ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

核物理研究センターとか自由電子レーザーとか

昨日は疲れ果てました。

学部学生への講義はまあまあ上手く纏められ、自分の中ではホッとしたのも束の間、学生の引率者として全ての施設を見学して回るのは肉体的に無茶苦茶しんどかったです。広い吹田キャンパスを端から端まで歩き、大きな(面積だけでなく高さ方向にも)実験施設を上下左右歩き回り、本当にへとへとになりました。学生も当然疲れたのではないかと思いますが、話をすると明らかに私ほど疲れていません…。自分の年を感じさせられてしまいました。

それはともかく、実は私も吹田キャンパスへ行ったことはほどんどなくて、昨日見た実験施設3つとも初体験。ということで、こんなことやってるんだぁとわかって、それはそれで面白かったです。

見学した順番に見た施設を書くと、まずはレーザーエネルギー学研究センター。強力なレーザー源を持っていて、レーザー核融合の研究などを主にやっているそうです。次は産業科学研究所。名前からして素粒子原子核とはあまり関係ありませんし、ユーザーはほとんどが工学系。ではなぜそんな所に、素粒子原子核実験系の見学として行ったかというと、加速器そのものを作っている人たちがいて、電子を加速するための線形加速器があるからです。ただし、高エネルギー物理学用のものではなく、物性系の人が使用するための加速器で、例えば、最近流行の自由電子レーザーのための加速器開発だったりします。

自由電子レーザーというのは、加速器中の電子を磁場によって繰り返し蛇行させること(この装置をアジュレータと呼びます)で、放射光をまず取り出します。その光を鏡(みたいなもの)で、ある一定区間に閉じ込めます。鏡の間で光を行ったり来たりさせ続けると考えてください。この閉じ込められた光の位相によって決まるタイミング(閉じ込められた光と、放射光の位相が揃うように)で電子ビームを入射し続け、レーザー発振を起こさせる、というのが自由電子レーザーのアイデアです。普通のレーザーというのは、物質中のエネルギー準位によって光の波長が決まります。正確にはエネルギー準位の差に対応する波長の光が放出されます。ということで、固体レーザーでは取り出せる光の波長は物質に固有になります。ところが、自由電子レーザーなら、電子ビームから出て来る放射光のエネルギーを調整できますから、欲しい波長のレーザー光を得られるという利点があります。

しかし、固体レーザーでもそれなりに波長は変えられますし、なにしろ自由電子レーザーは普通の固体レーザーに比べて装置が巨大になります。私たち高エネルギー物理屋から見たら非常に小さな電子ライナックでも、一般的な実験装置に比べたら突出して巨大な装置になってしまいます。というわけで、自由電子レーザーだけでは応用面でそれほどオイシくはないのですが、固体レーザーでは得るのが難しい波長というのがあるそうで、例えばX線がその典型。そこでX線を発生させるための自由電子レーザーというのは各国で開発が進められています。ちなみに、自由電子レーザーを英語表記すると、Free Electron Laser。なので略称FEL。X線を発生させる場合はXFELと呼ばれます。

おっと、説明が長くなってしまいましたが、その電子ライナックのある産業科学研究所の次は、いよいよ核物理研究センター(RCNP)。素粒子物理学では全然使っていませんが、昨日、いえ一昨日書いたように、原子核物理学の世界では日本でも最大級の施設で、冒頭にも書きましたようにそこを歩いて見学する私はすでにへろへろでした。

RCNPの売りの装置は、陽子サイクロトロンとそれに付随した、中性子ビームラインと、電磁スペクトロメータ。なんだということを昨日学びました。いや、陽子サイクロトロンがあることは知っていましたが、他に何があるのか全く知りませんでした。原子核の人々には良質なビームを提供する施設として有効利用されているようです。が、私たちにとってはいかんせんエネルギーが低過ぎます。サイクロトロンの最高エネルギー(じゃなくて運動量かもしれません)は400MeV。もう少しエネルギー大きければ検出器のためのテストビームとして結構使えるのではないかと思うのですが…。あっ、しまった。強度がどれくらいなのか聞くの忘れてました。

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学部学生への施設紹介

私たちの大学は3つのキャンパスに分かれていて、我々理学部はメインの豊中キャンパスというところにあり、工学部と医学部(と他にも何かあるかもしれませんが)は広大な吹田キャンパスという所にあります。それから、最近加わったのが、男臭くなさそうな外国語学部(名称間違ってるかもしれません)のある箕面キャンパス。さらに、大学には学部だけでなく幾つか研究施設がありますが、それらは、広大な吹田キャンパスに多く存在します。例えば、原子核物理学をやってる大学は素粒子物理学以上に少ないのではないかと思われますが(?)、私たちの大学にはRCNPという日本の原子核物理学の総本山とでも言うような研究所…ではなく、研究センターが吹田キャンパスにあります。

他にも色々あるのですが、それらを物理学科の学部学生に紹介しようという企画が明日あり、その引率(?)で私も空いたキャンパスへ行ってきます。見学に着いて行くだけならいいのですが、15分という異常に短い時間での講演も引き受けてしまい、その準備に追われています。いや、正確には、すでにあるスライドを組み合わせ、微妙な調整をするだけなのですが、なにしろ15分という短い時間でLHCでの物理の説明をしなければならないので、何を落として、何を残すかに頭を悩ませています。

通常は、質量起源、超対称性(力の統一とダークマターを含む)、余剰次元とブラックホールという3本立てなのですが、15分ではいくらなんでもこの3つの面白さを伝えることはできません。本来なら、専門家でない人に概念を理解してもらうためだけで1テーマ15分は欲しいところです。理論的に面白いのは個人的には超対称性なのですが、この面白さを伝えるのは一番難しそう。ということで超対称性は却下。残るは質量起源と余剰次元なのですが、絞りきることができず、とりあえず、両方なんとか入れる方針にしました。時間がなかったときにはどこをスキップするか、どこの説明を簡素化するかも考えてはいるのですが(=偉そうに書いていますが、誰でもやってることです)、それでも時間が足りなくなるのではないかと不安だったりします。

不安といえば、時間もそうですが、台風です。いい感じで(?)近畿地方に接近してるみたいで、私たちの企画だけでなく、高校生を対象とするレクチャーシリーズのSaturday Afternoon Physicsも、台風のときの対応を大いに心配しています。逸れてくれるといいのですが。

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惜しいっ

今オフィスで昼飯を食べながらウェブサーフィンしてたのですが、そしたらこんな画面に遭遇。
ブラウザの画面その1

よく見てください。上の方、真ん中やや左です。そこをズームアップしたのが下の画像。
ブラウザの画面その2

そうです。無茶苦茶惜しくありませんか。
…って、ホントは最初に見た時は末尾が50いくつ。これはもしや?と思い、数秒間隔にリロードすること5、6回(バカですね)。12345677を見て、慌ててリロードしたのですが、時既に遅し。12345679になってしまいました。残念。

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企業が求める大学の役割

いきなり小難しいタイトルです。私は大学教員なので、常に、毎日何度も頭に浮かぶテーマで、いつこういう話題になっても突然ではありませんが、ある友人が他の友人へ宛てたメールの中で話題になっていたので、私もブログに書いてみようかという気になりました。

まずは、文献などで私が知っている歴史を書くと、日本は戦前フンボルト的大学観の影響を受け、大学は真理の探究をするところ、そして全人教育を行うところであるべきだという考えが支配的。にもかかわず、実際は実務主義がはびこっていたようです。それが戦後になると、いわゆる教育と雇用のJモードが確立されたため、戦前の理念であった全人教育が幅を利かせ、それが現在まで続いています。企業、あるいは社会で求められているかどうかは別として、現在の大学の教育理念が「全き人間」を作ることである、ということに異論を挟む人はいないのではないでしょうか。

ちなみに、Jモードというのは、荒っぽく言うと、大学では企業が求めることを教えられないから、企業で新卒を訓練する。よって、企業が求めるのは潜在能力の高い学生であり、その選別に大学入試という学力試験が役立つ。という、言われてみれば何ということはない今の日本の教育と雇用の関係です。これは、先進国で売られていた物を安い賃金でコストを抑えて作れば間違いなく売れた高度経済成長期には非常に上手いシステムだったんですね。年功序列、終身雇用という日本の企業の体質と相性が良かったわけです。長期雇用だったら特殊な能力(=ある特定の実務)を持っていなくても、潜在的な能力の高い人間を採用した方がいいですし、企業にも新卒を訓練する体力が有り余っていたわけです。さらに補足すれば、上で書いたように企業では何をすればよいか(=安いコストで先進国の真似をすればよい)わかっていたので、訓練も楽だったんですね。

とまあそういうわけで、前世紀の遺産とも言うべきJモードが依然日本を支配しています。ところが、高度経済成長どころか、毎年デフレにあえぎ続けるような世界でも類を見ない低成長国となった日本では、企業が新卒を鍛える余力がなくなって、Jモードなんて言ってられなくなったわけですね。しかし、だからといって企業が必要とする能力を大学で学生に身につけさせてくれ、とは企業側も当然考えていません。というか、できたらそうして欲しいかもしれませんが、大学の能力で企業が必要とする販売・営業能力、財務センス、等々を大学で教えられるとは思っていません。じゃあ何を期待するかというと、やはり学生の潜在能力。そして、予想されることではありますが、社会人(=大人)としてのマナーを身に付けて欲しいと思っているのだそうです。

と、ここまでは自分で考えたわけではなく、文献やデータを調べれば誰でもすぐにわかることです。そこで、やっと本題に戻ると…

現代日本の大学に求められてる教育って、マナーですか???

いや、わかりますよ。私が毎日通勤してて感じることは、なんで自転車が歩道をそんなスピードで走るんだよ、歩きながらタバコ吸うなよ、おっとタバコの吸い殻くらいちゃんと始末しろよ、電車に乗る時はちゃんと列に並んで割り込むのはやめようよ、点字ブロックの上にぼけっと立ったり物を置くなよ、電車に乗る時は降りる人が先だよ、電車の中で立ってる人がいるときは荷物は膝の上か棚の上に置こうよ、足は邪魔だからふんぞりかえって座って足組むのやめろよ…と、幼稚園児の私の子供よりもマナーの悪い人がほとんどですから。敢えて言っちゃいますが、特に大阪では(はい、大阪の人に反論してもらっても結構ですが、マナーの悪い人の割合が大阪では異常に多いと私は感じています。)。

上で書いたマナーの悪さというのは、まあ冗談半分で書いてるわけですが、社会人としての常識がない、いえ、人として大丈夫?というような人が増えているのは間違いありませんよね。企業が大卒者に求めるのが常識やマナーだというのはわかりますし、私も高卒者に求めるのは高い学力よりも、人間としての常識、判断力、マナーです。それがあって、かつ、やりたいことを見つけられれば、学力なんてどうとでもなると思っています。

そういうニーズがあるのはわかっても、大学でマナー講習というのは微妙な気がしてしまうのですが。。。どっかの大学ではそういうことを始めてるらしいですが、マナー講習アリなのでしょうか。

全人教育ではなく実務教育に舵を切り替えろ、というなら話は簡単で、大学入試なんてやめてリベラルアーツと実業大学院にはっきり分けちゃえばいいわけです。ところが、そういう動きを察知して、当然のことなのですが、そういう試みはすでにいっぱいなされているわけですね。例えばMBA的なものを私立の有名大学では立ち上げています。でも、ハッキリ言ってそういう試みが成功してるとはいえず、日本のJモードから抜け出せないでいるのが現状なわけです。

というわけで、色々書きましたが、大学に求められてる役割というのがよくわからないんですね。だからこそ、私も含めて多くの大学人は悩んでいます。企業は企業で、企業の求める能力、先に書いたような能力を身につけるための訓練を大学でできないことはわかっていて、何を大学に求めたらいいのかわからないのではないかと勝手に思ったりもするのですが、どうなんでしょう。まあ、潜在能力を測定する尺度として大学入試は有効であり続けるのかもしれません。ということは、大学人としては非常に受け入れ難いことなのですが、大学がきっちりとわかりやすく序列化してくれることが企業の望みなんでしょうかね。うーむ…。

ちなみに、企業が求める社会人としての常識やルールというものの中に、いわゆるコミュニケーション能力が入っているのは、多くの大学教員でもわかっています。大学入試で面接でもできればよいのですが、実際に処理できるかどうかという問題の前に、公正かどうか、という難問をつきつけられてしまいます。企業のように「取りたい人間は自分で決める」という態度が許されませんので。って、いや、私はそう言っちゃってもいいと思うのですが、まあ、多くの人の賛同は得られないでしょうね。

個人的には、今のまま全人教育を目指す大学、真理の追求を目指す大学と、実務教育を行う大学を分けられたらと思うのですが、そうするにはJモードを撤廃しないとなりません。新卒一斉雇用、これをまず撤廃してもらわないと、実務教育を行う大学の存在価値が見出せませんから。これは凄ーく遠い道のりでしょうね。

あー、ホント難しい問題です。

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発掘

今日は比較的落ち着いた1日でした。明日の講義の準備、物理学会関連の雑務、昨日に引き続いての留学生の期間延長の申請書書きなどを淡々とこなしました。ミーティングが無いと自分のリズムで仕事ができるので効率が良く、精神的にも落ち着いて仕事ができますね。あ、いや、エクセルを使っての申請書書きは心静かにやることできませんでしたけどね。あはは。

そんなオフィスワークにプラスして、研究室の物置部屋とでも言うような部屋の発掘調査をしました。って、そんな大袈裟なものではなく、multi anode PMTと呼ばれる光検出器を探しただけなのですが、どこにあるかわからない物を探して物置状態の部屋の中を掻き回すのは、まさに発掘作業でした。しかも、その物置部屋では1個しかお目当ての物を発見できませんでしたが、普段使っている実験室にもっとたくさんあったというのが軽いオチです。

まあオチはどうでもいいとして、multi anode PMTですが、シンチファイバーと組み合わせた軽い検出器を修士課程の学生、あるいは学部4年生に使ってもらおうかと思って探しました。掘り出した物で動くかどうかわからないので、まずは壊れていないかテストするところから始めなければなりません。若い人たちには丁度いいプロジェクトかと思うのですが、上手くコトが運ぶかどうか…。

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苦闘中

今日火曜日は私にとってミーティング連発の日。とはいえ、全部物理の研究に関連するミーティングで、建設的な議論をできる場なので楽しみな日とも言えます。が、悪戦苦闘を強いられた一日でした。何にって、マイクロソフト製品にです…。

心配していた留学生の期間延長申請書がやっと配布されたのですが、それがエクセル。しかもマクロ連発、のせいかどうか知りませんが、私のMac上では見た目も変。入力も変。発狂しそうです。申請書だけでなく、通知案内やら、なんちゃら要領やら、訳わからないファイルが山ほど(10個近く)送られてきて、仕方なくそれらに目を通すと、申請書はMacのエクセルではちゃんと表示されないのでWindowsのエクセルを使えという注意書きを発見…脱力です。

学会のときに準備した特別マシン(vmfusion+自腹Windows+自腹Office)を復活させないとならないのかもしれません。もうこうなったらvmfusionお試し版ではなく、ライセンスを購入してしまおうかと思い始めました。使いづらいアプリケーションをわざわざ使うために金を払うって、ドブに金を捨てるような気分です。

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収穫

奈良女子大学でのセミナーは、まあまあ盛況でした。居眠り者続出だったらどうしようかと心配していましたが、多くの人が集中して話を聞いてくれて、また、こちらからの問いかけに対する反応も良く、やっていて楽しい講義でした。やっぱり、聴衆の反応が良くないと喋っていても面白くないんですよね。先日の芋煮会に引き続き、奈良女のみなさんには良い体験をさせてもらいました。準備をしてくれたIさん他学生、スタッフのみなさん、ありがとうございました。

セミナー以外では他大学の高エネルギーをやってる学生さんの生の声を聞く非常に良い機会でした。しかも相手は全て女子学生。私の中でのプロモーション重点対象なので、彼女達がどういうことを考えているか聞くのは凄く興味深かったです。代々、高エネルギー物理研究室の人気が高いというのは少し意外であり、かつ、羨ましい話でした。あと、研究室を選ぶ際に、研究内容ではなく教員で判断する学生が多い中で、多くの学生が研究内容で判断したと答えていたのは頼もしかったです。

とまあ、色々収穫の多いセミナーだったのですが、中でも最大の収穫は修士の学生たちの間でKEKのN村さんの人気が絶大だったこと。私同様毒をまき散らしてるはずなのに、口は悪いけど優しいし「ルックスも良い」という好評価を多くの学生から得ているのには大いに驚きました。いや、若干悔しかったりもします。ははは。

いやー、最後の話があまりにインプレッシブだったので、今日は朝イチで更新してしまいました。

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空気

数多くの、色々な種類の、色々な組織の会議に参加する今日この頃ですが、会議での結論って何で決まるかというと、結局はその場の「空気」で決まることが多いように思います。特に日本人の会議ではこの傾向が顕著だと個人的には感じています。では、その空気はなんで決まるかというと…根回しをしてあるならまだマシ(会議の前に違うレイヤーで議論されてるわけですから)ですが、そうではなくて、本当に何となくだったり、声のデカイ人の主張だったり、あとよくあるのは、その組織の中で暗黙の実力者とみなされてる人の意見で決まってしまったりしまいます。

「なんか変だなぁ」とぼんやりは感じても、その場の流れ、空気に押されて反対意見を言えないことが多いと感じるのは私だけでしょうか。歴史上、狂気としか思えない行動に走った組織がたくさんありますが、そういう組織も最初は途方もなく狂っていたわけではなく、「空気」によってある方向に流れができ、その流れが大きくなって誰も反対できなくなって、とてつもない狂気に走っていったのだと考える人が多いのではないかと思います。私もそう思いますし、最近はそれを体感する機会が多く、会議等で「ノー」と言える「空気」を作ることが大事だと強く感じています。

具体的に、私がズルい、卑怯だと思う議論の展開は、倫理的、心情的にネガティブな発言をしずらい方向に持っていくことです。例えば、大学の会議で学生に対するとあるプログラムの存続について議論したとします。このプログラムは、学生からの支持も受けていますし、やらない場合と比較して教育効果があることは確かです。プログラムを走らせるためのリソースが十分あるなら議論なんてせずとも、誰もが続行すればいいと思うプログラムです。が、問題は、大学のリソースには限りがあり、そのプログラムを走らせることで、他のもっと重要なプログラム(本来なすべき本業)、例えば、講義の準備、研究室の学生への指導、世界最先端の研究を推進する時間等が制約を受けてしまうことです。いっちばん大切な事柄に割く時間が大幅な制約を受けるのは本末転倒もいいところです。にもかかわらず、「このプログラムをやることはいいことだ、だから続けるべきだ」という議論展開をする人がいるんですね。

「良いこと」なのはみんなわかってるし、できればそれを続けたいと思っているので、そういう意見に正面から反論するのはしずらいわけですね。あるいは、ここでも「空気」が重要なのですが、そういう場で「私にはできない」と言うのは抜け駆け(という表現が適当かわかりませんが)のようで、他の人が頑張っているのにノーとは言えない、的な雰囲気ができちゃうときがあるんですね。でもって、そういうインパール作戦支持者は、必ずと言っていいほど、心情的にノーといいずらい雰囲気に持っていくんですよ。議論の本質は、良いか悪いかではなく、そのプログラムを続行することによるメリットとデメリットを定量的に判断(するのは難しいですが)、あるいは推測して、トータルで考えてどうするべきか、なのに、いつの間にか「良いことだから」を全面に押し出すのです。

これって結構危険で、最終的には結果はともあれやることに意義がある、頑張ることに意義があるんだ、という流れに進みやすいです。もうこうなると、まともな議論ではなく、俺はラーメン食いたい、私は寿司を食べたい…というような単なる言い争いになります。とあるプロジェクトをやってる人たちがいるのですが、第3者的には明らかに中止した方がいいプロジェクトというのがあったとします。1940年代後半の日米戦争のように、やる前から負けが明らかなプロジェクトだったり、研究グループというのが存在したとします。こういう人たちとの議論は本当に不毛になります。俺たちは頑張ってるんだから続けさせろ、の一点張りです。表現は違っても本質はこの主張だけです。

とまあ、インパール作戦を大好きな人が大学、というか私たち物理学専攻でしょうか、には多くて辟易しているのですが(大学以外にももちろんいますけどね)、原子核理論のSさんはその被害者かもしれません。インド出張中に心筋梗塞で倒れ、手術をしたそうです。幸いなことに快方に向かっているそうですが、本当に驚きました。昨年度は、物理学科関連の教員が2人も自殺しましたし(そして、その事実は大学はすぐに隠すのにも驚きました。親族からの要請なのかもしれませんが)、本当に真面目にできないことはできないと皆で言う時期が、私たち物理学科には来ているのではないかと思います。じゃないと、狂気に走った組織と一緒です。

なんてことを書いているとテンション下がってきましたが、今日の午後は、奈良女でセミナーをやります。少しでも素粒子物理に興味を持ってもらえるよう面白い講演をしなければなりません。それにはテンションが大切。こんな下がったテンションではダメです。昼飯でも食べてハイにしなければなりませんね。

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芋煮会

関西の大学の高エネルギー関連研究室恒例の催し、芋煮会に行ってきました。いえ、正確には、奈良女の高エネルギーグループが毎年主催して、関西の高エネルギー研究室を招待してくれるという有り難い催しです。春は各大学の持ち回りで花見を企画するのですが、秋の芋煮会はexclusiveに奈良女の主催。毎年準備するの大変だと思いますが、私たちにとっては本当に有り難い企画です。

一昨年初めて参加して今年は2回目なのですが、私にとって個人的に何が嬉しいって、子供を連れて行って広い河原で遊ばせられることです。大学生、大学院生のお兄さんお姉さんがたが子供の相手もしてくれますので、少しは目を離すこともでき、可能ならば毎年参加したい催しです。

準備してくれたイモニーズ、そしてスタッフのみなさん、ありがとうございました。

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人がいない

研究室に全然人がいません。少し前にも書きましたが、KOTOというKaonの実験をやってるスタッフ・学生は、今まさにビームが出ているために、卒業を目指している博士課程の学生Iくんを除いて全員が東海村。CsI結晶を積み上げて作るカロリメータの約2/3(よりはもっとたくさんかな)を完成させ、エンジニアリングランをやっています。先週からビームが出ているようで、とりあえず今月末までビームタイム。その後1週間は加速器側のstudyをやり、11月になってからさらに3週間(?)程度のビームタイムが予定されているようです。というわけで、しばらくは、KOTO関係者は大学にはいなさそうです。

ところで、東海村のJ-PARCでKaon実験をやっているときは、陽子ビームを各実験ごとの専用ターゲットに入射させるのではなく、一つのターゲットに入射させ、そこで生成された2次ビームを磁場やコリメータを使って各実験グループに分配します。なので、KOTOをやってるグループだけではなく、他のビームテストをやっているグループもあります。飲み仲間であるMくんやMくん(Tくん)たちも液体アルゴンを使った検出器のビームテストをやっているらしいです。

また、Kaon実験などのハドロンビームラインにビームを送っているときは、ニュートリノ実験であるT2Kにはビームを送れません。固定ターゲット実験の場合、円形の加速器内をぐるぐる回っているビームを磁場で蹴り出して固定ターゲット用のビームラインにビームを送るのですが、ハドロンビームラインとニュートリノ用のビームラインではビームの取り出し方が違うので、同時に実験をやれません。まあ、やれたとしても、使える粒子数が少なくなってしまいますし。なので、ハドロンの実験グループとニュートリノの実験グループでは、端的に言うと、ビームタイムの取り合いになります。T2KはJ-PARCでの素粒子実験のフラッグシップ的存在なので、Kaon実験グループはビームタイムを確保するためにも、予定通り実験を遂行してるということをアピールできないとならないので大変です。

おっと、KOTOの話がだいぶ長くなりましたが、そんなわけでY教授はじめ、スタッフから学生まで最近は大学には誰もいません。そして、私たちATLASグループの博士課程の学生はいつも通りCERN常駐。さらに修士課程の学生2人が今はKEKに行っていて、大学にいるのは修士課程1年のEくんだけです。というわけで、なんと研究室の中で大学にいる大学院生は今2人だけになっています。大きな学生部屋が非常に寂しいです。学部4年生が最近は研究室に現れる頻度が上がっているので、それで幾分ひっそりとした感じが減ってはいますが。

そんなひっそりとした研究室ですが、私はいたって通常通りの生活。昨日は午前中に講義、晩は私が一番嫌いな国際会議の講演者候補選びのミーティング。それ以外はセミナーの準備をしたり、講義で使うレポート問題を考えたりと、大学教員っぽい一日でした。今日も午後は実験の授業で、連日、大学教員らしい生活です。

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商品価値

昨日のエントリーを書いていて思いついたことをつらつらと書きます。雑感垂れ流しです。

世間には女子プロなんちゃらという、女性に限定されてるプロの競技というか、プロの枠というか、がありますよね。昨日の話だと将棋の女流プロ。これは女性のプロという意味ではなく、女性専用の別枠です。将棋のプロにはそもそも男女の別はないのですが、女性ではプロになれる成績をおさめた人が今のところいなくて、原理的にはなれるのですが、まだそれほど強い人が現れていないのです。そこで、どういう議論があって、どういう目論みがあったのかは知りませんが、女性だけの別枠を設けて女流プロというシステムを作ろうということになったわけです。なので、女性は強ければ普通のプロになれますが、羽生がいくら強くても女流プロにはなれません。

というように、そもそも別枠が設けられてる競技やシステムが世間には幾つかありますが、その典型はスポーツでしょうか。性別によって分けられています。筋力/体重比が違うのですから、別カテゴリーで競技するのが当然です。が、私が今議論しようとしてるのは、そこに女子プロなんちゃら、例えば女子プロテニス選手、というカテゴリーが存在することです。競技としては男女別がフェアだと思いますが、見てる分には、男女差って激しいので、少なくとも私は女性のプロスポーツはあまり見ません。というのも、私の”プロ”スポーツの見方は、かわいい女の子がやってるのを見る、のではなく、競技レベルの高さに胸を躍らせるからです。極論、選手が誰かもわからないようなだぶだぶの服を着て、お面をかぶって競技してたとしたら、女子のプロスポーツを見る人激減しませんか?(誤解なきよう追記しておきますが、女性のプロスポーツを否定してるわけではありません。以下で書くように商品価値はあると思います。ただ、色々な楽しみ方、見方があって、純粋にプレーだけに価値を置くと、その凄さには男女差があるという意味です。)

というわけで、私はプレー自体を見ようとするスポーツファンなわけですが、もちろんそれ以外の観点のファンがいて当然です。女性でそのスポーツを愛好してる人がファンであること多いでしょうし、ビーチバレーの女子選手をスケベ視線で見てる男性ファンもきっと多いことでしょう。つまり、プレーとしては男性にはかなわなくても、商品価値があれば、資本主義社会では女子プロなんちゃらという枠組みが存在できるわけですね。その商品価値の方向は多様で、自分の娘みたいな女の子がゴルフやってるのを応援したくなるとか、自分の娘みたいな女の子に将棋の相手して欲しいとか(将棋とか囲碁には指導対局といって、プロと対戦する仕組みがあります)…うーん、あんまり多様な例を思いつきませんが、とにかく、競技能力は男に劣ってもプロとして存在して欲しいというニーズが世の中にあるから成立してるわけですよね。

これはスポーツや将棋に限ったわけではなく、また男女を別カテゴリーに分けるといった話に限ったわけではありません。と、ここまで書いて、これ以上具体的な記述は避けますが、学生さんは就職するにしても研究職を目指すにしても、単に勉強のできるいわゆる優等生になるのではなく、個人の商品価値を高めて欲しいなぁ、と思うのでした。

それから、女性限定の教員公募を訝しく思ってる方が多いようですが、今回のエントリーはその説明を(非常に婉曲的に)してるつもりです。女性に対するサービスで限定の公募をしてるわけではありません。その組織にとって、女性教員を雇うこと、遡って、そういう限定の公募を出すことが、その組織のメリットになると判断したから、そういう公募を出したわけです。人を雇う立場の人間は、色んな意味での利益の最大化を狙って人を雇っているのです。

と、まあ、多くの人にとっては当たり前のことを長々と書いてしまいました…。

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コンピュータと将棋

少し前に、コンピュータと女流プロが将棋で対決したことが話題になっていました。あ、いや、私のような将棋(観戦)ファンの間でだけ、かもしれませんが…。結果は順当にコンピュータの勝ち。なにせ実力的には

女流プロ<<トップアマチュア<プロ底辺<<トッププロ

という感じで(平均の話です。分散がありますから実際にはオーバーラップしています)、コンピュータはトップアマチュアかプロ底辺と同じくらい。ですから、今回登場の女流プロは女流の中ではトップクラスですが、実力的にはかなり望み薄。さらに、今回のようなイベントでは人間にはプレッシャーがかかりますが、コンピュータにはそんなものありません。さらにさらに、今回のコンピュータは「あから2010」と名付けられたもので情報処理学会(?)だかが準備した大規模クラスタ。どう考えても人間に勝ち目はなく、勝負としては面白みはあまりありませんでした。もっと言っちゃうと、当初から人間がサンドバッグになるのが目に見えていて、噛ませ犬的な役回りをさせられてる女流プロはよくこのイベント参加を承諾したな、というのが正直な感想でした。

とまあ、それはどうでもいいのですが、私が一番気になるのはコンピュータのアルゴリズム。いえ、トッププロが脳内に持っているアルゴリズムです。単なる読みの速度や正確さでは、もはや人間はトッププロといえどもコンピュータにかないません。それはそうです。指し手を読むというのは、膨大な条件処理をしていくだけなので、演算処理速度の速いコンピュータに勝てるわけがありません。ですので、終盤、お互いの王様が詰むか詰まないか、という状況になると(=特定の局面で、限定された手順を読む場面)、コンピュータ最強です。

それにもかかわらずコンピュータがトッププロに勝てないのは、中盤で差をつけられるからです。というのは、序盤、中盤ではいくらコンピュータといえども、指し手の分岐が10のウン10乗だかウン100乗ある全てを読み切ることはできません。人間同様どこかで読むのをやめて、評価関数に基づいて指し手を比較、決定するのですが、その評価関数がトッププロのニューラルネットに比べてまだまだ負けているからなんですね。評価関数は、ナイーブには駒の損得や王様の安全度、駒がいかに有効利用されているかなどで決まるものですが、実際には固定ではなく、相手と自分の布陣によって変動する関数です。ま、ごちゃごちゃ書きましたが、強い人は局面を一目見てどっちがいいかを正しく判断できるということなんですね。

ちなみに、序盤は過去の例をデータベース化して対応できるので、中盤よりはコンピュータにとって対応しやすいらしいです。ただし、定跡形から離れると厳しいようですが。逆に、コンピュータと戦って勝負重視ならば、定跡形にならないように誘導するのが良いということになります。今回の対戦の場合は、そういう戦いにして負けると悲惨ですから、敢えてそういう戦いにしなかったという面はあったようです。

おっと、脱線しましたが、そういうわけで強い人というのは、脳内に持っている評価関数が弱い人のものよりも高い精度なんですね。でも、その評価関数は極めて複雑、かつ、ぼんやりとしたものだと思うのです。理路整然とこういう理由でこっちの局面の方が有利だ、とは判断してないと思うんですね。子供の頃から培ったいわゆる勘というやつですか。まさにニューラルネットワークによる解析ではないかと。無数の対局によってネットワークをトレーニングしてきた結果、信号と雑音を分離する能力が極めて高くなったのが強い人なのではないかと思うわけです。で、人間の脳の凄いのは、どういう評価関数を使っているのか自分自身で認識してなくても、ちゃーんとネットワークをトレーニングできる点です。

同じような話が私たちの分野にもあって、有名なのは昔のカミオカンデのデータ解析です。彼らはどういう事象が発生したかの識別を人間の目で行っていたんですね。イベントディスプレイを見て。検出器で観測したエネルギーや、それらを組み合わせて粒子の飛来方向なども推測するわけですから、それらをもとに評価関数を作って識別することも原理的には可能なのですが、あるときまでは訓練された人間のほうが精度がよかったのだそうです。もちろんコライダー実験と違って事象数が少ないから、イベントディスプレイを人間の目で全部チェックすることができますし、そもそも訓練をすることができたわけですが、方法としては、頑張って評価関数を作ってコンピュータにやらせるよりも人間の目が勝っていたというのが凄いところです。他にも、幾つかのデータ点から近似的な関数を求める際に(フィットすると言います)、そのフィットの善し悪しを数学的に定義された数値で表現するのですが、KEKのTなかMくんは「フィットの善し悪しを判断するのは俺の目だ」という名言を残しているように、何かを判断するとき、人間の直感というのは実は侮れません。

そういうわけで、実際的には統計量が多過ぎてまずトレーニングをできませんが、原理的には人間がイベントディスプレイを見て事象選別をするのもそんなに悪くない手法なのかな、とか思ってしまう今日この頃です。FermilabにいたYさんという日本人のかたは、D0実験で得られた無数のイベントディスプレイをプリントアウトして分厚いファイルにして持ち歩いていましたが、彼もそう考えていたのかもしれません…。って、実際論的にはトレーニングするためにどんだけのイベントを見なくちゃならないんだ、という話ですけど。

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自転車激突

昨日の帰宅途中、家のすぐ近くで自転車同士の事故を目撃しました。いえ、正確には見ていなくて、物凄い音がしたので振り返ると、1人はノックダウン、もう1人は鼻血ダラダラ、口の中からも出血という、かなりの惨状。近くにいた人に「救急車呼びましょう」と声を掛け、救急車を呼んでもらいました。

道路に倒れていた人は結局意識があったし、そんなに痛がっていませんでしたが、もう一人は出血もしてる上にかなり痛そう。しかも外国人で日本語がそれほど喋れなかったので通訳として救急車が来てもしばらく現場にいました。後で考えると、年齢と自転車での通勤(通学)コースから考えて、私たちの大学の留学生の可能性が高いです。大したダメージでないといいのですが、鎖骨くらいは折れていたかもしれません。

そうそう、ダメージを受けたのは人間だけでなく、自転車もかなりのものでした。かたや、車輪が大きく曲がり使い物にならない状態。もう一方はフレームが曲がり、これまた使い物にならない状態。自転車どうしでもあそこまでダメージ大きかったのは、2台ともブレーキかける暇なく衝突したんでしょうね。

しかし、その場所は、事故が非常に多い場所です。原因は2つあって、1つは、道幅と交通量が比例していないこと。一方はセンターラインも歩道もあるわりと広い道。もう一方はセンターラインもないし歩道もないわりと細い道。にもかかわらず交通量は細い道のほうが多いくらい。しかも、自動車を除き歩行者あるいは自転車だけでカウントすると、圧倒的に細い道のほうが通行量が多いんですね。だから、自転車だと、どっちの道に優先権があるのかわからないような状態です。2つ目の理由は、坂のせい。昨日の場合だと、事故った一方は広い道の長い下り坂を下っている途中ということで、きっとかなりスピードを出していたと思います。もう一方の狭いほうの道は、坂がすり鉢状になっていて、下ってそこそこスピードが出てるのですが、その先が上りなために交差点に進入するときも減速しないでむしろ加速します。車だけはチェックすると思うのですが、自転車や歩行者はチェックしきれないんでしょうね。

そういうわけで、本当にしょっちゅう事故のある場所なのですが、客観的には自転車のマナーが最悪です。ほとんど無灯火だし、歩道をガンガンとばすし、不正防止の話ではありませんが、そういう無茶なヤツが多いと要らないルールを作りたくなってしまいます。実際、夜歩いていると突然自転車がやってきてぶつかりそうになることが結構あります。無灯火でとばしてくるヤツがいたら捕まえて説教してやりたいと思ってるくらいです。ちなみに、歩道をベル鳴らして飛ばしてくるヤツがいると仁王立ちしてその自転車を止めて、やさしく(?)説教したことが何度もあります。

おっと、何書いてるのか、最初に何が書きたかったのかも忘れつつありますが、みなさんも自転車に乗る時は安全に留意してください、という駄エントリーでした。

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週末と今日

週末は風邪をひいて寝込んでしまいました。大学生くらいまでは風邪をひいたことなかったのですが、その後、徐々に風邪をひく頻度が高くなり、最近は特にその頻度が高くなってきています。運動でもして体を鍛えないとなりません。って、運動したら疲れて余計風邪ひきやすくなりそうだったりもしますが。

そんなわけで、週末やろうと思っていたことをやれず、ちょっとづつ幾つかの仕事が遅れ気味です。

今日はその遅れを取り戻すべく(?)朝から集中して、科研費の申請書書きと、明日の研究室ミーティングでの論文紹介のスライド作り。申請書を書いてるとすぐに逃避行動に走りがちですが、週末に風邪で寝込んで逆に英気を養えたのか、今日は逃避行動に走ること無く集中して作業に取り組めました。論文紹介のほうは、久々に勉強をしたという感じで、これまた順調な捗り具合。今日は仕事した感のある1日でした。いや、本当は、英気を養ったからではなく、今日の仕事は雑事ではなかったから集中できたのは明らかです…。


一方でちょっと気になっているのが、来週月曜の奈良女でのセミナー。対象は物理の学生ではなく、いろんな専攻(主に理系?)の大学院生で、今までにない聴衆なので、どういう話の作りにしようか構想を練っているのですが、練っているだけで残り1週間になってしまいました。アウトリーチの講演は一般の人を対象にしていたので、アウトリーチと物理の学部生相手のセミナーの中間くらいの内容にしようと思っているのですが、その匙加減がなかなか難しいところです。

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新聞を読んで

新聞記事に、痴漢の被害者の1割程度しか警察に届けていないというのがありました。痴漢の被害者の多くは女性で、私は女性ではないので被害者の気持ちになって考えられていないという可能性はありますが、1割という数字はそんなもんだろうな、と思いました。

痴漢の程度にもよるのでしょうが、多くの人が警察にわざわざ行って、事情を説明して、被害届を出して…なんていうことをするのは面倒極まりないと感じてしまうのではないでしょうか。さらに、そんな面倒な思いをしても犯人が見つかる可能性は低いですし、万一見つかったとしても殴らせてもらえるわけでもありませんし。逆に、犯人のずるいのは、こういうことを見越してやってるんですよね、きっと。いや、もう殆ど病気の人もいるのかもしれませんが。

前置きが長くなりましたが、これって、警察の防犯という機能が全く働いてないってことですよね。まあ、警察だけではなく、面倒なことになるのが嫌だから、という理由で泣き寝入りすることが多くあるわけですが、それが、警察だったり、裁判だったりと、ある方向に集中してるのが気になりました。でも、警察とか裁判って、単純には悪いヤツがいなければ不要なわけで、そうなるとやっぱり、悪いヤツが生まれてしまう社会が悪いのか…と、なんだかいつもと同じような思考ループ(例えば、研究資金の不正使用をするヤツのせいで、ルールがどんどんできて面倒になっていく)に入ってしまうのでした。

それと、話は全く変わってしまうのですが、痴漢から迷惑防止条例(?)を連想しました。痴漢→スカートの中を覗く、みたいな連想です。迷惑防止条例というのは私にとって謎が多いです。調べればいいじゃん、と言われると話が終わってしまいますので、そういうツッコミはないものと思って話を進めると…

テレビの密着警察24時間みたいな番組を見てると、スカートの中を覗こうとしたとか、撮影しようとした人間が現行犯逮捕されてることがありますが、ということは、被害者からの訴えがなくても捕まっちゃう、捕まえられる類いの法令ってことなんですよね、きっと。でも、たまーに、見られて困るとは思ってない(ように見える)女性が、見ようとしなくても見えるだろという格好をしてる女性がいますが、被害者からの訴えがなくても捕まえられてしまうということは、そういう女性って本当の地雷ですね。言わなくても明らかで、スカートの中を覗くのは悪いことなんでしょうが、この法令はどうもひっかかります。

もっと言うと、スカートの中を覗かれるのは大多数の女性が単に嫌だから成立してるわけですよね。だったら、他にももっと嫌なこと、迷惑を受けてることってないのかと思ってしまうのです。また繰り返しになりますが、私はスカートを穿いた経験も、スカートの中を覗かれて嫌な思いをした経験もないので、比較することができないのですが、私が女性になったつもりで頑張って想像を膨らませてみると、スカートの中をチラッと覗かれるよりも、タバコの煙のほうがよっぽど迷惑です。煙だけでなく、ヘビースモーカーが電車の中で隣に座っただけでも吐き気するくらい気分悪いです。なぜ公共の場所でタバコを吸うことが迷惑防止条例にひっかからないのか理解不能です。

さらに、タバコだけじゃなく、異臭を放っている人も迷惑防止条例で、誰に訴えられなくとも逮捕してもらえないものなのでしょうか。この前のCERN出張からの帰りの飛行機は参りました。私はマスクを使わない人なのですが(風邪やインフルエンザの感染防止になると思ってないし、喉を潤す効果についても疑っている)、そのときは非常に役立ちました。スチュワーデスさんに尋ねたところマスクがあったので、それを使って長いフライトを耐えました。マスクの存在意義を初めて認めた瞬間でした。ははは。

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「元気な日本復活特別枠」パブリックコメント

このブログ読者の方ならすでにご存知かもしれませんが、締め切り間際のお願いを。

官邸ウェブサイトにて、「元気な日本復活特別枠」に関するパブリックコメントを募集しています。良い機会ですので、政策に意見のある方はコメントしてはいかがでしょうか。締め切りは10月19日(火)17時です。

とりあえず綺麗ごとを書きましたが、本音は、文科省の要望にある、大学の運営費交付金の拡充と、研究費の拡充を少しでも多くの方にサポートしていただきたい、というところです。この要求が通らないと、運営費交付金は5%、科研費は13%減という強烈に大幅な減額となってしまいます。大学の外の人が思っている以上に大学の運営は相当厳しく、少し前に留学生担当の職員が引き継ぎのないままいなくなってしまうと書きましたが、それくらい大幅な人員削減を強いられています。すでに教育・研究の質が落ちているのは明らかで、このままでは本当に崩壊してしまいます。少しでも多くの人にサポートしていただけるようお願いいたします。

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LHCのルミノシティ近況

今日の授業では冷や汗はかきませんでしたが、やはり汗ビッショリになりました。私はもともと人前で話すのが好きではなく、講演などのときに緊張のせいなのか相当暑くなります。テンションが上がって熱くなるのとは別に、肉体的に暑くなります。授業ではさらに緊張するのか、物理の講演よりも暑くなるのですが、今日は教室が少し暑かったので本当に汗ビッショリになりました。

そんなわけで、冷や汗ではない汗を結局かいてしまったわけですが、汗もかかないくらい涼しくなったジュネーブのLHCでは、とうとう目標とするルミノシティ10^{32}に到達しました。今年中に到達したいとして掲げた目標で、このルミノシティで安定して運転を続けられれば、来年末のシャットダウンまでに1fb^{-1}というデータ量を収集できると考えています。なにはともあれ、今年は大きなトラブルなくここまで着実にルミノシティをあげられ、めでたいことです。

ちなみに、今年はもうそろそろ陽子・陽子衝突を終えます。残りの1ヶ月間(?)は重イオンの衝突を行います。ちょっと前にこのブログでも取り上げた、クォークグルーオンプラズマなどの研究をするためです。

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冷や汗

昨日の晩に出張から戻りました。

帰国早々、前にも書いた、今回初めて担当する授業。案の定というか、教科書を読んで大体理解してたつもりだったのですが、1箇所勘違いをしていたところがあって、それも凄く恥ずかしい基礎的なことを勘違いしていて、学生の結果と私の予想が合わず、冷や汗をかきまくりました。悪く言えば準備不足、良く言えば実験をやる意味があるということでしょうか。あまりに簡単な勘違いなので、実験をやってみなければ通り過ぎてしまうようなことなのですが、実際に実験の結果を目の当たりにすると、いやでも勘違いに気付きます。自然は嘘をつきませんから。

しかし、学生の授業でやる実験でも初めてのものは面白いものです。教科書では知っていても実際に目にすると「おーっ」って思うことありますし、簡単な実験でもちょっとした工夫が必要とされたり。これが授業で何度もやっていると、コツを知り尽くしてしまい、新たな感動がなくなるのですが、最初はやはり面白いです。

授業の後は、午前中に処理しきれなかったメールを処理したり事務仕事をしたりしているうちに、私たちATLAS大阪グループのミーティング。今日は事情があって修士課程の学生だけだったので短く終わるかと思っていましたが、先日のビームテストのデータの解析などで議論が白熱して3時間近くもかかってしまいました。明日の午前中の授業の予習をしようと思っていたのですがまだ十分にできていないので、明日の朝、授業の直前にもう一回ウォーミングアップをしなければならなそうです。今日の授業と違って初めての担当ではないので、今日みたいに冷や汗の連続にはならないと思っているのですが…どうなることか。

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充実した議論

今回、厳しいスケジュールで出張しましたが、一昨日、そして昨日は非常に充実した議論ができ、無理してきた甲斐がありました。

一昨日のミーティングでは、物理解析に関して非常に有用な情報を多く仕入れることができましたし、今後の学生の解析の指針を作りやすくなりました。また、昨日は、シリコン検出器のプロジェクトに関するATLAS日本グループ内でのレビュー、というほどではないかもしれませんが、シリコンをやってる人以外も集めて意見交換的なことを行えました。グループ内でいくら議論しても話が平行線を辿ってしまう、かなりセンシティブな話題を多くの人の前で議論できたことは、今回の出張最大の収穫でした。シリコングループの中長期計画でずっと意見の対立があったのですが、その落としどころが私なりに見えてきたような気がします。

それからもう一つの収穫は、物理に関しても、検出器に関しても、自分がかかわっているプロジェクトの中で、自分のグループが中期的にどういうことをやっていくべきか、考える材料を多く得られたことです。材料を得ただけでなく、色々と考えることもできて、今書いている科研費の申請書の内容にも(良い)影響を与えることになりそうです。

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海外出張者数

「日本の研究者、内向きに」という新聞記事を読みました。今年ノーベル化学賞を受賞した2人が海外で研究生活を送っていたことを受けて記事になってるのは明らかで、マスコミにこういう問題を取り上げてもらうことは悪くはないと思うのですが、もう少し突っ込んだ取材をしていただき、正しい問題意識を広めてもらえるとさらに有り難いです。

文科省の担当者の話を引用して、海外出張費はあるが、研究環境が国内でも整ってきてるから出張者数が減ってる、というような結論、とまでは言いませんが、そういう仮説で記事は終わっています。でも、こういう書き方だったら内情を知らない人は、それが大きな原因だと思ってしまいます。確かにそういう面もあると思いますが、他にも幾つか有力な原因が考えられます。

まず私が推測する1番の要員は、大学教員の雑務が劇的に増えていることです。それと、雑務ではありませんが、多くの大学で教養部が無くなり、元々研究指向だった大学スタッフまでもが授業に縛り付けられるようになったことも大きく影響してると思われます。記事で引用されているデータ(グラフ)は、1ヶ月間以上の出張で、大学の教員ではそれだけ長期で大学を離れるのは相当難しくなっています。これが主因だと私は思うのですが、そういうことには全く触れられていません。

次に考えられるのは、年代が下に行くにつれて、海外(というより欧米)に対するコンプレックスみたいなものがなくなっている気がします。団塊の世代の人たちには、多かれ少なかれ、欧米文化が日本文化よりも優れているという偏見を持ってる人が多いと感じます。そこまで強い偏見ではなくても、憧れを若者よりは持ってる(た)気がします。それはそうだと思うんですよね。彼らが若い頃は、科学と技術の面では欧米に圧倒されていたのですから。でも今は状況が変わってます。いわゆるポップカルチャーは日本がリードしていますし、車や家電製品といった身の回りのものも欧米製品に比べて圧倒的に負けてるというわけではありません。携帯電話なんてガラパゴスと称される独自な世界になっちゃってますし。そういうわけで、昔は「海外で修行して」という感覚を多くの人が持ってたと思うのですが、今の若者にはそういう感覚が育っていない気がします。雑用が事務があっても、無理してでも、海外に行きたいと感じる土壌がなくなってるのではないでしょうか。

そして、3番目が、新聞記事にもあるように、わざわざ外国に行かなくても同様の研究ができるから、という理由でしょうか。時間と金を使わずに同じ研究ができるなら国内でやるというのはある意味合理的です。ただ、私自身は、この理由で海外で研究活動しないのだとしたら、日本の未来は暗いと感じてしまいます。グローバル化、国際的な競争をあらゆる分野で強いられるわけで、そこでは、日本国外の物事の進め方、文化、政治、というようなことを学んでおくことはやはり貴重だと思うのです。あと、人脈作りというのも実は非常に大切です。今ATLASで研究をしていて、真に協力的に研究を行っている外国人研究者のほとんどは、過去に一緒に研究をしていた、いわゆる同じ釜の飯を食った連中です。若いうちは意識しないかもしれませんが、大人になって、自分でプロジェクトを率いるような立場になったときは、この人脈というのは実は凄く大切だったりします。まあ、そういうわけで、国内で同じ研究ができても、外国で研鑽を積むことも悪くないし、必要なんじゃないかなぁと思っています。

それにしても、人数の減り方って相当激しいですね。10年で半分ですか。。。

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不発弾

私の経験上、最短期の日程でCERNに来ています。会議2つに参加するためなのですが、本来ならテレビ会議で済ませたいのに、重要な政治が含まれているため、泣く泣く出張を決めました。大学で学生と物理や実験の話をしているのとは大違い。せっかくの連休をこの出張でまるまる潰してしまいます…。

昨日移動したのですが、今まで使っていたアムステルダム経由の便がなくなってしまったため、今回はフランクフルト経由。スキポール空港を気に入っていたのと、アムステルダム経由のほうが比較的空いていたので、アムステルダムを多く利用していたのですが、残念です。その影響で、フランクフルトからジュネーブへの便がだいぶ遅かったため(家を出たのはいつもと同じでしたが)、CERNに着くのがこちらの時間で今日になってしまいそうでした。

で、なんで、タイトルが不発弾かというと、フランクフルト空港で工事していたところ不発弾が見つかり、ターミナル間の移動ができなくなっていたのです。フランクフルトへの便の中で「硫黄島からの手紙」を見て戦争にうんざりしてたところだったので、さらにお腹いっぱいになりました。それにしても、日本でもたまに不発弾見つかりますが、ドイツでもあるんですね。戦場になったところなら可能性はあるわけですが、ヨーロッパではどこが激しい空爆にあったのか私は理解していないので、ベルリンが大変だったとか有名なのは知ってますが、フランクフルトも空爆にあったことを示してるわけなので、「へー」と思った次第です。

ところで、脱線ですが、「硫黄島からの手紙」は流石にアメリカ人(クリントイーストウッド)が監督なだけあって、悲惨さが凄く抑えられていました。戦争ってよくないよね的な内容は含まれているのですが、なんというか、私が聞いて知っている内容よりも、色々な点で美しく描写されていて、不発弾の見つからない国の人の作った映画だなぁ、という感想を持ちました。

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授業とか

今日は新学期初の授業。私にとっては久しぶりの講義でやや緊張しました。しかも、去年も使っていた教室なのですが、AV機器類の保管場所、プロジェクターを映すスクリーンの操作方法等が変わっていて、スライドをなかなか投影できず、冷や汗タラタラでした。でもまあ、それ以外は滞り無く講義を終え、そこそこスムースな授業でした。

授業以外では、ここ数日は研究関係のミーティングをこなしたり、研究室の4年生と授業をやったり、科研費の申請書を書いたり、等々、比較的雑用が少なく研究者、あるいは大学教員っぽい(?)日々でした。

そんな中、今、大学で話題なのが、出張の手続きの方法が変わったこと。事務処理的な面も変わるのですが、我々に直接関係のあるところでは、出張の移動が電車だったときに、提出する証明の類いが増えたことです。私自身は正直、それくらいして当然だと思っていた事柄なのですが、まあ、今までやってなかったことをしなければならなくなるので、面倒なのは確かです。

相当面倒くさくなるのですが、なぜルールが変わったかというと、しばらく前に医学部で大々的な不正があったことが発覚したからです。新聞にも大きく報道された話題なのですが、それに対応して大学としては「これこれこういう新しい防止策を打ち出します」ということを文科省だか、国立大学協会(略して国大協)だかに発表しなければならず、そのための新しい不正防止策というのが今回、10月より開始されたというわけです。毎回言ってることですが、不正をする人間がいるとどんどん新しいルールができて、真面目な人がどんどん迷惑を受けることになります。お金の不正使用だけでなく、人間が生きてると常に成り立つ法則ですね。

最後に…ノーベル化学賞を日本人が受賞しましたね。物理学賞ほど興奮しませんが、日本人としてはやはりめでたいことなんでしょうね。

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KOTOの人々

私たちの研究室では、ATLAS以外にKOTOと呼ばれるKaon関連の実験を東海村のJ-PARCという所でやっています。ATLASと違って小規模な実験で、私たちの研究室のY教授を始めとするスタッフと学生が、実働の1/3(を越える?)程度ではないかと推測しています。

その彼らのビームタイムが今月と来月予定されていて、KOTOをやっているメンバーはここ数ヶ月かなりハードなスケジュールで準備を進めています。物理のためのデータ収集ではなくエンジニアリングランなのですが、実験の要のカロリメータをまだ組み立て作業中で、来週からのビームタイムでは全体の2/3程度まで完成させることを目標として頑張っています。

ちょっと前にも書いた記憶がありますが、大学にいるメンバーは会議中(や学会中)も光電子増倍管に取り付ける小物をせっせと取り付けていましたし、東海村に常駐してカロリメータを組み立てているメンバーは朝から深夜まで、CsIをひたすら積み上げる作業を行っているそうです。しかもここ数ヶ月ずっと、です。肉体労働は得意なので、近所で、かつ授業とそれ以外の雑用がなければ手伝いに行ってあげたいのですが、私も色々と予定が入っていて、手伝いに行くのは到底無理。実験の見学がてらホント行きたいのですが残念です。

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物性でしたね

ノーベル物理学賞発表されましたね。物性でした。歴代受賞者を眺めて、今年は物性か宇宙だろうと思っていましたが、物性でした。自分の専門分野ではないのでグラフェンがどれくらい有力候補で、どれくらい順当なのかはわかりませんが、素人的には、最近の流行を反映してグラフェンが来ても不思議ではないのかな、という印象です。

ところで、歴代受賞者を改めて眺めてみると、感じるところが幾つかあります。

まず、第2次世界大戦前は物理といえばその時代の素粒子物理学だったのに(大昔は原子=素粒子、その後は原子核=素粒子、そしてクォーク=素粒子と素粒子が何であるかの理解が変わってきてる)、大戦後になると、急速に物性が発達した様子がわかります。素粒子よりも多体系の物性のほうが研究の対象が爆発的に増えますから、まあ、それは仕方ないことなのですが、素粒子物理をやってる人間としては少し寂しいかな、と。単なる感情論ですが、はい。

そして、受賞者の国籍が興味深いですね。あまりに当たり前なのですが、その時代の先進国、世界を牛耳ってる国をおもいっきり反映しています。純粋に業績だけはなない部分もあるのでしょうが、政治的な強さも含めて、受賞者数は国力を反映してるなぁ、と再認識します。ノーベル賞を受賞するような人材を輩出できるからこそ国が富むのか、国が富んでるからノーベル賞受賞者を多数輩出できるのか、どちらが正しい因果関係なのかわかりませんが、日本からの受賞者が増えると嬉しいことは間違いありません。

というわけで、来年以降の物理学賞受賞者予想ですが、来年は宇宙関連が順番からして有力でしょうか。ダークマター関連とかそろそろ来てもいいような気もするのですが、だとしたら誰が貰うんでしょうね。一方、素粒子関連ではいつが次なのかもわかりませんが、次貰うとしたら…候補者をすぐに思いつきません。誰かめぼしい人いますかね。自分の専門分野なのに有力候補をすぐに思いつかないというのはヤバいです…。日本人で無理矢理候補者を捻りだすとしたら、S機構長とか無理ですかね。ってなことを、去年も書いたような気がするのですが、新しい候補者が毎年現れることはないので、まあ許してください。

しかし、素粒子で有力候補誰かいますかね。

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大学での日常へ

8月と9月は大学の夏休み。私自身はCERN出張、学会、そしてビームテストと、多くのイベントをこなしてきました。が、先週から新学期が始まり、大学での日常に戻っています。

特にそれを実感するのが、授業(講義)の準備。初めての担当でなくても、毎年内容をチューンしているのでそれなりに準備に時間がかかります。数日前から全体構想を練り始め、今日はそれに合わせて第1回のイントロダクションを修正。最初の講義の8割がたの準備を終えました。

それから、日程調整の難しさから授業が始まったことを実感したりもします。授業の隙を付いて、あるいは、可能な人と交代してもらうことで(共通教育の実験の授業はカリキュラムが一緒なので、他の担当者と交代可能です)、なんとかCERNに行けないかと画策していたのですが、そんな行動を第3者的に眺めると、授業が始まるんだなぁと再認識します。とあるシンポジウムの講演依頼も授業のために断りましたし。

もう一つ忘れてならないのが、学部4年生の卒業研究。夏休みのためにあまり見かけなかった彼らも研究室でよく見かけるようになったので、卒業研究のペースをこれからまた上げていかないとなりません。とりあえずは、宇宙線中のミューオンの寿命測定です。

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ビームテスト写真集

先日のビームテストの様子を幾つか写真で紹介します。

beamtest_01
実験施設の1階がオフィススペースになっていて、この写真は、地下の実験施設に降りていく階段手前。左に写っている配電盤のようなものが、実験施設にビームを出すかどうか決める鉛製のシャッターを開閉するためのスイッチ。1.2GeVの電子が回っているリングがあり、そこから制動放射で出て来るγ線が地下実験室に入射します。地下実験室へのγ線の入射を止めたいときは、そのシャッターを閉じるというわけです。

右側下に写っているのは、加速器全体の現在の様子を示すモニター。ビームが完全に出ない状態なのか、準備中でいつビームが出てもおかしくない状態なのか、そして、実験中でビームが出ているか、ということが大きく表示されます。

beamtest_02
そして地下に降りていくと、上の写真のような扉があります。この扉が閉まり、鍵がかかった状態にならないと、地下実験室にはビームが出ません。鍵は、普通のキーと、個人が持っている認証カードの2つが必要です。さらに、右側に鍵がたくさん写っているのわかりますかね。これは、地下実験室に入室する時に各個人が持つ鍵で、この鍵が全部揃っていないとビームが出ないようになっています。あっては困りますが、中に人がいるのに扉をロックしてビームを出してしまうための安全装置です。逆に、実験室から出たのに鍵を返さないとビームが出ないので、間違って家に持って帰ったりすると、残ってる人が実験できないということになります。

beamtest_03
これは地下実験室のビームが出て来る部分。γ線が入射され、それをターゲットに当てることで、電子・陽電子対を発生させます。磁場をかけ、一定の運動量を持った(陽)電子が写真中央付近の丸い穴から出て来ます。

beamtest_04
でもって、これが今回テストしたシリコン検出器を設置しているところ。緑色なのは電子回路のボードで、その真ん中辺にシリコン検出器が写っています。大きさは数mmから1cm角程度。

beamtest_05
設置が終わったところです。試験するシリコン検出器は全部で5個。真ん中付近右側に3枚、そして左側にある2枚はそれぞれタイプの異なる検出器です。これらの検出器に陽電子ビームが入射していることを保証するためのトリガーカウンターが右側に1枚、そして左側に2枚設置されています。これらが同時に信号を出せば、なんらかの粒子が水平に貫通したことを保証できるので、そのタイミングでデータを収集します。

beamtest_06
そしてこれは測量風景。ビームがどこを通るかというのは人間の目では明らかではありません。ビーム出口からの水平度を測ったり、鉛直方向にずれていないかを測量器で確認します。

とまあ、こんな所で実験を行っていました。

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新学期

私たちの大学は今日から新学期です。学食へ行くと、今まではサークル関係の学生が多かったのですが、そういう学生が減って一般の学生比率が高まっていて、新学期だということを実感しました。

私も本来は金曜日の授業担当なのですが、共通教育のクラス編成上、今日は私の授業はありませんでした。ということで、私の新学期初授業は来週からです。ということは、講義の準備も始めなければなりません。木曜日に講義があり、科目は去年と同じなのですが、内容に変更があるので、少し準備に手間をかけないとなりません。

そういうわけで新学期ですが、今日の私は溜まっていた雑用をひたすらこなしていました。数日間ビームテストに没頭していたので、色々な雑務を完全にサボっていました。今はその雑務を一通りこなし一休みといったところです。

今日はこれからミーティング2つ。一つはATLASの研究関係、もう一つはATLASの国際会議講演候補者選びに係わる内容。研究関係はいいですが、後者は私が今一番嫌いな会議と言っても過言ではありません。サボれるならサボりたいくらいですが、一応責任のある役回りなので我慢してなるべく出席しています。

昨日までの数日間はビームテストに集中していて、夢のような数日間でした。やっぱり実験は楽しい。

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