ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

MINOSでも

昔,ニュートリノの速度を測っていたのですね。arXivの0706.0437にありました。2007年の論文です。その結果は,(v-c)/c=(5.1+/-2.9)x10^{-5}で,誤差がデカイので何にも言えませんが,とりあえず中心値はタキオン領域だったのですね。1.8σなので,ゼロとconsistentと見るのがまあ普通でしょうけど。

ところで,MINOSの時間分解能は系統誤差分だけで64ns。一方,OPERAでは7.4nsですから,OPERAの分解能の良さが際立ちます。さらに,T2K関係者に聞いたところ,T2Kでは一声100nsくらの系統誤差がありそうなので,結果を出すにはこれから色々と頑張らなければならないそうです。ちなみに,スーパーカミオカンデは非常に大きいので,ニュートリノが反応した地点からPMTに光が届くための時間も数10nsから場所によっては100nsオーダーになります。って,偉そうに書いてますが今までそんなことを気にしたことはなく,これまたT2K関係者に指摘されました。ですので,ニュートリノが水と反応した地点からPMTまでの距離の補正が必要で,そこら辺も頑張らないとならないのかもしれません。GPSという私にとってのブラックボックスもきっと重要でしょうし,10nsくらいにまで分解能を上げるのは結構時間がかかるのかもしれません。

それから,今回のタキオン問題の反証として,素粒子物理屋はすぐに1987年の超新星爆発のニュートリノ観測を引き合いに出します。数日前のコメントにも書いた通り,光とニュートリノが同時に放射されたら,ニュートリノの方が4年早く地球に到達してしまうが,実際にはほぼ同時に観測された。よって,ニュートリノがタキオンのはずない,というものです。しかし,天文の友達は超新星爆発のメカニズムに間違いがないのか,というようなことを言っていて,私にとっては目から鱗でした。普段は何でも疑うくせに,他分野の専門知識,ここでは超新星爆発のメカニズム,について全然疑いを持たなかった自分に気づいて驚きました。実際問題としては,光だけが先に放出されてその数年後にニュートリノが放射されるという超新星爆発のメカニズムを考えるのは難しいのでしょうが,そのメカニズムを知らないくせに疑わなかったというのはダメダメですね。

ところで,今回のマスコミ報道の盛り上がりが恣意的と感じるのは私だけなのでしょうか。世間のSF好きが喜ぶのはわかりますが,新聞報道とかを見ると,原発問題と同じように扱われているように感じてしまいます。科学(彼らの言葉では科学技術)の世界で正しいと考えられていたことが覆って(は,いないのですが),それを喜んでいるかのような印象を受けてしまいます。公務員イジメから科学技術イジメに方向転換したかのような,いや,公務員イジメに科学技術イジメを加えたような,印象です。私がひねくれているからそう見えてしまうだけで,素直に大々的な報道を喜んでいればいいのかもしれませんが。

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種々雑多

先週は検出器のデータクオリティをモニターするシフトを2日間やりました。ノルマをこなすだけなら実働時間は大したこと無いのですが,自分が興味を持ってる検出器のことなのでごちゃごちゃと色々眺めて楽しみました。現場になかなか行けず,実験遂行という荷を現地で背負うことがなくなっている私にとっては良い経験で,順調にデータ収集を続けているとはいえ,現場の人が日々どれだけ苦労して実験を進めているのか体験,体感できました。どんなプロジェクトでも,各部署で責任を持って日々過ごすというのは大変です。大学にいると別の忙しさで,そういう現場感覚を忘れかけてしまうので,月一,あるいは2ヶ月に一度くらいのこのシフトはそういう現場感覚を思い出せるという意味で重要だったりします。

ってなことを書いてる一方で,日常生活で気になっていることがあります。最近,新聞などでよく「ミラーレス一眼」という言葉を見かけます。その言葉の意味がよくわかりません。鏡のない一眼という意味では,一眼レフ以外のデジカメは最近はほぼ全てミラーレス一眼だと思うのですが(液晶モニターがなく,ビューファインダーだけ装備なんていう製品はかなり稀なような),なぜか,ミラーレス一眼というジャンルができあがっているようです。周りのカメラ好きと思われる人2名にも聞いてみましたが明確な答えは得られず,レンズを交換できる,くらいの意味なのかな,ということで落ち着いています。それだったら最初から「レンズ交換可能型」くらいのネーミングにしてくれればいいと思うのですが…。一眼レフが何かをわかっていない人を騙す(?)ために似た語感を持つ言葉を使っている気がしちゃうんですよね。レンズが良い物になって高価になっているのでしょうが,なんとなく悪意を感じてしまいます。

全く独立の雑感を並べたので,miscellaneousというタイトルにしようと思ったのですが,スペルに自信がなかったので(今一応調べました)種々雑多というタイトルにしました。何が言いたいって,なんでそんなに難しいスペルなんでしょうか。さらに,日本語入力の補完機能みたいなのがあればいいですが,少なくとも私の環境にはそういうものがありません。スペル間違いは表示されますが,それだったら,似た単語をリストアップしろよ,と計算機に向かって突っ込みたくなるのは私だけではないはずです。

[10月1日追記]
以下のようなコメントを頂きましたので,コメントを追記します。

引用開始--->
メーカーでミラーレス一眼と謳っているところは無いと思います。Nikonは明らかにレンズ交換式と言っていますね。ミラーレス一眼という言い方はマスメディアが言い始めたのでは無いかと思うのですが、よく分かりません。ブログでは騙す主体を書いてありませんが、メーカーが消費者を騙そうとしている、と読めますね。メーカーは言っていない、と言う事は明らかにした方が良いのではないでしょうか。
<---引用終了

何をもって「言っている」とか「謳っている」と定義するのかわかりませんが,メーカーがミラーレス一眼という俗称に抵抗をもってマスコミに抗議をしている,そういう誤解される呼び方を回避しようと努力しているのであれば,私が書いた「メーカーが消費者を悪意を持って騙そうとしている」ように感じていることは誤解に基づくダメダメな感想ですし,撤回します。しかし,メーカーがそういう俗称を一切使っていないか,メーカー関係者が人と話をするときにそういう言葉を使っていないかどうかも明らかではありません。ですので,修正はせずにこの追記を加えます。

も一つ加えると,ミラーレス一眼という俗称を開発した人は,ウェブサイトのことをホームページと呼んだ人と同様,ダメダメな人ですね。なんで「ミラーレス一眼」なんていうネーミングを思いつけたのか不思議です。

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タキオン

いやー,びっくり。タキオンですか,ニュートリノは…?

CERNの所長がCERNユーザーにバラまくメールを読んで知ったのですが,OPERAという長基線ニュートリノ実験(KEKあるいは東海村からスーパーカミオカンデにニュートリノを入射する実験と同じようなものだと考えてください)では,CERNからイタリアのグランサッソというところに向かってニュートリノビームを飛ばします。その距離約730km。CERNから飛ばしたν_μがグランサッソに行く途中にν_τに変化するという事象を捉えようとする実験です。

そこで,ニュートリノの飛行時間を測ったら光よりも速かった,という驚きの結果です。どれくらい速かったかというと,測ったニュートリノの速さをv,光速度をcとすると(v-c)/c=(2.48+/-0.28+/-0.30)x10^{-5}と,6σレベルの有意さです。当然俄には信じられませんし,論文を読もうとしましたが,結局はGPSやら回路内での遅延の話になってしまい,部外者的にはどう反応していいのかわからない,というのが感想です。他の粒子の速度を測ってそれが運動量から予想される速度であることを示せれば非常に良い対照測定になるのですが,一目ではそういう測定はされていないようです。というか,CERNとグランサッソ間ではニュートリノでしかやれないので,そういう良い方法を本当にやれるのかどうかはわかりません。

ちなみに,粒子の速度を測るということは,素粒子や原子核実験では珍しい技術ではなく,日常的に行われています。たとえば,運動量もついでに測れば,同じ運動量を持つ2種類の粒子は質量の違いから飛行速度は違います。ですので,精度の良い測定ができれば運動量測定と併せることで粒子の種類を識別できます。実際問題としては,測定精度の限界がありますから,非常に遅い(=運動量の低い)粒子に対してのみ有効な粒子識別方法となります。逆に,今回のように測定する2地点間の距離が大きければ,粒子の種類(質量)による速度の違いを見やすくなります。

今回の結果はプレスリリースされて,すでにウェブ上の日本の新聞にも載っています。あまりにも驚きなので,この結果を広く世界に知らせ,他の実験での追試や,広い分野から意見を募りたいとか。CERNの所長からのメールの内容をそのまま貼り付けます。

As usual, I am sending you this CERN press release before we issue it to the media. Unusually this time, however, I feel that it needs a few words of introduction. The OPERA collaboration has measured the time of flight of neutrinos sent from CERN to Gran Sasso, along with the distance they cover.These measurements appear to show that the neutrinos are travelling faster than light. When a collaboration makes a surprising observation such as this and is unable to account for it, the ethics of Science demand that the results be made available to a wider community, to seek scrutiny and to encourage independent experiments. That's why when the spokesperson of the OPERA collaboration asked me whether they could hold a seminar here, I said yes. Given the potential impact of such a measurement, I felt it important for CERN formally to make its position clear. That's the reason for the cautiously worded statement we're sending to the media today.

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科研費説明会とか

今日は午前中,大学の教職員向け健康診断がありました。採血もあるので朝食は抜き。昨日は昼飯を食べられませんでしたし,2日続けて1日2食生活です。

午後は,学会での講演に続いて私の宿題となっていた大学主催の科研費説明会での講演を行いました。相手が教員向けということで,最初はどんな雰囲気で喋ろうか迷い,その結果喋りが滑らかではありませんでした。でもまあ途中から勢いに乗り,それなりのデキのトークだったのではないかと思います。最初は毒を吐くつもりでしたが,台風の中わざわざ話を聞きに来てくださってるかと思うと,毒なんか吐けませんでした。逆に,聞きに来てる人にとって少しでもプラスになるようにと一生懸命になってしまった自分が可笑しかったです。

その後は,ATLASのシリコン検出器のデータクオリティモニターのシフト。すんなりと進めば実働は大した時間ではないのですが,調子の悪いモジュールについて調べ始めてしまったために,かなりの時間を費やしてしまいました。CERN現場にいる学生にも質問したりしたのですが,流石に現場に張り付いて頑張っているだけあってきちんとした答えが返って来ます。成長を実感できました。

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空腹

大阪に戻って来ました。昨日の便が取れなかったので,今朝の便で帰阪。大学に昼過ぎに着きました。明日の科研費説明会の準備を終えたらサクサク帰ろうと思っていたのですが,メールを見ると問題発生中。解析関連でもめ事があって,今日中にとある解析ノートを更新せよというお触れ。昼飯を食べる暇さえ無く対応に追われています…。

一方,研究室に目をやると,昨日大阪に戻って来ているはずの学生も含め,学会に行った学生は一人もいません。Kaon実験をやっている学生の何人かは東海村に行ったので研究室にいなくて当然ですが,それにしても,JaくんとTくんしかいないとは…。出張の翌日だからと休暇を取ってしまう,取ってしまえる学生さんたちが羨ましいです。あと,休日でもないのに大学に来ない学生,あるいは連絡が取れない学生がいると最近不安なんですよね。なので,ATLASのメンバーには休む時は連絡くれとメールを今さっきしました。

しかし,学生とはいえ強烈な責任感を持って仕事をしているN大学のOくんは素晴らしいです。今回のようなトラブルが発生するたびに,彼がストッパーとして獅子奮迅の大活躍をしてくれます。今回もまた彼におんぶにだっこ。申し訳ないやら,感心するやら。

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解放感

4日間の学会期間ですが,残すは明日だけとなりました。

昨日の午後はシンポジウムでのトーク。研究内容を発表するというより委員会からのメッセージを伝えるための講演だったので,内容をどう纏めたらよいか苦労しました。講演時間に比べて少し詰め込み過ぎてたことは認識していたのですが,準備時間が足りなくて最後の磨きが不十分でした。でもまあ,委員会からのメッセージを伝えるという任務を終えてホッとしています。

そして今日の夕方は,今期最後の高エネルギー委員会。次回からは新メンバー,というか,常連さんのメンバーでの新しい委員会が始まります。ということで,こちらに関してもお役目御免。これまたホッとしたというか,奇妙な解放感があります。

ちなみに私たちの研究室の学生の講演は初日と最終日に固まっていて,ATLASグループの2人とKaon実験グループの1人は初日。Kaon実験グループの残り3人は最終日の明日,と完全に分かれています。講演を終えた学生は気楽に学会を楽しんでいるでしょうが,残りの3人は最後まで緊張というか,若干の抑鬱感を感じているかもしれません。スタッフだったら学会で研究発表を控えていてもほぼ緊張はしないでしょうが,学生にとっては学会はやはり緊張する場だと思うので,1日目の発表の人はラッキーですが,最終日はちとアンラッキーかもしれません。

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弘前にて

学会のために弘前に来ています。

青森空港発着便の本数は少なく,また機材も小さいものを使用しているためチケットを取るのが難しく,学会が始まる前日の今日,しかも昼前にホテルに着いてしまいました。明後日のシンポジウムでのトーク,来週の科研費説明会でのトーク,どちらも準備がまだ終わっていないので(特に後者はほとんどまだ手つかず。事務への提出期限に間に合わずプレッシャーを受けています)早めにチェックインできればホテルでその準備ができる,と淡い期待を秘めていたのですが,「チェックインは午後3時からです」とバッサリ。取り付く暇も与えてくれないホテルの対応でした…。

そこで,散歩がてら弘前城に行って来ました。かなり古い天守閣が残っていて,それなりに楽しめました。というか,天守閣そのものよりも,城跡が公園になっているのですが,その公園全体がとても素晴らしかったです。大きな古木がたくさんあり,非常に大きく,人で溢れかえっていることもなく,非常にくつろげる空間でした。スライドを作らなければ,というプレッシャーがなければ,さらに楽しめたはずです。

ちなみにホテルから弘前城までは20分,いや25分くらい。かつ,公園内がとてつもなく広いのでトータルでは2時間くらいは歩いたかと思います。運動不足の私にとっては丁度良い運動でしたが,今日は弘前にしては非常に暑くて汗ビッショリになりました。ホテルにようやくチェックインして,シャワーを浴びて,メールなどをチェックしながら一休みしているところです。

おっと,いつまでも寛いでいる場合ではありません。早くスライドを仕上げないと。

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名古屋遠征を終えて

ここ数日更新していませんでしたが,今度は別に凹んでいるわけではありません。

先週の木曜と金曜は,定期的に行っているN大学,K大学との研究会のために名古屋に,土曜日は引き続いて名古屋で行われた将来計画検討小委員会主催のタウンミーティンに出席するため,都合3日間名古屋にいました。土曜の終電近くに家に戻り,その後昨日も忙しく仕事をしていたために更新をサボっていました。

しかし,この忙しさは22日頃まで続きそうです。

今週は16日から学会で,それまでは学会で発表する人たちのトークのレビューに追われています。研究室内の学生たちの発表練習,プラスATLAS日本グループの発表者全員に対するreviewerにもなっているため,トータルでは約30人の発表内容をチェックしなければなりません。

これくらいだったらある意味普通ですが,それにプラスして,明日は大学を見学に来る高校生の対応。そして,学会直後にある学内の科研費説明会でのトークの準備。実際問題として学会に行ってしまうと準備するのが難しくなってしまいますから,出発前に作るのが望ましいですし,その説明会の配布資料とするとかなんとかで,トークで使うスライドを事務に提出しろとせっつかれています。さらに,一番頭が痛いのが,学会のシンポジウムで私たち将来計画検討小委員会からの提案をしなければならないのですが,その提案の一つを私がまとめて発表しなければなりません。土曜日にあったタウンミーティングでの議論を踏まえて,ということなのですが,あまりに時間がありません…。

というわけで,しばらくはブログの更新の頻度が下がるかもしれません。

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雑感2つ

全く独立の雑感を2つ。

先日,と言ってももう1ヶ月以上前でしょうか。息子を連れてまあまあ近所のプールへ行った時のこと。迷子のアナウンスがあったのですが,そのアナウンスは「◯からお越しの◯◯ちゃん,総合案内受付にお越しください」というものなのです。総合案内受付…そんなのどこにあるんだ?って,迷子になるような子供にそんな言葉の意味わかるわけありません。いやー,無茶するなぁ。そのうち,表現を変えてアナウンスがあるかな,と思っていたら…予想通り2回,3回とアナウンスが流れます。でも,表現は同じ。私がアナウンスをお願いする立場だったら絶対に文句言います。そんな言葉遣いで子供が理解できるわけないだろう,って。

この話を家に帰ってカミさんにしたら,すぐに文句を言えるのはアンタだけだと言われましたが,でも,自分の子供が迷子だったら心配で,それくらいは言いたくならないですかね。それにしても,迷子のアナウンス,ちょっとヤバいでしょう。

雑感2つ目。
先日CERNに行った時のこと。CERN内にスイスの銀行があって,私はそこに口座を持っています。アメリカもそうでしたが,銀行の通帳というものはなく,毎月口座残高などの明細が郵便で送られて来ます。その送り先はCERNのオフィスにしてあるので,いつもCERNに行くと郵送されている明細を確認します。

今回は久しぶりのCERN出張だったので,かなりの数の明細+銀行からの案内が届いています。束になっていた明細を順番に確認していきます。7月,6月,というように月を遡っていきます。すると,7月はなぜか37フラン引き落とされています。あ,ちなみに,日本の銀行と違って銀行口座を持っているとそれだけで手数料がかかります。今までは毎月7フラン。バカにならない金額です。なので7フランはいいとして30フラン余計に引き落とされているのが謎です。その謎は4月まで続きます。かなりの金額になりちょっと動揺しましたが,次に見た銀行からの案内で謎がとけました。4月から,スイス国内に住んでいない人の口座維持費は30フラン余計に取ることにしたそうなのです。

そうか,なるほど。って,月々37フランって暴利でしょう。しかも私なんて大した金額が入っている口座ではないのに,すでに100フラン以上取られてることになります。いや,もう,怒りのぶつけようがなく,まさに地団駄を踏みました。ぼったくりの飲み屋なみに酷いです。

しかも,スイス,ユーロとスイスフランの為替相場を一定させるために無制限の介入を行うと昨日発表しました。スイスの金融はなんでも許されるのでしょうか。日銀がそんなこと言ったらとんでもないことになりますよね。まあ,スイスとユーロの結びつきや,スイスがユーロに入って欲しいというヨーロッパならではの事情があるからでしょうが,凄いですね。

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M山さんお薦めの本

先日,ウェブで新聞を眺めていてM山さんお薦めの本という記事を見つけました。M山さんとは,IPMUのボスの理論屋で,トークがとてつもなく上手いと私のブログでも何回か話題になった,あのM山さんのことです。

『宇宙は何でできているのか』に引き続いて『宇宙は本当にひとつなのか』という本をブルーバックスから出版し,これまた,科学の解説書としてはいい勢いで売れてるそうで,それに関連して(?),その著者のM山さんに宇宙に関する本のお薦めを尋ねる,という企画の記事です。上記のリンクがいつまで残っているかわかりませんが,とりあえず今はまだリンク生きてるようです。そこで紹介されてる本のうち,私はM山さん自身の「宇宙は何でできているのか』とサイモンシンの『暗号解読』しか読んだことありませんが,どれもみな面白そうで,私も読んでみたいですね。

しかし,そこにも書かれていますが,素粒子物理屋として悔しいとのは,宇宙,あるいは天文分野には,誰が見ても「美しい」というポイントがあることです。天文の人と話をすると,ひらきなおって(?)「天文って誰が見ても美しいじゃん」とか言われてしまうことがあります。素粒子物理だって数式が美しかったりするのですが,その普遍性という点ではハッブル望遠鏡なんかの美しい写真には遠く及びません。しかも,ゲージ原理は美しいルールだと感じますが,標準模型のラグラジアンなんて到底美しいとは感じませんし。イベントディスプレイを見て,「おー,これ綺麗なdijetイベントだー」なんていうマニアも一般の人の中にはいるわけありませんし。

物性物理なんかに比べても,視覚的な訴えは素粒子物理は少ないですし,視覚的な美しさという点では素粒子物理はハンディを背負っています。物理の本質とは関係なくても,間口を広げるためにはやっぱり美しさ,視覚的なアピールは欠かせません。何かいい方法ないですかね。

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院試の結果を見て思うこと

今日午前中は,判定会議というものがありました。先週あった大学院入試の結果を,教授・准教授参加の会議で承認するという催しです。これは物理学専攻と宇宙地球科学専攻の承認なので,さらに理学研究科の承認もきっとどこかで行われるのでしょう(それには准教授は参加しません)。

そういうわけで,合格者が内定しました。さらに,合格者の研究室がどこになるかも決まりました。

その結果を見て,毎年感じることがあります。何を一番強く感じるかというと,人生,運に支配される部分が大きいということです。合格,不合格とかではありません。それは本人の実力の占める部分が大きくて,運による多少の変動があったとしても,順位に大きく影響を与えるようなことはありません。もっと言うなら,私が普段接している学生なら,試験結果を知らなくても,順位はほぼ予想できます。いや,むしろ,普段接している教員の評価の方が1発勝負の試験よりも精度のよい評価なのかもしれません。いずれにせよ,普段の評価と試験結果には強い相関性があるので,運・不運が試験結果に影響を与えることはそれほど大きくないと感じます。

私が感じる運というのは,研究室の選択です。ぶっちゃけ,アクティブに研究を展開している研究室とそうでない研究室を選んだ場合では,本人の実力とは関係ない部分で,将来が大きく変わります。あ,いや,研究室同士を比較すると角が立つので,同じ研究室でも時期によってアクティビティが大きく違うとして,以下話を進めます。

たとえば今私が所属するY研究室は,KOTOとATLASという2つの実験をやっていますが,どちらもまさに今が旬。KOTOは今始まろうとしている実験ですので,今実験に加わると,実験の立ち上げをやれて(=高エネルギー物理ではこのタイミングに当たれるかどうかは非常に大きな人生の分かれ目です),多岐に渡る経験ができ,研究者としての実力アップに最適にタイミングでしょう。別に研究者にならなくても,実験を「主導する」経験ができるというのは,何の職業に将来就くとしても非常に貴重な経験だと思います。ATLASであれば,実験が順調に動き始め,これからまさに世紀の大発見に立ち会えるかどうか,という一番面白い時期です。普段から宣伝してるのでこれ以上書きませんが,物理としての面白さだけでなく,これまた色々な経験ができるという意味でも参加する絶好のタイミングです。

さらに,研究者を目指すとなると,このタイミングというのは非常に重要です。自分の博士論文のテーマと直接関わってくるからです。K大のNさんなんかは,どういう実験グループを選ぶかは本人の実力次第だと,いっつも言ってます。運と言ってる私より厳しい考え方なわけですが,そのいわんとするところは,旬の実験かそうでない実験家を見分ける目を持つことが大切だ,ということです。ポピュラーかどうか,あるいは大きな実験か小さな実験かどうかという意味ではなく,物理として面白い結果が出そうかどうかを判断する目,センスが重要ということです。学生の段階では自分で実験を計画できるわけではありませんから,世間で行われている実験の中で,どの実験が自分の学生としてのライフサイクルを考えた場合に面白い結果を出せるか考えることが大事だと言ってるんですね。

言ってることは正論で,面白い結果を出せるかどうかというのは,博士論文うんぬんもですが,その後の研究者としての実績に大きく影響を与えてきます。それは,本人の実力だけではいかんともしがたい部分があり,面白い実験に対する嗅覚が大事だというのは私も同感です。ただ,Nさんみたいに優秀な人は学生の時点でそういう感覚を持ちあわせていたかもしれませんが,自分を振り返ってみると,研究室選びはほぼ勢いだけでした。逆に言うと,私が研究者になったのなんて運100%です。アクティビティの高い研究室に入り,実験のタイミングがどんぴしゃり,良い指導者と良いcollaboratorに恵まれ,この道も悪くないと思えたので今の人生があります。

逆に優秀でも,実験のタイミングが悪いと結果はなかなか残せません。もちろん,非常に優秀な学生はどんな実験でも頭角をあらわしますが,一般論というか,平均を考えたとき,旬でない実験を選んでしまうと研究職につけるかどうかという観点ではかなりのマイナスを背負うことになります。

で,先にも書いたように,学部生くらいだと私みたいに勢いやその場の雰囲気で研究室を選ぶ学生が少なくないと思うんですね。もっと言うと,博士課程くらいになればまだしも,学部生ではその判断は難しいのではないかと思います。ということは,選んだ研究室がアクティブかどうかというのは,学生にとっては運次第なわけです。今の私なら知らない大学の研究室でも,どれくらい盛り上がってやっているのかを,各種資料をあたることで調べられます。でも,4年生にはそれは無理です。さらに,どの研究室も一様に宣伝をしているわけで,それも選択を余計に運にしています。

というわけで,4年生がどれくらい真剣に研究室を選んでいるかはわかりませんが(同じ大学だと違う研究室はなかなか希望しないので,3年生時点でその後の人生が決まっている人も多いかも),人生って運,あるいは巡り合わせだなぁ,と院試のたびに思ってしまいます。

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交渉成立

長いこと私の背中にずっしりとのしかかっていた重りが取れたような気分です。

国際スクール運営委員会のメンバーとして意見交換をその委員会のチェアと何度も行って来たのですが,お互いの意見が接近することなく方針がまとまらず,頭痛の種の一つでした。ところが,今日の電話会議(正確にはSkype会議)で彼が大幅に譲歩してくれて,ようやく日本側の意見が通りました。KEKの人々にアイデアを授けてもらったりしながら何度も交渉を重ねたにもかかわらず話が纏まらないので,かなりシンドイ仕事だったのですが,ようやく話が進展してホッとしています。物理以外の議論で,こんなにも長いこと交渉を続けるという経験は今までなかったので,ある意味勉強にはなっています。モノを売り買いするような職業の人はこれが毎日なんですよね。私にはできない仕事です…。

さて,これからは,ある程度意見が纏まったので,相手の気が変わらないうちにこっちの提案を具体的に進めてしまわなければなりません。これらに関してはKEKのスタッフの厚いサポートが期待できるので,ひとまず具体案を作るまではすんなりと物事が進みそうです。次は,その具体案が委員会のチェア,あるいは他のメンバーに納得してもらえるかどうかが山場になりそうです。

話題全く変わりますが,大学院の入試が終わりました。水曜が筆記試験,木曜が第1希望のコースの面接,そして今日金曜は第2希望のコースの面接でした。受験生のみなさん,お疲れさまでした。

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院試とゼミ

私たちの大学の理学研究科物理学専攻は,宇宙地球科学専攻との合同の大学院入試を今週行っています。昨日が筆記試験で,今日と明日は面接。私たちの研修室を志望した学生のデキ具合など,色々気になるところはありますが,まあ私が気をもんだところで何も変わりません。やる気のある学生が多く私たちの研究室に集まってくれることを願うばかりです。

一方で,今日は久々にゼミ。学生が様々な理由で出払っていたこと,お盆休み,私の出張などがあったために,物凄く久々のゼミでした。前回もそうでしたが,今回のテーマも結構難しくて,今日は理論的な内容だけで終わり,実験部分については来週に持ち越しになりました。って,あれ。今気づきましたが,来週と再来週は私の都合が悪くてゼミやれません。次回は22日と,まただいぶ間が空いてしまいます。うーむ…。

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