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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

将棋界と物理学会

昨日に引き続き将棋を引き合いに出して、私たち物理学の世界について思うことを書いてみます。

将棋と物理は似てるか似てないかわかりませんが、将棋界の仕組みと物理学会というか科学(学問)を取り巻く環境というのは、驚くほど似ています。自分は将棋関係者ではないので、単なる印象だけで大外れしている可能性もありますが、以下に類似点をリストアップしてみます。

1. どちらも先行き不安。将棋を指す人が年々減っているし、科学、物理離れが深刻。

2. 昨日説明したプロ養成機関、奨励会を含むシステムと、学問の世界は似てる。奨励会=博士課程の学生+ポスドク、プロ棋士=tenureのスタッフ、と置き換えられそう。

3. 将棋は対局と普及、学問、例えば物理屋だったら、物理の研究と普及(=教育)が仕事。

4. どちらの世界もトッププロの負担が大きい。将棋だとごく少数の人の対局のみが集客力がり、かつ強いので対局数が多く、体力的な負担も大きい。かつ、トッププロでないと集客力がないので普及という面でもトッププロに対する負担が大きい。学問の世界も一緒。その分野の第一人者は自分の研究だけでなく、その分野に対する責任を追うような立場につき、委員会、審査、その他で激務。一方、弱いプロ棋士は対局数が少なく、その他の業務も少ないので暇。活躍していない研究者も当然暇。---[注1]

4'. ただし、どちらの世界も普及のみ(と言っては失礼だが)にかけている人がいる。

5. この項目はホントに印象だけなのですが、どちらの業界も浮世離れした考えの人が多そう。端的な例としては、将棋界なら将棋の強い人の発言力が大きいだろうし、物理の世界なら物理の業績いかんで発言力の大きさが決まる。世間一般の常識が通じない可能性がある。ただし、物理と言っても何度か書いているように、高エネルギー物理の世界は普通の学問の世界とは大きくかけ離れていて、浮世離れしている人は業績をあげるのが難しく、よって、高エネルギー物理で現在活躍している人に浮世離れしている人はいない。

6. 5の背景としては、将棋なら奨励会をパスした人への憧れ、学問の世界ならtenureになった人への憧れが大きいからでしょう。つまり、その世界の住人に対する憧れが非常に大きいというのが共通点。

とまあ、比べれば比べるほど似ています。もっとえげつない比較から相似性をリストアップすることもできますが、それはやめておいて、最後に重要な点。

7. どちらも女性に普及していない。耳にタコができるほど繰り返していますが、私は、女性が科学、物理に興味を持ってもらいたいと思っています。特に主婦層の人に興味を持ってもらいたいと常日頃から言っています。彼女たち(とそれを操るマスコミ?)が世界を動かしていると考えているので。ですが、私のような考え方はこの世界ではどうもマイノリティのようです。かつ、プロの将棋界もここ数年の動きを見ると、女性に対する普及を真剣に行っているようには見えません。---[注2]

なんで、どっちの世界も女性を引きこもうとしないのか謎です。いい将棋を指せば、いい研究をすれば、その分野の未来は明るいと考えているわけではないのでしょうが、傍から見ているとそう思われても仕方がないようなところが両者の共通点です。どちらも、経営のプロにでも、集客面からの長期戦略(短期ではありません。ここが重要)を立ててもらったほうがいいように感じます。

それくらい、私は両者の将来を案じています。って、物理の世界のことは今まで何度も書いていますから、今日の長ーい文章の要旨は、私が将棋界の未来を案じているということになってしまいますね。将棋オタクの独白でした。ははは。

[注1]
大きな相違点が一つあります。将棋の世界は活躍している人の収入が多いこと。学問の世界は活躍の度合いによらず給料が一緒。これは大きな違いです。

[注2]
将棋ファンにしかわかりませんが、日本女子プロ将棋協会LPSAというのが設立されました。今までの女流棋士の団体と分裂したのですが、そのLPSAの活躍に期待しています。財政面その他の運営は非常に厳しそうですが。


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