坊と中学生くらいはある感じです。って,私の主観とイメージに基づいた喩えなので,全然伝わらないかもしれませんが,とにかく大きな差があります。これはやはり,研究室内での研究で鍛えた成果が大きく,逆に言うと学生たちは研究室でかなり濃密に研究生活を送っていることの証左だと思うのです。

こうして大学初年度の学生と修士課程の学生を比べると,学生も結構勉強してるんだよなぁと感じざるを得ません。ことあるごとに大学生は遊んでばかりいるなんていう世間の風評を聞きますが,そういうこと言う人には,私たちの研究室の学生を見せてあげたいです。そして,高校生と見比べて欲しいものです。さらに思ってしまうのですが,世間のいわゆる大人というのはみんな濃密に仕事をしているんでしょうかね。会社あるいは組織にとって大きな成果をあげ,大きく自己成長しているものなのでしょうか。とてつもないダメダメ大学生が全ての大学生であるかのように評するのだけはやめて欲しいと,昨日のゼミをやってて感じたのでした。

しかし逆に,そういう大学生に物を教えられる教員の存在というのも結構貴重なのではないかとも思ってしまいました。自分たちのことを偉そうに書くのはカッコ悪いですし,反感買うでしょうけど,大学生相手に教養基礎科目(物理学科の学生なら量子力学,電磁気学,熱力統計学などなど)を教え,実験を教え,修士課程あるいは博士課程の学生の研究指導をできる人材というのはそんなに多くはないはずで,なんでそういう私たちが,大学院パンフレットの校正をやってるんだろう?大型プリンターを使った人の人数を数えて各研究室へ予算請求する資料を作ってるんだろう?と,思ってしまったのでした。はい,そうです,雑用やってて出る毎度の愚痴です。

でもやっぱり,人材の無駄遣いとしか思えません。私なんてまだいいですけど,素粒子理論の人が雑用をやってる姿を見るのは悲しいです。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

イレギュラーな授業

今日は,5限にイレギュラーな授業をやってきました。

対象は,理学部と基礎工学部の修士課程,博士課程の学生がメイン。少し学部生も混じっているという,どういう人をターゲットとして講義をすればよいのかわからない構成の聴衆でした。その授業の科目名は,科学技術論。基本的には工学関係者,企業の人などに話をしてもらうらしいのですが,なぜか基礎科学,しかも応用とはおもいっきりベクトルが反対な私が今日の講師でした。

講義内容は,いつも一般向けに話している内容そのままですが,量子力学など物理学科の学部2,3年生程度の知識がありそうな聴衆だったので,一般向けよりは少し突っ込んだ解説をしました。しかし,こういう授業は単位目的で選択してる学生が多いのか,受講者は500人近いらしく,300人収容の大講義室でも入りきらず,別室にスライドと音声を配信していたようです。なぜ単位目的と書いたかというと,寝ている学生の比率が高いんですね。いや,極めて大量の受講者なので真面目に聞いている学生の絶対数はそれなりに多いのですが,比率として寝ている学生もそこそこいました。

前にも似たような講義をしたことありました。文理融合だかなんだかしりませんが,理学部だけでなく法学部やら文学部の学部生の混成が受講者という輪講形式の授業をしたことがありました。そのときの受講者の態度は極めて酷く,そもそも科学に興味の無い学生に,単位目的だけで受講している学生に話をするのは嫌だなぁと強く思いました。さすがに今日の授業はそこまで酷いわけではなく,授業の後にかなり突っ込んだ質問をしてくる学生もいたりしてそんなに悪い気はしなかったのですが,どう言ったらいいんですかね。一般向け講演にやってくる人たちと比べてしまうと,熱意をあまり感じなくて,残念というか勿体ないというか,そういう気分でした。

自分の講義や話が凄いと思うわけではありませんが,各分野の専門家を呼んで毎週色々な話が聞けるなんていうのは大学にいるからこそ味わえる贅沢なわけです。今回の科学技術論だけでなく,自分の専門分野以外の最先端の話を他分野向けに話してくれる授業みたいなものが他にも幾つかあります。大学に学生として来てなかったら,そんな機会なんて皆無です。しかも,仕事を休んで話を聞きに行くわけではなく,授業として話を聞きに行けるのです。そんな素晴らしいチャンスを大学が与えてくれているのに,単位目的だけで授業に出席してグーグー寝てるというのはあまりに勿体ないと感じずにはいられませんでした。

ん?お前の話がつまらなかっただけだろう,という声も聞こえてきそうですね。はい,確かにそれはそうかもしれません。そう考えると,目を輝かせて話を聞いてくれていた人がそれなりにいただけでも十分なのかな。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ジャマイカ人の運転

数日前に,陸上短距離王者のボルトが事故ったというニュースを見ました。今回のは自損だし,数年前にも同様の事故を起こしたとか。アグレッシブな走り(?)で事故った匂いがぷんぷんします。

それで思い出したのが,昔ジャマイカに遊びに行ったときの現地の人の運転です。私も日本人の中ではかなりアグレッシブなほうで,研究室旅行などで人を乗せているときは静かに運転するのに苦労するほうなのですが,ジャマイカの人々はそんなレベルではありません。空港からホテルまではホテルの送迎用マイクロバスに乗ったのですが,その運転の熱いことに,私は感動しました。マイクロバスでドリフトを連発。対向車線を向かってくる車がいるのに(各方向一車線づつの対面通行道路で)追い抜きをかけ,物凄い速さでコーナーを駆け抜けます。乗ってる人たちは私も含めて大興奮。いや,乱暴な運転に機嫌が悪くなり,シートベルトのチェックを繰り返す人も何人かいたりして,色んな意味で車内は興奮のるつぼでした。って,マイクロバスでドリフトを経験したことある人はそんなにいないのではないでしょうか。

とにかくまあそんなわけでマイクロバスの運転は乱暴なのですが,周りを走ってる車もそれに負けず劣らずアグレッシブで,ジャマイカ人やるなぁ,と思った記憶が今回の記事で蘇りました。ついでに,ボルトだけでなく,これまた陸上短距離で有名なパウエルも事故現場に居合わせたとか。走るのがとんでもなく速い人は,車を運転しててもとんでもなく速くないと気分悪いんですかね。全く根拠はありませんが,そんな気がしなくもありません。逆はどうかわかりませんけど。

日常 | コメント:1 | トラックバック:0 |

友人の結婚式

週末は友人の結婚式のために信州の諏訪に行ってました。涙もろい私は飛行機の機内で映画を観て大泣きするという話をよくこのブログに書いていますが,友人の結婚式でも,なんだか理由はよくわかりませんが感極まって,思わず泣いてしまいそうでした。特に,披露宴の最後によくある,新郎新婦から両親への言葉はヤバいですね。男の子と女の子のいる私にとっては,新郎の挨拶でも新婦の挨拶でも自分が親だったらと脳内置換してしまい,本当に泣いてしまいそうでした。

そんな私のことはどうでもいいのですが,とても良い式で,幸福感を分けてもらったような気分になりました。そうい式に呼んでもらって,さらにスピーチまでさせてもらい,参加させてもらったことを凄く感謝したい結婚式でした。また,その結婚した友人というのは,私がBelleをやっていたころの同僚で,その彼も含めて当時仲の良かった4人が集まる機会を設けてもらいました。おかげで,仲の良かった友人たちと旧交を温めることができ,そういう機会を設けてもらったという意味でも有り難い式でした。

Hさん,おめでとう。そして,ありがとう。

日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

LHCやATLASの近況など

ここ1ヶ月間くらいLHCでは順調にデータを収集しています。4月の末にあった加速器の短期間の休みの後,LHCへの入射時にビームが安定しないという問題があって,その休みの後,データ収集量にして予定より10日間程度遅れました。その後,5月半ばくらいからはビーム入射時の不安定さがなくなり,ピークルミノシティでも6E33をコンスタントに超え,日々のデータ収集量の目標をクリアする日々が続いています。ピークルミノシティは,最高では6.8E33程度に達してますし(今年の目標は7E33),1日あたりの積分ルミノシティもきちんとした数字ではありませんが,平均で1日あたり100pb^{-1}程度には達しているのではないかと思います。最高だと200pb^{-1}超えの日もありますし。

ということで,5fb^{-1}弱をこれまでに収集しましたが,年間の予定と見比べると4月末の立ち上がりが遅かった分をそのまま引きずって約1fb^{-1}程度目標値よりも少なくなっています。この勢いをそのまま外挿すると,今年中にさらに10fb^{-1}程度積み増して,2012年だけで15fb^{-}に届くかな,というような感じになります。去年は5fb^{-}弱でしたから,トータルで4倍,バックグラウンド量で制限されてるヒッグス探索では,感度にして2倍くらいは上がりそうです。

で,おそらく,多くの人が最も注目しているであろうヒッグス探索ですが,7月初めのICHEPでは,ATLASは全てのモードのアップデートはできそうにありません。が,γγやZZはアップデートした結果を見せる予定で,今週はATLAS Weekと呼ばれるATLASグループ全体のcollaboration meetingが行われているのですが,そこで,preliminaryな結果の議論がされました。まあ,例によってその内容はここでは書けませんが,感度が標準模型の予言値に到達しつつあるので,各解析グループのもっぱらの興味は解析をブラインドにするかどうかのようで,うちのポスドクのOくんによると,なかなかに熱い議論が繰り広げられているそうです。

もう少し先の予定がどうなっているかというと,10月いっぱいで陽子陽子衝突を終え,その後1ヶ月間程度(?)はイオン衝突。そして,約1年半の長期シャットダウンに入ります。そのシャットダウン中の計画の議論も当然始まっていて,気になる再開は2014年の夏を予定しています。チラッと見た予定表では7月くらいからビームコミッショニングを始めて,物理データ収集の始まるのが11月くらいになっていました。まだまだ先だと思っていた長期シャットダウンがもう半年後,しかも,その先の予定もどんどん決まっていくという物事の進展の早さに驚きます。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

シリコンセンサー

最悪だった体調が段々よくなりつつあり,ようやくブログを頻繁に更新しようか,という気になってきています。マイコプラズマの後,いくらか良くなったかと思ったのも一瞬で,5月はどうも夕方になると毎日発熱していたようです。体温を測って熱があるのを確認しちゃうと精神的にキツくなるので,なるべく体温計は使わないようにしているのですが,シンドイのがあまりに長いこと続くので体温を日々測ってみたところ,毎日39℃前後になっているのには参りました。そのせいで,先々週末の研究室旅行はあまり楽しめず,残念なことをしました。しかし,先週から今週にかけてはおもいっきり体を休め,そのおかげか,昨日くらいからようやく夜になっても熱がでなくなりましました。

そういうわけで今日のネタ。ATLASのシリコンストリップ検出器にはセンサーのベンダーが何種類か使われているのですが,その中にCiSというベンダーがあります。そのCiSのセンサーのleakage currentが最近大きくなって,それがどういう影響を与えているのかは完全に理解できていないのですが,CiSのhigh currentセンサーがついているモジュールが,正確にはまあASICでしょうね,DAQをこけさせているというトラブルが発生しています。ビームがLHCに入ると徐々にcurrentが増え,ビームがなくなるとcurrentが下がる,というdischargeっぽい挙動を示しているのは,私にとってはDzeroでの経験とダブります。

DzeroではMicronという会社のセンサーが同様の振る舞いをして,当時シリコン検出器運転に携わっていた私たちを悩ませました。そういう振る舞いがあるとシリコン関連の国際会議で発表すると,Micronを使っている他の実験グループからも全く同じ報告があったりして,うーんMicron,と思った記憶があるのですが,今回はそれがCiSに代わりました。で,現場で検出器の運転に関わっている人間から出る意見はいつも一緒。「高くても浜松にしとけば。」

今回はなんだか他人事のようですが,実はそうでもなかったりします。先週末はデータクオリティモニターのシフトで,そのときはDAQのトラブルだらけ。スムーズに走っているときよりもだいぶ苦労しました。でもまあ,現場で検出器を動かしている人々はもっと大変なので,これくらいのことでオフラインシフターが文句を言ってはいられないのですが,それでもやっぱり思ってしまうのです。「浜松にしとけば」と。

いや,しかし,スペックでは計り知れないクオリティの高さは,さすがmade in Japanです。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

グループ近況

今日は久々にATLAS大阪グループの近況を。

4月からポスドクとして私たちのグループに加わったOくんはゴールデンウィーク明けにCERNに行き,3人の博士課程の学生も徐々に(?)CERNに行き,大阪に残っているのは修士課程の学生と私だけになりました。Oくんは,生活と解析の立ち上げ中。解析が軌道に乗り,私の心の安寧が得られるまでにはまだ1ヶ月くらいはかかるでしょうか。爽やかな外見と,真面目な発言とは裏腹に,かなりのおっちょこちょいぶりを大阪滞在中に発揮したので,CERNでの生活がどうなっているのか少々不安ですが,まあその辺は敢えて聞かずにいます。ネタの報告がないので,ぼちぼちやっているのでしょう。

学生頭のHくんは,解析がだいぶ纏まってきて,D論までもう少し。解析と並行して,D論の章立てなどを考え始めたようです。論文は,いつも学生が思っている以上に書くのに時間がかかるのですが,彼がどれくらいの早さで論文を仕上げてくるのか楽しみなところです。D2のOくんは種々の事情により解析ネタを数ヶ月前に変更。新しい解析テーマで結果を出すべく頑張り中で,先週は新しく加わった解析グループで始めての発表。これからの進展が楽しみです。そして,先月からCERN常駐を始めたEくん。物理解析ではなく,今のところ修士課程のときの研究の延長で,検出器関連の仕事をしています。彼の場合,書類を出し忘れたりすることが非常に多いので,研究の心配の前に生活を大いに心配しています。一切合切の事柄に関するto-doリストを作るよう口を酸っぱくして言ってるのですが,先日もとある手続きを忘れてしまいました。to-doリストに書くことを忘れてしまうのだそうで,そういう場合どうしたらいいのか,アドバイスに悩んでいるところです。

以上がCERN常駐組。大阪に残っている修士課程の学生は,みな検出器関連の研究。M2の学生は,シリコンピクセルやら,SVX4と呼ばれるASICからの信号読み出しに取り組んでいます。M1については,まだ何をするか具体的に決めていなくて,今日ちょうど2人と何をするか相談したところ。相談というよりは,私たちのグループが何をしているのか説明したというのが正しい表現でしょうか。M1の学生にとっては具体的にやってる研究内容が見えてこないので,もうしばらく相談したり,考えてもらったりして,その後で2人が何をするのか決めることになります。

突然思い立って,近況を書きました。で,最後に思いつきましたが,KEKのUさんを招いてFPGAの講習会を7月初めにやります。毎年KEKでやってるやつを,今年はKEK以外でやろうという企画です。実習があるので,器材調達の都合上20人という上限があります。今のところかなりの勢いで申し込みが来ています。先着順ですので,参加を考えている方は早めに申し込むことをお勧めします。って,おもいっきりインサイダー情報ですね。ははは。

研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

OPERAの話

OPERA実験が,ニュートリノの速度が光速超えだったというのは間違いだったと近々開催されるニュートリノ関連の大きな国際会議で発表することに決まった,という記事を読売新聞で見ました。しばらく前から,光ファイバーだかなんだかのコネクターが緩んでいて,それで時間測定を間違っていたららしいという話になっていましたが,再測定をやったみたいですね。

キャッチーな話題で,SF好きの人たちを巻き込み大きな話題になっていましたが,前から言ってるとおり,こういういい加減な結果を発表したことに若干の憤りを感じます。これからはOPERAの論文には,絶対値はそのままに,マイナスのインパクトファクターをつけることを提案したいくらいです。コペルニクスの話みたいに,社会的常識と逆行する結果を発表できないというのは,科学の健全性という観点からあってはならないことだと思いますが,今回のなんて明らかに検証不足だし,最近よくある宇宙線関連でダークマターか?というのを匂わせてインパクトファクターを上げる手口と同じにしか見えません。LHCで何も見つからないから,CERNからの政治的圧力でもあったんですかね。まあ,私なんて外部の人間だからいいですが,OPERA内部でもこんな測定結果は発表できんと言って,論文に名前を載せなかった人もいるそうで,そういう人が一番腹を立ててるでしょうね。

研究 | コメント:0 | トラックバック:2 |
| HOME |