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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

博士論文審査に関する笑える話

今日の物理学専攻の会議は長くてしんどかったのですが、一つ面白い話があったので忘れないうちに書いておきます。

博士(修士)論文の学位審査に関する指針を定めよ、という上からのお触れがあってそれについて議論しました。もちろん、大学の指針、理学部の指針、物理学専攻の指針と元々あったわけですが(それら全てのANDになっていないとなりません)、この話のポイントは「学生から金品を受け取ってはならない」という文言を入れるよう文科省から強く要求されているという点です。審査委員は教授あるいは准教授が何人必要とか、そういう規定が書かれてる所に並んで、学生から賄賂をもらってはならない、と書けというわけですが…いくらなんでもカッコ悪過ぎですよね。というか、そんな規定があったらギャグですよね。公聴会では私語はダメとか、出歩いてはならないとか、廊下を走ってはダメとか、なんか色んなこと書かないとならなくなりそうです。

笑い話として書いていますが、本当の話で、お役人さんの相当偉い人が真剣に全国の大学に指導しているらしいです。ちょっと前に北大でD論の審査をする教授(?)に金品を送っていたということに腹を立てて思いついたらしいのですが、いくらなんでもそんな稚拙な内容を審査指針に盛り込ませようとするって、そのお偉いさんのことが逆に心配になってしまいます。


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半導体検出器

一昨日に引き続き、M1の学生を中心とした人々に半導体検出器の話を今朝しました。

半導体検出器と言っても実用化されて世間で使われているのはほとんどシリコンで、私たち素粒子実験の世界でもシリコン検出器は最早不可欠な検出器の一つになっています。何のために使われているかというと、荷電粒子の飛跡を精度よく測定するためです。磁場をかけておけば、その極率から運動量を求めることができますし、陽子・陽子衝突地点を正確に求めることができたり、などなどご利益が山ほどあるため、現代のコライダー実験ではシリコン検出器なしの実験というのは見当たりません。それくらい私たちにとっては身近な検出器で、今も色々なタイプの新型シリコン検出器の開発が世界各国で行われています。私がATLAS実験以外でやっているSOIというのも、そういう新しい検出器開発の一つです。

とまあ、私たちには馴染みの深かったシリコン検出器ですが(ちなみに1980年代から高エネルギー実験では使われていました)、最近はデジカメ(やムービー)の普及で、実は一般の人も普通にシリコン検出器を使っています。私たちが実験で対象とする光子のエネルギー領域では光子がシリコンと反応する確率はそれほど高くないのですが、可視光領域のエネルギーだと非常に高い確率で可視光はシリコンと反応します。高校生くらいのときに習ったかもしれませんが、光電効果というやつですね。ある閾値を越えたエネルギーの光が物質に入射すると電気が流れるという、あれです。デジカメ等に使われているCMOSセンサーやらCCDというのは、この光電効果を利用してるわけです。

ちなみに、今世間で流行(?)の太陽光発電も同じ原理です。太陽光により光電効果で光を電気信号に変えるわけです。さらについでに言うと、LEDの場合、シリコンに電圧をかけること(無茶苦茶いい加減な表現です…)でシリコン原子中の電子が低いエネルギー準位に落ちるようになり、エネルギーが低いとこに行くわけですから余分なエネルギーが発生し、その余分なエネルギーが光となる、という現象を利用しています。光エネルギーを電気エネルギーにするか、電気エネルギーを光エネルギーにするか、という意味では、シリコンを使った光検出器や太陽光発電とLEDは表裏一体の関係になってます。

計算機に使われているCPUやらメモリーやらもシリコンですし、デジカメもLEDもシリコン。ということで、私たちの身の回りにはシリコン製品、シリコンの物理的特性を生かした製品が溢れかえっています。シリコンなしには現代文明は成り立ちませんね。

ところで、LHCにはATLAS実験以外に3つ実験(検出器)がありまして、そのうち2つはATLASとは違う物理を狙った実験で、もう一つCMSというのがATLAS同様ヒッグスやSUSYを探索する高エネルギー実験装置です。このCMSというのはシリコン検出器を大量に使っていて、いや、ATLASもそれなりに大量ですが、彼らのシリコンセンサー部分の面積は200平方メートルを越えるそうです。15m四方のシリコンセンサーって、強烈ですね。


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