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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

さらに加速

LHCの調整作業は順調で、今日は450GeVでLHCに入射されたビームを1.18TeVまで加速することに成功しました。今までの最高エネルギーがアメリカのフェルミ国立加速器研究所というところのTevatronによる0.98TeV。ということで、CERNの所長が全ユーザーに向けて時々メールを発信するのですが、今日のタイトルは世界最高記録達成でした。

加速することにも順調に成功し、次のステップはLHCリング内の陽子の数を増やすことです。現状の陽子の数では衝突の頻度が低くて物理解析するためのデータ収集をすることができないので、衝突の頻度を上げるために陽子の数を増やすわけです。方法としては、これまでは陽子群を加速するための高周波電場の一箇所にのみ載せて(シングルバンチと呼ばれる)いたので、陽子群を一箇所ではなく複数に増やすか、シングルバンチのままでそのバンチ内の陽子の数を増やすか、のどちらかが考えられます。どっちの方法を採るのか知りませんが、所長からのメールによると、陽子の数を増やすための調整に約1週間かかり、その後はとりあえずクリスマス休暇に入るまで検出器調整のための陽子陽子衝突を行うようです。


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補足

前回のエントリーの補足、追加です。

今回の事業仕分けで私が最も憂慮するのは、日本の科学全体です。素粒子物理学の将来も勿論不安ですが、それ以上に科学全体(人文科学も含む)の将来を心配しています。即効性だけでは損得の判断をできない事があり、科学、得に基礎科学はそれだと思っています。

たとえばスポーツ、野球を例にとると、野球が上手くなるためには練習をしなければなりません。より高いレベルに到達するためには走り込みで足腰をきたえ、ウェートトレーニングやストレッチで強靭でしなやかな筋肉を身にまとわなければなりません。こういう地道な努力に即効性はありませんが、上達のためには不可欠です。基礎科学も同じで、しっかりとした土台を作らなければ、革新的な技術の発展は望めないと思います。

基礎体力作りのために色んなトレーニングを導入するのと同様、科学技術の土台作りには学問の多様性が重要で、色々な人が色々なことに興味を持ち研究する環境が必要だと私は信じています。

また、前から言っているようにどんな分野でも将来発展するためには若い人、子供たち、そして女性が元気でないとならないと思っています。特定の学問分野(私の場合素粒子物理学が専門ですが)に対する危惧というよりも、上記の理由で、大学への運営費交付金、学振のポスドク、若手支援、女性支援、こういう財源が仕分け対象に選ばれたことが私が最も憤っている点です。ただし、大学の場合独立法人に対する事業仕分けという見方もできるので、ちと話が複雑ですが。

それから、新聞報道等で言われているように、世界との競争の激しい分野では、数年の研究の停滞は致命的です。何でもありの厳しい競争をしている分野では、一旦トップ集団から引き離されるとボコボコにされてしまいます。論理だけでスマートに議論が進む研究分野だけではありません。トップ集団にのみ優秀な人材が集まり、将来の発展があるのです。短期的な撤退=その分野からの撤退になることを認識して欲しいと思います。

ちなみに、素粒子物理学に対する私の考えは、前回エントリーのコメント(あるコメントに対する返信)に書きました。


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