ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ビーム・オン

ようやく昨日から安定にビームが出始めました。検出器にビーム照射しつつデータ収集を開始するときはお祭り騒ぎでした。

まだ最大値に比べて50%くらいのビームカレントですが、私たちの実験はそれほど強いビームを必要としないので、というか、データ収集システムがそんなに早くないので、強いビームが来ても、全部データを取れません、なので、それくらいのビーム強度でもテストには全く支障がありません。というわけで、順調な滑り出し、かつ、加速器側の都合で2日間ビームが出なかったので、今日と明日の2日間フルにビームタイムを貰えることになりました。しかし…

私は今もう大阪です。今日の昼前に仙台を発ちました。明日から大学の後期の授業が始まりますし、飛行機も安いチケットなので変更できません。かなり残念です。

一方で、ビームは出始めたのですが、我々はソフトウェアに関してまだまだ準備不足だったことが露呈。学生たち(?)が準備していた解析プログラムでは解析するのに時間がかかりすぎて、検出器のモニターをするには程遠い状況。検出器にビームが当たっているのかどうか、検出器がちゃんと反応しているのかどうかをモニターする術がありませんでした。そこで、検出器ごとのヒットの数をマッピングして表示するような簡単なプログラムを昨日の夜中、ホテルで書き上げました。やっつけ仕事のせいでバグを含んでいましたが、大阪に戻って来てから幾つかのデータを見ると、ちゃんと検出器が粒子に対して反応しているように見えます。

実験現場なら、周りの人間に見せて大喜びするのですが、今は私は一人だけ。繰り返しですが、残念です。でもまあ、とにかく、ちゃんと検出器が電子(正確には陽電子)を検出できてるようなので、一人でホッと一安心してるところです。

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一瞬

昨日は夕方に一瞬だけビームが出ました。ほんの一瞬で、私たちもまだ準備できていなくて、というか、加速器側のテストのためだったのでデータを取るつもりがなく、データ収集しなかったのですが、とにかく一瞬でもビームが出て、私たちは大興奮でした。

ところが、ビームが出たのはその一瞬だけ。またもや別トラブルで、本格的なビームタイムは今日からということになりました。本当は一昨日から今日までの3日間がビームタイムでしたが、加速器側のトラブルでビームが出てないということで、ビームタイムは今日から3日間に変更になりました。ただし、スタッフの多くは、はいそうですかと出張の日程を変更できません。私も当然無理で、残念ながら真のテストに参加できるのは今日だけです。

ではビームがなくて暇かというと、そんなことはありません。いや、私たち応援部隊のスタッフは暇かもしれませんが、データ収集を担当している学生たちは準備が間に合っていなかったこともあって、相当大変そうです。昨日は、取ったデータを解析モニターするためのソフトウェアを書いている学生の手伝いをしたのですが、修士課程1年の学生にはちと荷が重い役割だという印象を受けました。いや、もちろん学生さん自身はよく頑張っているのですが、その彼に限らず、学生は修士課程1年から博士課程1年までと非常に若いので、結構大変かなと。まあ、こういう経験によって大きく成長するので、そのためのビームテストという意味もあるわけですが。

そんな中で、私たちスタッフ組はトリガーカウンターの準備をしたり、測量をしたり、と援護射撃。データ収集の準備と合わせて、昨日の晩には大方の準備が終わり、今日は本当にビームを待ち構えることになりそうです。しかし、ビームが出るとやはり盛り上がります。今日こそはたくさんデータを取りたいですね。

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タイトルは「待」です。「侍」ではありません。念のため。

そんなことはどうでもいいのですが、とにかく待っています。ビームを。せっかくスケジュールを組んでビームテストをやりに来ているのですが、先週末に発生したトラブルから立ち直れず、ビームタイムを貰っているにもかかわらずビームを全然もらえていません。というより、加速器が全く動いていません。加速器復旧は早くて明日の夕方。なんとなくいやーな予感がします。

そういう我々のほうも、データ収集用のプログラムに問題があったり、やらなければならないことがあったり、と、いい勝負の準備状況で、かつ、ビームが来ないということで若干緊張感に欠けています。ビームテストでは技術的な教育効果だけでなく、てんやわんやの状態でなんとかテストをこなすという集中力を若い人に身につけてもらいたいのですが、今回は今までのところ、そういう盛り上がりに欠けています。

とにかく、早くビームが出て欲しいです。

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東北大学電子光理学研究センター

という所に来ています。何度かお伝えしたように、明日からのビームテストに備えてです。新型シリコン検出器の開発の一環として、KEKと東北大の若い人たちが中心になってビームテストの準備を進めてきましたが、M2のUくんもこのプロジェクトに参加しているので、役に立たないながらも手伝いに来ています。

ビームテストというのは加速器を使った実験のことで、強度の強い粒子ビームが必要なときに行います。例えば、今回のテストだと数10μm角のピクセルセンサーの粒子に対する反応を調べたいので、相当高い頻度で粒子がセンサーに当たらないとなりません。原理的には宇宙線中のミューオンを使って行えますが、それでは頻度があまりに低く、1つのセンサーに入射する粒子数を増やそうと思ったら、とてつもなく時間がかかってしまい、実際的には不可能ということになってしまいます。そこで加速器の登場というわけです。非常に狭い領域に数多くの粒子が飛んでくるので、測定に必要な統計数をすぐに稼げます。

宇宙線中には色々な種類の粒子が色々なエネルギーで含まれているので、事象数が多くなくてもよければ、宇宙線で多くの場合こと足りてしまいます。例えば、LHCで達成することができる高エネルギー粒子の衝突は、宇宙線でもごく稀に起きています。ミニブラックホールがもし生成されても危険ではないことを説明する際によく使われますが、もしLHCでミニブラックホールが生成できるなら、宇宙線によって地球上ですでにミニブラックホールが誕生しているはずなのです。ただ、宇宙線では頻度が少な過ぎるために、どこでいつ発生したかわからないんですね。

というわけで、加速器を使ったビームテストというのは、非常に局所的に多くの粒子が利用できるという利点があり、検出器のテストには欠かせないものとなっています。

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ふと忘れてしまうこと

昨日の晩散髪しました。散髪と言っても坊主頭ですので、床屋に行くわけではなく、新聞紙を敷いて自分でバリカンを操作します。散髪が終わると風呂に入り頭を洗います。その後、タオルで頭を拭きます。そこでグキッ。

何度か書いたことありますが、髪を切った直後はタオルとの抵抗が非常に大きくなって、タオルでごしごしと頭を拭くと、拭いた方向に頭がぐにっとなります。散髪するたびに同じ経験をするのに、私には学習効果がないのか、毎回毎回同じ失敗を繰り返しています。そのたびに「あー、そうだった」と思うのですが、なんでそうなる前に思い出せないんでしょうかね。

これ以外にも、同じようなことって結構あります。例えば、実家へ帰ると、実家の洗面台の蛇口の操作が私が普段してる操作と逆で、水を止めようと思って操作すると水が勢いよくジャーっと出てしまうのです。あとは、わかりやすいところでは、車の運転を日本ですると、ウィンカーとワイパーの操作を間違えてしまいます。

このテの操作ミスって、ほとんど脳味噌を使わずに反射的に普段行ってる操作のときに起こるわけですが、これが交通機関の運転手とかだったりすると怖いですよね。新聞の小さな記事にあったのですが、タイタニックが氷山にぶつかったのも同じ系統のミスだったんですね。右か左か忘れましたが、氷山をよけようとどっちかに舵を切れという指示を受けた操舵手が、間違って指示を受けたのと反対の方向に舵を切ってしまったのだとか。タイタニックの操作方法は、その操舵手の乗り慣れた船の操作方法と反対だったため、突然の氷山にパニクって、間違えてしまったのだそうです。

車の操作方法は今はほとんど統一されていますが、電車なんて結構違いますよね。飛行機も結構違うらしいですし。何を書いてるのかわからなくなってきましたが、公共交通機関の運転手さんは、私みたいに首をグ二っとやらないよう頑張って欲しいです。

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クォーク・グルーオン・プラズマ

が、CMSというLHC実験の一つで見えた、というのがここ数日話題になっています。

クォーク・グルーオン・プラズマというのはその名の通り、クォークとグルーオンがプラズマ状態の振る舞いをしてることです。って、これではなんのことかわからないかもしれませんが、私もよくわかってないので、私の以下の説明は眉に唾をつけて読んでください。

クォークはまあこのブログを読んでる方なら何のことがご存知だと思います。グルーオンも同様かと思いますが、一応説明しておくと、強い相互作用を媒介する粒子で、クォーク同士をくっつけてる接着剤みたいなものだと思ってください。そのおかげで、クォークが束縛状態を作り、陽子やら中性子やらπ中間子やら…といった粒子が存在することになります。ただ、こいつらは通常では単独では存在せず、常に束縛状態を作っています。だからこそ、私たちが観測できる粒子というのは陽子、中性子、π中間子…となるわけです。

なぜそうなるかというと、強い相互作用というのは素粒子同士の間隔、つまりクォーク同士の間隔が広ければ広いほど強くなるという性質を持っているからです。2つのクォークを引き離そうとすると無茶苦茶莫大なエネルギーが必要になりますが、逆に、2つのクォークが接近してる時は力が弱い(=自由粒子に近くなる)んですね。同じように(というか、素粒子物理学的には同じなのですが)、温度が低いときはクォーク間に働く力が強くなりますが、温度が高いとき、俗に言うビッグバン直後のような世界では、クォーク間に働く力が弱くなります。

クォーク間の距離が短い、あるいは温度が高い時に、クォークに働く力が弱くなると、今の我々の世界と違ってクォークとグルーオンが勝手にひょろひょろ飛び回ることになります。その様子をもってプラズマ(=分子が電離して、陽イオンと電子がごちゃまぜになってる状態)、すなわち、クォーク・グルーオン・プラズマ(=Quark Gluon Plasma = QGP)と呼びます。何をもってQGPと呼ぶかは私は完全に理解してませんが、アメリカのRHICという実験でQGPを観測したということになっています。QGPになるとクォークやグルーオンがうようよしてるスープみたいな状態になるので、その振る舞いを流体力学で記述できるとかできないとか。粒子が飛び出す方向やら粒子同士の相関が流体力学的に記述できるかどうかとか、そういったことがQGPの議論のポイントらしいですが、まあ、私に説明できるのはここまでです。

で、今回何が驚きかというと、QGPはイオン同士の衝突(RHICもそうでしたし、LHCでも時間を決めて、陽子・陽子衝突ではなくイオン衝突をさせます)なら生成されるが、陽子同士の衝突で生成されるとは思ってなかったんですね。そもそも、CMSというのは私たちがやってるATLAS実験同様、ヒッグスやSUSYを見つけようというQGPよりも、もっと高温(=もっと宇宙初期)の状態を探るための実験ですし。にもかかわらず、CMSがQGPを観測したというので、ちょっと話題になっています。CMSに一発屋がいたんですね、きっと。なかなかやります。

それはそうと、LHCにはQGPを研究するための実験もあります。ALICEといって、この辺りの物理を専門とする検出器なのですが、彼らがどうなってるのか気になります。

どんどん話題はそれますが、LHCには実はもう一つ検出器(衝突地点)があります。LHCbと言って、B中間子の物理に特化した実験です。というわけで、LHCには全部で4つ大きな実験グループがあります。

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留学生

国際化の流れなのか、大学でも外国人留学生が昔より増えています。私たちの研究室にもKaonをやっている韓国人の学生が一人、そしてATLASをやる予定のマレーシアからの研究生が一人います。

ATLASをやる予定の研究生は来年度に修士課程に入学する予定で、数日前に書いた通り、今は日本語と物理一般の勉強をしています。この学生は、在マレーシア日本大使館を窓口とした国費留学生で、日本から経済的な援助を受けて日本で勉強しています。指導教員である私が推薦書やら研究計画書やらを書くのですが、留学生としての期間延長をしなければならず、その手続きが10月(と私は聞いていました)。

というわけで、どういう書類をどこにいつまでに提出すればよいのか照会すべく、3月か4月の時点で担当だった大学の職員にメールを送ったのですが返事なし。仕方ないので、同じ部署で以前同様のやりとりをしたことのある別の人にメールを送るも宛先不明で届かず。八方ふさがりになったので、研究室の秘書の人に事務に行ってどうなっているのか尋ねてもらったところ、もともと担当だった方は休職中。次にメールを送った方は部署の変更。連絡取れないわけです。

しかも、代わりに応対してくれた人も留学生に関する手続きに関しては経験が無く、どうすればよいのかわからない状態で、さらに別の部署の人から話を聞かないとならないそうなんですね。担当だった人が休職(しかもこの人は4月に雇われたばかりのはずです)、業務の引き継ぎが無く教員からの照会に誰も答えられないというのは、なかなかの潔さです。文科省だか外務省だかから連絡が来たら答えると言われたのですが、わかっている人がここまでいない状況でそう言われても、なかなかに不安です。

にしても、こういうこと=業務の引き継ぎがなく次々と人が変わって(辞めて)しまうことというのは、世間によくあることなんでしょうか。予算が少なくて職員数が少な過ぎるのか、組織の体制の問題なのか、私には客観的に判断する材料がありませんが、現場にいる人間としては、とにかく業務が滞ってしまうのは困ります。いえ、私以上に奨学金を頼りに留学している学生はもっと困ります。大学の経営、本当にヤバいです。

というようなことを書いてて思い出したのが、少し前に読んだ新聞記事。日本が成長するために、特に、科学・技術の分野で成長するために、大学は優秀な留学生をもっと獲得しろという記事がありました。日本の大学の外国人留学生比率は欧米で最低だから、優秀な外国人をもっと集めろという内容なのですが…読んでて目眩しそうでした。

欧米の、少なくとも、優秀な外国人留学生がたくさんいる大学では、留学生に潤沢な奨学金を提供しているんですね。逆に言うと、潤沢な奨学金がある大学に優秀な留学生が集まっているわけです。それに比べて日本では、国費留学生のような特別な場合を除き、逆に授業料や入学料を取る始末です。もともと言語的、地理的に不利な日本で、さらに金を払ってまでやって来る留学生が多くいるわけありません。

そもそも留学生だけでなく、大学院生、ひいては大学の学部生についても同じことが言えます。優秀な学生は金を払うのではなく金をもらって、勉強・研究をしてるわけです。金をもらうために、よい奨学金が得られるよう頑張るわけです。デキが悪ければ金を払い、デキが良ければ金をもらうというわかりやすい構図です。一方、日本では、学生は優秀かどうかにかかわらず、一律お客様です。厳しい競争が生まれるわけありません。いや、理想は、アカデミックな動機で頑張って勉強してもらいたいわけですが、現実は、少なくとも日本以外の先進国では資本主義の論理で動いています。

にもかかわらず、問題の根っこを全く無視して、単に留学生を増やせって…太平洋を浮き輪をつけて泳いで、深さ数1000メートルの海底まで知ったかのような物言いに、本当に卒倒しそうでした。

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連休

学会が終わってホッと一息。今週日曜からのビームテスト、そして10月からの新学期に備え、今週はちとのんびりして体を休ませてあげようと思っています。

その手始め(?)に、日曜と昨日は家でダラダラと過ごしました。子供を連れて近所に出掛けたりはしましたが、それ以外はゴロゴロとしていました。そのおかげか、今朝は少し目覚めがよかったような気がします。あ、いや、ここ数日に比べて蒸し暑かったので目が覚めてしまったという説もありますが。ははは。

そんな中、相変わらず面倒なのが物理学会の残務処理(?)。講演者全員のファイルを集め、agendaサーバーにアップロードするという苦痛な仕事を連休中にこなしました。正確に言うと、ファイルをアップロードすること自身は大した手間ではないのですが、agendaに全員の講演のタイトルと講演者+所属を入力する作業が気が遠くなるほど退屈で面倒です。平日に大学ではとてもやっていられないので、家でダラダラしている傍らで作業をこなしました。実は今日も、ファイルのアップロードの方法について(現+旧)世話人で相談。思っていた以上に、いつまでも仕事があります。

それはさておき、たった数日間ですが、時間に余裕のあるときに考えたいのが科研費の筋書き。10月の末がたしか提出期限ですが、10月になると授業、CERN出張、セミナーと、催し物満載なので、時間のあるうちにアイデア作りとあらすじくらいは考えておきたいところです。

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サイバー攻撃

今日は、将来計画検討小委員会というのに出席するために東京へ行ってきました。最近はよく飛行機を使うのですが(私の家からだと飛行機のほうが便利)、今回は連休の初日だからなのか、安いチケットを買えなかったので新幹線を使いました。その新幹線も当然のことながら込んでいて、なんだか移動に疲れた一日でした。

そんな今日9月18日というのは、満州事変だかなんだかのきっかけとなった事件が起きた日なのですか。新聞では、中国での反日運動に関して報道されていましたが、身近なところでも影響がありました。というのは、中国から日本へのサイバー攻撃が予告されていて、攻撃対象のリスト、正確にはIPアドレスのリストですが、それに私たちが大学の研究室で使っているネットワークが含まれていたのです。

実際どれくらいの攻撃が行われるのかわかりませんが、万一何かあったら面倒なので、研究室で外界にさらされているサーバーたちは昨日のうちにシャットダウンしました。いえ、サーバーの管理は学生が分担して行っていて、シャットダウンしたはずです。まあ、何にもないのかもしれませんし、万一何かあっても真剣に困ることが起こるとはあまり思えないのですが、ウェブサイトの改ざんをされるのは嫌でした。それ自身は大した被害ではありませんが、マッチポンプのマスコミに嗅ぎ付けられると面倒ですから。

というわけで、今もまだ大学のサーバーたちはお休み中。計算機がシャットダウンしてると、休み、という気分になりますね。

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研究室近況

昨日はLHCの近況について書きましたが、今日は大学の研究室の近況を書いてみます。

まずはATLASグループから。
博士課程の2人は学会発表のために日本に一時的に戻っていましたが、学会翌日の15日にはCERNに帰りました。修士課程の2年生1人は学会へも行かず、KEKに滞在したまま研究。というわけで、今大学にいるのは修士課程の2年生と1年生それぞれ1人づつです。いつも通りながら、ちと寂しい感じです。もう少し学生が増えて欲しいところです。

学生は多く出払っていて寂しいですが、実験機材は徐々に充実してきています。KEKから恒温槽を借り、さらに、ずっと欲しかったソースメータをようやく購入しました。これからの試験では、放射線によるダメージを受けたセンサーの挙動を調べることになりそうで、そういうセンサーには200V以上の高電圧をかける必要があります。最初買おうと思っていたソースメータは出力が200Vまでなのですが、上記の理由で1000Vまで出力可能なソースメータを買いました。かなり高額で、私にとっては相当思いきった買い物でした。

Kaon実験のグループは、10月後半からのエンジニアリングランに備えて、今が忙しさのピークといった感じでしょうか。大学で試験したCsI結晶を送り出す準備をしたり、PMTの周りにミューメタルやらカプトンやらを巻くという作業を、学生(=私たちの研究室とは無関係の学部生)バイトまで雇ってこなしています。学会会場にまでこの作業セットを持ち込んで作業するほどの聴牌ぶりのようです。一方、実験をする東海村では、スタッフ1人と博士課程の学生1人がずーっとCsI結晶を積む作業をしています。ポスドクの人も普段は東海村でこの作業をしていますが、今は学会からの帰りで(?)大学にいます。カロリメータ全体の3分の2くらいのところまで完成させてエンジニアリングランに臨むべく、ラストスパート中です。って、準備がラストスパートなだけで、準備が終わるとすぐにビームが出るので、彼らはしばらく忙しそうです。

ちなみに、Kaonグループでは、東海村と大学のどちらでもない、ミシガン(だったかな?)に滞在している学生もいます。ミシガン大学グループと共同開発を行っている器材があり、その開発のための長期渡米です。私たちATLASグループと同様に、大学だけでなく色々な場所で研究を行っています。

大学以外の場所で、移動教員が近くにいない環境で研究を着々と進める学生がいるというのは、頼もしいことです。

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LHC近況

数日前に、データクオリティのモニターをするシフトが昨日からの3日間入っていると書きましたが、LHCの運転再開が土曜以降になり、割り当てられていたシフトをこなす必要がなくなりました。自分の仕事が減ったのは良いのですが、収集するデータが減るということなので、あまり(全然?)喜べません。

では、ここ2週間のテクニカルストップでLHCは何をしているかというと、ビーム衝突を正面衝突ではなく、わずかに角度をつけて衝突させる練習をしていたみたいです。これまでは、ビームのバンチ(束)を加速器内にそれほど高い密度で入れていませんでしたが(何度か書いたことあるように、バンチごとの陽子数はすでにほぼデザイン値です)、これからさらにルミノシティを上げるためには入射バンチ数を増やさなければなりません。そこで、次のステップとしては、バンチを連続的に入射してトレインと呼ばれる構造を作ります。すると、バンチ間隔が狭くなり、正面衝突だと衝突したいバンチ同士だけでなく、本来は通り過ぎるべきバンチとも相互作用を起こしてビームが不安定になります。それを防ぐために、完全な正面衝突ではなく、ほんのわずかですが立体角をつけて衝突させる、ということをやります。

テスト自体はうまく行って、トレインを作ることにも成功しているようなので、一旦運転が再開されたら、さらにルミノシティが上がるのではないかと期待しています。ちなみに、年内はデータの収集量を最大化するというよりも、当面の目標とする10^32というルミノシティを達成すべく努力しつつ、データも頑張って収集するという方針で運転します。10^32にルミノシティが到達すれば、来年1年間のデータ収集で、2012年までの目標値である1fb^-1というデータ量を収集できるという目算です。

ところで、学会で講演を聞かれたみなさんは驚かれたかもしれませんが、ATLASでは、学生はグループで公認されていない結果を見せても(今のところ)大丈夫です。一方、スタッフはポスドクであっても、ブループ内で承認された結果しか見せることができません。なので、学生の講演は本当に最新の結果を見せるので、それなりのインパクトがあったのではないかと思います。多くの人が注目するSUSY探索の結果についても、グループ内の承認を得ていない非常にpreliminaryな結果だったので、見せられたことに驚いていた聴衆の方もいました。もちろん、何も見えていないという結果だから見せられたわけで、何か怪しいモノがあったら学生といえども見せることはできないんですけどね。ということは、学生でさえ結果を見せることができない、という講演があったら、それは…何を意味するかは想像してください。

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科学・技術関係予算への意見募集中

ご存知のかたが多いかもしれませんが、内閣府では科学技術関係施策の優先度判定等の実施に関する意見募集というのを今行っています。締め切りは17日(金)正午まで。一般の方(この場合、私たちのような研究者も含まれます)から広く意見を募り、実際に政策に反映されるという噂ですので、意見をお持ちの方はコメントを送ってみてはいかがでしょうか。

どれくらい意見が反映されるかは知りませんが、意見を聞くということを広く行うようになったのはいいことなんでしょうね。ちなみに、優先度判定対象施策一覧はこれです。色々リストアップしてあります。我々に直接関係のあるところでは、特別研究員事業なんていう一般的なものから、Bファクトリー加速器の高度化なんていう非常に具体的なものまで広く対象となっています。

個々のプロジェクトに対する私の感想は書きませんが、さらっと眺めて全体を通して感じたことは、世間(=マスコミ?)で言われていることとダブりますが、プロジェクトが多いなぁということです。実際には違う事業・研究でも、施策名からだけ判断しようとすると、同じようなのが細々とたくさんある印象を受けてしまいます。だから、無駄が多いとか言われて、事業仕分けなんていうことをされちゃうんだなぁ、と妙に納得してしまいました。

ところで、最近、日本学術会議というところでは「科学技術」と呼ばずに「科学・技術」と呼ぶべきだという提言を出しました。科学技術と一括りにしてしまうと、科学は技術のためのものだという誤解、あるいは科学と技術が同じだという誤解を生みやすいので、区別するよう提言しました。ですが、まだ内閣府には浸透していないようですね。

それから…上の意見募集のリンクをたどってもらうとURLの最後が-0015.htmlです。実は0016, 0017, 0018まであります。そこに行ってもらうとわかりますが、0015と違って特定多数からの回答を受け付けています。私もその対象者で投稿するためのパスワードが郵送されてきています。で、パスワードだけでなく、カバーレターも送られて来ているのですが、それに内閣府大臣の直筆のサインが入っているんですね。政治家も大変です。でも、その効果はあって(?)、内閣府大臣がどんな人なのか全く知らない私でしたが、とりあえずググってしまいました。他にも同じことする人いると思いますから、直筆の効果はわずかでもあったに違いありません。見習わないとなりませんね。

おっと、話は色々飛びましたが、科学あるいは教育に意見のある方はぜひ意見を送ってみてください。

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やっと終わる

学会がようやく終わりました。学会がこれほど長く感じたことはありませんでした。4日間フルに参加、セッションにいるという時間の拘束はそれだけでも結構大変でした。やはり、初日のトラブルは消耗でしたね。しかしまあ、それ以外は大きなトラブルもなく終わってホッとしています。

ちなみに消耗なのは、学会+世話人の仕事だけでなく、学会のセッションが終わった後にあるインフォーマルミーティングというヤツです。初日はATLAS日本グループ総会、2日目は高エネルギー物理学同好会総会、そして3日目は高エネルギー委員会。いずれも物理ではなく基本的には政治の話なので、朝8時過ぎから会場に詰めていた人間には本当にシンドイです。

明日からはまた通常通りの大学生活。授業が始まる10月までは一息つきたいところですが、明日から3日間はデータクオリティモニタリングというCERN以外の遠隔地で行うシフト。その日(過去24時間)に収集したデータの分布を眺めて、検出器がちゃんと動いていたかどうか確認するシフトです。って、あれ。LHCは今月初めから2週間ほどテクニカルシャットダウンで、催促では今日から運転が再開される予定でしたが、どうなっているんだろう。

そして、土曜日はまた東京出張。休めるのは来週になりそうです。その翌週は、5日間ほど東北大学へ出張。シリコン検出器のビームテストの手伝いに行きます。というわけで、よく考えると再来週も忙しい週になりそうです…。来週はなるべく休みます。

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学生の講演

予想通りというか、予定通りというか、当然のことながらというか、毎日飲みに行っています。

でもまあ今日はまともな時間に終わり、今ホテルに帰ってきたところです。毎日、自分の胃に負担をかけて申しわけないのですが、ストレス発散という意味ではすごく役立っています。精神衛生上はいいが、体には悪い。そのバランスをとるのが難しいです。

というような暢気なことを書いていますが、学会でトークをする学生はそれなりに緊張しているんでしょうね。今日は、自分が直接指導する3人の学生の講演があったのですが、講演前の緊張感が伝わってきて、毎度のことながら自分の講演よりも何倍も緊張しました。って、自分の講演では緊張感ゼロなので、何倍という表現は使えませんね。無限大倍です。

で、学生の講演。親バカなのかもしれませんが、3人とも良い講演でした。後でスタッフ同士で喋ったときにも、誰それの講演は良かったという話を聞いて、自分のことのように喜んでいます。みんな、お疲れさま。

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学会会場にて

学会会場からの書き込みです。

いやー、昨日は大変でした。
まずは、朝イチのセッションで用意してきたMacの不具合が発覚。というか、WindowsなのでPDFを読むのにacrobatが必要なのに、readerのインストールを忘れていました。Macだとプレビューがあるのでreaderが必要だということをすっかり忘れていました。PDFはMac、パワーポイントの人はWindowsと使い分けなければならず、大幅な時間のロス。そこで、休憩時間にネットワークの登録を行い、readerをダウンロード。

というようなことをやっていたので、午後の自分のトークを磨く時間がなく、昼飯を食べる時間もあまりなく、落ち着かない状態で午後のトークをこなさなければなりませんでした。

そんなゴタゴタはありましたが、まあなんとか初日を乗り切り、今日は落ち着いて世話人業(?)をこなしています。たいしたことをやっているわけではないのですが、PCの子守りのために全てのセッションに出ています。

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学会前日

明日から学会ということで北九州小倉に来ています。普通だったら、初日の朝に移動することが多いのですが、今回(と次回)の学会は世話人という役目を果たすために、全てのセッションに参加しなければなりません。大阪からの移動では朝イチのセッションに出られないので、今日のうちに移動したというわけです。

しかし、今日は慌ただしかった。自分のトークの準備に加え、学会講演時に使うPCは世話人が用意するということで、PCの準備。

昨日も書いたように、研究室内で使われていないMacを使うのですが、Windowsじゃないとダメ、という人のために1台にはVM fusionお試し版を入れ、かつ、大学の包括ライセンスで安く買えるWindowsとOfficeを自腹購入。OSとOfficeだけはインストールしました。私が準備するPCは2台ということで、もう1台にも同じことをしようとしたのですが、私が持っているWindowsのOSはもう1台に入れたもののみ。研究室にあったDell用の使われていないOSを入れようとしたのですが、2度チャレンジするもいずれも途中でMacがハングアップ。面倒だし使いたくもないWindowsのために時間を使うのは馬鹿らしいので、そこでギブアップ。

というわけで、1台はWindows環境を整えることができたのですが、もう1台はダメ。Powerpointじゃないとどうしてもダメ、という我が儘な人がいないことを祈ります。というか、そういう人は自分のPCを使ってもらっていいので、事前にきちんとテストしてだけしておいて欲しいです。

さて、次の問題は明日以降、毎朝きちんと学会会場に行けるか、です。ホテルを8時くらいに出れば準備も含めて間に合うのですが、私にとって学会は飲み会。久しぶりに会う仲間と連日深酒するので、ちゃんと起きられるか心配です。とりあえず、今日は一人で飲んで来てもうホテルに戻っているので、明日の朝は大丈夫そうです。

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2回目

昨日書いた通り、学会で発表する学生の練習の2回目でした。

ほぼ準備が整った人、一昨日に比べてだいぶまとまってきた人、見せたいプロット(結果)がまだできていなくてスリリングな人、と大別できますが、面白いのは、誰がどのグループに分類されるかというのは、いつも同じということです。過去に何回も練習をやっていますが、ギリギリな人はいつもギリギリ。手際よく準備ができてる人はいつも準備ができてるんですね。指導教員側としてはあまりスリルは味わいたくないのですが、Y教授は懐が異常に深いので毎回スリリングな展開を楽しんでいるようです。

ということを書くと、Y教授と一緒に学生を指導したことのある人には大いに頷いてもらえるのではないかと思います。KEKのサマースクールでも相当スリリングだったようですし。

なんてことを書いていますが、そういう私も学会初日、土曜の午後にトークがあります。にもかかわらず、準備がまだまだです。私を指導する立場の人がいたらスリリングかもしれません。

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学会発表の練習

昨日は、研究室で恒例の学会発表の練習会でした。朝から晩まで丸一日かかったはず。「はず」というのは、私は緊急の(?)家の事情で夕方に帰らなければならなかったので、最後まで練習につきあえませんでした。

その家の事情というのは、実はここ3日間(いや、正確には先週から)続いており、昨日だけでなく月曜も昼過ぎには家に帰らないとならないというピンチでした。が、そのピンチも今日の午前まで。これからは通常通りの生活に戻ります。まあ、いきなりは無理で徐々に、かもしれませんが。

話が前後しますが、学会の練習は2回目を明日行います。2回やるというのが恒例になってしまっていますが、できれば1回で済むようにしたいものです。

ところで、今日は大学院入試の合格発表の日でした。さきほど発表されたようです。私たちの研究室には3人が配属になります。そのうちの2人は、今私たちの研究室にいる3人のうちの2人。もう1人は他大学からの進学者です。ちなみに、私たちの研究室の4年生のもう1人は加速器を希望して、そちらで合格。ということで、3人全員がめでたく合格です。おめでとう。

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久しぶりの映画館

昨日は、物凄く久しぶりに、15年以上ぶりでしょうか、映画館へ映画を見に行ってきました。何を見たかというと、ベイブレードなんとかという子供向け映画。そうです。息子の付き添いです。

子供向けといっても、ポケモンや仮面ライダーに涙する人間なのでそこそこ楽しめるかと思っていたのですが、完全に期待はずれ。映画は退屈で仕方ありませんでした。が、しかし。映画館ってビール売ってるんですね。昔から売ってたのかもしれませんが、冒頭に書いたように直近が15年前。もし売ってたとしても、映画代金+映画館の高いビール代というのは眼中になかったでしょうね。

そんなわけで、映画の内容はともかく、映画館に行き昼間からビールを飲むという行為は、なんというか「寛いでるなぁ」という感覚を生じさせ、それなりに満足しました。

ところで、映画は退屈でしたが、ベイグレードというコマは相当楽しめます。ベイブレードというのは一言で言うと現代版ベーゴマ。自分で紐をまいたりする必要がなく、ランチャーという小道具で手軽に回すことができます。で、そのレパートリが非常に豊富なんですね。軸の太さ、形状、材質が大きく異なり、さらにコマ本体の重心位置、重さ、形状の違いで、安定して長時間回るもの、激しく動き回って相手を外にはじき出そうとするタイプ、その中間、などなど、動き方が大きく違います。さらに部品を組み替えることでその性質が調節でき…と、そのコマについては、実は息子以上に私のほうが楽しんでいるという説もあります。

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物品の搬入とか

昨日は久しぶりにみっちり4年生と実験。卒業研究の前に毎年やってるミューオンの寿命測定なのですが、寿命を出すまでにはもう少しかかりそうです。去年Kくん、Fさんとやったときは、CAMACのクレートコントローラが壊れたりADCが次々に壊れたりと、測定機材にトラブルが続発して大変でしたが、今年はそういうことはないので、順番にやっていけばなんとかなるはずです。

そういえば、去年は故障していたADCが変な信号を出し続けていたためにクレートコントローラが壊れたのだったかな。今年はそういう嫌らしいトラブルがないといいのですが。

4年生との実験の後は、論文読み。暇でいいなぁと思われるかもしれませんが(いや、研究者なんだから論文を読むのが本業のはずなのですけどね)、自分が読みたい論文を読むわけではなく、必要に迫られて読み始めました。というのは、来週から学会なのですが、ATLASのシンポジウムセッションで講演をするからです。ATLASの講演なんだから全部内容は知ってるはずだろ、とツッコまれそうですが、ATLASのような大きな実験では自分の属するグループがやってることや、興味がある解析テーマについてはフォローしてますが、全ての解析を理解していくなんていうことはほとんどできません。最前線の現場で活躍していても難しいですから、私のように大学で雑務にまみれている人間にとっては、他のワーキンググループは別のCollaborationのようなものです。そういう意味では、こういう講演の機会があると自分自身の勉強になります。

そして今朝は、KEKから輸送されて来た物品の搬入作業の立ち会いのために大学に来ました。修士課程の学生2人が立ち会う予定でしたが、念のため私も来てみました。週末は節電のために物品を運べる大きなエレベータが止まっていたこと以外は、2人とも時間通りに現れて、私がいなくても全く問題ありませんでした。まあ、念のために来た私がいないとならない、という事態になっては困るので、何もなくてよかったです。

ちなみに輸送したのは、恒温槽。シリコン検出器の試験をするのに使います。大学の研究室にあるものでは不具合があることがわかり(湿度が変化する)、KEKにあるものを借りることになりました。冷蔵庫のようなものですが、精密機器の測定用の良いヤツだからなのかもしれませんが、とにかく高い。一瞬買おうかと思ったのですが、100ウン十万円すると聞いて即断念。長期で借りられることがわかったので、輸送費もそれなりにするのですが借りることにしました。これで、OくんとEくんの研究が進むと思えば、まあ安いものです。

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ビールを貰う

昨日のヒアリングの後、新幹線での中での出来事です。

私は、大切な会議や、講演のときは相当アドレナリンが出てると思います。昨日もヒアリングの最中は集中してるのでいいのですが、終わってからしばらくは体が火照って仕方ありませんでした。この暑さのせいだけではありません。そういうわけで、帰りの新幹線に乗るやいなやまずは缶ビールを1本飲み干します。あ、少し嘘がありますね。別にアドレナった後でなくても新幹線の中ではビールをよく飲みます。ははは。

それはさておき、とにかくすぐにビールを1本飲み干しました。しかしそれでは足りず、首を長くして車内販売が来るのを待ちます。待つ時間は長いですね。特にビールを待つ時間は。そして、待望の車内販売。ようやく2本目にありつけてホッとします。すると、私の前の席に座っていたお年寄り、70代半ばくらい、いやもっと上かも、がビールを2本頼むんですね。結構年いってるのにやるなぁ、と心の中で思った瞬間…「これ、1本どうぞ」って私に差し出すんですね。何のことかわからず「へっ?」という反応をすると「さっきのお礼です」と言われます。

1本目のビールを飲んでる時、前の人が小銭を幾つか落としたんですね。で、座席の下に落ちてたのを私が拾ってあげました。そのことに感謝してビールをくれるって言うんですよ。いや、驚きました。何万円も探し出したわけじゃないですよ。50円くらいの小銭を拾っただけなのです。ビックリして最初は要らないと言ったのですが、それでもと言われるし、せっかくのご好意だったのでありがたくいただきました。食べ残し(で、申し訳なかったのですが)のツマミをお礼にあげたのは言うまでもありません。

いや、しかし、ホント驚きました。あれくらいのことでそんなに感謝されるとは思ってもいませんから。ちょっと話が飛躍してしまいますが、お年寄りは親切に弱くなってるんだなぁと実感しました。すぐに人に騙されてしまうんだろうなぁ、と。あのお爺さんが騙されて壷でも買わされないことを祈ります。おじいさん、ありがとうございました。

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ヒアリング初体験

とある予算の申請で書類審査をパスしていて、今日はそのヒアリング(審査の面接のことをこう呼びます)でした。初めてのヒアリングでしたが、主が神戸大のKさん、私は副といった立場だったので、私としてはかなり冷静に回答を考えることができました。(回答自身は、私の特徴で非常に熱いのですが。ははは。)まずはKさんが何かを答えるので、その間に頭を整理することができるのは大きかったです。たとえ数秒でも、一瞬でも、考える時間があるというのは、即答するよりもだいぶ楽なものだと改めて感じました。複数対複数の面接ならでは、ですね。それに比べてKさんは大変です。とりあえず何か言って時間稼ぎしないとなりませんから。

さて、その結果はまだ知らされていませんが、もう出ているはずです。審査員というのは基本的におエラいさんなので、日程調整をするのは非常に難しいです。また、間隔を空けてしまうとヒアリング内容の印象が薄れてしまいます。ということで、少なくとも順位付け、あるいは採点のようなものはヒアリング直後に行ってしまうのが普通らしいです。今回についても、私たちのヒアリング直後に私たちの申請に関する合議をし、そしてまた次の申請者のヒアリングを行う、というサイクルでした(と、明記してありました)。

ただし、だからと言って、合否が決まるかというとそうではないケースもあります。たとえば、審査員は科学的な観点から(?)申請に順位をつけます。しかし、予算がどれだけ注ぎ込まれるかを決めるのはお役人です。最終的に注ぎ込まれる予算額が決められると、それに応じて上位から何番目まで採択、というようなこともあるみたいです。というか、そういうスタイルが一般的なのかもしれません。

そんなヒアリングの一般論はさておき、今はもう祈るしかありません。この予算が通れば、学生をCERNに派遣するのがかなり楽になります。過去2、3年は研究のscientificな内容より、予算のことばかり考えていましたが、これが採択されればもう少し研究に集中できます。ぜひ採択されますように。

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SUSY探索の方法

しばらく前に、天文の分野ではブラックホールを観測したことになっているが、重力の分野では観測したことになっていない、というようなエントリーを書いたことがあります。ブラックホールは光っていませんから、すなわち、何かを放出しているわけではないので、それ自身を直接私たちが観測することはできません。物質がブラックホールに吸い込まれるときにX線を出すので、そのX線の観測から、光っていない「何か」の質量が推定でき、質量がそんなにデカイ(というか密度の高い)光らないモノは理論上ブラックホールしかありえない。よって、そのX線源はブラックホールだというのが天文の人の見方です。一方、重力研究家は(物理の人の多くはこっちかもしれません)、直接見たわけではないので間接的な観測だ、というわけですね。

どっちがどうと言うわけではないのですが、実は私たちの超対称性(SUSY)探索にも似たような面があります。

SUSYは理論上の仮説で、さらにその仮説をもとに数多くのモデルが構築されています。その多くのモデルでは、Rパリティといって、超対称性粒子と私たちの知っている粒子(標準模型粒子と呼ぶことにします)との間にある保存量があると仮定しています。Rパリティの保存に基づくと、超対称性粒子が崩壊する時は必ず超対称性粒子と標準模型粒子の2つに崩壊しないとなりません。ということは、重い超対称性粒子が崩壊してより軽い超対称性粒子と標準模型粒子になり、さらに、できた超対称性粒子がより軽い超対称性粒子に崩壊する…というような具合にどんどん続けていくと、一番軽い超対称性粒子(LSP:Lightest Supersymmetric Particle)は崩壊できなくなります。それより、軽い超対称性粒子がないのですから。ということでLSPは崩壊できないために安定な粒子として宇宙に存在し続けます。

同様に、Rパリティにより超対称性粒子の反応にも制限がつき、超対称性粒子と標準模型粒子が反応すると超対称性粒子が生成されます。で、重要なのは、この反応率が極めて小さいということです(中間状態の超対称性粒子の質量が重いために反応率が抑制される。WやZの質量が重いので弱い相互作用が弱いのと同じ理由です)。どれくらい小さいかというと、ニュートリノの反応率と同じくらいで、平均して地球を何億個も通過しないと反応を起こさないというレベルです。

話題は若干それますが、上記2つの性質、安定して宇宙に存在し続けることと、物質との相互作用が弱く観測できなこと、からLSPがダークマターの有力な候補となりえています。

話を戻すと、私たちの検出器ではニュートリノを検出できないのと同様に、LSPも私たちの検出器では検出できません。ちなみに、当然のことですが、スーパーカミオカンデなどのニュートリノ検出器も必ずニュートリノを検出しているわけではありません。無数に飛んで来るニュートリノのうちの10のウン10乗分の1のニュートリノを捕獲しているにすぎません。

で、私たちの検出器というのは陽子の衝突地点をぐるっと取り囲んでいるので、もし検出できない粒子があると、全ての観測エネルギーにアンバランスが生じます。そこで、このアンバランスを観測したら私たちはニュートリノあるいは、LSPを観測した(のではないか)と思うわけです。もちろん色々な理由でエネルギーのアンバランスは生じます。検出器は100%の確率で粒子を捕獲できるわけではありませんから、たまたま観測をミスったことでアンバランスは生じます。あるいは、ある検出器が粒子が来てないのにノイズなどで粒子を検出したと間違えれば、結果として、その逆方向にエネルギーのアンバランスを作ります。というような偽のニュートリノ源、偽のLSP源ではないことを確認した後、さらに色々な情報を使い観測したエネルギーアンバランスがニュートリノなのか、LSPなのかを判断します。

ということは、LSPを放出した事象(=陽子同士の衝突によって色々な粒子が生成された事)自体を直接観測したとしても、超対称性粒子自体を直接観測しているわけではありません。もっと言うと、天文家が「見えない」ブラックホールをブラックホールだと言えるのと違って、残念ながら、私たちの場合はエネルギーアンバランスを作るであろうSUSY以外の仮説が山ほど存在します。もちろん、これまでの実験結果や理論の自然さ等からSUSYが最有力なのは間違いないのですが、実験的にきちんと排除できていない以上、色々な仮説は存在するわけですね。

そこで、「SUSYらしい」(=標準模型では説明できない)エネルギーアンバランスを持った事象を発見したら、今度はSUSYにのみ存在する事象の特徴を測定しなければなりません。他の仮説との違いを証明して晴れてSUSY発見となるわけです。いやー、早くそういう日が来るといいですねー。今から興奮します。あ、でも、SUSYだと確定できなくても、標準模型で説明できない事象が発見されただけでも素粒子関係者は大興奮するでしょう。新しい理論が必要なことが確定するわけですから。

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