ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

さらに加速

LHCの調整作業は順調で、今日は450GeVでLHCに入射されたビームを1.18TeVまで加速することに成功しました。今までの最高エネルギーがアメリカのフェルミ国立加速器研究所というところのTevatronによる0.98TeV。ということで、CERNの所長が全ユーザーに向けて時々メールを発信するのですが、今日のタイトルは世界最高記録達成でした。

加速することにも順調に成功し、次のステップはLHCリング内の陽子の数を増やすことです。現状の陽子の数では衝突の頻度が低くて物理解析するためのデータ収集をすることができないので、衝突の頻度を上げるために陽子の数を増やすわけです。方法としては、これまでは陽子群を加速するための高周波電場の一箇所にのみ載せて(シングルバンチと呼ばれる)いたので、陽子群を一箇所ではなく複数に増やすか、シングルバンチのままでそのバンチ内の陽子の数を増やすか、のどちらかが考えられます。どっちの方法を採るのか知りませんが、所長からのメールによると、陽子の数を増やすための調整に約1週間かかり、その後はとりあえずクリスマス休暇に入るまで検出器調整のための陽子陽子衝突を行うようです。


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補足

前回のエントリーの補足、追加です。

今回の事業仕分けで私が最も憂慮するのは、日本の科学全体です。素粒子物理学の将来も勿論不安ですが、それ以上に科学全体(人文科学も含む)の将来を心配しています。即効性だけでは損得の判断をできない事があり、科学、得に基礎科学はそれだと思っています。

たとえばスポーツ、野球を例にとると、野球が上手くなるためには練習をしなければなりません。より高いレベルに到達するためには走り込みで足腰をきたえ、ウェートトレーニングやストレッチで強靭でしなやかな筋肉を身にまとわなければなりません。こういう地道な努力に即効性はありませんが、上達のためには不可欠です。基礎科学も同じで、しっかりとした土台を作らなければ、革新的な技術の発展は望めないと思います。

基礎体力作りのために色んなトレーニングを導入するのと同様、科学技術の土台作りには学問の多様性が重要で、色々な人が色々なことに興味を持ち研究する環境が必要だと私は信じています。

また、前から言っているようにどんな分野でも将来発展するためには若い人、子供たち、そして女性が元気でないとならないと思っています。特定の学問分野(私の場合素粒子物理学が専門ですが)に対する危惧というよりも、上記の理由で、大学への運営費交付金、学振のポスドク、若手支援、女性支援、こういう財源が仕分け対象に選ばれたことが私が最も憤っている点です。ただし、大学の場合独立法人に対する事業仕分けという見方もできるので、ちと話が複雑ですが。

それから、新聞報道等で言われているように、世界との競争の激しい分野では、数年の研究の停滞は致命的です。何でもありの厳しい競争をしている分野では、一旦トップ集団から引き離されるとボコボコにされてしまいます。論理だけでスマートに議論が進む研究分野だけではありません。トップ集団にのみ優秀な人材が集まり、将来の発展があるのです。短期的な撤退=その分野からの撤退になることを認識して欲しいと思います。

ちなみに、素粒子物理学に対する私の考えは、前回エントリーのコメント(あるコメントに対する返信)に書きました。


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喉に刺さった小骨がとれる

という表現がありますが、今まさにそんな心境です。今日の最初のエントリーに書いたように、高校生対象の講義シリーズが今日で終わったからです。研究室体験という初めての企画が滞りなく終了し、また、自分の研究室の催しもそれなりに高校生に楽しんでもらったようで、肩の荷が下りました。来週からは本来の大学業務に少しは集中できそうです。

あ、いや、他にも喉に刺さった小骨はまだまだあるんですけどね…。


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読者のみなさんへのお願い

今回の事業仕分けで日本の科学技術政策に危機を感じているみなさんが多いと思います。そこで読者のみなさんにお願いがあります。高エネルギー業界の人や、学術関係者の方はすでに受け取っている方も多いかもしれませんが、以下に日本学術振興会・学術システム研究センター・副所長の黒木登志夫氏のメッセージを載せます。政府に対して効果のある意見は、我々研究者が組織として送るメッセージよりも納税者である個人の意見だと思います。以下のメッセージにあるような行動をとっていただきたく、何卒お願い申し上げます。

特に私が許せないと思うのは人材育成関連の、若手支援、女性研究者支援の予算のカットです。涙が出るくらい、というか本当に泣きましたが、悔しいです。

ご家族、親戚、知人友人などにもぜひ呼びかけてください。お願いします。

引用開始--->

(どうぞ自由に周囲に転送ねがいます)

再度のお願いです。ここ1週間、事業仕分けに関するいくつかの
緊急集会に出席しましたが、そこで得た感触は、

1.事態はきわめて深刻で、日本の学術(とくに自然科学系)に、
 とり返しのつかない打撃となる(※1)可能性が、きわめて高い。
2.それに対して、有効な戦術を誰もきちんと提示できない。

という2点でした。それに加えて、

3. 仕分けそのものは、国民のきわめて高い支持を得ている。

もきわめて重要です。さらに物事は急ピッチで進み、

4. あさって11/30に、仕分けの最終結果が報告される。
5. それを受けて、予算に対して12/19(?)に最終的な政治判断
 がされる。

と聞いています(この部分、認識違いがあればごめんなさい)。

そこで再度のお願いですが;

○ まだの方はぜひ12/15までに文科省に意見をメールしてください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
 これは事業により宛先が違っていて、メールの件名に
   件名:事業番号と事業名
 と書くことになっています。たとえば学振特別研究員制度
 なら、施策番号は(たぶん)100、施策名は「特別研究員事業」、
宛先はnak-got@mext.go.jp(※2)だと思います(各自で再確認
 を願います)。

○ こちらもまだの方はできるだけ早く、民主党Webサイト
http://www.dpj.or.jp/header/form/index.html
 に意見をたくさん伝えて下さい。この場合も上記 3.によく
 留意しつつ、「**に関する仕分けの結論は、民主党の
 (たとえば教育を拡充するという)マニフェストに矛盾して
 いる」「Webに公開されている仕分けの意見の&&&の部分は、
 これこれの事実に反しており、事実誤認である」「これでは
 公約違反であり、ぜひ修正をお願いしたい」といった、
 ディベートの基本に則った書き方が有効と思います。

○ いずれの場合も、たとえば学振DC/PDがこのように高い
 生産性をもつ(あるプロジェクトにおける論文成算数など)
 といった、具体的で客観性の高い数値を、簡単に付けると
 効果が上がると思います。

○ それぞれの地方で、選出された民主党議員に対し、ぜひ
 大至急、意見を送ってください。多くの議員は、自分のHP
 で意見を受け付けているはずです(※3)。もし個人的に
 知己の議員がいれば、なお良いと思います。

○ ご自分だけでなく、ご家族、知人友人、あらゆる方にアク
 ションするよう伝えてください。とくにAcademic sector
ではなく、産業界などに属する方の意見は、効果的です。
 あなたの親戚、先輩、昔の同級生などに、賛同してくれそう
 な方がおられたら、ぜひ声をかけて下さい。

○ 他に有効な戦術(の候補)をお持ちの方は、ぜひお知らせ
 ください。

日本の学術が根底から破壊され、後世に多大な禍根を残すこと
の無いよう、皆さんの迅速な行動を切望いたします。

[注]
ここにオリジナルの文章作成者の名前がありますが、このブログの性質上名前は載せないことにしました。
[注,終わり]

(※1)
以下は、このまま物事が進んだ場合に危惧される影響の例です。
正確さを欠く部分があれば、ご容赦ください。
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/3kekka.html#1113
○学振特別研究員が大幅にカットされ、来年度の採用内々定が
 キャンセルになる危険性が多々あります。
○科研費も厳しく絞り込まれるでしょう。内約された継続課題
 さえ、安泰とは思えません。
○国立大学の設置形態そのものが根本から覆る可能性があります。
 さすがにその議論は時間を要するでしょうが、運営費交付金が
 さらに厳しく削減されることは想像に難くありません。
○「すばる」、Super Kamiokandeなどの運転が難しくなり、ALMA
 の建設への国際貢献が滞る危険性があります。
○文科省として予算の総枠が厳しく圧縮される結果、「仕分け」
 対象にならなかった事業にまで影響が及ぶ可能性があります。

(※2)
この宛先の nak は、中川正春・文科副大臣(民主党三重2区選出
の衆議院議員)のことで、彼が文科省関係の事業の1/2について、
パブリックコメントを取り纏める立場にあることを示しています。
残りはもう1人の副大臣である、

(※3)
第173会議臨時国会は、11/30まで会期延長されているので、
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index.htm
地元には居ないでしょうが、おそらく秘書が読むでしょう。

<---引用終わり


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SAP最終日

6週にわたった高校生対象のプログラムSaturday Afternoon Physics (SAP)も、今日がいよいよ最終日。そして、先週の講義に引き続き、研究室体験という催しを私自身でやらなければならないのも今日です。ということで、このプログラムの準備係に途中から組み込まれた(今日の研究室体験企画の担当でした)私としては、準備係としての仕事、講義、そして私たちの研究室での企画、というこの3つが今日で終わるので、ここをクリアすると一段落です。

私が忙殺されていたため、面倒をあまりみてあげることができなかったということもあって、研究室4年生の実験が順調に進んでいません。来週からはそこが私にとっての重点課題になりそうです。


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今日の授業とレポートの採点

今日午後の実験の授業は予想以上に長引きました。前回のグループでは素早く測定が終わったのですが、今日は実験器具の一部に問題が発生したり、特別問題があったわけではないのに測定が長引いた班があって、全体的に終わるのが遅かったです。私にとってはあるクラスの平均の速度ではなく最後に終わる班の速度でいつ授業が終わるか決まるので、実験が遅れ気味の班の面倒をなるべくみるようにしているのですが、今日はそれでも補正が効かない班があって、冒頭書いたように予想よりも授業を終えるのがだいぶ遅くなりました。

そのおかげで事務室が閉まる前に前回のクラスのレポートの採点が終わらず、来週もまた採点をしなければなりません。しかし、この学科の人たちは授業態度が良いというか、実験を楽しそうに熱心にやってくれるのですが、丸写しと思われるレポートが非常に多くて、採点していて楽しくありません。とにかく自分の頭で考えてくれたことを書いてくれればいいのに、テンプレートとなっていると思われるレポートを書き写してくるんですね。しかも、そういう態度ならいい加減に写せばいいのに(良くはないか)、というか、いい加減に書き写すのが普通と思ってしまうのですが、大量の文章であるにもかかわらず、丁寧に写経してくるんですね。私には何を考えているのかわかりません。

先にも書いたように、熱心に実験をやっていて、会話の節々に面白いことを口にしてるのですから、それをレポートに書いてくればいいのに、なぜそうしないで、大量のテンプレートを書き写すのか理解不能です。授業中も何度もそう言ってるんですけどね…。


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さらにつぶやく

このブログは、普段知られることのない研究者の日常生活を描く、というコンセプトだった(プロフィールにもそう書いてある)のに、最近は、研究者の日常というよりも、大学教員の日常しか描いていないような…。授業とそれ以外の大学業務に日々追われまくりですが、来学期(来年の4月)からはもっと研究に時間を割けることを夢見て(?)今は耐えています。


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今朝のつぶやき

「脳ブームの迷信」という本を貰いました。私たちの研究室のメンバーの旦那さんが生物を専攻しており、その旦那さんの所属研究室の教授が書いた本で、ヒッグスに関連した文書にちょっとだけアドバイスさせてもらったというつながりで新しく出版された本を一冊頂きました。世間で氾濫しているエセ科学とも言うべき脳科学もどきを斬っている本で、全部は読んでいませんが、共感する部分の多い本です。著者自身がまっとうな脳科学者で、現状の脳ブームを憂いている気持ちが伝わってきます。というわけで、ちょっとした宣伝でした。


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レポートの採点

今日の午後は本来なら実験の授業ですが、クラス編成の都合上今回は抜け番でした(来週も)。ということで、提出されたレポートの採点だけ今日はしてきました。してくるというのは、1年生の実験の授業は共通教育棟と呼ばれる別の建物で、歩いて5分以上(office to office だと10分近くかかるかも)かかるので、そういう表現になります。

今回採点したクラスは、先週書いたように誤差についての説明すらなかったクラス。予想はしていましたが、それに付随したレポートの書き方もきちっと教えられていないようで、採点するのがかなりツライものがありました。普段はあまり再提出させないほうなのですが、今回は私にとっての再提出要求数の最多記録だったかもしれません。

明日も別のクラスのレポートの採点をしますが、さて、どうなることか。


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つぶやき

LHCは月曜に衝突を成功した後、こそっと450→540GeVの加速に成功していました。ちゃんとacceleratorとして機能したようです。次にどこまで加速させるのかというのは、実験サイドでもよくわかっていません。

今回の事業仕分け云々のインパクトは本当に大きかったですね。ノーベル賞受賞クラスの大物や、大学総長、等々が動いただけでなく、学生にも危機感があるようです。廊下で歩いている学生達が運営費交付金が減らされるとどうなるのか議論しているのが耳に入ってきました。そういう意味では(=危機感の欠如した学生たちにすら科学技術政策について考える機会をもたらした)、事業仕分けも役立っているかも。

今終えた授業。学部4年生対象では難しかったと思いますが、ゲージ対称性+電弱統一模型という素粒子物理学のメインディッシュです。ぜひ興味を持って、自分で勉強をして欲しいところです。修士課程の大学院生にとっては適度な難易度だったかもしれません。


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国立大学運営費交付金

本日25日は事業仕分けという茶番に国立大学の運営費交付金が登場する日でした。先週から戦々恐々していたのですが、その結果は「予算のあり方の見直し」。これって何を意味するのでしょう?具体的に何%減らせと言われたわけではないのですかね。ウェブ上のニュースをちらっと見ただけでは、どういうことなのかよくわかりません。また後で文科省のサイトで詳しく眺めてみようと思います。

新聞報道でもあるように、大学関係者やノーベル賞受賞した大物から卵のような科学者までが今回の事業仕分けと科学技術政策について激しい反論を述べています。産業界からも批判の声が上がっています。そのポイントは敢えてここで繰り返しませんが、私も当然同じような意見を持っています。が、今日の大学運営費交付金の仕分けに関しては、私自身の中で別の見方がありました。

冒頭に事業仕分けが茶番だと書きましたし、そう思っていますが、必ずしも事業仕分けという仕組みや制度そのものが理不尽だとは思っていません。ただ、今行われているのはパフォーマンス重視で内容の無い茶番だと思っているわけです。例えば、官僚の天下り先になっている団体が訳わからない無駄遣いをしているのが許せない、という多分国民の多くが持っている感情を私も持っています。そういう事業を廃止、あるいは予算の無駄を減らすのはいいことだと思います。そういう仕分けを可能にするためには、もっと時間をかけて公平に判断できる仕組みがないとならないと思うわけです。

で、ここからが本題なのですが、法人化された大学の最大の権力者はどうやら理事と呼ばれる人たちで、その人たちは文科省から天下ってきた役人だったり、元大企業のお偉いさんだったりします。彼らは、大学に愛着を感じている人や現場の人にとって、納得行かない経営判断を下します。いや、短期的な経営という観点からは正しいのかもしれませんが、彼らはなにしろ大学に2、3年腰掛けているだけですから、中長期的なビジョンを考える必要がないんですね。いや、もしかすると長期的なビジョンも描いてはいるのかもしれませんが、生活の糧として大学で働く教職員を納得させるような説明は全くできていません。

そういう彼らが超権力者になっているのが大学の現状で、その超権力者が天下ってきた役人となると、事業仕分けに賛成する人たちと似た感想を持つわけです。もちろん、大学の運営費交付金が減らされるのは困りますし、日本の国益を考えると大悪手だと思いますよ。でも、そういう論理的な考えとは別に、天下り役人がいるというだけでその団体への交付金を減らすべき、みたいなマスコミの論調と思わず同じようなことを脊髄で感じてしまうんですね。やっぱり自分って頭悪いなぁと思ってしまうのでした。


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マントル

午前中は、来年4月の新入生(=学部1年生)研修旅行の打ち合わせと、昨日に続いて幾つかの雑用を処理。

午後は昼食後、大学から歩いて5分か10分程度の場所にあるホームセンターに行き、キャンプ用品のマントルと蛍光灯用のグロー球を買ってきました。土曜日に高校生に見せるための下準備で、マントルがα線を出しているのを測ってみるためです。霧箱の放射線源として使っているのでα線その他が出ているということは知っていましたし、βあるいはγ線は検出器で測定したことがありますが、α線の検出器というのはなかなか無いので測定したことありませんでした。となりの研究室から借りたサーベイ用のα線検出器で測定してみると、霧箱で目で見えるだけあって、かなり大量に出ていて驚きました。こんなに出ていていいのかと思うくらい出ていて、見せ物として使うには十分な放射線源でした。

ちなみに、同じマントルでも線源が含まれている物と含まれていない物があると聞いていたので(メーカーによって違うらしい?)、2種類買ってきたのですが、それが正解で、あるメーカーのものは大量に放射線を出していましたが、もう一つは全く出ていませんでした。ホームセンターに買いに行くときに、ガイガーカウンターを持って買いに行ったというFさんの話を思い出しましたが、小心者の私は、あまりにも怪しい姿で買い物をする勇気がありませんでした。


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ミーティングとゼミと雑用

LHCは初めて陽子陽子衝突が起きて盛り上がっているようですが、私は、ミーティングにゼミ、そして雑用に追われています。

午前中は研究室の定例ミーティング。午後イチは、修士課程の学生+Kくんとの有名論文を読むゼミ。今日はパリティの破れの測定と、ニュートリノのヘリシティ測定の論文を読みました。続いて学部4年生とのゼミ。検出器の教科書を相変わらず読んでいて、今回はフォトンと物質との相互作用のところでした。2つのゼミをこなした後は、ATLASに参加している関西地方(?)の3大学で定期的に行っている研究会。3大学+CERNを繋いでのテレビ会議です。

これで一日が終わってくれれば、ゼミと研究活動なのでそれなりに楽しいのですが、残りの時間は細々とした雑用に追われています。あと、週末の高校生相手の催しで何をやるのか下調べをちょこっとしたのですが、思っていたことはやれそうにないことがわかり、代わりに何をやろうか少し悩んでいるところです。


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First collision

昨日のエントリーで最初の陽子陽子衝突が近いかも、なんて書いていましたが、近いもなにも昨日の晩(CERNでは月曜の昼間)、に最初の衝突に成功しました。イベントディスプレイをリンクしておきます。荷電粒子検出器がきれいに動いているのがわかります。

いやー、素晴らしいですね。昨日書いた通りここまでは非常に順調です。この衝突は、LHCに450GeVの陽子を入射して加速なしです。次のステップは加速です。現状ではLHCはまだstorage ringなので、次はacceleratorとしての実力を見せなければなりません。


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順調な立ち上がり

運転を再開したLHCは、順調な進展を見せています。

時計回り、反時計回り、両方の陽子ビームがシングルバンチながら(粒子ビームは加速器内で多数の粒子が一塊になっています。その一塊のことをバンチと言います。)RFにキャプチャー、つまり加速するための高周波電場の周期とシンクロナイズすることに成功して、寿命は8時間程度を達成しているようです。ただし、8時間もビームを回さずに途中でダンプしてしまいますが。

さらに今までは時計回りか反時計回りかどちらか一方のビームだけを回していましたが、両方のビームを同時に入射し周回、そしてRFキャプチャーしようとしています。ここまで来れば衝突目前という感じですが、ここまでがあまりに順調なので、そろそろマイナートラブルが幾つか発生しても不思議ではない感じがします。もちろん、なければないでそれにこしたことはありません。

検出器サイドでもトリガーのタイミングを調整したり、検出器への放射線量が増えた時にビームを緊急排除するための安全装置のテストが行われて、これまた順調な実験立ち上がりです。現場ではもちろん慌ただしい作業が続いているわけですが、遠隔からログのエントリーを眺めている限り、過去私が参加した実験に比べて遥かに順調にデータ収集が行われている感じがします。大量の人間が莫大な時間をかけて準備してきただけあります。


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放射線源の値段

昨日、高校生への講義を終えて、残る精神的負担、というか、通常の研究と大学業務以外でやらなければならないことは、来週の同じく高校生を対象とした研究室体験の企画です。身の回りにある放射線ということで、法律的には放射線源とはみなされないながらも弱い放射線を出す放射線源からのα、β、あるいはγ線、あるいは宇宙線を簡単な検出器で測定してもらおう、というのが概略です。霧箱でも作ってもらおうと当初は考えていたのですが、それはすでに昨日、講義の一環としてやられてしまったので、別の遊びを考えないとなりません。

放射線源といえば、日本アイソトープ協会というところから法律で言うところの放射線源を買うのですが、今ちょっと困ったことになっています。というのは、4年生の卒業実験で使う陽電子源を探しています。当初アイソトープ協会に電話で見積もりと納期を尋ねたところ、7万数千円で納期は1ヶ月と聞いていたので、それなら何とか買えるということで、注文を前提として先週同じことをメールで尋ねたところ、値段が約35万円、納期は2ヶ月以上と言われてしまいました…。うーん、最初の見積もりは何だったんでしょう。それだと高過ぎて4年生実験に使う物としては買うことができません。

今思うに、最初の見積もりの時にナトリウムのβ+線源と言ったのに、電話で応対した人はナトリウムのγ線源だと勘違いしたのではないか、と予想してます。7万数千円というのは、カタログにも載っているどこの研究室にもあるような放射線源の値段と同じくらいなんですね。なので、その答えを聞いた時に思ってたよりも安いなと感じました。そう感じたのですから、おっラッキーとぬか喜びせずにもう一度確認すべきでした。

しかし、後悔しているだけではコトが進まないので、今は、他の研究室や大学のRIセンターにβ+線源がないか問い合わせ中。同時に、当初の計画を完全に変えて宇宙線を使った実験をバックアップとして考えています。


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大盛況

何度も話題にしていますが、毎週土曜日の午後にSaturday Afternoon Physicsという高校生を対象とした物理の講義シリーズを大学で行っています。今日はいよいよ私の出番でした。素粒子物理学の最前線というタイトルで、物理をまだ習っていないかもしれない高校生を相手に講義するのですから、かなり頑張りました。何をどう頑張ったのか自分でもよくわかりませんが、とにかく大盛況で、自分でも驚きました。

17:10ら質疑応答も含めて50分ということだったので、予定通り18時5分前くらいには話を終えて質疑応答に入ったのですが、質問は5分どころでは終わらず、とりあえず18時10分くらいに講義を一旦終了、それからも高校生の質問攻めにあって、今ようやく解放されました。いやー、高校生が興味を持ってくれなかったらどうしようかと思いましたが、楽しんでもらえたようでよかったです。

それにしても、高校生の素朴な質問は実は鋭過ぎて応対に困ることがあります。弱い相互作用はなぜ弱いのか?みたいな素朴な質問のために、逆に核心を突く質問が多いんですね。素朴に何でもなぜ、と思える、感じることのできる力は素晴らしいです。


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LHC再開

やりました。いよいよLHC再開です。ATLASで観測したビームによりイベントを観測しました。ビームが周回したということですね。ついでに、加速器の状況がリアルタイムでわかるこんなサイトも紹介しておきます。左上のポップアップメニューでLHCだけでなく前段階の加速器の状況も見ることができます。とはいえ、私が見てもわからないプロットだらけですが、まあ、ビームが入っているかどうかくらいは加速器屋でなくてもわかるので、暇な人はチェックしてみてください。

所長のアナウンスにもありましたが、去年よりは加速器が良く理解されているようなので、去年のような大トラブルは無いと信じたいです。もちろん、磁石のトリップや、電源が落ちるなどの加速器立ち上げ時につきもののマイナートラブルは幾つも発生するでしょうが。

所長の言葉を借りるならLHCがstorage ringとして作動することは証明しました。そうか、説明していませんでしたが、450GeVで入射したビームを今は周回させただけです。次は、加速(accelerator)と衝突(collider)です。加速器の人々の話によれば、ビームが順調に回れば衝突させるのはそんなに難しくないらしく、衝突も近々起こるのではないでしょうか。ちなみに、CERNでは12月11日に報道陣を大々的に集めて、「最初のビーム衝突」をイベントとして催しているようです。本当に初めてのビーム衝突をそこでやるのか、という疑問はありますが。


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4年生実験の状況

午前中は、来週末のSaturday Afternoon Physicsの企画、高校生の研究室体験の希望調査をもとにどの研究室に振り分けるかの作業を延々と2時間。この企画の別の担当者のFさんと2人で作業にあたりましたが、60分1本コースと30分2本コースが並列、かつそれぞれ第3希望までを考慮に入れて割り振るという作業は極めて難しいパズルでした。解が無いのではないかと心配しましたが、それなりに希望を取り入れた割り振りができたと思います。運が良かった。

午後は17時半くらいまで通常通り学部1年生の実験の授業。そしてその後は研究室の4年生と卒業研究に関する作業。といっても大したことはやっていません。というのも、呪われたかのように、クレートコントローラ、そしてADCに続いて、新たな故障。その原因究明を試みていましたが、Iくんのアドバイスのもと予想通りというか、クレートコントローラを動かすためのPCIカードをコンピュータが認識していませんでした。PCIカードを交換してもダメなので、どうやらマザーボードが壊れたようです。

マザーボードを交換、あるいは新しいPCを買わないとならないので少し面倒です。さらに心配なのは、故障が、それもデータのバス周辺の故障が続発していることです。Groundにノイズが乗っていないとか、そもそもGroundがしっかり落ちていないとか、その辺は一応確認したつもりなのですが、さらに詳細に調べる必要がありそうです。他に何か問題になりそうなことってありますかね?アイデアをお持ちの方はぜひご一報ください。


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昨日の授業で感じたこと

昨日の学部1年生の物理学実験の授業では驚きが2つありました。どちらも、教員に対する驚きです。

1つは、誤差伝播の法則を全く説明していない教員のいること。この授業は基本的には2週で1つのテーマを学生はこなしていきます。担当の教員は同じテーマを担当し続ける仕組みです。ただし、第1回から4回目までは全部の学生が同じ内容をこなします。その1回目と2回目は、真鍮の円柱や円筒の体積と質量を測り密度を求めるという内容です。測定の原理そのものは中学生でもわかる簡単なものですが、このテーマのポイントは実験経験の少ない学生に誤差の概念を習得してもらうことです。

誤差はどういうものかという説明に始まって、実際にどうやって評価するか。そして、x1, x2, x3, ..., xnの測定からXという未知数を推測(このテーマを例にすると真鍮の高さや直径、そして質量の測定から密度を推測するわけですね)する場合、x1からxnまでのそれぞれの測定誤差から最終的にXの誤差を求めるにはどうすればよいのか、その考え方が誤差伝播の法則です。これを理解することで、これから何度と行っていく実験で、ある値を測定し、最終的に求めたい推測したい値の誤差をどうやって評価すれば良いのかわかるわけです。

この誤差伝播の法則の説明を飛ばす教員がいると学生から聞いて卒倒しそうでした。その説明なしに、真鍮の高さや直径の測定誤差から密度の誤差がどういう値になるのか、その結果だけ説明して、なぜそうなるのか説明しなかったと、学生が口を揃えて言うわけです。マジですかーっ!?だったら、この学生達は円柱の形状の物質の密度測定以外の測定では、誤差をどうやって付けたらいいのかわかりようがありません。教科書等で独学しろということなんですかね。ビックリしました。

もう一つの驚きは、学生達がオシロスコープの使い方を全く理解していないこと、というか、これまたきちんと教えられたのか疑問を感じました。というのは、オシロスコープの使い方を学ぶ回では、私は一人一人の学生に簡単な例題を出して、使いこなせるとまでは言いませんがなんとか使えるくらいになるまでは学生を帰しません。なので、比較的楽な内容の回なのですが、学生が帰る時間は結構遅くなって全員が終わるのは16時から17時の間になります。ですが、TAや学生から話を聞くと、14時くらいで終えてしまう教員もいるんだそうです。それではオシロスコープを初めて使う、というか見るのも初めての学生だっているくらいでしょう。その彼らがオシロスコープを使えるようになるとは思えません。

あるテーマにだけ出てくる実験器具の使い方の説明を省略化して、その器具の使い方が稚拙でも構いませんが、オシロスコープは多くの実験ジャンルでお世話になる重要な器具です。その器具の使い方をきちんと教えないというのは、これまた理解不能です。

25日(?)の事業仕分けの対象の一つに大学への運営費公金(噂では10%の削減だとか)があるらしいですが、こんな教え方してるんじゃ予算削減されても仕方ないよなぁ、と自虐的になってしまいました。


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最長不倒

前人未到、空前絶後の最長不倒です。何がって、物理学専攻の教室会議と呼ばれる教授、准教授が構成員となっている会議が終わったのがたった今です…。教授陣は15時から16時半まで教授会議。続いて休み無しに、准教授陣が加わって16時半から教室会議は始まります。で、今(21時半)までですよ。信じられません。私は実験の授業が早く終わったので17時半前くらいから参加しました。が、午前中の講義に続いて午後はずーっと授業していて、それが終わってすぐに参加したので、途中参加でもへろへろになりました。通常だと19時前後に終わるのですが、いやー、今日は破られることのない最長不倒記録でしょう。

午前中の講義では言いたいことを喋れたような気がしていたので気分よかったのですが、その気分の良さが吹っ飛んでしまいました。


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いよいよ

LHC実験の再開が近づいています。

ちょっと前にも書きましたが、約1年ぶりのLHCへのビーム入射テストが先月中頃から終わりにかけて行われました。その第2弾が6日から9日にかけて行われました。最初のテストではLHCリングに入れただけですぐにダンプ(=ビームをぶつけて吸収させる目的で作られたある種のターゲットに、ビームを入射させてビーム自身を処分すること)させてしまいましたが、今回は4分の1周くらいさせたようです。

LHCの全体を眺めるとこんな感じ
overall view of LHC
で、図を見るとわかると思いますが、LHCへのビームの入射地点はLHCbという検出器とALICEという検出器付近にあります。なので、最初の入射テストでビームが見えるのはいつもそれら2つの実験グループになります。今回は反時計回りのビームに関しては、LHCbを通過させ、CMSの上流でビームをダンプさせました。というわけでCMSでは
beam splash at CMS
というように、ビームがビームダンプに衝突したことで生成される大量の粒子を観測しました。時計回りにも同じくらいの距離だけビームを回したようです。

一枚目の図を見てもらうとわかると思いますが、私たちATLAS実験ではビームを1周近く回さないと検出器でビームによるイベントを観測することができません。ビームが来るのが待ち遠しいですが、いよいよそれが今週末くらいになりそうです。加速器の予定では今週末にビームを周回させるとのこと。もちろん、トラブルがなく全てが順調に進めば、ですが。

まあ、いぜれにせよ、ビームをLHCで周回させ、加速器の調整を行うコミッショニングが始めるのは目前です。


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授業とミーティング

午前中は明日の講義の準備。今週と来週の授業は、私の講義の中ではたぶん一番難しい箇所です。逆に言うと一番面白い部分なのですが、学生に理解してもらえるかどうか。理解というのは、内容を理解という意味ではなく、一番面白い部分だということを理解してもらえるかどうか、という意味です。現代素粒子物理学の骨格の一つであるゲージ対称性の話で、自分自身では、素粒子物理学の不思議さというか、最も魅力を感じる部分の一つです。内容を全て理解できなくても雰囲気を味わってもらえればいいと思っているのですが、几帳面な学生さん達は全てを理解できないと難しいと感じてしまうようで、その辺に教えている側の私と感覚的なギャップがあるようです。授業の中でも、全部理解できなくていいから、面白さを感じて欲しいと伝えてはいるつもりなんですけどね…。

午後は3週に1度の自然科学実験というタイトルの授業。何度か書いているように霧箱等で遊んでもらう実験なのですが、今日の授業では機材がたくさん壊れて、というか、学生さんが壊してしまって、驚きました。わざとでなくてどうやって壊せるんだろう、という部分を壊してしまう学生がいたり、まさか壊さないだろうと思ってもsensitiveな部分なので口を酸っぱくして取り扱い注意と繰り返している部分を壊す学生がいたり、担当3年目の授業ですが、こんなことは初めてでした。こういうこともあるのかと、いい勉強にはなりました。

そして授業関連の後は、大学のATLASグループのミーティング。先週私が出張だったために、2週間ぶりのミーティングでした。自分で手を動かすことは最近ほとんどなく、研究活動と呼べるわずかの時間がこのミーティングです。逆に、1週間のうちでは4年生の卒業実験を一緒にやるのと並んで、一番面白い時間でもあります。研究内容は置いておくとして、今日共通して相談したのは、春の学会で講演をするかどうか。もしするなら、どういう内容、タイトルにするか、でした。というのも、講演申し込み締め切りが29日。このブログを読んでいて発表を予定している方も、そろそろ申し込んだほうがいいですよ。


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アルコールとインフルエンザウィルス

いやー、アルコールでインフルエンザウィルスってやっつけられるんですね。知りませんでした。というか、建物の入り口などに、アルコール消毒してくださいという張り紙とともにアルコールらしきものが置いてありますが、なんでアルコールでインフルエンザウィルスを退治できるんだろう、と不思議に思っていました。

2、3日前、かみさんともそういう話になって、思いついたのでググってみたところ、インフルエンザウィルスっちゅうのは、普通の(多くの?)ウィルスと違って、カプシドの代わりに(?)エンベロープ(表記あってるのか自信なし)なるもので覆われていて、そのエンベロープというものはアルコールで変成・破壊されるのだそうです。ウィルスのくせに細胞膜みたいなもんで外殻を作ってるんですね。カプシドはアルコールで破壊されない(んですよね?)のでウィルスに対してはアルコール消毒しても意味がない、と一括りに思っていたため、インフルエンザ予防にアルコールがなぜ役立つのか、と冒頭の疑問を持っていたわけですが、、、インフルエンザウィルスは違う構造をしてるんですね。

これでわかりました。なぜ予防接種も受けないのに私がインフルエンザにかからないのか(去年は初めてかかりましたが)。そうです。毎日欠かすことのないアルコールでインフルエンザウィルスを殲滅しているに違いありません。これからもガンガン飲まないとなりません。わはは。


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行政刷新会議

すでにニュース等で報道されているのでご存知の方も多いかと思いますが、行政刷新会議事業仕分け対象事業についての意見をウェブで募っています。意見をメールで送れるそうです。これを逃す手はありません。私は当然メールします。科学の未来へ不安を持っている方はぜひ意見表明してください。お願いします。


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久々のゼミ

いやー、今日は久々にゼミをやりました。それもダブルヘッダー。って、そもそも、そういうスケジュールなのですが。

午前中は定例の研究室のミーティング。文献紹介で修士課程の学生が選んで取り上げた論文がなかなか面白かったです。面白いというのは興味深いという意味よりも、むしろ笑えるという意味で、です。内容は、超高エネルギーのニュートリノを加速器を使って生成し、それを地球の裏側(?)に向けて入射。超高エネルギーのため地球1個分くらいニュートリノが進んだところで土と衝突(私たちが普段使う典型的なエネルギーのニュートリノでは地球を1億個程度進まないと物質と衝突しません)、その衝突により生成された中性子を核弾頭にぶつけて、核兵器として使用される前に核弾頭を部分的に破壊して使えなくしてしまおう、という内容です。

そういうネタで研究(?)をしている人がいるというのは噂には聞いていましたが、なかなかにSFチック、機動戦士ガンダムを作るよりも難しそうでかなり笑えました。いや、原理的にはOKですよ。しかし、実現可能性が果てしなくゼロなのです。1000TeVのミューオン加速器をまず作らないとなりません。で、その加速器を動かすための電力は日本の全電力使用量の1/4。いやー、スケールの大きな計画である意味感動はしました。しかも、武器とは書いてなく、核兵器を無力化すると主張してますが、核爆弾を一部(数%と論文では主張)爆破させるわけですから、核弾頭を保管してある基地付近は大変なことになりそうです。

しかも、核弾頭の位置をどうやって正確に知るのかは謎ですし、中性子の遮蔽材である水に囲まれている原潜には無力。今回のミーティングでは研究室のメンバーみんなで大笑いして、ストレス解消になりました。にしても、狙いはミューオン加速器の開発にあるのかもしれませんが、それにしても…無茶すぎます。科学者の範疇を越えていて、ちょっと怖いです。

内容自体はトンデモでしたが、噂に聞いていた論文を読むことができて、個人的には今日のネタはヒットでした。ありがとう、Uくん。

そんな楽しい論文を読んだ後、午後はまず、修士課程の学生と過去の有名実験の論文を読むゼミ。のはずなのですが、有名論文に辿り着く前の物理の記述部分に前回同様、予想以上に時間がかかり、今回も有名実験にまでは辿り着けませんでした。有名論文は次回からになりました。

で、一休みした後に学部4年生とのゼミ。こちらは検出器の教科書を読んでいて、今日は荷電粒子と物質との散乱の話。基本中の基本の話ですが、有名な公式がどうやって導かれたかを導出するのは容易ではなく、かなり大変でした。来週は、こういう検出器関連のゼミでの最重要項目の一つとも言えるフォトンと物質との相互作用の話。Kくん、Fさん、しっかり予習をしておいてね。


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研究室体験とクレートコントローラ

いやー、先週も書きましたが、締め切りに追われる日々から解放されつつあって、精神的にだいぶ落ち着いてきました。昨日はふと木を眺めて、多くの木の葉の色が変わり、葉を落とし始めているのに驚きました。9月中頃から先週くらいまでは無我夢中で仕事をこなしていたので、季節が2ヶ月ほど飛んでしまったように感じます。でもまあ、木の葉を眺めて何かを感じる余裕ができたわけで、人間らしくなってきました。

そんな今日は、午前中は、Saturday Afternoon Physics (SAP) の企画の一つである研究室体験に関するアンケート結果を集計していました。再来週のSAPでは大学の研究室はどんなところか、どんなことをやっているのかを高校生に体験してもらう企画があり、その希望を先週末にアンケートとして集めたので、その結果をまとめているというわけです。結果をまとめたのはいいですが、次の問題はその希望をもとにどうやって振り分けるか。これが難問です。どうすれば、一番公平な分配になるのか、最適化をしないとなりませんが、人数が200人近くで、この企画に参加してくれる研究室の数が12、、、非常に複雑な組み合わせで、考えただけで頭痛がします…。

午後は、これまたSAP関連で、今週末の講義の準備をしていました。運営側(私も一応その一員なわけですが)のプログラム担当者からは1週間前には講義に使うスライドを提出するように言われているのですが、急いで準備しています。まあ何とか形にはなったので、明日にはプログラム担当者に提出するつもりです。

今日の必須メニューの残りは、CERNとのテレビ会議。現場で頑張っているHくんや、シリコン検出器関連のweb toolを頑張って開発してくれたOくんのおかげで、大阪グループが主体的にやろうとしていることがなんとかテクニカルには可能になってきました。この企画をなんとか軌道に乗せるための作戦会議をこれからします。

そうそう、それから今日は修理に出していたCAMACのクレートコントローラが修理を終えて帰ってきました。修理前の見積もりを頼んでいたのに、修理されて、しかも見積もりや請求書まで一緒に送られてきたのには驚きましたが、まあ結果としては無茶苦茶な値段ではなかったのでよかったです。しかし、東陽テクニカはもはや名ばかりで、クレートコントローラの製作、修理は、大栄無線電機というところに丸投げなんですね。最初に連絡を取って、クレートコンローラを送った東陽テクニカの部署の対応が悪くて、宅急便で送ったのにもかかわらず、送ったモノがどこにあるかわからない、という一時は焦った状況になりました。そんなこともありましたが、無事に修理を終えて戻ってきて本当に安心しました。


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色々

今日は全く違うことを3つ書きます。

まず最初は、論文の話。8月末にあったシリコン検出器の会議のproceedingsをだいぶ前に書きあげました。ですが、投稿前に、シリコングループ等のリーダーによるプチ査読があって、色々注文を付けられます。それを待つこと約3週間。ようやくコメントがまとまって返ってきて、特にリーダーの人は一生懸命読んでくれて色々直してくれたのですが、うーん…論文を書くのが下手なのか(他に思うこともありますが、まあ自粛しておきます)、修正された文章は論理的におかしいとこが多くて困っています。私が今まで論文のチェックをお願いしてきた人々には(学生、あるいはポスドクの時はスーパーバイザーに見てもらい、フェルミでは自分が信頼する同僚に見てもらいました)そういうことはなく、むしろ私の文章の論理構成が変なところを指摘してくれました。だからこそ、そういう人々にチェックをお願いしたわけですが…。今回は、プチ査読されるのがグループ内の決まりなので従っていますが、なんだかなー、という気持ちです。

それと、もう一つ訂正された文章が決定的に読みにくいのは、その人がイギリス人だからです。イギリスの人々と会話するのは大の苦手なのですが、文章も私にとっては非常に読みづらいです。一言で言うと非常に冗長に感じます。なんでそんな回りくどく書くんだろう、と気になって仕方ありません。

まあ、私の性格なので、バカ正直に全部の意見を取り入れず、取り入れていいと思う箇所だけ変更して、今、彼らに再提出しました。さて、今度はどういうコメントが来るか楽しみです。

2番目のネタは、今日は大学で行っている高校生向けのレクチャーシリーズSaturday Afternoon Physics (SAP)の日でした。前回2回は出張のため手伝うことができなかったので、久々の参加でした。来週はこの催しで私が講義をするので、学生の反応を見てどれくらいの難しさのことを喋ればいいのか調査する目的もありました。で、その目的は今ひとつ果たせなかったのですが、色々感じることはありました。特に感じたのは、今日の講師は2人とも理学部の人間ではなかったのですが、そのせいなのか、話の組み立てや方向性の違いです。もしかすると、学部の違いではなく、分野が物性から化学だったので、そのせいで違和感を感じたのかもしれませんが、とにかく、同じ大学、あるいは大学院といっても、やってることが違うだけでなく、目指すとこも違うものだと思いました。さて、今日の経験が参考になるかどうかわかりませんが、早いとこ来週の準備を終えないとなりません…。

さて、最後はまたも科研費の話題。そう、昨日、仕分けられましたね。気になる部分を新聞(神戸新聞のサイト)から引用します。

 【競争的資金(若手研究育成)】博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)は「雇用対策の色合いが強い」「民間に資金を出してもらえないか」との意見が相次ぎ、予算削減となった。若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減との結論。

だそうです。科研費には幾つかの種目がありますが、元々仕分け対象になっていたのは、若手研究なんちゃらという種目と、特定領域、新学術領域など。後者2つはどうなったのか(審議されたのかどうかも私は知りません)知りませんが、若手研究は仕分け対象にされた時点で減額されたも同様。みなさんご存知のように、すでに若手研究(S)の公募は今年中止されていますし。というわけで、ある意味予想通りの減額。しかし、いくら減額されるんでしょうね。

ちなみに、若手S,A,B,スタートアップがそれぞれ科研費全体の予算のどれくらいを占めるか調べてみました。順番に1%,3%,10%,1%で合計約15%でした。若手Bって結構の予算を占めているんですね。知りませんでした。研究者になったばかりで自分で自由に使える予算がない若手の救済措置という意味合いがあるので、まあ、そんなもんなんでしょうか。採択率も他に比べて高いですし(新規の採択率はそれぞれ5%,18%,28%,25%)。

と、ここまで調べたら気になったのでさらに調べてみると、基盤S,A,B,Cが占める割合はそれぞれ5%,12%,22%,15%。やっぱり基盤という名がつくだけあって、科研費全体に占める割合は大きいですね。あと、ついでに気になったのが、分野別の採択率。というのも、予算全体に占める割合が生物医学系が莫大なんですね。生物が11%ちょい、で、医学系だけで33%くらい使ってます。どこの大学も医学部の定員は桁違いに少ないわけで、人数だけで言ったら3%(?)くらいですよね。なのに、33%。どれくらいの採択率なのか気になります。まあ、医学系の場合科研費以外にも潤沢な研究資金があるのかもしれませんが…。大学を例に出すと、医学部だけは莫大な赤字。つまり、彼らにはデフォルトで桁違いの運営交付金が支給されてます。さらに、委託研究がいっぱいあるでしょうから。

おっと、話が脱線しまくってしまいましたが、今回の仕分けでは、明確に科学技術関連の予算の削減。それも若手、あるいはこれから研究者を目指そうという人間に対する予算を削る、という路線がはっきりしてますね。科研費の若手研究だけではなく、学振特別研究員の予算も削減され、私は大ーーーーーーきく失望しました。

効果が疑わしいバラマキ福祉一本。財政を苦しくして、私たちの子供たちの世代がより一層苦しくなるような政策。かつ、それだけでは足りなくて、日本を支えてきた、これからも支えるべき科学技術に対する予算を削減。今もすでに老人を支える労働層は苦しいですが、さらに子供たちの世代はどうなっちゃうんだろう、と、恐ろしく不安です。怒りを越えて、恐怖を感じます。


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今日の授業とLHCの近況

今日の午後は昨日に引き続き1年生の実験の授業。ただし担当する実験内容は昨日と違い、実験第1週目の今日は力学でBordaの振り子でした。昨日の授業の受講者は工学部のとある学科、そして今日は基礎工学部のとある学科でした。ちなみに、水曜日には理学部の1年生相手の実験の授業も担当しているので、別の学部・学科の学生を対象に連続で同じような授業をしていることになります。人間観察好きの私にとっては、これは結構面白かったりします。学部が違うせいなのかどうかはわかりませんが、とにかく、クラスによって雰囲気が全然違うんですね。

で、もちろん、教員の話を一生懸命理解しようとしてくれて、やる気がみなぎってるクラスの担当のほうが、私も授業をやっていて楽しいわけで、今日のクラスは教員にとって非常に楽しいクラスでした。あ、色んな人に誤解されそうなので言っておきますが、女の子が多かったから楽しいと言ってるわけではありませんよ。それはそれでもちろん私のモチベーションは上がりますが、それだけではなくて、やる気があるというか、私に質問をしに来る学生が多くて楽しかったです。何かを教えてくれて請われるのは、教員としては嬉しいものです。

と、毎日、どっかのスクールで大学院生相手に講義をした話や、大学の授業の話ばかり書いているので、今日はLHCの近況についてもちょっとだけ書いてみます。自分が研究者でもあるということを忘れそうなので。ははは。

CERNでは先月中頃から末にかけて、LHCにビームを入射するテストが行われました。去年の事故以来1年ちょっとぶりにビームがLHCリングに入れられました。最初のテストではイオンビームを初めて入射(何のイオンだったか忘れました)。ALICEというイオン衝突の実験用検出器付近までビームが届いて、検出器側でもビームが入射されたことを確認したようです。後半のテストでは陽子を先のイオンとは反対向きに入射。入射地点に近いLHCbという検出器でビームが入射されたことによる粒子群を観測したようです。どちらもLHCリングを1周する前のテストで、約1/8周(?)ほどさせるテストでした。

ちなみに、検出器側ではビームを入射するときに、どういう体勢を取るか(=データ収集できる状態にしたいが、検出器の安全も考えないとならない)が最近はさかんに議論されています。例えば、シリコンセンサーにかけるバイアス電圧をどれくらいにするか、とか。

LHCの話に戻りますが、他にもLHCの超伝導電磁石に電流を流し、1TeVちょい相当のビームを曲げるに足る電流を流してもクエンチしないことが確かめられたりして、本格的な実験開始が近いことを感じます。今のところ聞こえて来る限りは大きなトラブルもなく、このまま順調に実験開始できることを願っています。

マイナーなトラブルでは、スラドあたりでも話題になっていましたが、鳥がくわえていた(?)パンを落とし、それが屋外にある電源施設のどっかをショートさせて、LHCが停電になるというアクシデントがありました。普通に停電に備えるfailsafeシステムが作動したので大きなトラブルにはなりませんでしたが、超伝導電磁石を冷やすパワーが落ちて温度が数℃高くなったらしいです。すぐに復旧して磁石を冷やし始めることができたようで、ホント、大きなトラブルにならなくてよかったです。

しかし…なんで鳥が落としたとわかったのかが気になります。バゲットが落ちてたのは確かめられたらしいですが、なんで鳥の仕業だとわかったんでしょうね。


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事業仕分け

もう我慢できません。って、別にここに書くのを我慢する必要ないかもしれませんが…

科研費が事業仕分け対象になるなんて、、、全く納得いきません。もちろん、研究者の生命線といえる予算が対象だから頭にきてるというのもありますが、それ以上に納得いかないのが、事業仕分けの進め方です。本当に無駄をなくすつもりなら全ての事業を対象にするべきだし(今回の対象になってるのは概算要求全体の15%程度だそうです)、各仕分け対象の議論が1時間というのはあまりに短過ぎます。そんな短時間の議論で数十億から数兆円のプロジェクトの意義を理解してもらうのなんて不可能だし、必要かどうか判断することができると思うほうが狂っています。しかも、数億円の予算要求も10兆円の予算要求も一律1時間て…。ありえません。

色んなとこで言われていますが、1) 必要かどうかではなく、切りやすい事業をリストアップし、2) 政治パフォーマンスを行い、そして、3) 財務省主導ですでに筋書きができている茶番、としか思えません。

あまり政治には興味がなかったのですが、ここ数ヶ月は政治(政府)に対して頭にきてばかりいます。

ちなみに、事業仕分け対象になってる文科省のプログラムには、科研費以外にも身近な予算は幾つかあります。予算が削られて当然、あるいは、そもそもそんなプログラムなくても仕方ない、と内部の人間の私が感じるプログラムもあります。そういうプログラムと科研費が並列されてるから余計に「真に必要かどうか」という本来の観点からかけ離れていると感じてしまいます。

さらに、ちなみに、科研費関連で仕分け対象になっている種目の幾つかが廃止されてしまうと、私はATLAS実験を続けていくことが非常に難しくなります。このブログも名前を変えないとならなくなります。って、そんなこと言ってる場合ではなく、本当にピンチです。神様でも仏様でも稲尾様でも、世界中の八百万の神に、科研費が削減されないことを祈りたい気分です。


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