ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

体調悪し

日曜は体調最悪でした。吐き気がひどく食事は摂れず,高熱のときにそうなるように全身が痛く,一日中家で横になっていたのですが寝ることすらままならないほど酷い体調でした。寒気も酷く熱が相当あるのは明らかでしたが,熱を測って高熱であることを確認すると精神的に余計つらいので,いつも通り体温は測らず,夜中にだいぶマシになってから体温を測ってみたところそれでも38℃。まあ,40℃近い熱でも大学に来てしまい怒られる人間なので,38℃ならまあOK,ということで昨日から普通に大学には来ていますが,食欲がまだなくうどんくらいしか食べられないので体がなんとなくしっかりしていません。

が,追い打ちをかけるように,今週末の佐賀での講演会の資料の請求。そして来週の集中講義の時限ごとの授業内容の説明の要請が来ています…。うっ,ヤバい,どっちもまだ準備が終わってません。しかも,佐賀での講演会の資料提出締め切りは先週の金曜だったそうで,かなり申し訳ないのですが,出来てないものは出来てないのでどうにもなりません。なんとか今日中に形にして送るよう頑張っているところです。

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検出器関連の研究会

昨日は,検出器関連の研究会でトークをするためにK大学へ行って来ました。検出器関連といっても,普通に検出器そのものについて議論するよくある研究会ではなく,検出器,というかDAQやエレキも含めた測定システム関連の技術力をどうやって保っていくか,について議論するというひと味違う研究会でした。

その趣旨がよくわからず,いえ,全くわからず,主催者の何人かにメールを書いたのが今週初め。それでも何を喋ればいいのか五里霧中で臨んだ研究会でしたが,私が発表した内容は頓珍漢にはなっていなかったようで胸をなでおろしました。

高エネルギー物理というのは,検出器に要求される性能が他の分野の実験に比べて遥かに過酷です。非常に高い耐放射線性が要求されたり,非常に高い感度が要求されたり,非常に大量のデータを瞬時に処理する必要があったり,等々,正直他の分野の測定機器とは比べ物にならないくらい高性能です。高価な検出器を買ってきて使うなんていう分野もありますが,高エネルギー物理にはそういうことはほとんどなく,あるものほぼ全てを実験・プロジェクトに合わせて実験屋が作ります。先に書いたように,売り物とは比べられないほどの高性能品を作るわけですから,そのぶん専門性が異常に高くなっていて,専門外の人に対する敷居が相当高くなっています。

ですので,新規参入者,特に学生を育てるのが難しく,また学生でないにしても,専門以外の検出器に関しては手を出すのが難しいという状況になりつつあります。でも,これだとごく限られた少人数のエキスパートに検出器開発を頼らざるを得ず,また,その人たちがいなくなったら検出器の開発力が目に見えて落ちてしまいます。そこで,技術屋ノウハウの共有その他,どうやったら計測システム関連の技術力を保つ,願わくば向上させて行けるか,について議論するのが研究会の目的でした。

驚くくらいみんなが困っていることは一緒なのですが,それを限られたリソースで解決すればよいかは簡単な問題ではなく,私も些細な提案を幾つかしましたが,当然のことながらこれといった決定版はなかなか見つかりません。でも,問題意識を多くの人が共有して,とにかく何かやっていこうという動きはあるようで,私もさらに知恵を絞っていこうという想いを新たにしました。

しかし,今回の研究会一番の大収穫は,私にとっては神のような存在だったKEKのUさんと色々な話ができたことです。これまで,SiTCPという技術で間接的にお世話になりっぱなしでした。今,修士課程の学生がやってる研究はこのSiTCPという技術の上に成り立っていて,この技術なしには今の研究はあり得ないというようなものです。また,この技術以外にもボードの実装などで学生がお世話になったことがあったのですが,私自身直接面識がなく,いつか会ってみたいと思っていました。そのUさんと,測定器のことそのものについて,あるいは,どうやれば測定システム開発環境を充実させていけるか,などなど,たくさん話をできたことは望外でした。

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久々のゼミとか

3週前は祝日と重り,先々週は私がCERN出張していたため,そして先週は大学にいる学生が少なかったために,3週ほどゼミをやっておらず,今日のゼミは久しぶりとなりました。今日の論文はグルーオンの発見と呼ばれる1970年代後半の論文でしたが,QCD関連の論文というのは専門家でない私にとってはいつも理解するのが大変で,今回もいつも通り理解するのが大変でした。クォークやグルーオンは単独で見えないので,結論がどうもすっきりしないと感じてしまいます。

ゼミの後,一緒に作業しようと言っていたのになかなか一緒に作業する機会を作れなかった,MPPCの読み出しボード周りの作業を修士課程の学生のTくんとようやく一緒にやりました。だいぶ苦労していた感がありましたが,問題は根深いものではなく,順番にどこが悪いか潰して行くとすぐに問題点が見つかり,ボードの深いところに問題があるわけではないことがわかりホッとしました。

その作業をしている横では,4年生が一生懸命シンチとライトガイドを接着していました。研究室にあるシンチはひびだらけのボロボロボロ。そこで,昨年度末に何枚か新しいものを購入しておきました。今年の4年生はその新品をめでたく使う機会を得たわけです。光量ががっつりと増えることを期待しています。一方で,ライトガイドはぼろぼろのまま。まともに使えるものが足りない状況で,その中でもまともそうなものを選び出し使おうとしています。こちらに関しては,あまりのボロボロ具合を再確認しましたので,幾つか予算の許す範囲で新しいものを買おうということになりました。残念ながらそれを使えるのは来年度以降の4年生ということになりますが。

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グループ内審査

やっと,というか,とりあえずというか,論文のATLASグループ内審査のための発表とミーティングが終わりました。

解析に対してかなり強い批判があって,難航が予想されていました。解析している人間だけでなく,トップグループのリーダをはじめ関係者何人かで対策を練って臨んだので,ボロボロということはありませんでしたが,批判を完全に払拭することはできず,引き続き批判者を納得させるべく細かな作業を続けるということで今日のミーティングは終わりました。

発表する私にとっては,今回はとある内部事情(時間の問題ではありません)で準備が非常に苦しく,結果はどうあれなんとかクリアした,というのが今の心境です。同様の批判を受けて,同じトップグループの解析は前回木っ端みじんにされたそうで,それに比べたらだいぶマシな結果ではあったようですが,とにかく準備が大変でした。

それはさておき,これで終わりではありませんので,内部審査クリアに向けて引き続きみんなで頑張っていかなければなりません。って,おわっ,もうすでに新たなコメントが来てる…。


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論文投稿へ向けて

昨日も書きましたが,トップクォーク関連の論文発表へ向けて,ATLASグループ内の審査の佳境に入っています。

今日は高校生への講演,そしてたくさん来る質問に応対するため,講演の後もずっと会場に残って高校生と話をしました。普段なら,高校生の熱意を感じて充実感があるのでしょうが,今日は心の隅で解析のことが気になっていて,いつものような充実感を味わえませんでした。それでももちろん,たくさん質問してくれたので講演している側としては非常にやり甲斐を感じました。

ということで,今は論文原稿に対するコメント(イチャモン?)に対する対応に追われています。建設的なコメント,若干の悪意を感じてしまうコメント,どうでもいいコメント,などなど色々あって,腹立たしいものも結構あるのですが,多くの人の目を経てチェックするということは大事なんでしょうね。自分達に対して好意的な意見だけを言ってもらうのでは,本当の意味でのチェックになりませんから。あと,くだらないと最初は思う意見でも,後から実はいいポイントを突いていたということに気づく,なんていうこともありますから,冷静に,客観的に考えると良いことなんでしょうね。

とはいえ,時間に追われて,たくさんのコメントに返答を返すのはなかなか難しいです。特に,瞬間沸騰器の私は,くだらないコメントがあるとその後の反応が乱れるので,本当は時間をかけて,冷却期間を間にはさんでコメントに応対したいのですが…時間がありません。

しかし,こんなにも論文投稿までの道のりが遠いのはATLASが初めてです。KTeV, Belle, Dzeroとは比べ物になりません。有名雑誌の査読なんかよりも遥かに厳しいです。内部事情を知ってる人間からのツッコミだけに,余計に大変だったりします,悪意があると。

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講演続き

今週は大学で地道に(って,派手だったことありませんが)仕事をこなしています。

まず佳境なのが,トップクォーク関連の解析です。夏の国際会議に出した解析結果を論文として雑誌に投稿する直前という段階にまでようやく漕ぎついて,ATLASグループ全体に論文原稿を配布,そのコメントを今日まで受け付け,来週月曜に承認をしてもらうためのプレゼンテーションを行うという最終段階一歩直前にまでやってきました。もちろんどっかで何かをやり直さなければならないという状況になることも考えられますが,それがなければ,今日までに貰うコメントに受け答えし,月曜の発表でdefenseすれば,ようやく最後のステップfinal readingと呼ばれる何人かによるグループ内最終の査読が行われます。

というわけで,すでにコメントが幾つか来ているので,それに対する丁寧な受け答えにこの数日断続的に時間を使っています。そして,月曜の発表の準備。色々とツッコマレそうなポイントというのをトップの解析グループ全体のリーダーに教えてもらったので,それに対する対応策として,いつも通り実働部隊のHくんとN大Oくんに動いてもらい,幾つかの数字を準備してもらいました。

そんなことをしてるので,いくらか研究者らしいことをやっているのですが,それと並行してオーバーロード気味なのが講演準備。明日は毎年恒例の高校生が6週に渡って大学に来てレクチャーを受けるという企画での講演。来週は測定器開発に関する研究会で発表。その次の週末は佐賀県へ行き,県知事と会食というオマケ付けの講演会(大学生と高校生が対象)。平成基礎科学財団というところの主催の講演会で,午後まるまる私一人で講演するというヘビーなものです。さらにその翌週には金沢大学での集中講義。3日分なので当然これまたヘビーです。そしてさらにその翌週は余剰次元に関する研究会での講演。というわけで,スライド作りに追われています。

プラスして,今週はとある会報の原稿書きにも追われていました。実際には初稿は先週CERNに行く前に仕上げていたのですが,その後,編集者との校正のループに入り,その対応にも今週は追われていました。大学とは関係ないのですが,研究室の紹介に関する記事で,Y教授やSくんから写真を提供してもらい記事を仕上げました。

オフィスにこもって仕事してる時間が多くて,4年生の卒業研究の進み具合が気になっているのですが,なかなか彼らと話をする時間を作れません。講演会の連続ということは大学を空けることがここ一ヶ月多いわけで,さらに,実はその先,ビームテストやら,ATLAS関係の集まりがあって,12月はオフィスにいる日があるのだろうかというような状況です。というわけで,一緒に実験する時間をあまり取れないけど,4年生のみなさん,なんとか自力で頑張ってね(このブログを見てるという噂なので,試しにこう書いておきます)。

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機内でのできごと

先週CERNに行く時に乗った飛行機内でのことです。

最近はJALばかり使っていて,今回も成田発パリ行きのJALを使いました。JALを好む理由は幾つかあるのですが,その一つが個人エンターテイメントが充実していること。映画とゲームが充実していることです。毎度毎度,CERN出張の際には,機内で映画を観て大泣きしたという話を書いていますが,今回もその機内で2本観て,いつも通り,いやいつも以上に大泣きしました。なんていうことは,いつものことなので今さら書くほどのことではないのですが。ネタは別のところに落ちていました。

映画を見る前に食事の頃にゲームをしていたら,自分のシステムがハング。いくら待っても反応が返ってきません。しばらくすると画面に「system rebooting」的なメッセージが表れ,どうやらリブート。しかし,そこから20分ほど待っても反応がありません。そこでスチュワーデスさんを呼んで事情を説明したところ,運悪く(?)パッセンジャーアナウンス(PA)が入りました。するとそのスチュワーデスさんは,PAが入ったからですね。と,すっとぼけたことを言います。私が説明したことを全く理解してない,かつ,信じていないようなのでちょっとイラッとしましたが「PAのメッセージではなく,これこれこういうメッセージだった」と丁寧に,本人としては冷静に伝えました。PAが終わった後も当然反応しませんから,それでようやく私の言うことを信じたのか,やっと手で(?)もう一回システムをリブートしてくれるとのこと。ご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんが,これには凄く時間がかかって20分は大抵リブートにかかります(それを知ってたので,最初にpingする前に20分ほど待ちました)。でも仕方ありません。30分ほど待つとようやく復活。

でも話はこれだけは終わりません。

だいぶ時間が経ち,映画も2本観て,またゲームをしていました。ちなみに私がするのは大抵ナンバープレース。そのときはたまたま将棋をしていたのですが,いいところでまたもハング。今度は自分でrebootしようともしないので,またスチュワーデスさんを呼びます。できることはリブートのみですから,今回もまた20分か30分立ち上がるのを待ちます。が,今度はシステムが立ち上がって画面は見えるのですが,コントロールが利きません。映画やゲームを選択できないのです…。

でももうわざわざ言うの面倒くさくなって,そのままにしておきました。でもサービス満点のJALはスチュワーデスさんがどうなったか聞きに来てくれます。仕方ないので状況を説明すると,今度は平謝り。別にスチュワーデスさんのせいではないので,「そんなに謝らなくていいですよ」ときわめて優しく(本人的には)言いました。

ところが,です。その後,何回も,しかも違う人が謝りに来るのです。何度も謝られてもシステムが直るわけではありませんし,そもそもその人たちが悪いわけではありません。ですから,スチュワーデスさんが悪いことしたわけではないから謝らなくてよい。悪いのはボロいシステムだ。と,私的には相手をかばって言ったつもりなのですが,どうも相手はそう受け取らず,交代で人が謝りにきます。しかも,段々年配のスチュワーデスさんになっていきます。最後4人目くらいは「30秒でいいからお話させてください」と前置きして,ハガキを手渡してくれます。5000円分の機内での買い物に使えるクーポン券かマイルの積算のどちらかをくれると言うのです。ハガキはその選択をチェックして投函するためのものだそうな。。。

これじゃあ,周りの人から見たら,チンピラが金品をゆすりとったみたいです…。ホントに謝ってもらう必要ないと思ったし,彼女たちをいたわったつもりだったのですが,こっちが説明すればするほど私が怒ってると思ったようです。口調も静かだったのに,私の人相がよっぽど悪いのでしょうかね。

あ,ちなみにそのクーポン券はありがたくいただいておきました。まだ投函していないので忘れないようにしないと。

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拍手数の統計情報

土曜日にCERNから帰って来ました。今回は会議の連続とその事後処理,それから何人かの人との議論が密にあって,短期間でしたがかなりヘロヘロの出張でした。

それはさておき,今日ブログの管理画面を眺めるとコメントがありました。しかし,そのコメントをつけていただいた記事がどんなものだったかはっきりと思い出せず,リンクを辿り自分のブログ記事を確認しました。内容はさておき,私が驚いたのはその記事に対する拍手の数が8個もあったことです。

大勢の人に読んでもらっているわけではないので,このブログでは拍手数が5を超えるとかなり多いと感じています。また,拍手数が多いのは(たぶん)研究関連の小ネタのときが多く,記事を書いた直後に拍手数が伸びるので,どういう内容の記事に拍手が多かったのかは,なーんとなくですが記憶にあります。ですが,その記事については書いた直後に拍手が多かったという印象がありませんし,物理関連のネタでもありませんでした。なので,8個という拍手の数に驚いたというわけです。私自身が気づいていない人気記事というのが結構あるのかもしれません。

拍手の数については,管理画面から,過去30日間分の統計情報を見ることができます。でも,それより古い拍手については管理者でも見ることができません。過去のどういう記事が人気あったのか自分自身興味はあるので,過去の記事全てについて拍手数をリストアップだけでもしてくれる機能があると嬉しいのですが,残念ながらそういう機能はないようです。FC2拍手とかなんとかというサービスを利用すると,全拍手数がわかるという情報をグーグルで見つけたのですが,それはどうも,そのサービスを開始した時点から未来の拍手を全部記録するということらしく,過去の拍手については統計情報を得られませんでした。

タダでサーバーを借りてるわけですから偉そうなこと言えませんが,ユーザーのニーズはそれなりにあると思うんですよね。FC2さん,ぜひご考慮を。

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Double Chooz の最初の結果

とうとうDouble Choozが最初の結果を出しました。

sin^{2}(2θ_{13}) = 0.085 +/- 0.029 (stat) +/- 0.042 (syst)

だそうです。微妙な値ですね…。1.5σくらい。
T2Kの結果と合わせるとθ_{13}>0が3σに到達するとか。でもそれってほとんどT2Kの感度で決まってる値じゃん,というツッコミを入れたくなりますが,それはさておき,0ではなさそう,というか,そこそこ近未来に測定可能な値だと確信を持てるような結果でよかったですね。

ちなみに,発表したのは韓国で行われているニュートリノ関係の国際会議で,その発表スライドはここにあります。私もまだ最後の結果のところしか見ていませんが,これから感度がどのように上がっていくのか興味津々です。というか,系統誤差がこれからどれくらいの勢いで下がるものなのか気になります。同時に,T2Kとの競争がどう進むのか,第3者的には面白いところです。

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LHCの近況

最近全然触れていませんでしたが,今日はLHCの近況を少しだけ。

年内の陽子陽子衝突実験は10月いっぱいで終えて,今は重イオンビームの衝突実験に移っています。と言っても,重イオンビーム衝突実験に全く興味のない私は,今現在何をやっているのかよく理解していません。日々のログを読むと,当然のことながら加速器の調整に多くの時間を使っているようです。

陽子陽子衝突実験のほうは何度かお伝えしたように非常に順調でした。記録したデータ量は5fb^{-1}を超え,来年一杯さらに重心系エネルギー7TeVで走ると,合計で10fb^{-1}を超えるのが確実です。10fb^{-1}あればどうなるかというと,ヒッグス探索では130GeV以上なら5σで発見可能,3σでよければLEPのリミットの114GeV以上をカバーできるはずです。私の希望である超軽いヒッグスの場合は,5σは無理でも何か怪しいモノがあると言えるようになりそう,という状況です。

しかし,ルミノシティが順調に上がるのはいいことですが,検出器の方はその分どんどん大変になっています。今までのルミノシティの最大値が3.7E33。バンチ交差あたりの陽子陽子衝突数はそのルミノシティだと平均で10に到達しようかという勢いです。ちなみに,これが最高かどうかは知りませんが,衝突数20のイベントディスプレイがATLASのサイトに公開されています。それがこれです。
Z --> mumu with 20 intereactions
Zがミューオン対に崩壊したイベントですが,Vertexが20個も見つかってしまっています。ちなみに,vertex候補を作るトラックにはpTが0.4GeV以上,ピクセルとシリコンストリッップ検出器にそれなりにヒットがあったという要求が課されているので,にせものの確率はそれなりに低いです。って,イベントディスプレイを見れば,実際に陽子陽子衝突をしてると納得させられるものが多いことがわかります。そうでなくては困るのですが,こんなにトラックがある中で,検出器もトラック再構成アルゴリズムもよく頑張っています。

2012年もデータ収集を続けますが,2013年全てと2014年の大半はシャットダウン。重心系エネルギーを14TeV付近にまで上げるための加速器の作業を行います。ルミノシティもさらに上がりますので,それに備えたトリガーやら何やらの研究もすでに始めていて,夏から私たちのグループに加わった外国人特別研究員は高いルミノシティに備えてヒッグスのトリガーの研究を行っています。ちょうど来週,将来計画に関するコラボレーションミーティングがあり,彼もそこで発表をするために来週はCERNに来る予定です。

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委員会のためにCERN

このブログでたびたびツラさを愚痴っている国際スクールの委員会活動ですが,その委員会の第1回のミーティングのために今週はCERNに来ています。昨日の晩ジュネーブに着いて,今朝は8時から16時まで,昼食時も含めて見事に缶詰で会議をしていました。いつも同じこと言ってますが,英語の議論だと途中で集中力が切れると本当に意識を失ったかのように記憶が抜け落ちることがあります。今日は昼飯も出席者全員で一緒にとり,その時間も議論をしていたのですが,どんな味だったか全くわかりませんでした。。

と,毎度の愚痴をこぼしていますが,こういう大きな催しの立ち上げに参加できる機会は滅多にないので,色々と勉強になることは多いです。企画,運営面もそうですし,議論を進めるためにどういう準備をして,どういう根回しをして,好き勝手を言う人々を相手に発散しないように議論を進めていく技術,などなど,非常に貴重な経験ができています。面倒で仕方ない仕事ですが,せっかくやるからには,そういうポジティブな面を見ていったほうが精神衛生上良いのでしょう。

ちなみに,今週は,ATLAS Osakaグループのメンバーが私を含めて6人CERNに滞在します。長期滞在組の博士課程の学生2人に加えて,1,2ヶ月間の滞在中の修士課程の学生2人。そして2週間の短期滞在の修士課程の学生1人。これだけ多くの大阪のメンバーがCERNに滞在するのは初めてです。グループの成長ぶりを実感できます。というのも,人数もですが,これだけの人を送れる予算をようやく獲得できたんだなぁ,と感慨深いです。なにしろ予算に関しては完全にゼロからの出発でしたから。

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自転車の歩道通行

このブログでたびたび書いているように,自転車が歩道を歩いている私にベルでも鳴らそうものなら,その自転車を止めて説教しますし,無灯火のチャリが凄い勢いで走っているのを見ると,これまた止めて説教したくなります。まあ,自転車のマナーの悪さにはたびたび腹を立てているということです。

が,ピストの自転車が検挙されたというニュースを最近よく目にするのですが,それについては,違和感を覚えます。トータルでの事故数,怪我人の数を減らすためなら,私が憤っている無灯火のチャリや,車道を逆走するチャリや,携帯を見ながらで前をろくに見ずに運転してる人や,そもそも狭い歩道を塞ぐ放置自転車や,自転車が車道を通行するのをおもいっきり邪魔する路駐の車を排除するのが先だろう,って思ってしまいます。一番重要な効果のデカイところに手をつけず,物凄く事象数の少ないところにメスを入れるのって,人身御供だよなぁ,と思ってしまいます。あるいは,誤差200%の系統誤差のソースがあるのに,それを無視して,誤差1%以下のソースに夢中になってるみたいというか。はたまた,とてつもない財政危機にもかかわらず,年金やら医療制度などの社会保障制度にメスを入れず,仕分けパフォーマンスをしてる政治家みたいというか。

ブレーキなしのピストが危ないからそれを注意するというのはそれで構いませんが,もっと危険な行為を放置しておきながら,ブレーキなしピストに対していきなり罰金というのは不思議です。逆走自転車,路駐,歩道でベルを鳴らして突進してくる人々こそ即罰金にして欲しいものです。

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SVX4

今朝の研究室ミーティングでは,文献紹介/研究発表が私の担当で,SVX4というシリコンストリップ検出器の信号読み出し用のASCIの話をしました。

SVX4というのは,Tevatronの幻のRun2bでCDFとDzero双方がシリコン検出器アップグレードの際に使うべく開発したASICです。ところが,Run2b計画はご破算となり,Tevatronでは結局DzeroだけがLayer0という小さなシリコン検出器のために200個程度のチップを使うにとどまりました。ちなみに,Layer0というのは,すでに存在しているシリコン検出器の最内層に加えるレイヤーという意味で,Layer0という名前がついた検出器です。私はDzero時代にこのLayer0開発にかなり力を注ぎました。Fermilabを離れる際には仲間たちがプレゼントとしてLayer0の大きな写真を額に入れて送ってくれたくらいです。その写真は今も私の目の前に飾ってあります。おっと,脱線しましたが,そういうわけで結局SVX4はTevatronでは多数使われず,その後,ブルックヘブンで行われているPhenixという実験のシリコン検出器アップグレードで大量に使われることとなりました。

なんでまた突然SVX4の話をしたかというと,SVX4を使ってシリコンセンサー試験のための参照用検出器(テレスコープ)を作れないかと最近画策しているからです。シリコンセンサーの検出効率をマッピングしようと思うと,入射粒子の位置を精度よく測定しなければなりません。その入射位置の測定用検出器のことを上記のテレスコープと呼びます。そのテレスコープ用のシリコンセンサーからの信号読み出しにSVX4を使えないか調べ,使えるとしたらどのような読み出しボードが必要なのかを調べるために,これまた昔Fermilabにいた頃に自分で行ったSVX4の試験やら,その後同僚がまとめてくれたマニュアルやらテスト結果を最近復習していたので,その内容を一石二鳥とばかりに研究室ミーティングで発表したというわけです。

チップの中身については書きませんが,その名の通りSVXシリーズの第4世代ということで,実験現場で培われたノウハウがふんだんに詰め込まれた成熟したチップと言えます。チップの設計者であるエンジニアに振り回されるのではなく,実験をやっている物理屋の意見が多く取り入れられています。ほぼ10年前の研究内容だったので大部分を忘れていましたが,勉強し直すと,改めてよくできてるなぁと感心する部分が非常に多かったです。その私の感動を研究室のメンバーにも多少シェアしてもらえたようなので,それもまたよかったです。

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