ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

悩みまくり

何に悩んでいるかというと、自分の講演の内容についてです。

毎年4月には放射性物質等の取り扱いに関する安全講習が行われます。新規の人はほぼまる1日。継続の人は2時間程度の講習を受けます。その継続者対象の講習会では、毎年何らかの講演があるのですが、今年はなぜかその依頼が私に来ました。LHCの話をして欲しいと言われ、まあ、宣伝がてら(プラス、自分自身もどうせ出席しなければなりませんから)いいかなと思い引き受けました。

ところが、この時期、人々の関心は残念ながらLHCではなく福島原発にいってしまっています。でも、不確かな情報しかなく、またその限られた情報で現状をきっちりと説明できる人を今さら探すのは困難だということで、当初の予定通り私が話をすることになってしまいました。聴衆の期待とは違う内容を話すことになってしまった感があり、だいぶ気乗りしなくなっています。

それだけだったら別に悩むというわけではなく、単に嫌だなぁというだけなのですが、聴衆の専門が物理だけではなく化学、生物、高分子と多岐にわたっているので、どの程度の難しさで話をすればいいのか、ということについて大いに悩んでいます。物理の人以外には一般講演とほぼ同じ内容でもいいと思うのですが、それだと、物理の人にはあまりにも退屈されそうで、でもだからといって物理屋向けにチューンしたら、それ以外の人にはちんぷんかんぷんで退屈どころでは済まなそう。

というわけで、色んな意味で講演を引き受けたことを後悔しつつあります。

って、しかし、いったん引き受けたことを後悔しても何の役にも立ちません。講演は来週の月曜なので、週末に内容を練り直してみるつもりです。

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現行犯逮捕

ググって得た生半可な知識によると、現行犯の場合は、国家権力でなくても逮捕できるのだとか。言われてみると、だからこそ、痴漢が被害者本人、あるいは周囲の人に取り押さえられ逮捕されるわけですね。

ということは、信号無視してる人やチャリやバイクや自動車なんかも、その場で取り押さえれば私でも逮捕できるんでしょうか。夜帰るときの家の近くは交通マナーの悪い人が多く、バイクはもちろん自動車でさえ信号無視を結構見かけます。安全を確認して信号無視してくれるのならまだいい(?)のですが、交通ルールを守っている歩行者(=私)まで無視するようなドライバーもいて、頭にくることがしょっちゅうあります。無灯火で突進してくるチャリなんかにもしょっちゅう腹を立ててます。

あと私が直接危険なめに遭うわけではありませんが、交差点に車を置くような酷い駐車も見かけますが、これらみんな私が捕まえてもいいってことなんですかね?全部現行犯です。

まあ、もちろん、時間と労力の無駄なのでそんなこと誰もしませんし、私もしませんが、法律上はOKだとしたら、本当に信号無視したかどうか、駐禁のとこに車を止めてたかどうか、等々はどうやって争われる、というか、証明するんでしょうね。警官の場合は目撃してた、というだけで逮捕です。痴漢の場合も被害者が触られたと言うだけで逮捕です。実は(法律上は)色んな人を誰でも逮捕できるのですかね。

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4年生の研究室配属

ようやく昨日、新4年生の研究室配属先が決まりました。私たちの研究室を去るのは、昨日のエントリーにあったように、修士課程を修了したUくん、そして、4年生から修士課程への進学で研究室を変えたKくんの2人です。それに対して新4年生3人が新人。そして、修士課程1年にも新人が入って来るので、合計4人が研究室にとっての新人ということになります。ということで、研究室の構成メンバーの数が2人増えることになり、学生の机が足りないという嬉しい悲鳴を上げています。

しかし、卒業生と別れるのは寂しいですが、新人さん達と会うのは楽しみです。どんな学生さんが入ってくるのか興味津々です。が、学部生は基本的に春休み。ということで、新4年生と会うのは来週になりそうです。

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春ですね

3月も末だというのに、まだまだ寒いですね。

が、今日は修士課程2年のUくんが大学を離れる日で、この寒さなのに「春なんだなぁ」と思ってしまいました。彼がKEKをベースに研究していたことに関連して、私の指導が行き届いておらず、彼には申し訳ないことをしたとずーっと感じていました。その心情を彼に伝えましたが、だからといって何かが変わるわけではなく、せめてKEKでの経験が色んな意味で人生に役立ってくれれば、と祈るくらいしか私にはできません。

去年、Tくんが大学を去るときにも同じようなことを考えてしまいました。指導というのはテクニカルに何かを教えることではなく研究の方針を助言することだと考えていますが、卒業して大学を去る学生を見るたびに、その方針が正しかったのか、とこれからも毎年自問することになりそうです。

いやー、春です…。

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Fermilabの放射線取り扱い安全講習テキストより

いやー、びっくりしました。何に驚いたかって…以下の文章を24日に書いたのですが、ブログに正しくアップロードされていませんでした。下書き状態でした。。。今さらな気もしますが、折角書いたものなのでアップロードしておきます。

########### 以下3月24日に書いた分 ######################

原発による放射線量の積分値の推測値というものを今日見つけました。

estimated integrated dose

出典はここ。 http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
内閣府のサイトです。

新聞報道等では瞬間値が上がったとかいう情報しかありませんし、放射線関係の仕事をしている人の有志が環境モニターのデータなどをウェブで公開していますが、誰かそれを積分して、それを2次元プロット化してくれればいいのに、と思っていたところだったので、この図をとても興味深く見ました。まず注意しておいてもらいたいのは、1歳児の甲状腺へのヨウ素被曝等価線量ということ。それから、屋外に1日いるという普通ではありえない状況を仮定していること。これら2点について留意してこの図を見ないとなりません。素人なので全くの間違いかもしれませんが、放射線被曝に対して非常にセンシティブな乳幼児が対象ということと、一日中外にいるという仮定である点から、だいぶ保守的な見積もりだと考えられます。

それ以上は何を言っていいのか私にはよくわかりませんが、こういう情報が公開されるというのは望ましいです。これからも、どんどん情報公開して欲しいです。

さて、昨日の続きみたいになりますが、放射線被曝の危険性を考えるとき、他のリスクと比較しないとどれくらい危険なのか判断できません。そこで思い出したのが、Fermilab時代に受けた放射線取り扱いに関する安全講習。以下の2つの表は、そのテキストからの抜粋です。

loss of life  relative risk

左の表はかなり興味深いもので、こういう行動を取ると、一生のうちどれくらい寿命が縮むかというのを纏めています。年間100mrem(=1mSv)を70年間受け続けた場合(トータル70mSvと考えてよいのかは謎)が比較対象で、その放射線量で寿命が10日縮むそうです。ちなみにコーヒーを飲むと6日。車の運転は207日。酒を飲むのは365日。喫煙は2250日などとよくあるものがリストアップされ、最悪が独身男性でいること、3500日。ショッキングですね。ちなみに女性が結婚しない場合は1600日。Y教授いわく、女性の場合は結婚しないと寿命が延びるのではないかと、同意したくなるギャグを放っていましたが、女性も独身だとそれなりに寿命が縮むようです。

でもって右の表は、100万分の1の確率で死ぬ行為(定義は今ひとつよくわかりませんが、とにかく、同じくらいの危険度を並べているという意味です)を並べています。10mrem=100μSvの放射線被曝とタバコ1.4本が同じ。その他、面白いのが色々並んでいます。ニューヨークに2日間いること、車を40マイル運転すること、ジェット飛行機で2500マイル移動すること、などなどが同じ危険度を持っていることなのだそうです。どうでもいいですが、ピーナッツバターとカヌーが引き合いに出されているのはアメリカらしいですね。

変な表現かもしれませんが、人間生きている限り、常に生命の危険に晒されています。様々なリスクに囲まれて生活しているのですから、放射線はとにかく危険という固定観念を持つのではなく(大量に被曝すればそれはもちろん危険なのですが)、その危険度が日常生活に潜んでいるリスクに比べてどれくらい危険なのかを知っておくのは大切なことだと思って、上記の表を紹介しました。

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研究会2日目

研究会2日目、今日は研究会に集中できました。運営のために何人かの発表は聞けませんでしたが、それ以外は学生さんたちの発表を楽しめました。知らないことを学べるのはもちろん、自分の学生をいかに指導していくかについても考えさせられることがあり、個人的にも非常に有用な研究会でした。

それよりもなによりも、学生さんたちが日頃の研究の成果を発表し、関西の高エネルギーグループが一緒になって盛り上がれたことは素晴らしかったです。突然研究会をだったので満足のいく準備ができず、参加者にも迷惑をかけることがありましたが、とにかく、こういう企画を行えて「あー、やって、よかった」というのが実感です。準備、運営を手伝ってくれた学生とスタッフ、そして2日間研究会に参加し、また発表してくれた人たちに感謝です。

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研究会1日目

中止になった物理学会の代わり、なのかどうかは定かではありませんが、関西の高エネルギーをやっている研究機関が集まっての研究会初日でした。私自身は、この企画の運営と全くの別件で時間を取られ、学生さんたちのせっかくの発表をかなり聞き逃しましたが、参加者の反応が上々だったので、この企画はそれなりに成功したのかな、と安堵しています。

まだ明日もあるので油断はできませんが、とりあえずこの企画を運営させてもらえてよかったな、というのが初日の印象です。

…色々なレベルで、学生さんたちが頑張っているのを実感できるのは素晴らしいです。

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受動喫煙と放射線

原発関連、それに付随する放射線関連の話は、なるべく避けています。もちろん、私も人並みに(?)自分に何ができるのか、は考えます。ですが、だからといってボランティアに現地に行くというような結論には達していません。日常生活を維持し、消費活動を増やすことも大事なのではないかと思うからです。色々な考え方、感じ方があるので、行動を起こしたい人は(現地の迷惑にならないのであれば)行動すればいいし、そうでない人は日常生活を粛々とこなすのもアリなのではないかと思うのです。一方で、こういう時だから、と人に何かを強制するような意見というのには正直かなりの違和感を覚えます。

すみません、わかる人にしかわからない前フリでしたが、まあ、こんな私でも地震関連のことは考えている、ということを言いたかったのでした。それに関連して、放射線の被曝量と健康への影響度、もっとハッキリ言うと発癌率への影響なんていうのをこっそりと調べたりしています。そもそも統計誤差が非常に大きい上に、被曝量と発癌率の関係についてのモデルも色々あるので、自分なりの結論を数字で書くことは控えますが、こういうことをやるといっつも思ってしまうのは、受動喫煙の問題です。

受動喫煙と健康の関係にも、色々な意見はあるようですが、まあ一般的には健康を害すると考えられていますよね。WHOなんかは、受動喫煙は健康に良くないと断言して、色々な数値も出しています。発癌率の増加その他の病気の発症率の大きいことに驚きます。新聞等で言われてる健康に影響を及ぼすと言われている放射線被曝量のそれこそ何桁も大きな発癌(病)率の増加を示す資料が多いです。

もちろん、放射線の被曝による健康問題を否定しているわけではありません。が、しかし、です。法令基準値の放射線被曝量なんかとは比べものにならないくらい危険であっても不思議ではない喫煙が許されているというのは、どうしても理解できません。

ちなみに、何が危険かということを考えるときには、どういう死因でどれくらいの人が年間死んでいるのか知らないとなりませんよね。たとえば、これだけの放射線を浴びるとこれくらい癌の発生率が増える、と言われても、そもそも年間どれくらいの人がどういう原因で死んでるのか知らなかったら、癌が発生したとしてもそれがどれくらいの脅威なのか判断できません。ということで、ググってみると厚生省のサイトに平成15年の日本人の死因がリストアップされてました。人口10万人あたりで、

全死因:805人
悪性新生物:245
心疾患:126
脳血管疾患:105
肺炎:75
不慮の事故:31
自殺:25
老衰:19

…と続きます。自殺者が多いのは知っていましたが、不慮の事故の多さにもびっくりしました。交通事故での死者数は1万人をきっていますから、10万人あたりに直すと10人弱。ということは、交通事故で亡くなる方の2倍以上が何らかの事故で亡くなっていることになります。それから、上記は男女合わせた合計なのですが、男と女でかなり違いがあるのは興味深いです。たとえば、自殺者数は男は女の3倍、不慮の事故は2倍多く、逆に老衰は女が男の2.5倍。男ってツライなぁ、と妙な感慨をいだいてしまいます。面白い統計なので、出典も記しておきます。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai03/deth.html

(誤字を激しく指摘されたので直しました。3月24日朝)
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留学生とのマンツーマン

昨日に引き続いてのシリコン検出器関連の作業会でした。たまに口出しする程度で直接手を動かすことのない私は、実験室の片付けに燃えてしまいました。前から気になっていた、絡み合った大量の長ーいケーブルを解きほぐし、だいぶすっきりしました。

作業のほうは、2つの課題のうちの1つはほぼクリア。ハードウェアが動いて信号読み出しICとデータ読み出しシステムとの間のコミュニケーションは成功。読み出したデータが若干意味不明なところがあるのですが、どうもそれはデータのデコードの問題のようなので、そこは担当者であるEくんにぼちぼち解決してもらおうということになりました。

もう1つは、ハードウェアというかケーブル、あるいはコネクターの接触不良がどうやら原因で、目標としていたところまでは到達できませんでした。汎用読み出しボードを使ってICからの信号を読み出すということを私たち(=OくんとEくん)は行ってきましたが、同様の問題にずーっと悩まされ続けています。工業製品と違って品質管理がなってないからなのか、自家製ケーブルや自家製コネクターたちはトラブルメーカーです。私も含め、何10本、何100本というケーブルを作ればこういう問題は減るのかもしれませんが、いかんせん、そんな機会がありません。(フラット)ケーブルとそのコネクターを大量に買って、練習を兼ねて大量生産するのが解なんでしょうかね。

そんな作業会の後、4月から晴れて私たちの研究室に修士課程1年として配属されるマレーシアからの留学生に、実験に関するノウハウの伝授を始めました。4年生が研究室配属されたときにまずやるようなことを集中的に教えるつもりです。彼はこれまで自分で実験装置に触れる機会がなかったので、早めに作業を開始しようと思っていたのですが、私の怠慢もあって今までやれていませんでした。ATLASの解析が一段落し、年度末特有の業務もほぼ終わり、4月に授業が始まるまでは少し時間に余裕があるはずなので、その間に集中的に色々教えるつもりでいます。

今日は、PMTからのアナログ信号や、NIMからのパルスを使って、オシロスコープの使い方をみっちりやりました。NIMの回路についても少し触れました。次回はシンチ付きのPMT複数台とコインシデンスを使って宇宙線中のミューオンによる信号を捉まえるのがテーマになりそうです。

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作業会

ATLAS実験アップグレード用シリコン検出器開発のための作業を行うために、今日と明日の2日間、KEKからスタッフ2人、IさんとTくんが私たちの研究室にやって来ています。データ収集システム周りを私たちは担当しているのですが(実際に研究開発をしているのは私のとこの修士課程の学生2人です)、そのノウハウを利用して、とある読み出しボードの動作確認と、とある読み出し用ICからの信号読み出しを行うための作業会です。

できれば1日で済ませたい作業でしたが、大人の判断で2日間を作業日としました。その判断はどうやら正しいようで、計画していたことを全て終わらせるには今日1日では少しだけ厳しそうです。まあ、そんなに焦る必要はないので、また明日ということでそろそろ終わりにしよう、と今まさに声かけようとしているところです。

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昨日のアウトリーチ

昨日の神戸大でのアウトリーチは盛況でした。お越しいただいた方にお礼申し上げます。

前回の大阪での企画を踏襲し、講演2本、現場CERNから中継と質疑応答という構成で、休憩も含めて約2時間半。多くの方に講演の後質問をしていただき、勝手な勘違いかもしれませんが、楽しんでいただけたかな、という印象を持っています。ただ、企画者側としての反省も今回はありました。その点についてはここでは書けませんが、次回以降では今回のようなことがないようにしたいと考えています。

しかし、講演の内容をどのような聴衆に合わせるか、というのは毎回悩みます。これで名古屋、大阪、神戸と、似たような企画で1回転したので、次回以降は、聴衆をあるターゲットに絞るなど、今までとは違った企画を考えたいと思っています。

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アウトリーチは予定通り

明日(19日)神戸大学で行う予定のLHCに関する一般向け講演会は、予定通り行います。15時開始です。登録者数を私は把握していませんが、おそらく当日参加可能だと思います。お近くの方はぜひ足をお運びください。普段接することのない物理学者を眺める(?)、あるいは話をするよい機会かと思います。

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学会(?)発表練習会

すでに書いたように春の学会は中止になってしまったのですが、私たちの研究室では、昨日と今日の2日間学会発表の練習会を行っています。

1つには、学生さんが日頃の研究を纏めるいい機会という意味があります。普段は研究の全体像を見失いがちですが(本当は見失っては困るのですが)、学会のような場で発表するには頭を整理して研究の筋道を改めて考え直さなければなりません。ですので、発表の準備それ自体に研究の整理という意味があります。もう1つは、これまた先日書きましたが、関西の高エネルギーグループでは学会に代わるような発表会を行うことにしました。その発表に向けての練習と言う実践的な意味合いもあります。

というわけで、昨日は3人ほどの練習を行ったのですが、残りはさらに5人、6人?今日の午後はまるまるその練習で潰れそうです。

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放射線量の単位とか、学会とか

地震関連から離れたことを書こうと思うのですが、どうしてもそっちに引っ張られてしまいます…。

まずは自分に身近な話で、今月末に新潟で行われる予定だった物理学会は中止になりました。それに伴い、飛行機やホテルをキャンセルしなければなりません。キャンセル料の心配もですが、今年度中に執行する予定だった予算を執行できなくなるわけで、その辺りの手続きがどうなるのかみんな注目しているところです。

さらに、新たな案件が発生。学会がなくなってしまうが、それに備えて準備をしてきた学生さんたちの発表の場が無くなるのが残念だ。そこで、花見と芋煮会を毎年やっている関西の大学の高エネルギー関係者で研究会をやろう、という話が出て、なぜか、私がそこでも世話人(?)。取り纏めをやることになりそうです。

…なんてことを書いていますが、やっぱり、今は原発が気になります。でも、私が心配しても何の役にも立ちませんし、風説のような不安ごとを書くのは最悪なので、一つだけ気になったことを。

ニュースとかを見てると、放射線量の単位が気になって仕方がありません。Sv(シーベルト)という単位が使われていますよね。大きさを表すミリやマイクロが接頭語としてくっついていることがありますが、それはさておき、単位としてはシーベルトが使われています。それがどういう意味なのかはググって調べてもらうとして、私が気になるのは、単位時間当たりの線量と積分量がごちゃまぜに使われていることです。毎時1μSVと、1μSVでは、エラい違いです。毎時1μSVって言われたら、その放射線を(ずっと一定の強さだったとして)1時間浴びたら1μSvの放射線量になるということで、1秒しかその放射線を浴びてなかったら、受けた線量は1/3600μSvにしかなりません。

時速100kmと距離100kmの違いと同じです。ちょっと大きめの数字が出てもそれが一瞬だったら大した量ではないし、逆に、それほど大きな数字でなくても長時間その数字が保たれていればそれなりに大きな線量になります。いつも言ってるように職業病なのかもしれませんが、単位が違う物理量を混同して使われるとどうも過剰反応してしまいます。

ついでに、放射線とは何かという基本的なところですが、エネルギーを持った粒子は全て放射線と言えます。代表的なのはこのエントリーで説明したα線、β線、γ線や、中性子です。私たちが研究の対象としている粒子たちも高速で飛び回っていますから放射線と言えます。ただし、加速器が動いているときしか生成されませんが。

放射性物質というのは、上記の放射線を放出する物質のことで、自然界にもごくわずかに存在しています。カリウムなんかは典型例で、ごく僅かですがカリウムには放射線を放出する放射性同位体が存在して、それらは私たちの体を構成するカリウムの一部にも含まれていますから、人間自身も放射性物質をごく微量ですが持っています。土壌にも微量の放射性物質が含まれていますし、空からは宇宙線が降り注いでいますから、私たちは放射線に囲まれて生活していると言っても過言ではありません。その量が僅かなので影響を受けないというわけです。ですので、放射能漏れと言ったときは、その量が一番問題です。

さらについでに書いておくと、放射性物質には放射線を出している時間が放射性物質の種類によって大きく違います。放射性物質が崩壊して別の(放射性)物質が生成され、その崩壊の際に上記のα、β、γ線あるいは中性子などを放出し、それらが放射線として振る舞うわけですが、この崩壊が続く時間が物質によって違います。物質を特徴づける量と言ってもよく、数秒以下の短時間のものから宇宙の年齢よりも長続きする物質もあります。その時間の目安として使われるのが半減期というヤツです。放射性物質が崩壊してもともとあった量の半分になるまでの時間のことで、それが短ければ、仮にそういう放射性物質が漏れても影響は少ないわけです(もちろん量に依りますが)。あっという間に放射線を放出しなくなりますから。逆に半減期の長いものはずっと放射線を出し続けますから、そういうのが漏れると厄介だということになります。

おっと、ダラダラと色々書きましたが、最後に今日の驚きも。さっきウェブのニュースで見たのですが、なんとか大臣が東京電力に対して「再臨界を防止するように指示した」そうです…。そんな当たり前のこと言われんでもわかっとる、というか、言うにしもて今ですか?事故が起きた一番最初じゃないのですか?ここまで事が大きくなってから「再臨界させるな」って…。脱力しまくりです。

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コメントに関するお願い

このブログのコメントは、削除要請があった場合とアダルトを除き、全く削除していませんでした。しかし、昨日と今日、地震に関する(同じ)コメントを2回削除いたしました。被害状況、復旧状況などの情報提供はもちろん構いませんが、風説の類いのコメントは書き込まないようお願いいたします。
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違いを探せ

KEKやJ-PARCをはじめ、関東地方の復旧にはまだまだ時間がかかりそうですが、今日の昼過ぎにとりあえずネットワークは復活。関西では、何事も無かったような日常になっています。テレビ等で見る悲惨な状況とのあまりの違いが不思議なくらいです…。

大したことではないですが、私たちも影響を受ける可能性があるのは出張関係です。東日本への出張がとりやめになった、逆に帰って来られなかった、というように当初の予定を変更しなければならないケースがあります。ところが、年度末のために、会計管理上すでに出張予定の変更は不可。どうすればいいんだ、という問題が発生しています。その対応に事務は追われているようですが、それと関連して私の関心ごとは、春の学会(新潟大で開催予定)が予定通り行われるかどうか、です。運営委員という立場上、すでに問い合わせを何件か受けていまして、hecforumという高エネルギー物理学関係者が入っているメーリングリストに流した通り、現在、理事会および現地実行委員の間で開催するかどうか協議中です。早く決定がくだされるといいのですが、明日になっても連絡が来なかったらまた催促してみるつもりです。

とまあ、相変わらず地震関連の内容になっていますが、私のブログは地震関連ニュースのためのものではありませんので、そろそろ平常通りの内容を…ということで、まずは画像ファイルを2枚。

form 1  form 2

どちらも所謂科研費の実績報告書で、毎年度末に学振あるいは文科省に提出するものの一部です(補助期間の最終年度は、これとはさらに別の報告書を作成します)。種目等により違いがあったかもしれませんが、まあとにかく、私は上記を提出しなければなりません。というか、すでに提出したのですが、使った書類が違うからと修正を求められました。というわけで、上記の2枚の画像になります。

私は右側を使ったのですが、それではダメだ。左側を使えという指示を受けました。2箇所違いがあるのですが、わかりますか?…1箇所はまあすぐにわかるかと思いますが、もう一つは私は指摘を受けても最初は何のことかわかりませんでした。

毎回こういうしょーもない訂正を大学の事務から求められるので、今回は「文科省なり学振なり、文句を言ってる担当者の連絡先を教えてくれ」と事務方に言ったところ、「大学本部に確認を取ったところ、どちらでもいい」という返事だったそうです…。これからは、しょーもない修正を求められたら、まずはこの方法で行こうと思います。結局、誰もダメだなんて言ってないわけですよね。

また地震に戻ってしまいますが、かたや生きるか死ぬかの瀬戸際の人もいれば、上記2枚のフォームの違いに目を光らせている人もいるという人間社会の不思議さに驚きます。

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KEKとかJ-PARC

KEKとJ-PARCの様子について情報を送ってくださったかた、ありがとうございます。

コメントの全文引用ですが、

> KEK内の電力は必要最低限な範囲で復旧しましたが、東日本の電力需要逼迫のため、明日以降も厳しい電力使用制限を行います。ネットワーク、web、メールの復旧は明日以降になります。ご迷惑をおかけします。
>詳しくは
>http://twitter.com/KEK_JP
>をご覧ください。

という情報をKEKの方から貰いました。
昨日の午後の時点では、電気だけでなく水も復旧していなかったみたいですから、建物や実験装置に異常はなさそうですが、周囲のインフラは相当なダメージを受けているようです。

J-PARCについても、心配された津波の被害はなかったようです。やはりネットワーク関係は使えないみたいですが、人的被害もなく、建屋もしっかりしているらしいです。ただ、宿舎(?)が傾いたとかいう噂は聞きましたが…。地震直後に連絡がついたSくんも言ってましたが、道が陥没したりうねったりはしてるそうなので、揺れは相当凄かったのでしょうが、あの砂地に立てられた建て屋が壊れていないというのは凄いものです。

しかしこれから、電力制限がしばらく続きそうで、まだまだ大変そうですね。
大変そうと言えば、原発はもっと心配ですし。

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絶句

ニュースで地震の被害が報道されていますが、新しい被害状況がわかるにつけ、その被害の大きさに絶句です。こんなことが突然起こるという事実に恐怖します。

コメント欄に投稿された、つくばとJ-PARCに関するニュースです。Nさんありがとう。

>さっきKEKの施設の人を見つけて聞いてみたところ、J-PARCは津波の危険性から地震後すぐに非難したそうで、それ以後、誰も入っていないため被害状況がわかるのは、月曜日ごろじゃないでしょうか。
>ちなみに、つくば市は中心部は電気ガス水道とも使えて問題ないですが、つくば北部とKEKの復電はもう少し時間がかかるそうで、ネットワークの復帰は日曜日だろうとのことです。

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J-PARCは?

このブログによくコメントを書いてくださるNさんによると、KEKは停電ですが、何かが大破したということは無いようですね。

J-PARCはどうなんでしょうか?
ネットワークが使えるかどうかわかりませんし、J-PARCにいる人でこのブログを見てる人がいるかわかりませんが、もし見てる人がいましたら、どんな状況かコメントを書いてくださると嬉しいです。

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地震のせいで

今日は地震に関することをブログを書く人が山ほどいるのでしょうね。このブログをよく読んでいらっしゃる方ならわかるかもしれませんが、私はかなりの天の邪鬼で、世間で騒がれていることや多くの人が好むことを好まない傾向があります。なので、普通なら今回の地震のことは書かないのですが、今日はそれに関連して色々あったので、地震関連のことを書いてしまいます。

まずは、大阪でも相当揺れたのでびっくりしました。大学は建物がしっかりしているのか、少しくらいの地震では揺れを感じないのですが、今日は物凄く長い時間揺れているのに驚きました。最初は地震だと思ったのですが、あまりに揺れが長く続くので自分の平衡器官がおかしくなったのかと思いました。

どこが震源でどれくらいの揺れだったのかを知りたくてウェブにアクセスすると、気象庁はすでにパンク状態。災害情報を流すサイトにフラッシュが使われているのが原因かどうか知りませんが、とにかく、緊急時に役に立たない災害情報というダメダメなサイトでした。で、どっかの新聞社だったかヤフーだったかのサイトに行くと、震源が東北で関東地方一帯ではかなりの揺れがあったらしいことがわかり、実家への電話を試みます。が、全然繋がりません。KEKにいる知り合いにも電話しますが繋がりません。東海村のJ-PARCにも私たちの研究室の人間が行っているので連絡取ろうとしますが…今度は電話をかける前に彼らの電話番号を全く知りません。

というわけで、修士課程2年生でもうすぐ卒業というのにまだ研究室に来ているUくんに頼んで、同じく修士課程2年生のSくんに電話をかけてもらいます。今度は電話が繋がってJ-PARCの様子を簡単に教えてもらいます。地面が陥没してるとか、かなり凄い状況だということを教えてもらいます。しかし、人間はみな無事ということを聞き一安心。次はCsIカロリメータの心配をしましたが、崩れたりという大惨事には至っていなかったようで、それも安心。

ですが、まだ実家にも友達にも電話は繋がりません。じゃあ、ウェブでどれくらいの被害があるのか調べようとしたところ、今度はネットワークが繋がりません。その原因を探りつつ、電話をかけ続け、しかも、今日は解析のお墨付きをもらうためのミーティングでの発表を控え、完全に動揺。しばらくして実家に電話が繋がり少しホッとしますが、依然ネットワーク接続の問題がわからず、解析ミーティングにTV会議接続(EVO)できるのか怪しくなります。そこで、普段使っていないネットワークからTV会議接続をテスト。繋がるには繋がりますが、いつもとは経路が違い接続状況も悪い感じ。

そうこうしてるうちに、KEKのコンピュータがやられたため私たちが普段使っているネットワークが使えないことが判明。泣きそうですが仕方ありません。遅いけど使えるネットワークから参加するよりありません。しかし、そんなこんなの混乱で大事なことを忘れていました。今日のトークの前に、仁義として解析している人々に発表で使うスライドを送るのが暗黙のルールなのですが、それを忘れてしまいました。解析グループのリーダーたちにはリクエストされていたので、最終版ではない(が、ほぼ最終に近い)スライドを送っていたのですが、実際に解析をやってた学生さんたちに見せるタイミングを失ってしまいました。

ということに気付いたのが発表の直前。自己嫌悪に陥っての発表は、ダメダメでした。自己嫌悪の動揺から立ち直れず、何を言いたいのか自分で忘れてしまうほどでした…。とほほ。まあ、質問には無難に答えられ、かつ、解析のクオリティが非常に高いので、結果としてお墨付きをもらうことはできましたが、ヘボ監督のヘボ采配にもかかわらず選手がよく頑張ってゲームに勝つのと似た状況でした。機会があれば、今度は名采配でチームを勝利に導きたいものです。

しかし、地震は本当に酷かったみたいですね。今もネットワーク繋がりませんし、ニュースをウェブで見ると大変なことになっていますね。津波も怖いですし、被害が大きくならなければいいな、という当たり前の感想を抱きつつ、私たちの大学では明日が後期日程の入試だったはずですが、予定通りに行うのかな。いやいや、関東地方の大学を受験する受験生は大変だな、と、違うベクトルの心配もしてしまいました。

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急遽トーク

去年の終わりから忙しくやっていたトップクォーク生成断面積測定の解析が、いよいよ最終段階(今のデータセットを使っての)に入っています。ちょっと前に説明したように、内部reviewerによる審査、トップクォーク物理グループ内の審査を経て、ATLASグループ全体からのお墨付きをもらう最終段階に到達しています。

解析レポートをグループ内に配布しコメントを募集(?)。その募集期間終了後に、お墨付きを貰うための発表を行うのですが、その発表を急遽私が行うことになってしまいました。本当は解析を実際にしている学生さんに発表して貰いたいのですが、複数での解析のために誰がそういう発表をするのかを選ぶのが一苦労。ということで、解析をコーディネートしている少しシニアな人が纏めのトークをするということが多々あるのですが、今回もそうなってしまいました。

名古屋のOくんとか大阪のHくんには申し訳ないのですが、そういうわけで今その準備に追われています。しかも、今は大阪への移動中、で、その発表は明日金曜。間に合うのでしょうか…。

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グラビティーノとレプトジェネシス

一昨日のエントリーでグラビティーノ問題に言及しましたが、今日は、それをなんとか説明してみます。素人の説明ですので、間違いがあるかもしれません。眉に唾をつけて読んでください。

まず、グラビティーノとは何か説明しておきますと、重力を媒介すると考えられている(未発見の)グラビトンという粒子の超対称性パートナーで、超対称性の模型によりますが、超対称性粒子の中で一番か二番目に軽く、ダークマターの候補になりえる粒子です。その特徴は相互作用が非常に弱いということです。

そして、いきなり話は宇宙初期のインフレーション時になります。宇宙の最初というのは人類は理解していませんが、まあ色々想像を逞しくすると(?)、一つだった力から重力が分かれた直後に宇宙が物凄い速さで膨張します。インフレーションですね。急激に膨張しますから温度もすごい勢いで下がります。ところがある時点で(たぶん)ヒッグス場のようなスカラー場の相転移で真空の持つエネルギーが解放され(過冷却の潜熱によくたとえられます)、そのエネルギーによって宇宙が再加熱されます。ついでに膨張の速度も加速し、いわゆる火の玉ビッグバン状態になります。そのときの宇宙の温度のことを宇宙の再加熱温度と呼びます。その後、ビッグバンが落ち着くと通常の(?)の膨張にもどり、温度も下がり始めます。

そのビッグバンの頃に強い相互作用も分化し、また、高温=高エネルギーのために色々な粒子が作られます。グラビティーノもそのときに大量に作られるのですが、もしグラビティーノがダークマターだったと仮定した場合、現在のダークマターの観測量から逆算すると、宇宙の再加熱の温度に制限がつきます。そのときの温度によって生成される量が決まってくるからです。で、その温度の制限というのは、グラビティーノの質量に依存して決まるので(単純には重ければ作るのにエネルギーがたくさん必要ですから、再加熱温度もより高くないとなりません)、グラビティーノの質量に応じて再加熱温度に制限がつくということになります。その結果はというと、無茶苦茶軽くて熱いダークマターになってしまう場合以外、つまり冷たいダークマターになりうるには再加熱温度が高過ぎると困る、ということになっています。

では、ダークマターが2番目に軽い粒子でダークマターに崩壊するという場合はどうなるかというと、これまた似たように、再加熱温度が高過ぎると不具合が生じます。再加熱の温度が高くてグラビティーノがある一定量以上生成されると、宇宙がさらに冷えて、ハドロンが生成され、元素が合成され…というビッグバン元素合成のシナリオに悪影響が出てしまうのです。冒頭で書いたようにグラビティーノは相互作用が弱いため寿命が長く、宇宙の再加熱時に生成された大量のグラビティーノが元素が合成されるくらいの時代に崩壊して、元素合成のシナリオに影響を与えます。元素合成のシナリオは観測量とほぼ一致していますから、そのシナリオに悪影響を及ぼすほどグラビティーノができては困る。よって、生成量が多くなり過ぎないためには、やはり宇宙の再加熱温度が高過ぎては困る、となります。

つまり、いずれにせよ、超対称性が存在しグラビティーノが存在する場合は、宇宙の再加熱温度の上限に制限がつくことになります。

ここで話が大きく変わって、バリオン数生成の話になります。みなさんよくご存知のように、この宇宙には物質(粒子)はあるけど反物質(反粒子)はほとんど存在しない。それはなぜか、という話です。これを説明するシナリオは無数にあるのですが、一番有力なのがレプトジェネシスと呼ばれるシナリオで、すっごく単純化すると、ニュートリノの相棒となる無茶苦茶重いニュートリノが存在し、それが宇宙の再加熱時に生成され、それが崩壊する時にレプトン数を破ります。そのレプトン数の破れがバリオン数の破れに変わり、結果としてバリオン数が大きく破れているという筋書きです。

このシナリオでは、バリオン数の破れの素が重いニュートリノの崩壊なので、現在のバリオン数非対称を説明するためには、それに見合うだけの重いニュートリノが宇宙初期になければなりません。その重いニュートリノの生成も宇宙の再加熱によるエネルギーでなされるので、結果として、十分な数の重いニュートリノを生成するには、今度は宇宙の再加熱温度がある一定値以上でなければなりません。

ということで、グラビティーノからは宇宙の再加熱温度は一定値以下が要請され、標準的なレプとジェネシスからは再加熱温度は一定値以上が要請され、さあ困った、というのがグラビティーノ問題です。ですので、これを解決するにはレプトジェネシスのほうで色々頑張って、温度が低くても上手く行くようにするか、超対称性のほうで、不都合がしょうじないような模型を作るか、のどちらかを行わなければなりません。

以上が、素人が頑張ってみた説明です…。

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長い1日

と言っても、何か大変なことがあったわけではありません。その逆で、昨日は久々に自分の時間を持てて、1日ってこんなにも長いんだと感じた日でした。

年末くらいから色々忙しくなり、年が明けてからはかなり忙しく、たとえば先月は1日しか休めませんでした。そんなたまの休みは子供と遊んで過ごしますから、自分の時間を数時間でいいから持てるというのは年に数えるほどしかありません。それが昨日は1日をまるまる自分の時間として使い、エラく贅沢な気分でした。まあ、やろうと思えばいくらでも仕事はできるのですが、過労死しないように休むのも自分の努めと思い、思いきって仕事はまったくしませんでした。

しかし、貧乏が金を持たされても金の使い道に困るのと一緒なのか、冒頭のように、1日って長いんだなぁという変な感想を持ってしまいました。その証拠に、何をして過ごしたかというと、気になっていた論文を読んだり、気になっていたことを調べそして考えたり、というように、物理について考えている時間がほとんどでした。金の使い道がわからないのと一緒で時間の使い方がわからないんですね、私の場合。色んな意味で本当に貧乏です。

そうやって昨日はゆっくりと体を休めることができたので、今日はだいぶ体調が良くなりました。

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SUSY探索の話

昨日はATLAS日本グループ内の物理解析のミーティングでした。一昨日の政治の話と違って、物理の話は面白いです。普段大阪にいるときは物理のことを考える時間も機会もありませんが、実験現場では流石に物理に触れる機会が多く、そしてワクワク感が全然違います。特に、個人的にはSUSY探索が一番気になります。そこで、今日はSUSY探索の最新結果の解説を少しだけしてみます。ちょっと前に、PRLという雑誌に論文掲載が決まったという話の流れで、現状SUSYが見つかっていないという話をしましたが、今日はもう少し詳しく説明してみます。

まずは図を2枚。
fig2 of PRL susy 1lepton allowed region as dark matter

左側はATLASで公表された最新結果。PRLに載ってる図です。横軸はm_0と呼ばれるSUSYのパラメータの一つで、標準模型粒子のフェルミオンの超対称性パートナー粒子(スクォークやスレプトン)の重さを決めてるようなものだと思ってください。縦軸はm_1/2と呼ばれるパラメータで、今度はゲージボソンのパートナーであるゲージーノ(ビーノ、ウィーノ、グルイーノ)の質量を決めてるようなものだと思ってください。つまり、この図で左下に行けば行くほど、超対称性粒子の質量は全体として軽く、右上に行けば行くほど重くなります。

で、過去の実験結果と、ATLASの結果が描かれているのですが、どうやって見るかというと、今のところ超対称性粒子を発見していないので、それに応じてm_1/2 vs m_0平面上で存在が許されない領域がでてきます。ATLASの結果は、赤い線より左下のパラメータ領域ではあり得ないということを示唆します。つまり、軽めの超対称性粒子は見つかっていません、と解釈できます。これから実験データをもっと貯めると、より重い粒子の探索も可能になるので、赤い右線よりも上あるいは右側の領域を探索できるようになります。

ちなみに、過去の実験結果以外に描かれている点線は、スクォークあるいはグルイーノの質量の指標です。グルイーノの質量はm_1/2に放射補正を加えるのですが、放射補正量はm_0にはあまり依存しないので、図にあるようにほぼ横線、つまり、m_1/2でグルイーノの重さは大体決まってきます。一方、スクォーク質量もm_0と放射補正で決まるのですが、こちらの放射補正はm_1/2にも依存するので、その平面上では等質量線は(楕)円状になります。

この図だけを見ると、じゃあもっと統計を貯めて、あるいは加速器のエネルギーを上げてより重い超対称性粒子を探しましょうということになってしまいますが、超対称性あるいはSUSYと言えば今はダークマター候補という意味合いが強く、この結果の与えるインパクトは結構大きいです。

ということで、今度は右の図、John Ellisさん他の有名な論文からの借用で、今度は縦軸と横軸が入れ替わっていますが、左の図と同じパラメータ平面を描いています。ごちゃごちゃと色々書いてありますが、重要なのは濃い青の領域。それが、宇宙背景輻射の観測から制限されるダークマター候補として許されるパラメータ領域を示しています。左下のm_0、m_1/2ともに小さい部分と、そこから上に、あるいは右にまっすぐ伸びる僅かなパラメータ領域しか許されていません。もちろん、今の宇宙論あるいは、宇宙背景輻射の観測の解釈の仕方が間違っていないという仮定のもとでの話です。

では、今度は左と右の図をくらべてみます。すると、m_0、m_1/2ともに小さい領域はATLASの実験結果が棄却してしまっています。残されているのは、m_1/2あるいはm_0のそれなりに大きなわずかな領域ということになります。自分たちの実験結果なので右の図を使ってもう一回繰り返して説明すると、m_0が大きく赤線よりも右側、薄い青色で塗りつぶされた領域の上面に沿った部分、あるいは、m_0は小さめでm_1/2の大きい赤線よりも上側の線状の領域だけがダークマターとして許されるということになります。しかし、前者が許される領域というのは非常に小さく、かつ、パラメータとして若干不自然な感じがして、もしダークマターだとしたら、m_0が小さく、かつ、m_1/2が大きめという後者の領域が有力です(個人的見解)。

さて、では、そのm_0が小さくm_1/2が大きい領域の(ATLAS実験での)超対称性事象の特徴はというと、ジェットの数が少なくなります。説明は省略しますが、m_0 >> m_1/2 だとジェットの数は多め(4本)、m_0 << m_1/2だとジェットの数が少なめ(2本)になります。またm_1/2が大きいということですからゲージーノの質量が重く、ダークマター候補のニュートラリーノの質量も大きめになります。消失運動量になるダークマター(=ニュートラリーノ)の質量が重いので消失質量が小さくなりがちで、m_1/2が大きくなるにつれ探索が難しくなります。なので、注意深く見てもらうとわかりますが、探索して存在を除外した領域は上にはあまり伸びていなくて右に伸びています(縦軸と横軸のスケールが違うことに注意)。

ということを言っておいた後に登場するのが私たちのグループの博士課程2年のMくんの解析です。彼は、感度では若干劣ると思われていたdijetの解析をしています。bと同定されたジェット+消失運動量を利用したdijetの解析をしています。そうです、超対称性粒子の質量が軽かったらすでに発見されていた可能性があり、そのときはmultijetよりも感度が悪いモードだったのですが、今となると、逆にチャンスです。ダークマター=mSUGRAのニュートラリーノというシナリオだと、残された唯一の領域に感度のある解析なのです。本人がそれを自覚してるかどうかはわかりませんが、このチャンスを生かせると素晴らしいです。

ちなみに、GMSBだとLSPがグラビティーノになることが多いのですが、あまりにも軽くなり過ぎて冷たい暗黒物質になれません。よくわかりませんが、GMSBのときはダークマターはアクシオンだと考えてしまうのか、宇宙論のほうで頑張ってもらうのか、とにかくひとヒネリ必要です。

さらに、ちなみに、なのですが、SUSYと宇宙論というのはそれほど相性良くありません。ビッグバン物質合成と、グラビティーノ問題の2つをすっきりと片付けるのはひとヒネリ、ふたヒネリ必要で、そこまで自然なシナリオではない気がしています。って、これだけじゃ何言ってるかわかってる人にしかわからない説明になってしまいましたが、今日はもうだいぶ長くなったのでこの辺でやめておきます。

最後のほうの話は、できるだけ近日中に補足説明を試みます。

[日本時間3月7日午前1時40分頃にtypo訂正「軽めのヒッグス粒子→軽めの超対称性粒子」]
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ジュネーブでの collaboration meeting

今週は、ATLASグループのcollaboration meeting週間でした。なぜかATLASではcollaboration meetingのことを、なんちゃらWeekと呼びます。たとえば、今回のようなATLASワイドなときはATLAS Week、ミューオン検出器グループの集まりだったらMuon Weekというような具合です。

で、そのATLAS Weekが今回はCERNではなく、ジュネーブ市内の国連の近くの国際会議場で行われています。人が多過ぎるからということなのかもしれませんが、アクセスが不便です。いや、参加しないなら別にどこでやってても関係ありませんが、今日の午後は、Collaboration Boardと呼ばれる各研究機関の代表者が集まる一番つまらない…じゃなかった、一番重要なミーティングに私も参加しなければなりません(そうです、明日の解析ミーティングにも参加しますし、実は前々から今回の出張は予定されていました。というわけで、昨日の晩からCERNです。)。

そのCollaboration Boardというのは、どこの実験グループでもあるようなもので、実験グループ内の色々な決めごとを一応原理的には決める場所です。サブグループのリーダーを投票で決めたり、そのサブグループリーダー候補を選ぶための委員会人事など、まあ、本当に政治の世界です。Collaboration Boardは毎回ATLAS Week時にあるのですが、日々の時間的制約が厳しい私はあまりATLAS Weekにあわせて出張することができず、そのおかげで、このつまらないミーティングにあまり参加しなくてすんでいるのですが、今回は事故に遭いました。

いやだって、基本的にやることと言えば、複数の候補者の中から誰かを選び投票するという作業で、しかも、数100分の1の重みしかない投票だと思うと、やる気がわきません。いや、国政の選挙なんかと一緒で1票の重みが小さくてもちゃんと考えて投票することが大事だとはわかっているのですが、なにぶんにもcollaborationが大き過ぎるために民主主義過ぎるというか、議論する余地がないというか、(真に権力を握っている人たちで決められた)予定調和というか、今ひとつやる気のおきない政治の場です。というか、みんな政治家ではなく科学者なので基本的にはこの手の話が好きな人はいなくて、例外的に政治の好きな、かつ大きな研究機関の人の意見で動いているのかもしれません。

その会議の開始は12時。そこに行くには1時間近くかかりそうなので、サンドイッチでも買ってもうそろそろ出掛けます。

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親切な人々

この業界にいて(研究以外で)いいなぁと思うのは、無茶苦茶なことを言う人がいない、親切な人が多い、ということです。もちろん私の主観バリバリですが、他にも同じようなことを言う人が多いので、あながち間違ってはいないのではないかと思っています。

研究者の世界でも分野が違うとヒエラルキーの厳しい、徒弟制度のような社会があったりするようで、そういう社会のエラい人には無茶苦茶なことを言う人もいるようですが、私の知る限りこの業界にはエラい人だからといって話のわからない無茶苦茶な人というのは見たことありません。あるいは、いくら説明しても話を理解してくれない人、ダブルスタンダード、トリプルスタンダードが当たり前な人、そういう人種が少ないというのも、ほぼ繰り返しですが、私にとってはこの業界が居心地よく感じる点だったりします。

ただ、マルチスタンダードの議論をする人がいないというのは、この業界が甘いというか、シングルスタンダードで生きていけることの裏返しなのかなぁとは思います。もちろん、私たちの世界でも自分たちのグループ、あるいはプロジェクトの生き残りをかけて頑張るときは、ダブルスタンダードが悪いなんていうことは言ってられないときがあります。自分の家族や社員を守るために頑張る中小企業の社長さんたちのように、良い悪いではなく、とにかく自分のグループを守るために無茶とわかっていてもダブルスタンダードを押し通さなければならないときもあります。いや、常に博識を持った言動で自分のグループのことよりもロジックを大切にする人ももちろんいますけど。

おっと、話が飛躍し始めているので一旦まとめますが、この業界はあまり金が絡んでいないので、エゲツナイ人がいなくて無茶苦茶な議論にならないんでしょうね。

さて、もう一つ居心地がいいと感じる、親切な人が多いという話です。なんで、こんなことを書こうと思ったかというと、シリコン検出器のビームテストをやりたいなぁと考えていて、まずは国内でどんなビームが利用できるか調べようとしていました。具体的には茨城県のJ-PARCなのですが、ちょっとググった程度では私が知りたいような情報にまでは到達できませんでした。そこで、何人かの人に質問メールを送ると、みんなまるで自分のことのように色々調べてくれてその情報を送ってきてくれるんですね。

もちろん、自分と親しく、何らかのレスポンスをしてくれる期待値の高い人々に最初から質問してるわけですが、みんなすぐに答えられるわけではなく、ウェブで調べたり、周りの人に聞いてくれたりして、そして答えてくれるのです。今回に限らず、研究で何かわからないことがあると、大抵の人はみんな親切に色々教えてくれます。質問しても他の人に投げてしまうような人もいますし、自分が知らないかつ忙しくて調べている時間がないために応えられない人もいますが、基本的には親切な人が圧倒的に多いような気がします。

物理への興味に加えて、無茶なことを言う人がいない、親切な人が多いというのは、この業界にいてよかったと感じる点で、昨日、今日はそれを再認識しました。
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まだゼミをやる4年生

私たちの研究室には、スタッフの居室(複数形)、学生とポスドクの人が全員いる会社のオフィスのような広ーい居室(=大部屋と私たちは呼んでいます)、そして、実験室(複数形)の3種類の部屋があります。スタッフの居室は別に変わったところはないのですが、隣りの研究室と共同で使っている大部屋は、大学では珍しいスタイルではないかと思います。広々とした空間をパーティションで緩く区切り机を置き、学生あるいはポスドクのスペースとする一方、ミーティングを行える空間(机とイスが置いてある)が設けてあります。他大学、他研究機関から来た人は大抵この部屋に驚きます。

さらに、学生の机の間に丸テーブルがあって、そこを島として2、3人での議論を行ったりもします。ゼミもここで行うのですが、今日、大部屋に行ってびっくり。4年生がまだゼミをやっています…。

卒業研究発表会の直前も、研究の纏めと最後の解析に忙しいのにゼミの予習で徹夜したと聞き驚いたのですが、発表会が終わってもまだゼミをやってるのを見てさらに驚きました。卒業研究が終わると春休みを満喫する学生が多いのですが、今年の4年生はなかなか凄いです。ちなみに、卒業研究の結果は悪くはなかったですが、統計が貯まればもっと良くなりそうということでさらにデータ収集も続けていて、その結果を見せてもらうのをちょっと楽しみにしてたりします。

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