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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

電流と電子の移動速度

今学期は学部2年生相手に電磁気学の講義を担当しているということを何度か書いたことがあります。真空中ではなく物質があるときで,自分の専門とは程遠いため(私の勉強不足が原因なのは当然ですが),理解のレベルがそれほど深くないこと,面白いサイドストーリーを知らないこと,から授業は若干苦戦しています。特に,90分の授業はハッキリいって長いですので,授業内容に関係のあるちょっと面白いネタを休憩代わりに入れたいのですが,そういう良いネタが見つかりません。って,やっぱり,勉強不足だからですよね。。

そんな電磁気学の授業ですが,前回の授業では数少ないネタ(というより基本?)が炸裂しました。電流による電子の移動速度が物凄く遅いという話です。私も初めて聞いた時は驚きましたが,無茶苦茶遅いんですよね。授業のために自分で計算したので一桁くらい余裕で間違っているかもしれませんが,1mm^2の銅線に1A流れているときの電子の移動速度は100μm/sくらいしかありません。ちょっとビックリですよね。

学生の退屈具合というのは,授業してればヒシヒシと感じるわけですが,このときばかりは眠そうな学生も目を覚ましてくれてたように感じます。ちなみに,非相対論的な運動エネルギーが温度だと思った場合(自由電子が理想気体だと思った場合),常温での自由電子の移動速度は100km/s程度。これも光速には遠く及びません。

じゃあなんで,いわゆる電気の伝わる速度が光速に近いのか,というと電磁波を勉強,理解しないとなりません。いやまあ,イメージ的には,ところてんのように,電子の団体さんが一斉にちょっとだけ移動することで電位差が生じ,その電位差の伝わる速度,つまりどれだけ「一斉に」ずれるかという尺度が光速なわけですが,そのイメージをさらに一歩進めて理解するには電磁波をやらないとなりません。私の授業ではまだ電磁波をやっていないので,先の授業の宣伝も兼ねていました。そのときに学生さんがこの話を覚えていてくれるとよいのですが。

ところで,今日は研究室の4年生と卒業研究の予備実験。というか,今回で2回目ですが,実験というより実験のための基礎をレクチャーしたり,実際に手を動かしたりしてもらっています。ちょうどよかったので同じ話をして,実際にlemoケーブルを伝わる信号の速度を測ってもらいました。はい,1mが5ns。業界標準ですね。

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