ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

明後日からCERN

午前中に締め切りの迫っていた書類を1つ提出、午後は準備を担当していたセミナーが終了。これで残る大きな雑用は来週一杯に迫った実績報告書。ということで、ようやく雑用から解放されつつあります。明後日から3週間CERNに出張ですが、今回は雑用に心を惑わされることなく研究に集中できそうです。しかし、日本に戻ってきてから1週間後にまたCERNに戻るというのは、流石にまたか、という感じがします。

さて今日あったセミナーですが、正直、かなり評判が悪かったです。せっかく準備に時間をかけたのに残念です。アクチュアリーという職業に関する話で、多くの人が興味を持っている職種なので楽しみにしてる人も多かったのですが、内容は私たちが聞きたいことからかけ離れていました。かつ、講師の人にセミナーの主旨が伝わっていなかったようで、トークのポイントそのものも私たちの狙いからかけ離れていました。

なんでこんなことが起こるかと言うと、講師の人に対するセミナーの趣旨説明は人選を行った教授が行うのですが、その時にきちんと説明されていなかったのだと考えられます。そもそも、人選を行った(=その人を知ってる)教授は人選だけ行い、あとはまったくノータッチ。今日もセミナーには表れず運営は丸投げです。講師の人が悪いわけではなく(講師の人は話は上手でした)、組織によくあるコミュミケーション不足ですね。

そもそも今回に限らず、私を含めた数人は準備に関する雑用など実務面だけ任されていて、肝心の講師の人選を出来ないというのが痛いところです。学生に評判が良ければ良いというわけではありませんが、今まで5回のうち4回(今日を含めて)は相当評判悪いんですよね。学生だけでなく、我々くらいの年代のスタッフが聞いても面白いとはいえないものでしたし。今日のセミナーを聴いてい、もしこの運営に携わり続けるなら、講師の人選もやれるよう上の人に嘆願する決心がつきました。

…と、愚痴を書いても仕方ないのですが、ブログにでも書くとちょっとすっきりしますね。ははは。すっきりしたところで、明日はのんびりとして、明後日からの出張に備えるつもりです。


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セミナー準備

セミナー準備と言っても自分でセミナーをするわけではありません。大学院なんちゃらプログラムの一環として、主に大学院学生をターゲットにしたセミナーを大学外から講師を招いて行っています。キャリアパス・デザイン・セミナーと名付けられているのですが、1ヶ月くらい前に同じ話題を取り上げた気がします。博士の学位を取った後に、アカデミックなポジション以外でどんなことできるのか、アカデミックなポジション以外でも博士になることがどう役に立つのか、などなどがセミナーのメインテーマです。

明日そのセミナーがあって、裏方としてその準備を担当しています。講師の人との日程調整、会場の手配、ポスターの準備と配布、メールによる各方面への案内、事前配布物やアンケートの準備、事務との連絡、などが仕事内容です。それぞれは大した仕事ではないのですが、研究とは全く違う内容で手慣れておらず、今しがたも本当に冷や汗が出ました。というのも、セミナーの会場となる部屋の予約日時を間違えていたことに前日の今日になって気づいたのです。運良く明日のセミナーの時間帯が空いていたので変更できましたが、マジで大汗かきました。

昨日書いたように、今週はこのセミナーの準備以外でも書類と格闘したり、残り予算で効率良く買い物をするための組み合わせを考えたりと、ほぼ雑用に追われています。ほんのわずかの隙にちょっとだけ研究してる感じです。で、自分が雑用に追われれば追われるほど、秘書のKさんはしっかり仕事こなしてるなぁと感心します。秘書さんの仕事って守備範囲が無茶苦茶広くて、自分で似たようなことをしてみると大変さがよくわかります。

話を戻すと…そんなわけで大汗かきながら準備してるセミナーです。関係者の人がもしこのブログを見てましたら、ぜひご参加下さい。内容は、生命保険会社に勤めてる方がアクチュアリーがどんなものなのかお話します。


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書類と格闘

今週は書類と格闘する日々です。

年度末関連の書類作成・準備と、学生の幾つかの推薦書とそれらに関する資料作成。あとは大学の会議その他のミーティングで、毎日終わってしまっています。今日は割と最近(ここ1年以内?)某大学の准教授になった同年代の男と話をする機会があったのですが、彼も毎日書類に追われて、ポスドク時代から生活が激変したと言っていました。研究をする時間がないどころではなく、研究のことを考えられなくなってしまったと嘆いていました。

やっぱり皆同じなんだと思うと同時に、事務処理にいくらかは慣れて、将来はもう少し研究に時間をさけるようになるのだろうかと不安になりました。いえ、不安になってる場合ではなく、効率的に事務処理をできるようにならないとなりませんね。その一歩として、MicrosoftのOfficeが消えて欲しいです。ExcelとWord…なんでこんなに使いにくいんでしょう。というか、大学その他の機関が事務処理にExcelやWordのフォーマットを要求することが問題なわけですが…。


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Fine Tuning

今は年度末ということで色々な事務処理があります。研究費を1円単位までぴったりと使い切るのもそういう事務処理の一つと言えます。私の持っている財源は大した額ではありませんが、何億という研究費、あるいは大学のウン十億(?)の運営費でさえも1円単位でぴったりと帳尻を合わせるというのは、日本人って本当に凄いなと思います。

素粒子物理学で超対称性があると嬉しい理由の一つに、ヒッグスボソンの質量に対する放射補正のfine tuningという問題があります。[10の16-19乗]の2乗と[10の16-19乗]の2乗というとてつもなく大きな値同士の引き算が、ヒッグスの質量と予想される100GeVの2乗程度になるのは不自然だ、という問題です。超対称性があると自然にこの問題を回避できる、というのが超対称性のモチベーションの一つだったりします。

このfine tuning問題に比べると大したことありませんが、それでも日本の予算運営の精度って物凄いですよね。例えば、10億だったら10の9乗ですが、それを1円単位まできっちり抑えるのですから、相当のfine tuningと思います。流石、不自然な存在の人間ならではの行為です。実際には10の9乗マイナス10の9乗をしてるわけではありませんが…。

なんてことを書いていますが何を言いたいかというと、予算執行にはもっと弾力性があって欲しいです。研究なんて予定通りに進むわけではないので、ある程度は予定通り予算執行しないとならないとは思いますが、あまりのfine tuningを要求すると無駄遣いを引き起こします。

カラ出張などで予算を現金化してプールしていたという不正ニュースがたまにありますが、現金化したお金を着服しているわけではなく、余ってしまった予算を無駄に消費するのではなく翌年度に回したいがために不正行為を行ってしまうケースも少なくありません。ルール上不正なので勿論やってはならないことなのですが、そういう不正をしてしまう研究者の気持ちを理解できなくはないんですね。

なんとか、臨機応変な予算執行を可能にする制度になって欲しいものです。科研費の繰り越しが可能になって、去年は実際にその制度を利用しましたが、原理上可能でも、実際上はやはり相当面倒でした…。


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学生中心の研究発表の場

どこの研究業界にもあるのだと思いますが、素粒子、高エネルギー業界には学生が中心の研究発表の場として「夏の学校」と「冬の学校」(という呼び名があるのか知りませんが)というのがあります。その一つで、最近では毎年恒例の東大の素粒子センター(正式名称知りません)主催の白馬でのスキー合宿(?)が、昨日か今日くらいから開催されているはずです。私たちのグループの修士の学生も一人それに参加しています。

夏の学校もたぶん同じ形式で、スタッフが大学の特別講義みたいに何コマか講義をし、残りは学生が発表をします。この催しのポイントは午前中と夕方だけ講義、あるいは講演があり、午後の大部分(?)の時間スキーできるということです。そのために、この素粒子センター主催の催しは毎年白馬で行われます。私みたいにスキーが好きな人間にとってはとてもオイシイ催しなのですが、残念ながら私は参加したことがありません。現職に就く前は海外で研究活動していたこと、現職に就いてからは大学の業務があって参加不能、という事情があります。

夏の学校の場合も大抵は山で、スキーが山歩きに変わると思ってもらえばよいかと思います。なぜ海でないのかはちょっと謎ですが、この業界のスタッフ、特に私よりも年代が上の人達は山歩き好きがデフォルト、という事情に依るのかもしれません。

そんな夏冬の学校というのは、もともと欧米であった催しで、普段交流のない学生同士の交流を深めつつ、合宿してちょっと勉強しようという主旨(らしい)です。が、実は他にも色々な意味があります。学生の人達は気づいていないのかもしれませんし、スタッフもお祭り付きのタイプでこういう催しに参加するのが大好きな人は深い意味なく参加しているのかもしれませんが、青田買いするための場として参加しているスタッフも少なくありません。

優秀な人材を確保するというのはどういう職種でも最重要なテーマでしょうし、特に研究なんてほとんど人で決まるので、若くて元気のいい研究者の卵を探すのは私たちの業界の死活問題と言ってもいいほどです。学会もそういう意味では人材探しの場なのですが、夏冬の学校というのは講演だけでなく、生活をともにし、いえ正確に言うと一緒に酒を飲んで、学生が考えていることを色々聞けるという利点があります。学会発表だとみんなそれなりに準備してきますし、指導教員からの指導が入っていますから、ダイレクトに講演者の実力を測れないときがあります。なので、直接話を色々出来るという意味で、夏冬の学校は非常に有意義です。

逆に学生からしても、これからどういう研究をして行くか考える材料の方向です。どんな研究があるのかを実際に最先端で仕事してるスタッフから話を聞くチャンスですから。それから、違う実験、研究をしている同世代の学生と話を聞いて色々情報収集もできます。プラス、青田買いされる立場としては自分を売り込む滅多にない機会でもあるわけです。

そういうわけで、何も考えていないと単なる遊び+勉強の場なのですが、スタッフ学生ともに、それ以上の思惑が水面下で交錯して…いる、いるはず、いるかも(?)しれません。


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チーズ

予定より1時間ほど遅れて、朝10時前に関空に着きました。

そこから家までは電車を乗り継いで帰りました。その道中で、元気のよい小学生高学年か中学生くらいの女の子6、7人の団体と同じ車中に乗り合わせました。私はよくチーズを買って帰るのですが、今回はいつものエメンタールとカマンベールに加え(これらはジュネーブでチェックイン前に買って、高密封状態でスーツケースに入れています)、乗り継ぎのパリで時間があったので、暇つぶしがてら買い物をしてウォッシュタイプのチーズを買って持っていました。

私にとっては明らかにチーズの匂いなのですが、その女の子の団体にとってはチーズの匂いとは全くわからなかったらしく、「臭い、臭い」と言われて参りました。「誰か黙って屁をしたでしょ」とお互い言い合う始末で、見知らぬ人でも割と平気で話しかける私なのですが「それは俺のチーズの匂いだ」とは言い出せませんでした…。

カマンベールなんかは日本でも出まわっていますが、それでも匂いの弱いマイルドなタイプ(日本人好み)が中心ですよね。ウォッシュタイプの(匂いのきつい)チーズなんて滅多にお目にかかりませんし、その女の子たちだけでなく、同じ車両に乗り合わせていた人たちも単に臭いと思っていたんでしょうかね。

ちなみに、輸入雑貨店みたいなとこで輸入チーズを見るとあまりの高さに驚きます。有名なよく出まわっているチーズで値段を確認すると、3倍は軽く超えていて記憶があります(下手したら5倍近かった)。なんであんなに高くなるんでしょう。輸入自動車も高いですし、日本はホントに輸入品の高い国ですね、円高なのに。って、高い理由は為替レートではないのでしょうけど。


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帰国

今回の出張はわりと短期で、もう今日帰国です。これで大阪に戻るのは土曜。1週間だけ大学にいて、3月の初日にはまたCERNに戻ってきます。

今回の出張では、実際に今行っている仕事のテクニカルな情報を色々仕入れ、また、これからどういう方向で研究を進めて行くか考えるための材料を集められ、両面に渡って収穫の多い出張でした。

明日のフライト、空いてるとよいのですが…。


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習慣の違い

日本とそれ以外の国での習慣の違いって色々ありますが、フランス(フランス語圏?)と日本で違うと体感しているのが、鼻のかみかたです。フランス人は静かなミーティング中でも食事中でも、うるさいくらい「ビーン」と鼻をかむのですね。日本だと年配の男性がくしゃみをするときに故意に(?)大きな音を出すのに似てます。なんであんなに大きな音が出るんだろう、ってくらい激しくやります。でも、それは許されている行為で、彼らにとっては気にならないんだそうです。

ところが逆もあって、日本人は鼻水が垂れるほどでないときは、少しだけ鼻をすすりますよね。もちろん程度問題なのですが、かすかに静かにやる分にはそんなに白い目で見られてないように思います。でもフランス人はそれが気になるらしいのです。ということを教えてもらった後、バスなどに乗った時観察していると、確かに誰かが鼻をすすると人の注目がそこへ行きます。

人に教えられ、新聞だか雑誌のコラムでも読んで知ってたのですが、確かに違いはあるもんなんですね。

ついでに外国人から見て日本人の異様な行為は、写真撮影のときのピースサインらしいです。外国人というかアメリカ人から聞いた話なのですが、そもそもピースサインというのは70年代の反戦運動のときのものなので、今時ピースサインをするのは相当怪しいんだそうです。観光地でガンガン写真を撮りまくる行為そのものが鬱陶しいですが、最近は日本人だけでなく中国の人達が派手に団体で写真を撮りまくるようになり、その点では日本人の迷惑度は下がっているようです。が、とにかくピースサインは奇妙らしいので(カルト団体と思うらしい)、怪しく思われたくない人はピースサインは控えた方がいいかもしれません。

あとは有名な話ですが、マスクですね。花粉の季節、飛行機の中、なんだかよくわかりませんが、マスクをする日本人結構いますが、これまた外国の人にとっては怪しいらしいです。フランス人によると、ものすごーい重病人か、変な病気を持ってる人だと思ってしまい、近寄りたくないそうです。アメリカ人によると、顔を隠す不審者。犯罪を起こすつもり、あるいは犯罪者が顔を隠しているかのように感じて、かなり怪しいんだそうです。

こんな話をなんで思いついたかというと、今昼飯を食べてきたのですが、その時に激しく鼻をかむ人が近くにいたからです…。


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知識をアップデート

ミーティングで各方面の研究の進捗状況を聞いたり、色んな人と話をして新しい情報を仕入れて、脳味噌がパンパンです。大学で雑用をこなしているのと違って、脳が刺激を受けているのを実感できます。雑用をこなしてるときって何も考えてません(?)が、今はこれからどういう方向に研究を進めようかとか、今までやってなかった新しい解析方法を試してみたいとか、脳味噌フル回転です。

ということでちょっと疲れたので、今日はこれだけです。


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研究所滞在

実験現場である研究所に滞在するのは、やっぱり研究の面では楽しいです。実験が走っているわけではありませんが、本当にちょっとしたことではかどっていなかった研究が、人から色々教えてもらってどんどん進みます。メールでのやりとりってやっぱり話が進まないんですよね。下手すると返事をもらうだけで一苦労だったりしますし。

Collaboration meetingにもちょこっと出て、LHCのスケジュールの話を聞きましたが、全体のスケジュールではこの前書いた内容に比べて特別新しいことはありませんでした。9月にビームを出して10月に5TeV+5TeVで衝突、11月から物理のデータ収集を始める。2010年の10月までデータ収集を続けるが、スケジュールが遅れた場合は11月一杯まではデータを取り続ける。というのが全体の予定です。冬のシャットダウンも基本的には予定していなくて、クリスマスだか年末年始だけは短いシャットダウンがあるかも(?)しれませんが、例年ある電力代高騰のためのシャットダウンというのはしないそうです。ちなみに、コメント欄になかむらさんという方が書いていましたが、12月1月2月の3ヶ月間は電力代が他の月に比べて2倍から3倍近くになるのですね。そこで電力代を抑えるために、LHCの金(電力代)食い虫である加速器の冷却系(超伝導を作るための)の使用電力を通常の5/8に抑えるとか何とか言ってたような気がするのですが、それで大丈夫なのでしょうか。大丈夫なら最初からその抑えた電力でやればいいのに、と思うのですが…。

スケジュール以外で気になったのは、LHCで陽子を曲げるための超伝導電磁石は陽子のエネルギーを上げるのに伴って磁場を大きくするために電気をよりたくさん流すのですが、7TeVどころか6TeVまで行こうとするとそれなりの台数の磁石がクエンチ、6.5TeVまで行こうとするとかなりの数の磁石がクエンチしそう、というような発表がありました(すみませんが、数字は書きません)。私の聞き違いかもしれませんが、磁石のトレーニングを積むことでどんどん改善されていくものなのですかね。やっぱり、7TeVは大変なのかなぁ、なんて思ってしまいました。

そういう発表があったから、というわけではないのでしょうが、TeV+7TeVではなく、5TeV+5TeVとか、その間のエネルギーでの衝突実験だった場合の、ヒッグス探索能力の評価なんていう研究もすでに行われているようです。

色んな意味で、Tevatronがどんどん延長され続けそうです…。


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研究所常駐の学生

高エネルギー実験を現場で動かしている主役は、研究所に常駐しているポスドクと学生と言えます。日本の場合、助教というポジションがありますが、アメリカなどではassistant professorに近い立場で、通常は教育の義務もかなりおわされます。あと、大学ではなく研究所のスタッフも当然現場で実験を動かしている中心人物です。

実際日本人の博士課程の学生でCERNに常駐して頑張って研究を行っている人も何人かいます。ATLAS実験に限らず、色々な研究所で行われている実験で頑張るために現場に常駐してる学生が結構たくさんいます。彼らは基本的には所属する大学のスーパーバイザーからどういう研究をするのか方向付けをされ(スーパーバイザーから全く束縛力を受けずに、自力でやって行く猛者もなかにはいますが)、実際の作業に関しては現場にいる別のスタッフや学生と協力して研究を押し進めて行きます。

最近他の分野の人と話をしてわかってきたのですが、上下関係の厳しいところとそうでないところがあるようです。理学系とそれ以外でもありますし、理学系の中でも物理と生物では違ったり、さらには同じ物理の中でも素粒子と物性では雰囲気が違うようです。もちろん、個体差はあるのであくまで一般論ですが…。で、高エネルギーというのはどうも非常に自由な環境らしく、上でも書いたようにスーパーバイザーというのは最低限の方向付けを行いますが、学生本人が自分の意志で好きなことをやるような雰囲気があります。ずっと前のエントリーで書いたことあるのですが、この業界ではスタッフのことを先生と呼ばないことが多いです。先生と呼ぶのはヒエラルキーのはっきりした大学で、呼称一つの話なのですが、先生と呼ぶかどうかは上下関係の厳しさと強い相関を持っている感じがします。

話はそれましたが、そういうわけで、博士課程の学生ともなれば研究者の一人として、つまり研究内容を自分で選択して、現場で活躍することになります。もちろん、学生の力量によってはそれが無理でかなりの部分をスタッフに頼る事もありますが、理想としては自分で考えて行動して欲しい、という扱いです。何かを教えてもらうのではなく、どうやって研究を進めて行けばよいのか肌で体得する期間といった感じでしょうか。

現場に常駐して研究している学生は、もちろん研究に追われて時間的には大学で過ごすよりも厳しいと思います。いや、厳しくなくては困ります。しかし、金銭的にはもしかすると大学にいるよりちょっとだけ恵まれているかもしれません。基本的には出張なので、学生であっても当然日当が出ます。どれくらいの額が支給されるかは実験グループによって異なるのですが、最低家賃分くらいはカバーされているのが普通です。私が博士課程の学生でアメリカの研究所に常駐していたときは、ちょうど家賃と同じくらいの日当(実際には月ごとの給料)を貰えていました。


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大きな実験グループ内での主導権争い

私が今個人的に行っている検出器関係の仕事というのは、複数のデータベースにアクセスして検出器の情報を色々な角度から集め、検出器の振る舞いを理解するための汎用解析ツールの作成です。単にソフトウェア的な仕事をするだけでなく、同じような情報が複数のデータベースに蓄積されていたりするので、どのデータベースからどのエントリーを引き出せばいいのかも考えなければなりません。

私以外にも別のアプローチの仕方で似たようなことをやろうとしているグループが幾つかあります。ATLASのような大きな実験グループ内では、このように複数のグループが同じテーマに対して競争を繰り広げている、というのがある意味普通です。どのグループも、つまらないルーティンワークではなく、面白いテーマを見つけてそれをやりたい、という意志がありますから、どうしても主導権争いが起こります。

そういうわけで、巨大実験グループというのは名目はcollaborationですが、本当のところ内部では全くcollaborativeでなかったりします。むしろ他の業界と違って内部での争いなので非常に消耗します。例えば、通常の研究競争だったらどっちが論文を先に出すかとか、学会での論争とかですが、実験グループ内だと基本的に戦いが毎日続くわけです。ミーティングを毎日するとか、1日何十、何百というメールのやりとりがあるとか。最悪の場合、足の引っ張り合いみたいなことがあったりもします。あと、お互いのグループの思想の戦いになっちゃうことがあるんですね。みんな目指すゴールは一緒なのに方法が別で、お互いが自分たちの方法が一番だと主張しあうわけです。

なので、なるべく争いに巻き込まれないようにしながら、自分のやりたいことをやる、というテクニックも私たちの世界では必要です。例えば、重要でありながらまだ他のグループがやっていない研究ネタを探す能力などが必要なわけです。

で、話を戻すと、私が開発していたツールというのは昔から一応動作していたのですが、悲しいかなそれを使って実際の解析をする時間がなく、またコンピュータ環境のアップデートに付いていけず、狙っていた解析の一部を他の巨大グループに先取りされてしまいました。こっちは私1人でやっているのに対して、相手のグループでは5人以上のマンパワーを使っているのですから、まあ仕方ないと言えば仕方ないのですが…。

ここまで読んでもらうとわかるかと思いますが、こういう巨大実験グループ内では自分のやりたいことをやり通すには、一人ではかなり無理があります。意思の疎通のはかれる何人かでグループを作って対抗しないと、なかなか思うように事を進める事ができません。今まではそのための準備をしてきましたが、いよいよ4月からは博士課程の学生2人が一緒に研究を行います(今までは教育的配慮などから完全に別のことをやっていました)。

ということで、先行きが非常に楽しみな今日この頃です。


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学生の生計

博士課程に進む障害として、将来の不安と並んで経済的な問題があると思います。そこで、学生がどのようにして生計を立てているのかいるのかちょっと考えてみます。

博士課程の学生にとって一番オイシいのは学振の特別研究員になることではないかと思います。月々20万円前後(数字は正確ではありません)の給料と、年間100万円前後(最大150万円?)の研究費を貰えます。もちろんそれなりに狭き門で、私たちが科研費をなんとか貰おうと努力するのと同様、学生が説得力のある研究計画を立て、かつ修士課程の間にそれなりに実績を挙げていないとなかなか貰えません。

博士課程在学中の研究を外国で行う場合は、海外学振というのもあります。上の特別研究員と似ていますが、支給額がもっと多かったはずです。こちらはさらに難関と思われます。訂正です。海外学振はPD同様、博士課程取得後ですね。ご指摘して下さった方、ありがとうございます。

次にオイシいかどうかは別として学生がよく利用しているのが日本学生支援機構の奨学金。博士課程の学生だと月々10万円以上支給されてるはずです。博士課程終了後、教育・研究職に就けば返還免除になりますし、(この制度も廃止された、とご指摘を受けました。)仮に返済するとしても、無利子で長期間かけて返済するので、普通の経済成長率であれば(複利の効果で)実質返済金額はかなり元本割れするはずです。ただ最近の日本ではデフレだったので、この恩恵はあまりなかったでしょうね…。あと、最近は成績が優秀だと返済を免除するというシステムもあります。学振の特別研究員もそうですが、頑張ればそれなりに収入を得ることができるようになってきています。

それ以外では、最近はTA(Teaching Assistant)とかRA(Research Assistant?)とか呼ばれるシステムで、学部学生への授業(講義・実験ともに)の手伝いや、研究の手伝いをしているという名目で、家庭教師くらいの時給を大学から貰えます。授業によっては結構忙しいこともあるようですが、大抵は時給の割には労働が少なく、オイシイバイトのように思います。例えば家庭教師だと、良い雇い主を探す苦労、移動時間、生徒に対する責任、などなどがありますが、TAやRAにはこういった苦労がないので、非常に割のいいバイトだと思います。しかも、バイトとは言え、かなりの部分学生自身の勉強にもなりますし…。私が学生の時にもこういうシステムがあると嬉しかったです。

以上が、親や兄弟からの支援以外で学生が収入を得る主な方法ですかね。もちろん普通にバイトというのもあります。研究が忙しくてバイトをする暇がないという話を聞いたりもしますが、実際は人によると思います。本当に研究に没頭していてバイトに行く時間がないような学生もいますし、そうとは思えない学生がいるのも事実です。

参考にはならないかもしれませんが、バイトと学振の特別研究員の収入で親からの経済的援助無しに博士課程まで修了した人もいます。ということで、家が貧乏でも(という表現はよくないかもしれませんが)、博士課程に進学して生きていくことは不可能ではなさそうです。


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昨日の晩飯

昨日はCERNに長期滞在している若手研究者6人とタイ料理を食べに出かけました。私より3つくらい(?)年下のスタッフから博士課程の学生までという年齢構成で、みんな現地で100%研究活動を行っている、私からしたら非常に羨ましい立場の人達です。まあ私も今のポジションに就く前はそういう立場だったわけですが…。

タイ料理は美味しかったですが、ヨーロッパ人向けにチューニングされているために辛味が全体的に少ないです。メニューには唐辛子の印が着いていて、0個から3個までの4段階なのですが、3個を選んでも辛い物好きの日本人にはまったくパンチが効いていません。特注でもっと辛くしてくれるよう頼んだ者もいたのですが、それですら首を傾げるくらいの辛さでした。

そういえばトムハンクスがCERNに来たことが話題になりました。ご存知の方多いかもしれませんが、ダヴィンチ・コードを書いた作家による「天使と悪魔」という本が映画化され、その主役がトムハンクス。CERNを舞台背景に(?)反物質をどーたらこーたらという話のため、宣伝を兼ねてトムハンクスや監督であるロンハワードたちがCERNを訪れて記者会見したらしいです。CERN、あるいは高エネルギー業界が世間に露出されるのは悦ばしいことですね。


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CERN到着

昨日の現地時間22時半くらいにCERNに着きました。前回の成田経由よりも時間がかかりました。経由地の違い(前回はアムステルダム、今回はパリ)と乗り継ぎの飛行機街の時間の差で、伊丹→成田という1本余計な便があったにもかかわらず、家を出てからの所要時間にして1時間程度前回の方が短かったです。

さて、エールフランスですが、可もなく不可もなくというのが正直な印象です。が、私の趣味では、トータルでJALが大差で勝利。次回以降は成田経由のJALを利用することが多くなりそうです。コメントをもらったようにシャンペンを出すこと、それからJALの座席間隔が狭いこと、この2点を除くと全てJALに軍配を上げます。特に私にとって差が大きかったのは、個人エンターテイメントシステムとビール。エールフランスにもゲームなどできる個人テンター底面とシステムあるのですが、映画、ゲームともに圧倒的にJALの勝ちでした。しかも、私の席のシステム壊れていたし…(結局、別の席に移動しました)。折角、通路側かつ、後ろに人がいない、という私のお気に入りの席を奇跡的に確保できたのに、意味ありませんでした。それからビールは、せっかくフランスなんだから一番一般的なクローネンベルグでいいと思うのですが、日本発で手に入らないのかハイネケン。ハイネケンとプレミアムモルツorエビスでは勝負になりません。

ちなみにヨーロッパ、アメリカで私が今まで利用したことのある航空会社の中では食べ物が一番まともだったと思います。JALとどっちが勝ってるかはわかりませんが、個人的趣味ではJALですかね。つまみのおかきが酒のアテに丁度いいです。エールフランスでチーズを好きなだけくれるなら考え直すのですが。あと、これまたコメントにもありましたが、エールフランスでは食事の後放置されます。通路側の人は自由に飲食物を取りに行けるからいいですが、隣の人をおこして席を立つのが苦手な日本人にとっては、窓側はつらいかもしれません。

今回はエールフランスvsJALの話になってしまいました。


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今、関空

CERNへの移動のため今、関空にいます。成田と違ってタダでネットワークを使えるのは本当に嬉しいです。暇な時間を利用して、こうしてブログを書くことできますし。

さてエールフランス、昨日のエントリーにコメントを貰いましたが、スパークリングワインの味や如何に?ちなみにヨーロッパ系の航空会社はどこでもスパークリングワイン出すんでしょうかね?ルフトハンザはシャンパーニュ製ではありませんが(ドイツ産)、スパークリングワイン出します。KLMはどうだったか覚えていません。


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明日からCERN

明日からまたCERNです。約10日間の出張で、今回の主な目的は来週あるコラボレーションミーティングに参加することと、何人かの人と会って2009年度からCERNに長期滞在する博士課程学生の研究計画について議論することです。博士課程の学生が実際に何を行うかだけでなく、私たちのグループ全体の舵取りにも繋がりますので、後者の、人と会っての打ち合わせというのが今回の出張での最重要事項になりそうです。

ところで明日のフライトは関空からエアフランスです。日本・ヨーロッパ間をエアフランスで飛ぶのが初めてなので、機材、サービスがどんなものか興味津々です。混んでないといいのですが…。それにしても関空はやはり遠いです。伊丹、便利なのになぁ。


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LHC最新スケジュール

去年の故障以来修理、及び同じような故障を防ぐための対策を重ねていたLHCですが、その最新計画が正式に発表されました。今年9月末にビームを出して、約1ヶ月かけて加速器の調整。そして5TeV+5TeVで最初の衝突を10月末に目指すことになりました。

当初はその後のスケジュールがはっきりしていなかったのですが、一旦ビームを止めて7TeVを目指すために磁石のトレーンングを積むのか、そのまましばらく走り続けるのかはっきりしていなかったのですが、とりあえず5TeV+5TeVで1年間データ収集を続けることになりました。専門的な言葉になってしまいますが、200pb^-1という統計量の蓄積が目標として設定されました。ヒッグスは見つかりませんが、運がよければSUSYっぽいもの(?)、標準理論では説明つかないイベントが見つかるかもしれない、という微妙な統計量です。まあ実際には、実験初期のデータは検出器の調整などに使われるクオリティで、物理解析できるような良質なデータが取れるかどうかはやってみないとわかりませんが。

昨日、今日、2日間に渡っての修論発表会がようやく終わり(私たちの研究室に所属している学生は全員昨日発表でした)、今日はこれから判定会議。

その後は当然(?)飲み会です。修論を書き終えた学生さんご苦労様、という飲み会です。今回はそれにプラスして、今月一杯でKEKに異動することになった助教の方の送別会も兼ねています。長い間お疲れさまでした、と私も心から言いたいです。って、退職するわけではなくて、これからはKEKで研究活動するわけですが、本当に縁の下の力持ち的に働いてこられた方で、大変感謝しています。

[2009年7月23日追記]
LHCの最新スケジュールについてはこのエントリーこのエントリーをご覧下さい。


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修論発表会

最近のエントリーで何度か出てきた修論発表会。私たちの研究室に所属する学生の本番が今日でした。学会などと違い、学生の試験を兼ねているので、聴衆からの質問に対して指導教員が助け舟を出すことは基本的に出来ません(学会でも登壇者が本来受け答えすべきで、指導教員、あるいはそれに準じる人が答えるのはよくないですが)。指導教員としては忍耐力の要る催しであることがわかりました。

と言いつつ、来年度から博士課程の学生としてATLAS Osakaグループで活動するであろう学生2人は、2人ともしっかりした発表で安心して見ていることができました。4月以降の活躍が楽しみです。

発表を終えた学生のみなさん、お疲れさまでした。


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勉強と研究

博士課程の学生の日常に興味を持たれてる方が複数いるということがわかっているので、何か書こうとは最近ずっと思っているのですが、具体的に何を書けばいいのか考えあぐねています。

例えば私の場合、博士課程の研究は米国のとある研究所の実験でやっていましたので、ほとんどの期間、現地の研究所に滞在して研究活動をしていました。日本にいるのと違って、自分にとって楽しいと思う娯楽は皆無でしたから、ただひたすら研究の毎日で、日常生活について書こうと思っても、別段書くことを思いつかないんですよね。土日も関係なく本当に毎日研究を続けていましたが、研究が面白くなっていた時期だったので、それを辛いと思うことなんて全くなく、本当に研究に没頭していました。将来についての不安も多少はありましたが、そんなことを考えてる暇がないくらい忙しく研究をしていたので、悩んだりする暇はありませんでした。

ということで、ちょっと角度を変えて、学部生のとき、修士課程のとき、博士課程のとき、それぞれの時期にどんなことをしてたのか一言ずつでまとめると、学部生時代はダラダラと遊びつつバイトをして、世間一般のイメージ通りのふやけた大学生生活を送っていました。そもそも4年間遊べそうだから、という理由で大学に入学したのですから、ある意味当初の計画通りの生活でした。ははは。修士課程時代は研究と勉強、ですかね。教科書を読んで勉強したり、講義を聴くのは好きではなかったのですが、修士課程に進むと勉強だけでなく研究をするようになり、研究の面白さに惹かれ始めました。そうなると結果として勉強をしてこなかったので、研究をする上で必要となることを自分で勉強するようになりました。で、博士課程は研究一色ですかね。もちろんそれに必要な勉強は自分でしましたが、基本的には研究中心でした。

たぶん、私の場合に限らず、どこの大学でも学部時代は勉強中心、修士課程で研究の要素が加わり、博士課程では研究者として扱われる、というのが普通ではないかと思います。私の場合、勉強は嫌いだし苦手だったけど、修士課程から博士課程で研究に目覚めて、その結果、今の職業に就くことになったわけです。そもそも遊ぶために大学に入学した人間が研究に目覚めてアカデミックなポジションに就くという、不思議な人生です。人生何が起こるかわからないものです。


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博士課程進学後の進路その2

数日前のエントリーで私たちの研究室で過去10年で博士課程を修了した人の進路を書いたところ、有り難いことにK大学の高エネルギーグループの統計を教えてもらいました(情報を送ってくださった方、再度感謝します)。

1997-2008年度までに博士課程を修了した人が16人(K大は大講座制なので人数が多いですね)。直後に企業に就職した人は0人。ただし、ポスドクをやった後に企業に就職した人が1人。残りは15人全部この業界に残っていて、今ポスドクをやってる人が5人。残り10人はtenureになっているそうです。

前回の宣伝と同じになってしまいますが、やっぱり、博士課程に進んでも将来なんとかやっていける、という印象を受けます。博士課程に進もうか迷っているみなさん、いえ、修士課程終了後就職しようと考えていた学生のみなさんも、もう一度博士課程進学を考えてみてはいかがでしょう?
…やっぱり怪しい宣伝ですかね。

それから、この前書き忘れたのですが、私たちの研究室で博士課程を修了して直後に就職したという3人のうちの1人は、10年ほど前にソフトウェア関係の会社を起業して、今も社長として頑張っているそうです。博士課程の間に研究していたこととは直接関係ない職種でも、博士課程で研究を頑張っている間に培った何かは役立つようです。与えられた課題をこなすのではなく全体を見渡し自分で研究を計画する力、問題があったときにいかに乗り越えるか、研究計画を推し進めるために必要なコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、などなど、研究で身につけることのできる能力と企業が求める能力に結構オーバラップがあるんでしょうね。

話題変わりますが、今日もこれから修論発表会の予行練習。さて、今日は何時に終わるのでしょう…。


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ミーティング漬け

今日は午前中にミーティングが一つ。午後は昼食直後から今まで2つのミーティングと修論発表会の練習で休みなし。というわけでへとへとです。

博士課程進学者のその後の進路を他の大学の高エネルギーグループの人に深切にも教えてもらったので、それについて書こうと思っていたのですが、今日はもう書く気力がありません。というわけで、明日以降その話題に触れます。


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佐賀県

資料探しのためにウェブサーフィンをしていたら佐賀県知事のCERN訪問したというレポートを見つました。そう言われると去年CERNにいた時に、そういう話があったことを思い出しました。私はその訪問の際にはすでに帰国していたので関係なかったのですが。

なんでCERNを訪問したりするんだろうとその時思ったのですが、上のリンクの記事にあるように佐賀県というのは次期大型加速器計画のILC(International Linear Collider 国際線形衝突型加速器)というものを誘致しようとしているんですね。ILCというのはLHCの次の世代のエネルギーフロンティア加速器で、世界的な国際協力のもとなんとか実現させようとしている電子・陽電子衝突型の大型加速器です。

LHC同様莫大なお金が必要ですので、世界のどっかに一つ建設しようと高エネルギー物理学者は画策しているのですが、技術的な問題以上に(?)各国の思惑が絡んで、計画推進がなかなか捗りません。アメリカ、ヨーロッパ、そして日本がそれぞれホスト国になりたくて、水面下の駆け引きが行われている。んだと思いますが、下っ端科学者の私には本当のところどうなっているのかよくわかりません。まあ、真面目な話をすると、LHCの結果が出るまでは計画を具体化させるのは難しいという事実があります。結果次第ではILCを作る興味が薄れる場合があるので。

話は逸れましたが、佐賀県。頑張って欲しいですね。今まで1度しか行ったことがなくて、それほど印象の強い県ではありませんでしたが、これからは応援します。何を応援するのかわかりませんが、とにかくイメージアップしました。

あと全く別の話題ですが、数日前のエントリーでも書いた私が絡んでいる大学院のプログラムの一つに、最近流行のサイエンスカフェがあります。この企画には私は直接は係わっていませんが、大学院生が何やら話をするらしいので、お近くの方はぜひ足をお運び下さい。


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修論発表会練習

今日の午後はこれから修論発表会の練習です。来週月曜の発表会(=形式的には修論の審査)にそなえて研究室に所属するM2全員が順番に予行練習をします。Y教授の指導する学生が2人に、私の指導する学生2人。合わせて4人の練習ですが、何時に終わることやら…。

修論の提出を終えて安心するのは早く、この発表会をクリアしてようやくゴール到達といったところです。残り数日、M2の人は頑張って下さい。


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博士過程終了後の進路

最近の話題の続きで、今日は、私たちの研究室で博士課程を修了した人がその後どういう職に就いたのか調べてみました。簡単に調べられたのが1995年修了までだったので、そこまで遡った結果です。

合計13人が博士課程を修了(年平均1人ですね)、そのうち3人が博士課程修了直後に、つまりポスドクとかにならずに会社に就職。8人がtenureで高エネルギー業界に残っており、2人が現在ポスドクです。現在tenureになっている8人のうち、半数以上はポスドクを経て現在のポジションに就いているのではないかと思います。

自分で調べてみて感じたのは、昨日か一昨日にも書きましたが、世間でイメージされてるほどには就職に苦労していないような印象を受けます。

ちなみに現在産業界で働いている3人は全てコンピューター関係でした。高エネルギーというのは、他の分野と比べて扱うデータ量が桁違いに多く、かつデータ転送速度も高速、という特殊事情があって、コンピューティング資源が莫大に必要となります。以前デルの営業の人と話をしたときに、「買ってもらえるのは嬉しいが、なぜそこまで計算機が必要なのか不思議だ」と言われるほど、CPU、ストレージともに必要とします。そういう環境ですので、この業界の人は他の分野の研究者に比べるとコンピューティングスキルが高い傾向があります。それが3/3がコンピューター関係に就職したという背景と考えられます。ところでこの3人は95, 97, 98年度の修了者で、過去10年に絞ると全員が高エネルギー業界に進んでいることになります。

他の大学、他の研究分野はどういう状況なのか知りませんが、このブログを読んでる修士課程以下の理科系の皆さん、博士課程に進んでもなんとかやっていける気がしてきませんか?そんな気がしてきた人は、博士課程、いや、私たちの大学の私たちの研究室のATLASグループに是非来て下さい。そうだ、別に今修士課程以下の学生である必要はありません。社会人の人、現在別分野の博士課程の人、その他興味がある人はどなたでも私たちのグループにコンタクトして下さい。

…最後は完全に宣伝になりましたね。怪しい霊感商法の広告のようです。ははは。


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先輩の影響

昨日に引き続いて博士課程進学に関する雑感です。

先行き不透明な(少なくとも博士課程に実際に進んだ人以外にとっては)博士課程に進学するかどうかを決めるにあたって強力な影響力を持つのが、研究室にいる先輩ではないでしょうか。実際どこの研究室も、ある年代に博士課程の学生が何人かいるとその後輩たちには博士課程に進む学生が多く、逆に研究室に博士課程が全くいないような状況になると、その後しばらくは寂しい時代が続く傾向があるように思います。例えば、私たちの研究室の状況を現状から遡ると、博士課程進学者/修士課程修了者の変遷が1/3(去年), 1/2, 1/2, 0/2, 0/3, 0/4, 1/4, 0/3, 2/4(9年前)…となっていて、修士課程で卒業するものだ、という雰囲気がなんとなく研究室に漂うと、学生にとっては博士課程に進むのに非常に勇気の要る状況になってしまうようです。ちなみに今年は3/4で、来年もすでに一人確保(Y教授ファンのYさん。なので残念ながらATLASグループではありません…)。ということで私たちの研究室はそれなりにいい流れに乗っています。

私たちの研究室の場合、高エネルギーという性格上いつでも好きな実験ができるわけではなく、興味のある実験の立ち上がり時期が飛び飛びです。実験の立ち上がりの時期がやはり学生にとっては魅力的ですので、その位相が過去の進学率を決めている可能性もあります。ただ、私たちの研究室だけではなく、他の研究室のスタッフからも同じような感想を聞くので、先輩の影響というか、なんとなくの雰囲気というか、そういうのが進学するかどうかの判断材料になっていることは間違いないと思います。

そもそも、進学するかどうかの判断に与える影響だけではなく、修士課程在学中の研究に与える先輩の影響というのは相当大きいです。スタッフにはスタッフの仕事があって、もちろん学生の指導をしますが、四六時中学生と一緒にいられるわけではありません。それに比べて先輩というのはいつも一緒にいて、わからないことがあれば気安く質問でき、困った事があれば目の前ですぐに解決してくれる、身近で最も頼れる存在だったりします。かつ友達みたいなもんですよね。だから先輩からの影響が強いのは当たり前で、博士課程在学中の先輩がいれば、進学に興味が向くのは当然といえば当然なのかもしれません。

そもそも人間って、周りの人間に流されやすいものですからね。一部の優秀な人を除いては、なんとなく周囲と同じにしとけば安心、みたいな部分ありますよね。私自身そういう目的意識のない学生で修士課程まで行きました。スタッフと話をして「学生のやる気がない、目的意識がない」という話を聞くことがあるのですが、そのたびに「すみません、私がそういう学生の代表でした」と言ってるくらいです。そんな私が博士過程に進学することを決めた理由の一つに「なんとなく研究室の雰囲気がそうだった」というのもあったくらいなので、やっぱり研究室の雰囲気や、先輩の影響は強力だなぁ、と思います。


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博士課程への進学状況

昨日書いたように、博士課程の学生に関する話をこれから時々書こうと思うのですが、今日はその第一弾として進学状況です。

と言ってもデータを持っているわけではなし、今すぐわかることはないかと調べてみたのが、今年度の修士修了予定者数と博士課程進学者数です。私たち物理学専攻(私たちの大学の物理学科は、大学院では物理専攻と宇宙地球専攻に分かれます)で約60人が修士を取る見込みで、博士課程進学希望者がたった17人。寂しいですね。ただし、進学する分野には偏りがあります。

まず、理論の学生の進学率は毎年高いです。今年度は素粒子・原子核と物性合わせて約半数の学生が進学します。それから素粒子・原子核と物性を比較すると素粒子・原子核関係の学生の進学率の方がだいぶ高いです。今年度素粒子・原子核では24人修士卒で11人博士進学。一方物性では35人中6人です。しかもその6人のうち理論から5人ということで、物性の実験系ではたった1人という寂しさです。どれくらいの変動が年によってあるのかもっと調べないとわかりませんが、感覚的にはこんなものかなと思います。

という事実を認識すると、ちょっと失礼なのですが、物性の実験系は将来大丈夫なんだろうかと不安になってしまいます。物性実験に限ると21人中1人しかいないんですよ。別分野ながら心配になります。


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昨日の追記

昨日のエントリーに関する追記というか、さらに考えたことを幾つか。

まずはウェブサイトの紹介です。昨日のセミナーの講師の方がセミナー後こそっと教えてくれたのですが、博士課程終了後の就職問題に関するサイトでその名も博士の生き方。昨日書いた事とぴったり重なるテーマで、博士課程を修了した人やポスドクの人の将来について考えるのを目的としたサイトです。現在博士課程在学中、あるいはポスドクの人はもちろんのこと、将来博士課程に進む事をちょっとでも考えている人には非常に参考になるサイトのようです。まだコンテンツを詳しくチェックしていませんが、一目面白そうなので、そのうち私たちのセミナーに、サイト管理者を呼んでしまうのもアリかもしれません。
…なんてことを紹介してますが、有名なサイトらしいので、このブログを読んでる人ならすでに知ってたかもしれませんね。

それから、昨日のエントリーを書いた後で思ったのは、自分で書いた通り、博士課程に進学した人の情報って物凄く少なくて、当事者の私たちでさえそう思うのですから、一般の方、あるいは学生にとっては、博士課程に進学した人がどういう生活をしているのか、D論を書いた後どういう進路に進んでいるのか、などなどは雲を掴むような話ですよね。そう考えると、博士課程に進学する学生が少ないのはある意味当たり前というか、もっと情報発信しないとならないなぁ、と思ったわけです。

そういうわけで、研究者(最近は雑用処理係?)の日常だけでなく、博士課程の学生の日常などもこれからはポツポツ書いていこうと思うのですが…そういう記事を興味深いと思う読者(=上記「博士の生き方」に興味があるような人々)がいるのかちょっと謎です。


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