ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

素粒子実験の視覚化

私たちの大学は明日、明後日といちょう祭という名の文化祭のようなもの(秋の文化祭よりは小規模、たぶん)が行われます。今日はその準備日ということで授業はありませんでした。

一般の人が見学に来るので、それに合わせて各研究室が自分たちの研究内容を紹介したり、見せ物的なことをやります。私たちの研究室では毎年M1がこの担当で、今年は研究紹介以外に霧箱の実験をやってみせます。以前書いたことありますが、私も1年生の授業の実験で霧箱を担当しています(説明はこのブログ内を検索してもらえば出てくるはずです)。原子核・素粒子関係の実験というのは視覚に訴えるのが難しいので、内容を理解してないとその面白さがなかなか伝わりません。ところがこの霧箱の実験は、アルファ線が飛ぶ様子が見えるので、わりと好評の実験です。でも、これ以外に視覚化されてわかりやすい実験ってあんまりないんですよね。

物性関係、あるいは宇宙だと一般の人にもわかりやすい、というか凄さを訴えかけやすい展示ができるのですが、素粒子関係の場合視覚に訴えるのが難しいというのが、一般の人への解説でのネックになります。やっぱり目で見てわかるものじゃないとアピールしないんですよね。一般ウケするようないい実験ないですかね?原子核・素粒子関係の人間としては、何か考えていかないとなりません。


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Auger電子

昨日は4年生のゼミがあったのですが、むかーし昔に勉強してそれ以来耳にすることがなかった言葉が出てきたり、普段私のやっている素粒子物理の世界と違って、原子核、あるいは原子物理の世界の話になったりと、4年生以上に私自身が楽しんでいます。タイトルのAuger電子というのも「あー、そういうえば、そういうのあったな」という懐かしい用語です。

簡単に説明しておくと…
原子というのはこのブログを読んでる皆さんならたぶんご存知のように、陽子(と中性子)からなる原子核の周りを電子が囲んでいます。電子は勝手な場所にいられるわけではなくて、ある決まった軌道上に内側から順番に詰め込まれていきます。そして、原子核に一番近いとこに2個、その外側に8個、さらにその外側に18個…と言う具合に、それぞれの軌道に入れる電子の数にも決まりがあります。

ここで、なんらかの理由で一番内側にいた電子が消えてなくなったとしましょう。例えば、電子捕獲(電子と陽子が中性子とニュートリノに変化する反応)、あるいは、外からX線などが原子に入射されて内側の電子を弾き飛ばしてしまった場合、などです。電子軌道が内側にあるほど(他にも量子力学的な状態による影響はあるのですが、今はそれは無視します)エネルギー準位が低いので、エネルギー準位の高いところにいた、つまり外側の軌道にいた電子は内側の軌道に落ち込みます。すると、もともと高いエネルギーのとこにいた電子が低いとこに行くわけですから、その差が余分なエネルギーとして余ります。ということでこの余分なエネルギー(=外側のエネルギー準位と内側のエネルギー準位の差)を電磁波として放射するのが特性X線と呼ばれるものです。

ところが、外側の軌道にいた電子が内側に落ち込まずに原子の外に飛び出してしまうこともあります。この電子のことを発見した人の名前にちなんでAuger電子と呼びます。ちなみに、内側の軌道に落ち込む代わりに原子の外に飛び出したので、Auger電子のエネルギーもやはり外側と内側の軌道のエネルギー準位差のエネルギーになります(だいたい)。

というのがAuger電子の説明なのですが、こんなことすっかり忘れてました。Auger電子という言葉が出てきて、なんだっけ、と考えれば大体のことは思い出せますが、そうでなければ脳味噌のキャッシュからは全く消え去っていました(ハードディスクにはかろうじて保存されていたようですが)。この辺の話って原子核か下手すると原子物理、化学のカテゴリーで、原子核の下層構造の陽子・中性子のさらに下層構造であるクォークの性質を研究してる私にとっては、普段全く取り扱わない内容です。

一言で高エネルギー物理といっても対象とする物理のエネルギー領域は凄く広くて、こういう素過程が、ある粒子を検出するのに重要という実験もあるのですが、ここ数年の私の研究では全く扱うことがありませんでした。久しぶりに記憶をリフレッシュすることができて非常に新鮮でした。これからの4年生ゼミも楽しみです。


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ゼミなど

午前中は毎週定例の研究室のミーティング。午後は修士課程の学生、引き続き博士課程の学生それぞれと研究についての細かい打ち合わせ。その後、4年生のゼミ。ということで、今日は一人でオフィスにいることの少ない一日でした。あ、いや、これから一人でオフィスにこもることになりますが…。

というのも、学振の特別研究員の申請書の大学内の締め切りが30日で、それに合わせて私も推薦書(正式名称は評価書です)を仕上げないとなりません。去年は確かゴールデンウィーク明けが提出締め切りでした。ゴールデンウィーク中海外出張していた私は、出張中にやはり推薦書を書いていた記憶があります。と、書いていて気になってきましたが、申請者の締め切りが30日なだけで、推薦書はもっと遅くてもいいのでしょうか。調べてみよ…いやいや、30日に間に合うなら間に合わせてしまったほうがいいですね。


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私信?

最近、非公開の拍手コメントをちょこちょこ書き込んでくれる方がいます。どうもありがとうございます。色々書いて下さっているので、今日はその方への返信をブログにしちゃいます。ある意味私信ですね。

まずは繰り返しですが、優しいコメントありがとうございます。どういうエントリに興味を持たれているのか参考になるので、非常に有り難いです。

ゴールデンウィークですが、大学のスタッフは国民の祝日以外は休みではありません。なので今日も大学に来ています。春眠だからなのか、1月から出張続きで時差ボケのダメージがボディブローのようにじわじわ効いてきているのか、とにかく最近非常に眠いのですが、残念ながら今のところ昼寝はできてません。プラス、悲しいことに今年は色々と忙しいことがあって、休日もほとんど出勤することになるのではないかと思います…。

トレーラーをオフィスとして使うのはCERNだけではなく、私が昔いたアメリカの国立フェルミ加速器研究所(Fermilab)というところでもトレーラーを使っていました。ただ、実際にトレーラーハウスとして車で引っ張れるのかは謎です。トレーラーハウスと同様に作られているからなのか(?)、そう呼ばれていますが、実際のところトレーラーハウスとして使えるのかどうか私は知りません。ただいずれにせよボロいことは確かで、日本だとプレハブ作りの避難所のような建物をイメージしてもらうといいかもしれません。

宇宙線中の電子過剰の話、そろそろ新しい結果が出るかと思います。私の専門分野というわけではありませんが、もし新しい結果を目にしたらまたエントリーに書きますね。

最後に理系人が恋人にしたいタイプですが、すぐにこれと思いつかないので考えてみました。以下男の立場から書きますが、物凄く正直に書くと、この業界の人間は外見に無頓着かつ自分から女性との接点を作ろうと努力しない人が圧倒的に多いです。それでも福山のようにカッコよければ女性と出会うきっかけも多いのでしょうが、残念ながらそういうことはありません。ということで、好きなタイプがどうなのかはよくわからないのですが、逆にどういう女性とつきあっているか、どういう女性を奥さんにしているかというと、やはり学者という職業に理解のある女性がパートナーになっているのではないかと思います。

最近特に思うのですが、専攻分野によって研究者のタイプが色々違います。例えば私たちの素粒子実験というのは学者肌というよりも、所謂仕事のデキるタイプの人が多いです。かつ優秀な人というのはほとんど仕事中毒といってもいいような人達ばかりで、相当数の人が家庭を犠牲にしてると思います。そういう人について行っている奥さんたちというのは、究極的には夫の職業、つまりは研究に対して理解があるのではないかなぁ、と想像します。

…うーん、質問の答えになってませんね。問題をすり替える政治家のような返事ですね。すみません。もう1度元に戻ると、一般的に理系人が好きなのが理系の女性かと尋ねられると、答えはわかりませんと言うしかないです。唯一思いつくポイントと言えば、見た目が派手な女性は若干敬遠されがちですかね。自分らがもっさいので、腰が引けてしまうのかもしれません。いや、彼女たちに相手にされない、とうのが正解ですか。

ちなみに、私個人の意見は上には含まれていません。恥ずかしいのでここではおおっぴらに書けません。お許し下さい。ははは。

以上、気になることがあればまたご連絡下さい。公開されたくないけど返事が欲しいこと等ありましたら、メールしてもらっても結構ですよ。アドレスはプロフィールにあったはずです。


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1年生研修旅行

物理学科1年生研修旅行というのが毎年この時期に行われています。入学して日が浅く友達もまだあまりいないだろうから、同じ学科内の学生の親睦を深めるきっかけを作って上げよう、というのがそもそもの主旨らしいです。で、その旅行が昨日、今日とありまして、私もその引率、というか副担当者として行って来ました。ただまあ副担当者といっても、物事をしきるのは全てメインのほうの担当者で、私は要請があったときに手伝い、かつ手順を観察しておき来年度に役立てる(つまり来年の担当者が私になります)という役回りでした。

昨日の昼頃大学を出発して、帰って来たのが今日のやっぱり昼頃。ということで約24時間10代後半の若者と一緒にいたのですが…こういう機会は滅多にないので非常に面白いというか、興味深い経験でした。まず、彼らの話す言葉を理解するのが非常に難しかったです。博士課程くらいから以後ほとんどテレビを見ないせいなのか、本当に理解できないことが多かったです。それからとにかくパワフルというか、子供というか、獣のようですね。食事のときなど他人のことなどお構いなしに自分たちだけ腹一杯食べようとするのは衝撃的でした。

それから、引率した教員は物理学専攻と宇宙地球専攻あわせて12人で、今まで話をほとんどしたことのない人中心だったので、色々な人と知り合いになり、かつ専攻の違い、さらには研究ジャンルの違いによってそこにいる人の違いを知ることができたのもなかなか興味深かったです。具体的にはここで書けませんが、前からぼんやりと予想していたこと、自分が考えていたことが、確信に近くなりました。

そうそう、行き先は兵庫県西部の西はりま天文台というところでした。宿泊施設もありそこで一泊。天気が良ければ星を見る予定だったのですが、昨日今日とあいにくの雨。講演を聞いた以外は本当に親睦を深める催しとなりました。


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ウェブで読んだ記事

今日ウェブで読んだコラムにこんな話がありました。ちなみにその文章を書いたのは私たちの大学の総長。

ある心理学者の息子が小学校の授業で卵が新しいか古いかを見分ける方法を教わったんだそうです。卵を割って、黄身が高く盛り上がってるほうが新しくて、平たくなるのが古い、と。割ってからわかるんじゃ何の役に立つのか謎ですが、ここまでなら問題はありません。

ところが、それに関連したテストがあったんだそうです。図のような卵2つのうちどちらを食べますか?という設問です。彼は迷うことなく平たいほうを選びます。で、他のクラスメート全員は盛り上がっているほうを選び、結果、彼だけが不正解。理不尽な話ですよね。その子は相当傷ついたそうです。

なんで「どちらの卵が新しいか(古いか)?」とexplicitな質問にしないのか、というその問題を作った教師に対して腹が立ちますし、それを置いておいても、小学生ながら大人と同様に古いものから食べようとする賢い子供が、それを否定された悔しさに想いを巡らせました。私ならこんな仕打ちを受けたらグレてしまいますね。家で同じ銘柄の牛乳が2本あって新しいほうから飲もうものなら、家族から非難轟々ではありませんか?

そのコラムの本題は、あるコンテクストにもとづかなければ卵が新しいか古いか見分ける知識は孤立していて無駄である。単に知識を詰め込んでも何の役にも立たない。そういう教育、学力テストの意味がない、ということでした。その主張はもっともな話で別に新鮮ではなかったのですが、例として引き合いに出された話があまりにも上手かったので、作ったのではないかと思う反面、流石に面白い話をするな、と感心したのでした。


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解析に追われる

去年の終わりに取ったデータを使って検出器の解析をしています。物理解析ではなく、検出器の性能評価的なことをしています。その結果を幾つかの論文にまとめようという話があって、うちわでの締め切りが今月一杯。そんなわけで、解析とその結果を論文にまとめる作業が今佳境です。

今日も日本時間の夜中にミーティングがあって、そのミーティングで発表するためにあせって解析をやっていました。先月からずーっとやっていたことなのですが、なかなか理解できないことがあって難航していました。が、どうやらその謎も解けたみたいで、解析自身はこれで一段落ということになりそうです。他の人が私が出した結論に納得すれば、あとは図を論文用にきれいなのにするとか、文章を整えるとか、そういう作業だけです。

人を納得させるためにミーティングでは自分で発表したいのですが、先に書いたようにミーティングは日本時間の夜遅くなので、発表用のスライド(実際にはPDFですね)を比較的私の解析を理解している人間に送って代わりに発表してもらいます。今そのスライドを送ったところなので、ちょっと一安心したところでした。さて、みんなが納得するといいのですが。


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4年生ゼミ

昨日から研究室の4年生のゼミを始めました。前にも書きましたが私の担当は検出器関連。教科書としてはこの業界標準ともいえるLeoを使うことにしました。超有名な教科書ですが、不勉強家を自負する私はこの教科書を通して読んだことがありません。パラパラッとめくった感じでは色々面白そうなことが書いてあって、これからのゼミが楽しみです。

ゼミを担当でもしない限り、教科書を通して読むなんていう機会はほとんどありません。なので、ゼミは学生さんへの教育目的なわけですが、担当する教員、少なくとも不勉強な私自身にとっては、自分自身が勉強するとても良いチャンスです。ゼミだけでなく、普通の授業でも同じこと言えます。

ただ大学院生と違って4年生相手というのは緊張する面があります。というのは、大学院生はある程度の方向付けがされていますが、4年生というのはまっさらなんですね。指導教員の影響を強く受けそうなので、正しい方向へ向けないとならないというプレッシャーを若干強く感じます。
…とかなんとか言いつつ、結局のところ、やりたいことをやりたいように私の場合やると思います。きちんとした方向づけはY教授がやってくれるでしょう。ははは。


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写真集その3(ATLASその他)

今日は写真集その3です。

昨日はvisitor roomを含めてコントロール・ルームを紹介しましたが、夜間などはvisitor room経由では建物の中に入れません。下の写真のように番号錠のついたドアから建物の中に入ることになります。
building_controlroom

上の写真はコントロール・ルームへの入り口ですが、同じ地点から右を向くと、
building_atlas_2.jpg
同じようなドアがあって、そこからATLAS検出器のある(実際には地下ですが)建物に入れます。写真のドアから中に入ると、地下100mの地点まで真っすぐ届いている検出器搬入用の大きな穴があります。ちょっとした手すりがあるだけで100m下まで真っすぐ続く穴は、なかなかの見物なのですが、写真では全くその凄さが伝わりません。ということで写真はアップロードしていません。去年の秋はビームを出したので当然その穴には蓋があったのですが、今回はまた外されていました。

ところで昨日はなかなか立派なコントロール・ルーム+visitor roomを紹介しましたが、普段私たちが仕事をしているのは、下の写真のように、コントロール・ルームとはかけ離れた外観の場所です。
trailer
いえ、違うのは外観だけでなく、中身もです…。エアコンすらないトレーラーですから、夏は大して暑くないジュネーブでも(家庭にはほとんどエアコンありません)天井が灼けてしまうためかサウナ状態の劣悪環境です。CERN雇いではない人間のオフィス環境も同様に劣悪です。LHCのために大量の人間がCERNに訪れているので仕方ないとは思うのですが、Fermilab, KEK等の研究所に比べると雲泥の差。機能性より見た目を重視する発想にあふれています。

さて、私のブログにしては珍しくこの3日間は写真をたくさん載せましたが、楽しんでもらえたでしょうか?次回以降はまた通常(?)モードの文字中心になります。


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写真集その2(ATLASコントロール・ルーム)

その1に続いて今回も写真集です。

前回のエントリーにあったPoint 1のゲートを通り抜けると100mか200m先にATLAS実験のコントロール・ルームがあります。実験を行うときにデータ収集のため各検出器の人が詰めている場所です。その入り口が下の写真です。
building_point1
Point 1は写真の右奥で、入り口は写真のほぼ中央です。ということで、この写真は入り口を通り過ぎてから振り向いて撮った状態です。なぜこの構図かというと、背景に怪しげな丸い建物を入れたかったからです。木でできた(?)不思議な建造物で、中がCERNの展示室になっているらしいです。近所にありながら私は行ったことがないので、本当はどうなっているのかよく知りません。

それはさておき、ATLASコントロール・ルームへの入り口を入るとまずは最近完成した小綺麗なvisitor roomがあります。
visitorroom2visitorroom3
少し暗いところに複数のディスプレイと指向性の高い光源での照明なので、写真ではうまく撮れてませんが、一目きれいに展示がされています。なかでも一番の展示はこれです。
visitorroom
展示室からガラス越しにコントロール・ルームを見ることができるのです。わかりますかね?つまり、コントロール・ルームで仕事する人達は動物園の動物。見せ物ですね。ガラス越しに見学に来た人達から仕事振りをチェックされてしまうわけです。私みたいに仕事をさぼってられません…。ちなみに写真に写ってる人間は私で見学者用の端末で一般向けのATLASなどの説明を眺めています。その端末の向こう側が大きなガラス張りになってます。

さて、visitor roomを過ぎるとコントロール・ルームの入り口があります。
entry_controlentry_zoom
入り口のドアはロックされていて、登録された人のみがIDカードを使って中に入れます。私たちのグループのD1の学生にモデルになってもらっています。

で、中に入るとこんな感じです。
controlroom
去年の9月にLHCのビームが初めて周回したときに新聞報道等でもコントロール・ルームの写真はよく使われているので、おなじみの方も多いかと思います。この写真を実際に撮ったのは、上で説明したvisitor roomからです。たまたま人の少ないときで写真撮影には好都合でした。が、データ収集のテストを行っているときなどは、椅子が足りないほど人で溢れかえっています。


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写真集その1(CERN入り口)

土曜の晩無事に家に帰りました。

普段はどこかへ行ってもあまり(ほとんど?)写真を撮りませんが、今回の出張ではちょっとした理由があって、自分にしては珍しく写真を撮りました。そのうちの幾つかを何回かに分けてアップロードします。

gate_cern
CERN出張という話題で何度もエントリーを書いてますが、これがCERNの入り口です。CERNと一言で言っても何箇所かに分かれているのですが、ここがメインのMeyrin siteと呼ばれているところです。このMeyrin siteだけにも何箇所か入り口があるのですが、ここが正門(多分)。

gate_point1
正門と道を向かい合わせて反対側がATLASのあるPoint 1と呼ばれるサイトへの入り口です。車で入るには入構証(実際にはIDカードのカードリーダーがある)が必要です。夜になると写真のゲートのさらに手前にある門が閉じらます。人が入るにも登録されたIDカードを写真右側の門の一部のカードリーダーで照合する必要があります。

border
ついでに、上の2枚の写真を撮ったのと同じ場所からスイスとフランスの国境が見えます。写真中央に写っているのがスイス側のチェックポイント。写真では見づらいですが、その奥にフランス側のチェックポイントがあります。


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短期滞在

今回の出張は非常に短期で、もう明日にはここを発ちます。私のCERN出張はいつも滞在期間がわりと長いので、今回のは凄く短く感じます。その割には、いや、そのためにでしょうか、予想以上に(?)忙しかったです。色んな人と会って話をしたり、短いミーティングに幾つか出たりと、自分で手を動かす作業以外で研究を進めるためにはやらないとならないこと、の処理の連続でした。

そうは言いつつ、昨日はソフトウェアと格闘。あるパッケージを任されているので、更新が追いついていないと苦情が来ます。作業のためのまとまった時間を取れなかったのですが、苦情メールがどんどん来ますので、ミーティングの合間を縫ってなんとかアップデートしました。


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学振特別研究員

4月というのは学振の特別研究員に応募するための書類作成に追われている学生さん、あるいはポスドクの人が多い時期です。少し前のエントリーにも書きましたが、学振関連の書類の多くは所属研究機関を通して提出する場合がほとんどで、大学等では、学振の締め切りよりも少し早い4月末、あるいはゴールデンウィーク直後に特別研究員の申請締め切り日を設定しているところが多いようです。私たちの大学では30日が締め切りです。

学生の人にとっては、自分の研究を提案し研究計画を真面目に書く初めての機会ですので、なかなか大変な作業かと思います。でも、採用されたときの支給額は大きいですから、書類書きが大変でも仕方ないですかね。逆に、数枚の申請書であれだけの金額を貰えるのですから、喜んで書類書きするべきと考えてもいいかもしれません。特別研究員だけでなく科研費にもあてはまりますが、他の国(と言ってもアメリカしか知りませんが)の研究資金の申請書に比べるとかなり書類の枚数が少ない気がします。というか、決まったフォームみたいなのがないので、採用して欲しいがために自然と分量が多くなるのかもしれません。…ある申請書類を見せてもらったことがありますが、あんな分量の申請書を審査員が本当に読むのだろうか?と思った記憶があります。

ところで、支給額ってのは誰がどういう基準で決めているんですかね?DCの比較は何とすればいいのかちょっと思いつきませんが、PDの場合だったら、他の財源で雇用されるポスドクよりもかなり待遇がいいという印象があります。高エネルギー以外の分野のポスドクの待遇を知らないので高エネルギー業界だけに話を絞りますが、日本以外の国のいわゆるポスドクの待遇に比べても相当良いのではないでしょうか。でもその分、かなりの難関のようです。今調べてみたのですが、PDの採用率はこの1、2年では10%弱くらいです。5年前が約15%でピーク、その後は徐々に採用率悪くなってる感じです。ちなみに申請者数はほぼ横ばい。昨年度だけは1割近く減っています。

ついでだったのでDC1とDC2についても採用率を調べてみました。こっちはPDとは対照的に採用率が年々高くなっているようです。数物系というジャンルに限ると、5年前が約13%だったのに対して、昨年度は29%近いです(DC1とDC2では毎年同じくらい)。年々着実に採用率を上げている傾向があります。申請者数は系の分け方が変わっているのでちょっとわかりませんが、昨年度と同じだった過去3年くらいではそれほど変化していません。ということで、博士課程在学中の人は、かなり高い採用率ですので、申請書書かないテはないかな、という気がします。

しかし、PDの採用率減少とDCの採用率増加には、なにか相関がありそうです。というか、学振側の戦略に何か変化があったんでしょうかね。


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非公開コメントなど

非公開(拍手)コメントをいただくことがあります。ありがとうございます。どういう点が面白かったのか、どういことを書いて欲しいのか、などがわかって非常に参考になります。非公開コメントに対しては私からコメントしてくれた方に連絡する方法がないので、ここで改めてお礼を言います。ありがとうございます。


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研究所に常駐する学生

先週の金曜日は研究室の新歓コンパでした。今年は例年に比べて新しく研究室へ入った人が多く、本当に新歓らしい飲み会でした。学部時代は他大学だった人が2人、それぞれ修士課程、博士課程に入学してきたことと、秘書さんが変わったことが、例年より新人が多くなった原因です。秘書さんが毎年交代されると困ってしまいますが、学生さんには活性化のために、研究室を盛り上げるために、外部から入って来る人が毎年いるの歓迎です。

土曜日は一日中子供と遊び、日曜日はCERNへの移動。そうです、今これを書いているのは現地時間の早朝で、CERNの宿舎です。今回はアムステルダム経由だったのですが、丁度いい乗り継ぎ便を確保できず、そこで4時間も待ったので昨晩CERNに着いたのは夜の11時半近くになってしまい、家を出てからほぼ24時間かかってしまいました。普段だと22、23時間程度なのですが。

今回の出張は明日到着するD1の学生へのオリエンテーション(?)を兼ねています。生活面で教えておきたいこともありますが、もちろん一番重要なのは現地滞在の研究者への面通しです。誰がどういうことをやっていて、ある質問があるとき誰に聞けばよいか、などを教えるのが大きな目的です。私の今回の滞在は今週だけと非常に短期ですが、このD1の学生は今回3ヶ月、その後ビザを取るために一旦帰国しますが、その後またCERNにやって来てそこから先は基本的にCERN滞在で研究を進めます。

自分は研究者としてアメリカとスイスに長期滞在したことが合計8年以上あるので、今一人でどこかの国へ長期滞在することになっても、正直それほど大変だとは感じません。が、自分が博士課程で初めてアメリカの研究所に長期滞在したときのことを思い出すと、学生の彼は色々不安が一杯でしょうね。でも、国際共同実験という大きなプロジェクトの現場で研究することは、研究者人生としてはプラスだと信じています。現場で他の研究者にもまれることで、その人の能力が飛躍的に向上します。というか、研究に対する姿勢が桁違いに厳しくなって潜在能力を発揮することができるようになる、というのが正しい表現かもしれません。とにかく、大学の研究室で仲の良い仲間とワイワイやっているのは楽しいですし、それも重要なことだと思いますが、やはり外の世界を経験することで得るものが大きいです。ということで、Hくん頑張って下さい。同じくD1のMくんも何ヶ月後かに一人でドイツの大学に共同研究をしに行きます。彼にも同じエールを送りたいです。

ところで、こういうスタイルで学生を指導できるのって、メールはもちろんテレビ会議が毎日、極端なことを言うと1日中使えるからですよね。昔は遠隔地で研究するの大変だったでしょうし、学生を送り込むのも相当勇気いったでしょうね。


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宇宙線中の(陽)電子過剰

ちょっと前にも書きましたが、最近は宇宙線中の陽電子(電子も)の量があるエネルギー領域で予想よりも多いというのが、宇宙物理、天文、素粒子関係で話題になっています。その盛り上がりを裏付けるかのように、昨日届いた物理学会誌の一番最初の「最近のトピックス」という短めで、その名の通り最近話題になっているネタの解説記事にも、この話が載っていました。

なぜ盛り上がっているのかおさらいすると、宇宙にあると言われている暗黒物質同士がぶつかると、ある確率で消滅をして別の既知の粒子を放出します。その放出される粒子というのは、時には電子・陽電子であったり、陽子・反陽子であったり、光子であったり、、、と、我々の知っている粒子なので、これらの粒子がもし予想よりも多ければ、暗黒物質の衝突→消滅→私たちの知ってる粒子の放出が起こっているということの(弱い)間接的証拠になります。さらに、予想よりもどれくらい増えているか、どういうエネルギー領域で増えているかを解析することで、暗黒物質の性質を絞り込むことができます。現代物理学の最大のミステリーの一つである暗黒物質の性質に迫れるということで、(陽)電子が増えているのかどうかが非常に話題になっているわけです。

ただ、もし暗黒物質がSUSYの予言する粒子だった場合(最有力の候補です)、宇宙論的に予想される量よりも数100倍(?)も多くないと、観測されている(陽)電子の量の多さを説明できないそうです。素粒子実験で暗黒物質を直接観測しようとする実験が世界でたくさん行われていますが、それらの結果とも矛盾しますし、陽電子は増えてるのに、反陽子が増えていないという観測結果もあって、それは暗黒物質の衝突→消滅→粒子・反粒子対の生成というシナリオでうまく説明できないので、暗黒物質起因ではないというのが大方の予想のようです。

が、理論屋の人というのは、どういう観測結果も研究のネタにしてしまうもので、新たな観測・実験結果がでればそれに応じてどんどんモデルやら、仮説を作ってくるものです。最近ちらっと眺めた論文では、暗黒物質との結合の強さがクォークとレプトンでは違うなんていう仮説もありました。それで直接探索と矛盾しなくなり、かつ宇宙線中の反陽子の量が増えていないことをうまく説明できるとかなんとか。内容はともかく、どういう実験結果でも飯のタネにできる現象論屋は逞しいと感心しています。

(陽)電子以外にも昔EGRETという宇宙線を測定する人工衛星による実験で、あるエネルギー領域で予想される量よりもガンマ線が遥かに多いという観測結果がありました。これも宇宙・天文の人にとっては由々しき問題だったわけですが、去年打ち上げられた人工衛星によるFERMI実験での結果で、あっけなくEGRETの観測結果が間違いであるという結論になりました。間違いと言っては正しくないのかもしれません。EGRETの観測結果を再現できなかった、ということでしょうか。そんな真面目な解釈はおいておくとして、EGRETは間違っていたわけです。そもそも、検出器に間違った観測結果を生じさせる可能性があると指摘されていました。FERMIというのは電子の測定も今までよりも格段に精度良く行えるので、電子が多い気配がある、という観測結果の重要なテストになることが期待されています。もう彼らは結果を知っていて、発表前の最終チェックを行っているそうです。

こういう一連の流れを見て思うのは、論文のcitation(参照)回数って本当に意味があるのかわからなくなります。端的に言うと間違った観測結果でも、その間違った結果に基づく解釈が面白い場合爆発的な回数citationされます。citationの回数というのは論文の価値を決めるある尺度になるわけですが、なんか変な気がします。身近な例だと車の修理や病気の治療を思い浮かべてしまいます。

車が故障したとき、あるいは病気のとき、問題点を一発で見抜けず色々な部品を順番に取り替えたり、色々な検査をやり色々な治療法を試し、ようやく車のトラブルを解決、病気を治療したほうが自動車工場や病院は儲かってしまうんですよね。自動車の例だと日本ではわかりませんが、アメリカではそういう仕組みでした。病院は明らかにそうですよね。医者の友達が嘆いていたことがあります。ヤブ医者のほうが保険の点があがる仕組みは大問題だと憤っていました。

citationの回数を論文の価値基準にすることにはこういう危険もあるのかな、とふと思いました。


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さらに新メンバー

研究室に新配属された学生さんへのオリエンテーションを、先週の大学院生対象に引き続き、昨日は4年生を対象にやりました。私たちの研究室では、4年生が研究室でこなすのは、ゼミ2つと卒業研究(プラス、そのための予備実験というか検出器を扱う練習)です。例年はゼミの1つをY教授、もう1つのゼミと卒業研究関連の実験を助教の方が担当するのですが、今年は助教のポストが今空いていて公募中なものですから、4年生向けのゼミと実験の担当が私になります。

ということで、今年の4年生とは今までと違って交流が多くなりそうです。若い人と実際に手を動かして実験するのは楽しみです。私自身、ATLAS実験に移ってからハードウェアを全然触ってなかったので、そういう面でも楽しみです。色々遊べますから。

ところで、配属された4年生は3人で、そのうち1人は女性です。何度も繰り返していますが、多くの女性にこの業界で活躍して欲しいと願っているので、彼女もぜひ高エネルギーの楽しさを実感して、この業界で活躍して欲しいものです。ってまあ、4年生の段階でそう意気込む話ではなりのかもしれませんが。あ、こう書くと他の2人に期待してないような誤解を生じさせかねませんが、決してそんなことはありません。Aくん、Kくんの2人にもぜひこの業界を担う研究者に育って欲しいです。
…そういえば、3人とも修士に進むつもりだということは聞いたけど、その後どうするかは昨日聞かなかったな。


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科研費の書類

博士課程の学生の有力な財源である学振の特別研究員の募集が始まりました。今M2で来年度博士課程進学を予定している人、あるいは現在博士課程在学中の人が申請できます。学生の人にとっては慣れない書類書きで大変かもしれませんが、研究を俯瞰する訓練になるので、勉強の一環として申請書をとにかく書いてみる価値はあると思います。

そういう私は、今日は科研費関連の書類処理に追われていました。科研費を申請して採用が決まると、各年度の初めに毎年交付内定の知らせが来ます。交付予定金額は採用が決まった時に一応決まるわけですが、予算の執行は単年度ごとに行われるので、正式な交付金額の決定は毎年4月初めになります。その交付内定通知を受け取ると、今度は交付申請書を提出しないとなりません。その年の研究目的、計画、予算の使い方などを(私たちの大学では)計3種類の様式に従って提出します。これを済ませてようやく科研費が配分されます。

が、システム的に酷いのは日程です。その交付内定書を大学を通じて受け取ったのが昨日で、交付申請書の事務への提出締め切りが今日。昨日の晩からちょっと書き始めて、今日の午前中はひたすら書類処理でした…。私の場合金額は少ないですが、2つ科研費を取っているので当然書類も各々2枚書かなければなりません。毎年タイトな日程ですが、今年は特にキツかったです。

ところで、この交付申請書の学振(あるいは文科省)への締め切りは4月21日なんですね。学振関係の書類はどういうものでも通常は大学を通して提出で、大学は書類のチェックをしたり、大学全体で提出しなければならないもの(全部で何人提出してるか、などのまとめ)があるので、学振あるいは文科省への提出締め切りよりも早くなければならないことは理解できます。がっ、教員側が書類を準備する期間は約24時間、その後事務側が書類を準備整理するまでの期間が週末を除いて9日間、というのはいくらなんでも差がありすぎる気がするのですが、どうなんでしょう。

とまあ、そういう疑問はさておき、書類書きが終わったのでとりあえずホッとしています。


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新メンバー

私たちの研究室には新M1が3人入りました。誰がY教授のやってるKaonの実験で、誰がATLASグループかというのは基本的に本人たちの希望で決まります(基本的にというのは、人数に偏りがある場合はなんらかの調整をするということです)。このブログでも何度も書いているように、優秀な学生さんの確保というのは私たちの業界では死活問題で(というか、どの業界でもそうだと思いますが)、特に2年半前にATLAS実験に参加して誰もいなかったところからグループをスタートさせている私にとっては、本当に一番の重要問題です。

と、前フリが長くなりましたが、結局3人のうち2人がATLASグループを希望してくれて、今年は(も)何の調整もなくすんなりと実験グループが決まりました。2人来てくれてほっとしています。1人はATLASを前々から希望してくれてたのですが、他の2人については強い希望を聞いたことがなかったので、何人希望してくれるかここ数日ドキドキしていました。合格発表を待つ受験生のような気分だったので、今は本当に安心しています。

これで私たちの研究室のATLASグループは学生が5人(D1x2, M2x1,M1x2という構成です)になりました。これにポスドク1名を加えてだいぶグループらしくなってきました。今までよりも色々なことをグループとしてやれるので、これからの成果に今から期待が膨らみます。


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週末のこと

土日は家族で岡山県の温泉へ旅行に行ってました。私の子供にとっては日本国内で旅行に出かけるのは初めてで、いわゆる日本的な温泉に入るのも初めて(スイスで温泉のプールには入ったことありますが)だったので、温泉嫌いと言われないか心配だったのですが、そんな心配は無用でした。河原の巨大な露天風呂をはじめ色々な風呂に入ったのですが、どこに行っても「気持ちいい」を連発して風呂から出るのを拒むほどでした。

ところで、宿泊した旅館は「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルの一つとなった建物があり、そこの風呂にも入ってきました。映画同様、風呂と食事用の建物で、宿泊客も食事はそこへ移動して食べるというスタイルでした。言われてみると、映画に合わせたのか、仲居さんたちの服装が映画の中の千が来ているのとほぼ同じでした(たぶん)し、全体の雰囲気も似てました。いや、どっちがどっちの真似をしてるのかはわかりませんね。

今回の旅行ではインサイトをレンタカー屋で借りて使いました。エコ好きの妻の選択でインサイトを選んだのですが、ハイブリッドカーを運転したことなかったのでその点も興味深かったです。感想は、やっぱり燃費がいいということですかね。ガンガン走るタイプの私は燃費がいい運転とはいえませんが、それでも20km/lくらいは走っていたようです。ただ高速を多く使っていたので、驚くほどの高燃費というわけでもないのかもしれませんが、それでも私が今までに乗っていた車に比べると2倍近く(以上?)燃費がいいことになります。

バッテリーが充電されているのか、モーターによるアシストを使っているのかがわかったり、燃料消費率から算出した航続可能距離が表示されたりと、面白そうな表示があるので、それらを見ながら燃費運転を心がければ遥かに燃費は良くなりそうでした。何しろ私の場合、山道になると通常よりもアクセルを踏む足に力が入るので、逆の運転タイプの人なら相当燃費延びたと思われます。あと、CVTとアイドリングストップ機能はなかなか面白かったです。

話は変わりますが、私は旅行に行っていたので参加できませんでしたが、関西高エネルギーグループの花見も土曜日にあったはずです。去年は大阪城公園で花見をして、そのときのことをブログに書いた記憶があります。天気はどうたったんでしょう?私たちの旅行先では日曜日は天気良かったのですが、土曜日は雨がちでした。


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放射線関連作業の安全講習

今日は放射線関連の作業従事者に対する安全講習がありました。私たちが実験を行っている研究所でもありますし、それとは別に大学でもあります。新規登録者だとほぼ1日かかるような講習ですが、継続者の私たちは2時間ほどの講習です。

大学で扱う放射線発生物のほとんどは放射性同位元素(放射線源、あるいは単に線源と呼びます)なのですが、それには大きく分けて、密封型と非密封型があります。密封型というのは放射性物質が金属などの容器に入っているので放射性物質が空気中に飛散しませんが、非密封というのはその名が示す通り、取り扱いを間違えると空気中に飛散、汚染してしまいます。私たちが使うのは検出器の反応を見るための弱い密封型線源なので、比較的取り扱いが容易です。しかも、私が今のポストについてから2年半ほど経ちますが、大学で(法律的に放射性物質とみなされる)線源を扱ったことはありません。

ということで、放射線作業従事者として大学で登録する必要はなさそうなのですが、研究所で登録する時には所属大学でも作業従事者になっていないとならないらしく、それでやむを得ず登録してます。あとまあ、修士の学生や4年生の実験の手伝いでもしかすると線源を使うことがあるかもしれない、という理由もあります。それも今まではなかったわけですが。

話を安全講習に戻すと、最初の1時間は毎年医療関連の人の講演で結構面白いです。後半1時間は、法令関連、大学の放射線レベルモニターの話などで、起きているのに根性を要する忍耐力をつけるための1時間です。たぶん、話をする人も大変だと思います。というのも、法律で講習の時間を定められているので、面白い話ではないことがわかっているのに義務で話すほうも話しているわけですから。

医療関連の人の講演は放射線と人体の影響を毎年テーマにしていて、今年はチェルノブイリ原発関連の内容でした。色々興味深かったのですが特に印象に残った点を幾つか紹介します。

1つ目は原発の事故直後風が東から西へ吹いていたので、チェルノブイリより西の地域が放射能汚染したことは最初から知られていたのですが、ときおり風向きが変わって南風にもなっていたんだそうです。チェルノブイリの北にはモスクワがあるので、モスクワが汚染してしまうことを避けるためモスクワの南、チェルノブイリの北で人口雨を降らせたんだそうです。しかも当時のソ連は事故が起こったことを公表せず人口降雨も内緒だったそうです。避難勧告も出さず、人口雨を降らせるって、凄いですね。言葉を失いました。ソ連の秘密主義はまだあって、事故が発覚してからも政府はずっと安全だと言う偽情報を流し、さらには外国の研究者をダマすために汚染地域には、汚染されていない地域で取れた食品を優先的に送っていたんだそうです。それでも汚染地域に近いとこにいた科学者や医者は異常に気づいて(放射線の線量を測定する装置がオーバーフローするくらいの線量があったらしい)、家の窓やドアを目張りして、子供たちを半年くらい家から一歩も出さないという自己防衛をしていたそうです。ちなみに、空気中の放射線量をモニターしていた人達は日本ですら原発事故の影響を観測してたそうです。もちろん人体には何の影響もないくらいの微量な変化ですが。

2つ目は人体が受ける放射線量と発癌率の話で、昔このブログにも書いたことあったような気がするのですが、日本その他の地域での自然放射線量に比べて数倍の放射線量の地域に住んでいる人達の発癌率が少ないんだそうです。もちろん発癌は放射線だけによって引き起こされる話ではないのですが、疫学的にそういう傾向があるらしい、という話でした。誰かも言っていましたが、素人考え的には少量の放射線によって免疫活動が活性化されるんでしょうかね。

あと、ここでも何度か書いているように、日本人というのは世界で一番放射線を恐れる国民だと言われているそうです。にもかかわらず世界で一番放射線の被ばく量が多いんだそうです。医療関連の検査で。レントゲン撮影やらCTスキャンなどの検査のための放射線被ばくです。笑うに笑えない話ですね。

他にも色々面白い話があったのですが、長くなったので今日はこのへんで。


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研究室のオリエンテーション

新年度らしい催しの研究室オリエンテーションがありました。今日のは大学院生として入ってくる学生さんへのオリエンテーションで、学部4年生で研究室配属される人達にはまた別の日時で行います。

事務手続きから始まって、私たちの研究室でやってる研究内の紹介、ゼミで使う教科書をどうするか相談、などなどを行いました。

私たちの研究室ではゼミは3つあって、4年生が2つ、修士課程の学生(M1とM2一緒)が1つのゼミをこなします。ゼミというのは基本的に教科書をみんなで読みます。毎週一回くらいの割合で、教科書を前もって読んできて各回担当の学生が内容の説明をします。それに対して指導教員、他の学生等が質問をして、みんなで議論していく、というのがゼミの大まかな流れです。

修士の学生は物理、もちろん素粒子物理学です、の教科書。4年生の場合は物理の教科書と検出器の教科書の2つを読みます。ということで、修士の学生はゼミ1つ、4年生は2つというわけです。

学生さんはこれらのゼミに加えて、実際の研究を行っていきます。4年生はスタッフがやっている実験とは独立に4年生だけで卒業研究を行いますが、例年、卒業研究に取りかかるのは大学院入試の後でしょうか。院試までの間はゼミと院試のための受験勉強が中心で、プラス、検出器や実験に慣れるように卒業研究の前段階となるような簡単な実験を行います。

修士課程の学生は博士課程の学生ほどではありませんが、活動の中心はゼミではなく研究です。スタッフのやっている実験に参加し、そのプロジェクトを推進する担い手の一人になります。前にも書いたことありましたが、私は大学院時代に研究の面白さに目覚めました。学部まではどうしても研究というより勉強なんですね。それに比べて大学院生になってやるのは、誰も答えを知らない本当の研究で、それが非常に魅力的で今でも同じようなことをしてるわけですね。

今年大学院生になった彼らもそういう楽しさをぜひ実感してもらいたいですし、実感してもらえるよう指導教員としても頑張らないとなりませんね。


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新年度

今日から新年度ですね。とはいえ、研究室を去る学生はもうだいぶ前からフェードアウトしてましたし、新しく来る学生はまだ現れていないので、新年度だと感慨を新たにするようなイベントはありません。

そんな中で唯一劇的な変化は秘書さんでしょうか。今まで私たちの研究室のサポートをしてくれていた人が昨日までで退職して、今日からは新しい人が来ています。私のオフィスの向かいが秘書の人のオフィスなのですが、昨日までと違う人がいるというのは何か妙な感じです。

しかし、辞めてしまった秘書の人は非常にしっかりと仕事をこなしてくれて、お金関係をはじめ重要な仕事を色々任せきりでした。本当にお世話になりました。と今さらながらに思います。新しい秘書の人も早く仕事に慣れて、前任者同様の活躍をしてもらいたいものです。

ところで、このブログを書き始めてから約1年経ちます。今調べてみたところ、去年の4月4日からこのブログ始まってますね。しかも最初のエントリーのタイトルは今日と同じ「新年度」です。1年間よく続いたものです。

私の日常生活をチェックしてくださる奇特な皆様、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


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