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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

流動性

この時期、大学の研究室は修論、あるいは卒論に向けて1年で一番活気のある時期かもしれません。私たちの大学、というか、理学部、というか、物理学科では、修論の締め切りが約2週間後、修論の発表会まで3週間。卒業研究の発表まで5週間ちょっと。ということで、直近の締め切りが修士課程の学生たちに迫っています。

私が指導する修士課程の学生は今年は2人。そのうちの1人から、途中までながら、第1稿を昨日もらい、今日添削。私にとっては、やっと、山を登り始めたという感覚です。もう1人は、修論ネタとなる検出器の測定を今まだKEKで行っています。シリコン検出器の基礎研究で苦労していたのですが、最近になってようやく修論に載せられるようなデータが取れ、今は測定のやり残しがないようにチェックしつつ、色々な測定を行っています。

これからしばらくは、修論(と卒業研究)に振り回される日々が続きますが、それが終わると今度は学生の入れ替わり。ということで、研究室の新陳代謝がここしばらくは活発です。

てなことから無理矢理話を持っていくのですが、大学に在籍する学生の流動性は、当たり前ながら確保されていますが、教員側の流動性もかけ声だけでなく、なんらかの強制力を持ってあげられないないものですかね。内向き指向(を取り上げること)が最近の流行ですが、流動性の無さというのも、日本の問題な気がします。大学教員を名指ししましたが、終身雇用制度に守られている一般企業にも同じような問題はないのですかね。あまり具体的な毒は吐きませんが、出身大学以外の研究機関を経験せずに、ずーっと同じ大学に在籍するというのは、かなり異様に感じます。さらに、学位取得後ずーっと同じ研究機関にいる人も日本には結構いるのではないかと思います。自分が腰を落として一箇所にいられないから言ってるという説がありますが、なーんとなく、それでいいのかなぁと感じてしまいます。

で、そうなっているのは、個人の安定志向というのもあるのでしょうが、それを許す、いえ、むしろ後押しするシステムになっているのではないかというのが今日言いたいことです。たとえば、ポストは限られてるわけですから、私たちの世界で流動性を上げようとしたら、国内だけでなく海外の研究機関を就職先の候補にしなければなりません。実際に海外の研究機関を2つ渡り歩いた実体験から、愚痴っているという噂もありますが、最終的に日本国内を居住地とした場合、色々な不利益があります。

まずわかりやすいのが退職金。ずっと国内にいた人に比べたら大差をつけられてしまいます。海外で働いていた期間、そっちから何か貰えればいいですが、そういうことはありませんから。同じようなのが年金。これもかなり損です。油断していると貰い損ねてしまいます。私の場合ギリギリセーフなのですが、貰えない場合は払った分くらい返して欲しいものです。お金の面以外でも細々とした手続きが面倒です。たとえば自動車の運転免許証。海外にいて更新できなかった場合も、結局は、新しい運転免許を発行しなければなりません。いちいち免許センターに行かなければなりませんし、ゴールドみたいな特典も得られません。唯一初心者と違うのは、初心者マークの免除だけです。

先にも書いた通り、ほぼ愚痴なのですが、ここまで日本国内定住者と差を付けなくてもいいだろう、と思わざるをえません。学生だって同じです。留学しろだの、海外に目を向けろと旗を振る前に、文科省ではせめて教員の給料体系でも変えてはどうでしょうか。ある程度の年数までは勤続年数に応じて退職金増えますが、その後は下げるとか。そしたら旗なんて降らなくても、もっと流動性上がるのではないかと思うのですが…はい、自分の都合のいい案を書いてみました。ははは。

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