ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ヒッグス以外,SUSY探索とか

盛り上がりを見せたヒッグスの最新結果でしたが,ヒッグス以外の探索では今のところエキサイティングな結果は出ていません。標準模型を超える物理で,まあ一番人気はSUSYと思いますが,SUSY探索も今のところ兆候らしきものは見えてきていません。

SUSY探索について質問があったので少し説明します。SUSYの中でも人気の高いモデルがmSUGRAというものでした。このモデルだと,ニュートラリーノという素粒子の一番軽いもの(ニュートラリーノは4種類あります)がダークマターの有力候補でした。もうちょっと正確に言うと,このシナリオが正しく,かつ,軽いグルイーノやスクォークが存在するようなパラメータ(模型の中のフリーパラメータ)の場合,一番軽いニュートラリーノの性質が宇宙の観測からわかったダークマターの性質と一致する,というものでした。ですので,mSUGRAでかつ,一番軽いニュートラリーノがダークマターであるというシナリオの場合は,軽いグルイーノやスクォークが存在するはずで,7TeVのわずかな統計でもSUSYを発見できると期待されていました。それが見つかっていないということは,mSUGRAでダークタマーを説明するというシナリオはうまくいきそうにない,ということです。決してSUSY自体を否定しているわけではありません。

それから,SUSYだとヒッグスが5個というのは,あくまでSUSYの中でも一番単純な模型の場合,です。普通私たちがSUSY探索という場合は,この単純な模型を指針にしているのでヒッグスは5種類というように言われます。なんで5個かというと,その前に,標準模型の場合になぜ1個かを説明しないとなりません。ヒッグスは定義によりスカラーで(勝手にスカラー場を導入した),かつSU(2)xU(1)の模型ですから,複素スカラー場の二重項が必要になります。標準模型ではこの二重項が1つ,ということで,自由度は4個あります。この4個のうち,ゲージボソンであるW^+,W^-,そしてZが質量を獲得したので,自由度が3個減り,残った1個の自由度が物理的なヒッグスボソンとなります。で,私たちが普段考えている単純なSUSYの模型ではヒッグス二重項が2つなのです。1つだと色々矛盾が発生してしまうので,2個以上必要なのですが,なるべく単純な模型ということでヒッグス二重項2つの模型がよく使われます。複素スカラー場二重項が2つですから,今度は自由度が全部で8個。ゲージボソンで質量を持っているのは相変わらず3個ですから,残りの自由度は5ということになり,物理的なヒッグスが5種類存在することになります。

標準模型のヒッグスは電荷中性ですが,今私が説明した単純なSUSYの場合,中性のヒッグスが3個に荷電ヒッグスが2個になります。では,ヒッグス探索はどう変わるかというと,中性ヒッグス3個のうち一番軽いやつは標準模型のヒッグスと性質が似ているので,探索方法を大きく変えなくてもSUSYのヒッグスを探索しているのとほぼ同じことになります。ただし,SUSYのパラメータによっては,生成断面積は崩壊比が標準模型と変わってくるので,そこらへんは若干注意が必要です。ちなみに,SUSYが正しかった場合,一番軽い中性ヒッグスは質量が軽くなければならないという予言があります。まあ,理論屋さんは軽いヒッグスがないとなったら,そのときはあの手この手で質量を重くしようとするのかもしれませんが,現状では,どんなに重くても135から140GeVくらいまでが限界だろうと言われています。ですので,ヒッグスがもし見つかった場合,軽ければSUSYは生き残りますが,重い場合はかなり前途が暗くなります。あ,もちろん私が言ってるのは,なんというか標準的なSUSYの模型の枠組みですので,あらゆる可能性,模型について述べているわけではありません。

残りの2個の中性ヒッグスは標準模型のヒッグスよりも重くなると考えられていますし,荷電ヒッグスは電荷が違いますから,これらを探そうと思うと,標準模型ヒッグスとは別の探索手法が必要になってきます。これらの探索については,解析はやっていますが,今のところ,公開されている結果がありません(たぶん)。

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今年最後の出張

KEKの宿舎でこのエントリーを書いています。

昨日は,T大学で数人が集まり,なんちゃら小委員会関係の作業。今日は,KEKでMPPC用の読み出しボードに関する研究会がありそれに顔を出す,プラス,別件で人と打ち合わせ,ということで昨日の晩からKEKに来ています。KEKに来た時は,Nさん,Mくん,Tくんという常連の酒飲み仲間で毎回しこたま飲むのですが,先月末位から続いていた忙しさに体が悲鳴をあげているので,今回は無念ですが(?)飲みに行きませんでした。というか,このメンツで飲みに行くと,体調がまともなときでも飲みに行った後数日は体調が悪くなってしまうほど飲み食いします。今回この体調で同じことをやったら,本当に死んでしまいそうです。

おっと,そんなことはどうでもいいですが,今回の出張が今年最後の出張です。今年も出張の多い1年でした。来年も出張多くなるのでしょうが,雑用ではなく,研究のためのCERN出張が多くなって欲しものです。

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Fine Tuning 問題とか

昨日ニコ生を見て,番組中に伝えられなくて残念だと思うことが幾つかあったのですが,その中の一つがFine Tuning問題。このブログでも大昔に何度か書いたことあるのですが,今日はせっかくなのでもう一回。

私たちが観測する素粒子の質量というのは,素粒子の裸の質量だけではなく,量子補正の効果を受けていて

[観測する質量]^{2} = [裸の質量]^{2} +あるいはー [補正量]^{2}

というような関係があります。物凄くざっくりと言っちゃうと,ヒッグスの場合,観測する質量はオーダー100GeV程度。一方,放射補正による補正量は10^{15}とか10^{19}GeV(数値が大きく違うのはどれくらいのエネルギースケールまで理論が正しいと思うかに依存)。実際には,それらの2乗の足し引きになる,つまり,バカでかい数字の加減算で100GeVオーダーという観測量を捻りださなければなりません。これはヒッグスボソンに特有の問題で,Fine Tuning問題と呼ばれています。これを不自然だと考えるかどうかは人の趣味なのですが,多くの素粒子物理屋はそれをとんでもなく不自然だと考えています。逆に,別に不自然だっていいじゃんと考える人たちもいて,そういう人たちがこの後説明するSUSYを好きではないのは必然だったりします。

ちなみにですが,ニコ生の中でNさんがこの不自然さを鉛筆が芯を下にして机の上に立ってる,と喩えていました。

それはさておき,ではFine Tuningが不自然だと考える人々はどう考えるかというと,なにかトリックがあるはず,と思うわけですね。Nさんの喩えを押し通すと,鉛筆の芯が机に接着剤でくっつけてあるとか。素粒子物理ではそのトリック(?)がSUSYなのです。SUSYが本当の理論だった場合,全ての素粒子にスピン1/2違うパートナーが存在することになります。スピン1/2違うパートナーがいると先の量子補正の量がキャンセルされて,10の10なん乗というとんでもない補正量が消えるのです。

というわけで,SUSYのもともとのモチベーションはヒッグスが存在した場合に問題となるFine Tuningを消すためだったのです。そういう背景で生み出されたSUSYを色々いじってみると,うまい具合に大統一できるかもしれないとか,ダークマターの有力な候補がSUSY粒子の中にいるとか,素粒子物理あるいは宇宙論に与えるインパクトの大きいご利益が次々と見つかって脚光を浴びている,というのが素粒子物理の歴史なんですね。

なので,ヒッグスボソンというものが存在しないと,SUSYを考える元々のモチベーションを失ってしまいます。逆に言うと,ヒッグスボソンが存在すると実証されればSUSYを考える意義がよりある,というわけで,ヒッグスの発見がSUSYに与えるインパクトというのは非常に大きいのです。

というような纏めを番組の最後で入れたかったのですが...あんまり伝わってなかったかもしれませんね。

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ニコ生感想

昨日のエントリーで書いた通り,今日は家でのんびりとダラダラと過ごしています。

そのおかげで,先日のニコ生の放送をようやく見ることができました。番組出演中もモニターでウェブに流れているのと同じ映像を見ていたので(=コメントも全部見ていました),新しい情報は基本的にはないのですが,話をしている主体としてではなく第3者としてある程度客観的に眺めることができるのは,やっぱり映像のおかげですね。説明の際にもう一言付け加えたほうがよかったなとか,Nさんの説明をもっと補足すればよかったとか…この辺は番組中もずっと考えていたのですが,Nさんはインターネットの世界では有名人だそうで,かつ,今回のニコ生も視聴者的にはNさんの暴走を楽しみにしているのかと思い,いつツッコミを入れたらよいか思案し続けていました。

こういうトークショー的なものをやるの初めてだったので,人が説明してところにツッコミを入れるのはちょっと気が引けたのですが,番組が進みその場の雰囲気に馴染んでくるに従い,「補足説明してください」というスタッフのオーラ(と,視聴者からのコメント)を感じ取れるようになり,なるべくツッコミを入れるようにしました。実際,スタッフからは補足してくださいというような指示も時々来ていました。ただ,慣れていないので,ツッコむタイミングがやはり難しかったです。一般向け講演会はかなりの数をこなし(今年だけでも10回近くやりました...),今やスライドなしでも講演できるほど慣れましたが,トークショー未経験者にとっては,人の説明にどう絡んでいくかというのはこれからの課題です。あと,私のキャラクターが本来ボケなので,ツッコみというのは実は守備範囲なんですよね。

とまあ,グダグダ書きましたが,一番の感想は面白かったということです。私にとって2つ面白かったポイントがあって,その1つは視聴者からのダイレクトな反応を楽しめたこと。大学で授業をやっていても,一般向け講演会をやっても,番組中のコメントほどダイレクトな感想は届いてきません。どんなにわからなくても,授業や講演会では「わからん」とはなかなか言ってもらえません。最後の質問を通してどういうところがわかりにくいのか,というのは大体はわかるのですが,今回くらいわからないところをハッキリ言ってもらえると,説明する際に非常に参考になります。

もう一つは,こういう番組出演が初めてだったので,何事も初めてのことというのは新鮮で興味深いです。マスメディアの人と接触する機会は滅多にないので,そういう意味でも興味深かったです。一つだけ残念だったのは,私の体調が非常に悪かったことです。数日前のエントリーに書いた通り,番組の頃からかなりフラフラで,番組終了後ホテルに戻るとダウンしてしまいました。A新聞社の編集委員であるOさんは色々なことを知っていて,そういう立場の人と基礎科学について議論したかった,酒を飲みに誘いたかった,のですが,体調がそれを許さなかったのは非常に残念です。って,私が酒に誘っていても断られる可能性は十分あったわけですが。

とにかく,非常に良い経験ができました。

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ソフトウェア講習会終了

一昨日から私たちの大学で行われていたATLAS日本グループのソフトウェア講習会が終了しました。講師の方々,参加者のみなさま,お疲れさまでした。

これで私の仕事も一区切りで,来週まだ出張はありますが,怒濤の12月をなんとか乗り越えた感じです。明日明後日は1ヶ月強ぶりの休みで,やっと体を休めることができます。

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今年度最後の授業

今日から3日間,私たちの大学でATLAS日本グループのソフトウェア講習会が行われています。毎年年末に各大学の持ち回りで行われている催しで,今回はその順番が私たちの大学に回ってきました。部屋の確保はかなり大変なのでこの企画が決定した直後の10月くらいに確保。そして,ソフトウェア講習会ということでネットワークが大切ですので,その準備をATLAS大阪の学生たちと昨日行い,今日はなんとか問題なく講習会を済ませることができたようです。

ようです,と書いているのは,講習会は今日の昼食後から始まったのですが,私は昼食後,今年度最後の授業のために講習会をほぼ全部スキップしたからです。古い知識をアップデートするいい機会だったので参加したかったのですが,共通教育の授業で休講は出せず。しかも,他の人と担当を代わってもらおうにも,私の予定が空いている水曜午後というのが皆無で代わってもらうこともできませんでした。

ということで,午後は授業をやったのですが,私が昨日行ったヒッグスのセミナーに来ていたという学生がいたので驚きました。授業を受けてるのは1年生なので,セミナーを聞きに来てる学生がいるとは思っていませんでした。というか,どうやってその情報を手に入れたのかも謎です。そうか,その学生にどうやって知ったのか聞けばよかったんですね。

なんだか,タイトルと違ってあんまり授業のことを書いていませんが,まあそんなわけで,今年度の私の授業は終了しました。これからは,私にとって,というか大学にとっては博士論文,修士論文,そして卒業研究に追われる季節です。

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ヒッグスの結果について

学内でのヒッグス探索現状についてのセミナーを終えたところです。これで,記者会見から続いた(私の生活の中での)ヒッグスフィーバーは一区切りと言った感じです。

今回の結果を無理矢理ざっくり纏めてみます。

ATLASは126GeV付近にわずかなexcessがあります。Local p-valueで言うと,3.6σ。H→γγだけで2.8σ,H→ZZ→llllだけだと2.1σ。ただし,γγとllllではp-valueの最小を与える質量はわずかに違います。γγは126GeVですが,llllでは125GeVより少し小さいところです。この3.6σはlocal p-valueなので,ヒッグスの質量が既知で,その質量領域だけを探索した場合にはかなり大きなexcessと考えることができます。

ですが,私たち人類はヒッグスの質量をいまだに知りません。非常に広い質量領域の探索を行っています。サイコロを振って1が3回続けて出る確率は(1/6)^3で1/216で低い確率ですが,サイコロが216個あればどれか1個は1が3回続けて出ても不思議ではない,とも解釈できます。野球で3連打,4連打が出る確率は低くてもそれを目にすることがあるのも同じ理由です。このように,機会が多数あるために確率的に低い事象が発生することをLooking Elsewhere Effect略してLEEと呼びます(個人的にはTrial Factorと呼ぶ方が好きなのですが)。そのLEE効果を100GeVから600GeVの範囲で考慮に入れると,上記の3.6σが2.3σになります。というわけで,この結果自体で「発見」と結論付けるのは早過ぎる,というのが一般的な解釈で,新聞報道等でも大多数の報道機関はそのように報道してくれました。

一方,私たちも13日のセミナーまで知らなかったCMSの結果はというと,119GeVと124GeVにかすかなexcessがあります。最小のp-valueを与えるのは124GeVで2.6σ。LEEの補正(110から600GeV)を加えると0.6σとなります。専門的なコメントを入れると,ATLASの場合,LEEの補正をするときにtoy MCではなく,データのlikelihood自体から求めています。ある質量領域にどんだけ上ブレしてるかを数えてそれで補正してます。CMSもtoy MCやってる時間がなくて同じ方法なのではないかと推測すると(嘘かもしれませんので注意),2.6σだったlocal p valueがglobalで0.6σになるというのはなんとなく納得いきます。というのも,なぜか知りませんが,CMSの結果って上ブレや下ぶれしてる質量領域が多いからです。おっと,話を戻すと,CMS単体でのsignificanceも大したことありません。

よって,今回の結果をまとめると,scientificには「発見」と呼べるような結果ではありませんでした。ですが,落胆すべ結果では全然ありません。現在の統計ではそもそも125GeV付近での発見を言えるはずがないので,発見でなくて当然だからです。逆に,ATLASのγγとllllそしてCMSのγγの3つの解析で同じような質量領域に上ブレがあったのは興味深いです。γγ,llllともに分解能は1.5から2GeV程度。同じピークと言えなくもないからです。来年統計を貯めるとどうなるか楽しみ,というのが今の正直な気持ちです。ただし,CMSのllllは119GeVにクラスターしていて,両方のピークが正しいということはないので,現段階では2σ程度のlocal p-valueがでても一喜一憂すべきではなく,global p-valueを見ないとならないということも示唆しています。

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年末発表会

昨日は東京でニコ生に出演,一泊。朝イチではなく朝二の飛行機に乗って大学に戻ってきました。毎年恒例の,隣りの研究室と合同の年末発表会という催しが今日あるからです。全ての学生さんが日頃の研究内容について発表します。それに出席するためにかなりの強硬日程で戻ってきたのですが,体調不良で,学生さんの話に集中できません…。昨日のニコ生のときも頭痛と鼻水,そして寒気がひどかったので,すでに熱があったのでしょう(気づいた方いらっしゃるかもしれませんが,カメラに映ってない時を狙って何度も鼻をふいていました)。

というわけで,ニコ生出演というイベントがあったのですが,それについてはまた後日書きます。

おっと,ニコ生ですが,30,000を超える視聴者数だったようで,スタッフと出演者一同成功だったと喜んでいます。視聴してくださったかた,ありがとうございます。

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宣伝

記者会見で発表したヒッグス探索の現況についての話は,もうしばらくお待ちください。前回のエントリーでも書いたように,記者会見の直後に研究会。その後は,KEKのIさんやT工業大学のKくんたちが中心となってやっているビームテストを覗きに行ったりしているため,オフィスにいる時間がほとんどありません。

今日も今家に帰ってきたところなのですが,このままだと忘れてしまいそうなので覚えているうちに2つ宣伝を。

一つはニコニコ生放送。18日(日)の16時からの番組に出ます。お時間のある方はどうぞご覧下さい。

もう一つは,学内でのヒッグスに関するセミナー。って,それをここで宣伝しても意味ないかもしれませんが,とりあえず宣伝しておきます。20日(火)の13:30からH701で私が話をします。興味がある方はどうぞ。

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ヒッグス記者会見

T大で行われたヒッグス探索関連の記者会見から今ホテルに戻ってきました。にもかかわらず,1時間後の始発で羽田に向かい,朝イチに大学で行われる研究会で発表をしなければなりません。ベッドに倒れ込んだらアウトです。あと30分ちょい意識を失わずに電車に乗るべく頑張っているところです。

って,そんなことはどうでもいいですが,記者会見。初めてのことで非常に良い経験になりました。私なんかは,枯れ木も山のなんとか,なので大したことは全くやっていませんが,それでも色々と勉強になりました。マスコミの人々との対応,文科省からのプレッシャー等々,私のような下っ端とは縁遠い世界があることがわかりました。

肝心の発表内容は,CERNで行われたセミナーを元にしていたのですが,なんというか微妙な結果です。今フラフラなので間違ったことを書かないように数字は書きませんが,発見と言うには統計的な有意さが足りないけど,信号っぽいものが見えてるじゃん,という本当に灰色な結果です。研究者自身もどう判断してよいのか迷う結果です。でも,灰色があるのが科学なんだということを一般の方にはわかって欲しいと常々思っているので,そういう意味では教育的な結果かもしれません。

ただ,研究をやっている側の人間としてはencouragingな結果で,ますますやる気が出てくる,そういう楽しみのある結果でした。

詳しいことはまたそのうち書きます。

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メンバー近況

私が講演や集中講義で出張がちになり,このブログのエントリーも簡素なものが多くなっている今日この頃ですが,このブログのタイトルであるATLAS at Osakaのメンバーには一つの事件が起こっています。って,たいしたことないですが,メンバー全員が今大学にいます。今日の定例ミーティングでは全員が勢揃い。CERNに常駐している学生も先月末から日本に帰って来ていて,今月は私以外のメンバーはほぼ全員が大阪にいるという珍しい状況です。

ミーティングでメンバー全員と顔を合わせる機会というのはかなり少ないので,なんというか不思議な気分です。ミーティングルームが狭く感じられ,自分の子供は一人暮らしをするような年齢では全くありませんが,一人暮らしをしている子供が帰省したらこういう感覚なのかな,と錯覚するとでもいうか,とにかくまあ不思議な感覚でした。

そんな全員集合なメンバーの近況報告をします。

D3のHくんは博士論文に向けた解析の真っ最中。論文の元となる解析をこなしましたが,それではD論には不足だとどこかの指導教員に言われたからというわけではありませんが,D論クオリティの解析にすべく,さらに解析に磨きをかけています。Hくんはトップクォーク対の生成断面積の測定ですが,最近話題のヒッグスの解析を始めたのがD1のOくんとポスドクのLくん。OくんはCERN滞在中はシリコンストリップ検出器関連の仕事もしていますが,大阪ではその仕事はできませんので,解析に集中。解析部隊としてLHCアップグレードのトリガー関連の研究をしているLくんとともにヒッグスがbクォーク対に崩壊する事象の探索に向けて準備を開始しました。

物理解析を中心にしている博士課程の学生およびポスドクとは対照的に,修士課程の学生たちは検出器関連,LHCアップグレード用のシリコン検出器関連の研究をしています。M2のEくんは,今D1のOくんの後を継いだとでもいうべき研究で,プロトタイプ用シリコン検出器の読み出しシステムの開発中。修論が迫ってきていますので,それに向けて研究成果をそろそろまとめるという段階です。M1のJくんも同じくプロトタイプシリコン検出器の読み出しシステムの開発。ただ,Eくんはシリコンストリップですが,Jくんはシリコンピクセル。新たな領土拡大を目指して手広くやっています。M1のTくんとHくんは,シリコン検出器を試験する際にあると便利なreference用検出器として小規模なファイバートラッカーの開発を行っています。宇宙線を使っての試験やビームテスト時のビームプロファイルモニターとしての役目を期待しての開発です。Tくんは読み出しボードの試験,Hくんはファイバーからの光検出器であるMPPCの性能評価その他諸々のファイバー周りの研究を行っています。さらにHくんは別プロジェクトとしてSVX4というASICの読み出し試験を行うべくボードの開発などにも取り組んでいます。

うーん,こうやってリストアップすると,非常に簡単に何をやっているか纏めただけのにかなりの分量です。グループの層が厚くなってきている左証ですね。

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久々の 委員会

今日は久々の将来計画検討小委員会でした。2ヶ月前にあった前回は,子供が生まれる前日だったので(生まれたのが翌日未明だったので,委員会当日に生まれたという感覚です)お休み。というわけで,この委員会に参加するのは凄く久しぶりな感じがします。とはいえ,今日も種々の事情により東京まで行くことは断念。大学のオフィスからテレビ会議での参加でした。

この委員会の使命は,その名の通り素粒子物理学実験の将来計画に関する答申を出すもので,来年早々の提出を目指しているので,いよいよ最終段階といったところです。



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ヒッグス発見か

という新聞記事が流れてますね。そのキャッチーな見出し,あ,今回のエントリーのタイトルも,スポーツ新聞ばりです。

日本時間13日の夜にCERNでATLASとCMSそれぞれのスポークスパーソンがヒッグス探索に関するセミナーを行います。ということを,色々なところで宣伝してるのですから,色々なところで「ヒッグス発見か」という噂が流れるのは当然と思います。にもかかわらず,冷静な対処だか,厳しい情報統制を要求する人々というのはマッチポンプだなぁ,という印象を持ちます。

セミナーの内容についてはもちろんお話できません。ウェブキャストされるようですので,興味のある方はご覧ください。CERN時間の14時からATLAS,14:30からCMSの発表です。日本との時差は8時間です。

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集中講義

金沢大学での集中講義を終えて,今さっき大阪に帰って来ました。佐賀での長いアウトリーチ講演に引き続き,8コマの講義+セミナーを3日間でこなすというのはかなりの体力勝負でした。これだけ連続で話し続けることは滅多にないので声が続くか心配でしたが,最後まで声が出てよかったです。また,金沢大学の学生さんたちは理論屋ですが実験屋の話を熱心に聞いてくれたので,私自身にとっては非常に楽しい3日間でした。休憩時間も多くの質問を受けて,やり甲斐を感じる集中講義でした。アウトリーチもそうですが,聴衆が熱心に話を聞いてくれると講演する側は非常に嬉しいものです。

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電車トラブル

昨日の午後佐賀から帰ったところですが,今は金沢大学にいます。ほんの10分くらい前に大学の宿舎に着きました。明日からの集中講義とセミナーのために来ているのですが,今回は準備を間に合わせるのが本当に大変でした。

それはさておき,かなり前に,私が出張すると非常に高い確率で電車のトラブル等の遅れに遭遇するということを書いたことがあります。電車の故障だったり,病人が出たり,自殺しようとしている人がいたり,等々,様々な理由によりなぜか電車の遅れによく遭遇します。そういうことがあると強く印象に残るので,しょっちゅうそういう出来事があると錯覚するのかとも思うのですが,驚くことに,週末の佐賀出張でも,今日の移動でも電車の遅れに遭遇しました。

佐賀へは鉄道移動だったので,大学からモノレール,北大阪急行&御堂筋線を乗り継ぎ新大阪を目指しました。ところが,北大阪急行&御堂筋線の江坂という駅で電車が止まってしまいます。アナウンスによると天王寺で発煙が発生(それしかアナウンスがなかったので電車の故障なのか,外部の問題なのか,等詳細は全くわかりません)し,安全確認のために御堂筋線が全線停止したとのこと。電車を降りてタクシーにしようか迷っていたところ,5分か10分くらいすると発煙の安全確認が終わったというアナウンスがありました。これで動き出すと思った瞬間,安全確認は終わったが消防による現場検証がこれから始まるという追加のアナウンス。これはダメだと諦めてすぐにタクシーを拾うべくダッシュ。こういうときってタクシーを拾えなくなりますからね。案の定タクシーを拾うのは簡単ではなかったのですが,それでもまあすぐに拾えて新大阪へ行くことができました。後で調べたところ,結局1時間くらい運休していたようです。

そして今日。大阪から金沢へ移動するため,初サンダーバードでした。ところが,どっかの途中の停車駅で止まるとなかなか動き出しません。特急が長いこと止まるような大きな駅ではありません。ようやく動き出した後に病人が出たため予定以上に長く停車していたとのこと。まあ,5分かそこらの遅れですが,日本の鉄道が雪などの天候のせいではなく5分以上遅れることって滅多にありませんよね。

とまあ,そういうわけで出張で2回続けて電車のトラブルに遭遇したのでした。打率高過ぎです…とほほ。

ついでに言うと,金沢大学の宿舎は21時までにチェックインしないとならないとのことで,金沢駅を20時くらいに発つバスに乗るつもりでした。サンダーバードの遅れは5分程度でしたからそれは全く問題なかったのですが…バスの最終便が19:27。驚きです。というか,タクシーで3000円以上払うことになってしまいました…。罠です,公共交通機関,それも国立大学と駅とを結ぶ幹線(だと思っているのですが)の最終便が19:27って。

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講演会終了

平成基礎科学財団の講演会を終えました。かなりの長丁場でしたが,それ以上に講演をしている私にとって貴重な経験となり,心地よい疲労感を楽しんでいます。

毎回のことですが,こういうアウトリーチ活動のときは,非常に熱心な高校生と大学生が話を聞きに来てくれます。今回は高校生が主体でしたが,ほとんどの高校生が私の話を食い入るように聞いてくれていたので,話をしているこちらも楽しくて仕方ありませんでした。

それから,今回は私が話をする時間だけで80分x2。それに加えて長い質疑応答の時間がありました。いつものアウトリーチよりも時間が潤沢にあるので構成には悩んだのですが,実際にやってみると,やはりこうしておけばよかったという部分が幾つかありました。こういう長丁場のアウトリーチを一人でやる機会はもうないのかもしれませんが,いつもは説明しないネタに挑戦し,その内容を説明する時にはどういうところがわかりにくいのかがわかったのは,私自身にとっては収穫でした。素粒子物理,あるいは量子力学の世界では当たり前のことが,一般社会では当たり前ではないということを分かったつもりにはなっているのですが,自分では見落としていることもあると再認識しました。

もう一つ私にとって嬉しかったのは,このブログを読んでくださっているという佐賀県庁の方に出会えたことです。つまらないブログですが,それを読んでくださっている方の生の声を聞けるというのは非常に嬉しいものです。

最後に,この企画に私を呼んでくれた関係者の方々,そして,わざわざ足を運んで話を聞きに来てくれた高校生,大学生およびその関係者の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。私自身がこの企画を一番楽しみました。

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出発直前

佐賀での講演会がいよいよ明日に迫りました。なんとか準備を終え,出発直前です。

明日は,朝から関係者と会って,その後昼食会。午後は昼過ぎから17時近くまでという長丁場の講演会。研究関係の発表とは全然違いますし,今までかなりの数をこなしてきたアウトリーチともちょっとだけ趣が異なります。まず,そんなに長時間喋り続けるなんていう経験はありません。コンサート並みですよね。それに,小柴さんその他のこの世界の巨人の前で話をするのは,流石に緊張します。って,まあ,今から断るわけにはいきませんから,高校生,大学生に楽しんでもらえるように頑張るしかありません。

さて,どうなることか…。

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