ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

ICFAセミナーの様子

ICFA(International Committee for Future Accelerators)というのは将来の加速器計画を考えるための委員会です。今回はセミナーということで、色々な実験の現状報告、加速器研究の現状報告などが中心に行われています。普通の国際会議と一番違う(と私が感じる)のは、参加メンバーです。普通の会議では解析や検出器のオペレーションを実験の最前線で頑張っている研究者、ポスドクなど若いスタッフが参加者の中心です(もちろんシニアな研究者もいますが、相対的に若いスタッフが多い)。ですが、今回の参加者はCERNの所長、SLACの所長、ドイツの研究所DESYの所長、日本のKEKの所長、あるいは各研究所の元所長といった具合に、この業界の大物が中心で、私みたいな若造はほとんどいません。ということで、知り合いも少ないため、休憩のときや、バンケットのときなど、自分の身の処遇に困ってしまいます。いや、普通の会議なら知らない人ばかりでも会話の和に加われますが、小心者なのだ所長クラスの人たちの話の輪には入りづらいです。

トークの内容も普通の会議とはちょっと違っていて、あるジャンルの専門的な発表プラスそれについての議論というのが普通の会議ですが、今回のは非常に広い分野からのoreviewの塊といった感じです。また、追い風が吹いているとは言えない基礎科学の一つである高エネルギー物理の将来をどうやって切り拓いていけばいいのか、どういう方向へ持って行くのが
いいのか、そういう観点の議論が多いです。将来をどうするか議論するための委員会主催のセミナーなので当然と言えば当然ですが、初めてこういうものに出席したので私にとっては
新鮮というか、非常に勉強になります。

中でもインプレッシブだったのは、バートン・リヒターというノーベル賞受賞者(1974年にcクォークを発見、翌1975年に受賞)で1999年までSLACの所長をしていた人のトークです。かなりのご高齢で、そのときだけ会場に現れ、しんどいからと自分のトークを終えるとすぐに帰ったのですが、スライドを一切使わずたまにメモに目を落とすだけで、スラスラと色んな話題を語るのには驚きました。話の内容もさることながら、とにかく話が上手でした。

それから気になっていたSUNとMicrosoftの人のトーク。Computing Scienceの話で私には内容を理解するのは難しく、印象に残ったのは内容とは別のポイントでした。そのポイントというのは、2人とも非常にシンプルなスライドだったことです。よく目にするトークで私が嫌いなのは、スライドを作るツールの機能を不必要と思えるほど使ったり、1枚のスライドに内容を詰め込み過ぎて見づらかったり、フォントが小さすぎて字が全然読めなかったり、要は聴衆が見やすいスライドを作ることを心がけていないものです。ところが、2人とも非常にすっきりとした、余計な機能を全く使っていない見やすいスライドだったのが印象に残りました。特に、Microsoftの人はパワーポイントの機能をやたらと使ったゴテゴテしたスライドなのかと思っていたので、完全に予想を裏切られました。

あと、2人ともトークの時間をきっちり守っていたのも印象的でした。高エネルギー業界の欧米人(日本人でも勿論時間を守らない人はいますが、圧倒的に欧米人、特にヨーロッパの人は予定の2倍話す人もいるくらい時間を守らない人が多いです)はトークの時間を完全に
無視して、いつも予定よりスケジュールが遅れます。いつも頭にきている私にとってはこの点でも彼らのトークに好感がもてました。ちなみに、トークの時間を守る人というのは、時間を気にしながら話しているのが聞いていてもわかりますが、割り当てられた時間の2倍もの時間を話す人というのは、時間が過ぎるのを感じないのかと、いつも不思議に思っています。特に、実験のスケジュールの議論をしている時に予定の時間を大幅に過ぎると、ミーティングの時間すら守れない人たちがスケジュールの議論をして意味あるのか、と思ってしまいます。

それから……SUNの人はMacを使ってkeynoteでスライドを作っていたようですが、Microsoftの人はやはりパワーポイントですね。ははは。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

SLACについて

今滞在しているSLACは、サンフランシスコから南に車で1時間弱のところで、サンノゼにも近く、所謂シリコンバレーに位置しています。そのせいなのか、なぜか今回のセミナーではSunとMicrosoftの人もトークをするようです(明日)。SLACはStanford Linear Accelerator Center の略で、元々は隣接する名門(金持ち?)大学スタンフォード大学の付属研究所でした。が、今はスタンフォード大学に運営される政府機関という形式になって、正式名称もSLAC National Accelerator Laboratoryという意味不明な名前に変更されています。

そのSLACですが、気候が温暖かつ一年中天気がいいので有名(本当は雨期と乾期があるようですが、私たち日本人にとっては一年中と感じます)なところです。SLACで働いている日本人と話をしても、やはりここ半年は雨らしい雨は降っていないそうです。そういうわけで、気温は日本より低い感じがしますが、日中の日差しは強烈、非常に爽やかな気候です。こういう天気が毎日続くので、気候的には天国のようなところです。日本人にとっても勿論天国なのですが、アウトドアを愛する欧米人にとっては本当に天国らしく、SLACで働いている人たちは、物理ではなくSLACを(その気候ゆえに)好きだからSLACにいるんだ、と揶揄されたりします。

しかし、その爽やかな気候というのは実は砂漠化の危険と隣り合わせで、車でハイウェイを走るとわかりますが、カリフォルニアは砂漠と言ってもいいくらいです。人間が住んでるところ、あるいは畑にだけ不自然に緑があって、それ以外の場所は砂漠化した荒野が広がっています。私が心配しても仕方ないのですが、カリフォルニアをドライブするたびに、そのうち本当に砂漠になってしまうのではないかと心配になります。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

CP対称性の破れ

今回滞在中のSLACでは、日本のBelle実験と並んでCP対称性の破れ(=CP非保存)に関する実験が行われていました。今回のノーベル賞に関して、自発的対称性の破れ、あるいは質量生成については説明しましたが、CP非保存については全然説明していなかったので、今日はそれについて説明してみます。

物理の世界での対称性というのは、ある操作・変換を行っても元の状態と区別がつかないことを言います。例えば、円い画用紙を回転しても円は円で、回転する前と回転した後の写真を見せられても、どちらが回転前なのか後なのか区別がつきませんよね。これを回転対称性があると言います。正方形の画用紙なら90度の回転に対する対称性があるわけです。

P(パリティ)変換というのは、空間を反転させることで、数学的には座標をx→-x, y→-y, z→-zに変えることに相当します。なので、P対称性がある、パリティが保存している、という状態は、鏡に映った世界と元の世界が区別できない状況のことになります。例えばビリヤードをしてるところを想像して下さい。キューで玉を付いてるところ(キューの先端と玉だけ)をビデオに撮影します。次に同じことをしますが、今度は鏡に映して撮影します。2本のビデオを見せられた人は、どちらが鏡に映されたものかわかりませんよね。どちらもキューで付いた方向にだいたい玉は転がります。パリティは保存しているわけです。

ではパリティが破れているというのはどういう状態かと言うと、上の例を使うと、鏡に映す前(現実世界)はキューの方向に玉が転がったのに、鏡に映した世界ではキューの方向に玉が転がらないことを意味します。日常生活では想像のつかない世界ですね。それもそのはずで、日常生活で感じる力というのはほとんどが電磁気力と重力ですが、これらに関しては(強い相互作用も)パリティを保存しています。ところが弱い相互作用だけはパリティを破っているのです。この事実が発見されたのは古く1957年(だったはず?)なのですが、当時はショッキングな出来事だったようです。感覚的にも受け入れにくいですし。

で、今回の話題CP変換というのは、P変換とC(荷電共役)変換を両方行う変換のことです。ここで、C変換というのは、粒子と反粒子を交換することに相当します。電子と陽電子の交換、陽子と反陽子の交換、などなどです。つまり電子に対してCP変換を行うと陽電子にパリティ変換を施した状態になります。パリティが破れているのは上に書いたように1957年に発見されたのですが、CPは対称性を保存していると信じられていました。にもかかわらず、今度は1964年に中性K中間子という粒子でCPが破れていることが発見されてしまいました。ちなみにこの功績でクローニンとフィッチという人がノーベル物理学賞を受賞しています。

CP非保存という観測事実を説明するために、様々なモデルが提唱され、小林・益川モデルもその一つだったわけです。その後K中間子を使った実験が繰り返され、1990年代末のK中間子を使った実験結果でほぼ小林・益川モデルに絞られました。さらに2001年(と言っていいのか微妙ですが)前後にB中間子を使った実験結果で小林・益川モデルに間違いないことが確認されました。このB中間子を使った実験というのが日本のBelleという実験と、今回滞在しているSLACで行われたBaBarという実験で、小林・益川のノーベル賞受賞にこれら2つの実験の寄与が大きいと考えられています。余談ですが、2001年当時私はBelle実験をやっており、BaBarとは実に熾烈な競争を繰り広げていました。面白いネタもあるので、機会があればそれについてもそのうち書きます。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

SLACへの移動 その2

今、成田で書いた文章をアップロードしましたが、それに引き続きその2を書いています。

成田発サンフランシスコ行きのフライトは結局出発が1時間ほど遅れました。機材の準備が遅れ搭乗が予定より10分から15分ほど遅れたのと、酷い夕立が成田空港を遅い、滑走路に出てから30分以上も待ちました。それにしても、さすはが飛行機。夕立の雨はまあそれほど影響ないですが、地上に止まっているだけなのに、風で凄く揺れるのには驚くというか、感心しました。当たり前なんですけどね。

ということで、空港に着いたのも当然予定より1時間遅れ。待ち合わせをしている人に申し訳ない気持ちと、ちゃんと会えるのだろうか気持ちが入り交じりつつ、入国審査などを済ませた後、あせって到着ロビーに出たところ、気の利くYさんは予定の待ち合わせ場所ではなく、私のフライトの到着ロビーに来ており、私にとっては驚くほどすんなりと待ち人と会うことができました。いやー、ラッキー。

ラッキーと言えば、今回のフライトはover bookingだったために、私は運良くタダでpremium economyというクラスにアップグレードされました。エコノミーとの違いはわずかなのですが、そのわずかな違い(前後、左右それぞれ20センチ、10センチくらい広いでしょうか?)が旅を非常に快適にしてくれました。あと、座席の後ろ側にスクリーンがあるのですが、タッチスクリーンでないことと座席の構造そのもののおかげで、私が嫌いな後ろの人からの攻撃(?)を受けることがなく、非常に快適な旅でした。そして何より…ジュネーブに行くよりアメリカ西海岸は楽ですね。今回は成田経由ですが、基本的には日本から直行便でしかもその所要時間が短く、CERNに行くのに比べて時間的にも疲労感も半分くらいです。

空港に着いてからはレンタカーでの移動でしたが、その移動もスムースで、久しぶりのアメリカでしたが、トラブルフリーな1日でした。唯一の心配は……時差ボケです。今、こっちの時間で夜の11時過ぎなのですが、全く眠くありません。今回の出張の目的はICFAという将来の加速器実験計画委員会(ICFAが何であるのか知らなかったので調べて修正しました)主催のセミナーで勉強をすることなのですが、爆睡しないように気を付けないとヤバそうです。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

SLACへの移動 その1

サンフランシスコ近郊、スタンフォード大学線形加速器センター(SLAC)という所へ出張でやってきました。以下はその旅の途中、成田空港で書いた物です。

いつもは関空を使うのですが、今回は成田経由になりました。関空ではただのホットスポットが色んな所にあるのですが、成田では有料の無線LANしか見つかりません。私が成田空港に詳しくないから見つけられないだけで、どっかにただのホットスポットあるのでしょうか?

そういうわけで、わざわざ有料のネットワークを使う必要もないと思い、出発までのあと1時間半はネットワークなしで過ごすつもりです。

ネットワークはさておき、アメリカへ行くのは久しぶりです。アメリカから日本へ引っ越して来たのが約2年前で、それ以来アメリカへは行っていません。しかも住んでいたのはシカゴ近郊で、今回出張のスタンフォードへ行くのは10年ぶりくらいでしょうか。スタンフォード近くのバークレーへは5年くらい前に行きましたが、それでもかなり前の話ですね。気分的には初めての土地へ行くみたいです。

今回の出張まず第一の難関は、別の便で行く人と空港で待ち合わせをしていることです。到着時間は近いのですが、別の航空会社で、到着ゲートも違います。さらに2人ともサンフランシスコ空港に詳しくありません。そして何より、文明人ではない私は携帯電話を持っていません(日本でも、海外でも、過去も現在も)。そんな私と待ち合わせをする人はもれなくスリルを味わうことができます。いや、今回待ち合わせをする人は別にスリルを味わいたかったわけではありませんけどね。ははは。

…さて、この待ち合わせがどうなることか。


日常 | コメント:0 | トラックバック:1 |

芋煮会

昨日は芋煮会という催しに行って来ました。実はこのブログを書き始めた頃に、関西で高エネルギーをやってる大学による花見のことを書きました。そのときに、同様の催しとして秋には奈良女子大学の主催で毎年芋煮会というのがある。今年はそれに参加したい、と書きました。その言葉通りに参加することができたわけです。

場所は奈良と京都の県境(どちらの県かは私は知りません)で木津川の河原。キャンプ場も併設されており、非常に気持ちのいい場所でした。子供を一緒に連れて行ったのですが、広い河原をおもいっきり楽しんでいました。

で、本題の芋煮ですが、結論を先に言うととても美味しかったです。幼い子供を連れていたこともあり、花見同様準備や片付けを手伝えなかったのは申しわけなかったですが、学生のみなさんが中心となり、一生懸命炭に火をおこし作ってくれた鍋は格別の味でした。味付けは味噌と醤油両方でしたが、奈良女のN教授によると、本来は醤油味でその伝統を守りたいとおっしゃっていました。味噌はまだ許すが、キムチ鍋やカレー風味などは許さないそうですが、さて将来どうなるきおとやら。ちょっとだけどういうものか説明しておくと、味噌味だと芋入りの豚汁、醤油味だと雑煮と思ってもらえばいいでしょうか。地元の方には厳しい定義があるのかもしれませんが…。

毎年の主催だそうですが、奈良女子大の学生のみなさんは準備ご苦労様でした。

話題変わりますが、明日から約1週間アメリカのスタンフォード大学付属の研究所に出張です。ブログの更新は滞りがちになるかもしれません。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

粘着テープからX線

加速器と一言で言っても色々な種類があるのですが、最もシンプルなのは、何らかの方法で高電圧を発生させて、その電位差によって荷電粒子を加速するというものです。「何らかの方法」の一つにヴァンデグラフという発電機があります。仕組みは単純、ベルトを回転させ、そのベルトを摩擦帯電させます。その帯電された電荷は動いているベルトで運ばれ、金属製の球に貯められるので、高電位差(電圧)が発生するというわけです。

摩擦で電気を起こすという意味で、わりと身近な起電方法なのではないでしょうか。自然界で発生する大規模なものが雷です。正確な仕組みは知りませんが、激しい上昇気流やらなんやらで大気が激しく摩擦されることにより帯電され、その放電現象が雷です。

というわけで、冬場乾燥してくると身の回りでも発生する静電気ですが、それを利用した面白い現象が科学雑誌のnatureに紹介されています。と言っても、自分で見つけたわけではなく、前に紹介したことのあるスラッシュドットからのネタなのですが…。

普通の粘着テープ、日本だとセロテープ、アメリカだとスコッチと呼ばれているもので、簡単に(?)X線を発生させることができるのです。テープを普通に剥がすとします。すると粘着面での摩擦でテープが帯電します。この帯電で発生した電位差で電子が加速されるのですが、テープ、すなわち物質に入射すると制動放射という現象でX線が発生します。ただし、大気中ではX線は発生しません。大気中だと、X線を発生させるのに十分な電位差になる前に放電してしまう、つまり電子のエネルギー不足になるようです。

実際にその様子を撮影したビデオがnatureのサイト(ここ)にあります。小さな真空ポンプの中にスコッチを入れ、モーターで単にテープを引き剥がし続けています。シンチレーションカウンターと呼ばれる検出装置が光っているのが見えたり、ガイガーカウンターがバンバン鳴っている様子が撮影されています。さらに面白かったのが指のX線撮影。説明してる人が指をテープの上に置き、さらにその上に写真乾板を置くと、医療用のX線撮影と同じことができてしまいます。ビックリです。いやホントに綺麗に撮れていて、これなら値段の高い医療用X線発生装置なんて要りません。小さな真空ポンプとセロテープさえあればいいのですから。

一つ笑えたのは、テープの種類を色々変えると発生するX線の量が変わるので、別のテープを試したらあまりに大量のX線が発生して、説明している人のうち1人がちょっとビビっていたとこです。なかなか笑えるシーンでした。

追記:
スコッチの取り扱い説明書には、「真空中でのご使用はお控え下さい。被爆の可能性があります。」とか書かれるのでしょうか?


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

授業ダブルヘッダー

へとへとです。というのは、午前中講義を行い、午後は1時から6時過ぎまで1年生の物理実験の授業、と濃密なダブルヘッダーを終えたばかりだからです。実験の授業ではずっと教室にいるわけではなく教員控え室に戻る人もいるみたいですが、私の場合、学生相手の実験は面白いので、ずっと教室にいて学生と話をしたりしています。なので、疲れといっても、立ちっぱなしのためにふくらはぎがパンパンになってたりする足腰の疲れです。ははは。同じ足腰の疲れでも散歩とかならカロリー消費になり体によさそうですが、立ちっぱなしで疲れるというのは…微妙ですね。

話題は飛んで、昨日のエントリーの最後に引用した読売新聞の記事のことですが、一部では反響を呼んだ(?)ようで、詳細を尋ねるメールを貰いましたが、残念なことに、Y教授とは忙しくて雑談するチャンスが最近なくて、私にも新聞記事が一体何を意味するのかわかりません。もし何か知ってる方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せ下さい。ちなみに次にY教授と会うのは2週間後くらいなので、それまでは私から目新しい情報をお教えすることはないと思います。2週間後以降にY教授から何か情報を仕入れたら、またお知らせします。

今日は一つ悪いニュースが飛び込んできました。詳細は敢えて避けますが、これによって私たちの大学での薬品管理がより厳しくなるのではないか、厳しくなるのはまだしも、取り扱いが非常に面倒になるのではないかと予想されるようなニュースです。余波を受けて、放射線源の取り扱いが面倒になるのではないか、という懸念もあります。もちろん、ニュースの主人公はお気の毒ですし、色んな意味で本当に悪いニュースです。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ATLAS実験の近況

LHCの故障のため、実験は再び調整・整備モードに逆戻りしたわけですが、ATLAS実験では本格的な整備期間に入ろうとしています。円柱型の検出器は大きく3つの部分から構成されています。バレル(樽という意味ですね)と呼ばれる中央部分と、その両端を塞ぐような形のエンドキャップからなります。巨大な検出器の外側にはアクセスすることが可能ですが、ちょっと内側でも通常状態ではアクセスすることができません。そこで、今回のような(比較的)長期シャットダウンの時期を利用して、エンドキャップ部分を外側に動かし、通常行えない整備を行うとしているわけです。高エネルギー実験での常套手段ですね。加速器がしばらく動かないときにエンドキャップを開けて検出器の整備をするというのが。

そういうわけで、検出器の整備が行われているわけですが、それに並行して宇宙線が検出器に入射する事象をせっせと収集してます。地表では手の平くらいの面積に1Hz(1秒間に1発)くらいのレートで降り注いでいる宇宙線ですが、地下100mではそういうわけにもいかず、レートは非常に低いです。それでもデータ収集システムのテストになりますし、粒子が検出器に入射したときの反応をモニターできますから、検出器のテストという意味ではそれなりに役立ちます。

例えば、荷電粒子の位置を測定する検出器では、粒子の位置を正確に測定するためには、逆に検出器の位置を正確に把握していないとなりません。そこで、検出器を横切る宇宙線を基準にして、個々の検出器の位置を割り出す作業などが行われています。実際問題としては陽子ビームが衝突すれば、基準として使える大量の粒子を収集できるのですが、まあ、その作業自体のトレーニングというか、作業を正しく行えるかどうかのチェックにもなります。

全然関係ない話題なのですが、先日(と言ってもすでに10日前ですが)こういう読売新聞の記事がありました。ノーベル賞効果で喜ぶベきことなのですが、笑えるのは、この陽子衝突実験の一つで重要な立場のY教授よりも、新聞記事のほうが情報が速いことです。マスコミの人たち、それが商売とはいえ、やっぱり凄いです。色んな意味で怖いですね。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

4年生実験

私たちの研究室には例年、3、4人の4年生が配属されます。配属された学生は研究室で教員たちがやっている実験とは完全に独立に、学生だけで何か実験を行います。で、その結果を卒業論文に纏めます。

この実験に関しては学生が自分たちで何をやるか考えることができるので、ある意味厳しいのですが、外から見てると非常に面白そうです。加速器を使うことなく大学の研究室内で出来ること、という制約がつきますから、必然的に扱う粒子の対象は宇宙線が多くなります。例えば、一昨年の4年生は宇宙線中の地表での主成分の一つミューオンという粒子の質量測定を試みました。

今年の4年生は予備実験として(毎年、卒業研究のテーマの前に、練習としてもう少し簡単な実験を行います。)宇宙線中のミューオンの寿命を測定しています。ただ寿命を測定するだけなら3年生くらいの学生実験でもあるのですが、自分たちで検出器のセットアップを行い、かつ電荷がプラスとマイナスの場合での寿命の違いを見ようとしています。今日の研究室のミーティングでその途中経過が報告されたのですが、とにかく、何から何まで自分たちでやれるというのは、やっぱり実験の醍醐味ですね。ATLASのような巨大実験だと、目指している物理テーマは当然非常に面白いわけですが、反面、数千人の研究者が行っている実験ですので、実験全体に対して自分たちでコントロール可能な部分が本当にわずかになってしまいます。なので、純粋に実験という部分を比べると、面白さは小規模な実験に軍配が上がります。

例えば、飛行機を作るとして、自分で全部作れる模型飛行機と大型旅客機との違いみたいなものでしょうか。模型飛行機なら全てを自分で作れ、自分で飛ばして遊べますが、大型旅客飛行機だとそうではありませんよね。ただひたすらエンジンの部品を作っていたり、コンピューターのプログラムを開発したり、油断すると、自分が作っているのが何なのかわからなくなりそうです。巨大実験にもそういう危険が潜んでいます。

そういうわけで、巨大実験グループにどっぷりと浸かっている私にとっては、より一層4年生の実験が新鮮で面白そうに見えたのでした。
…昔、宇宙線中のパイ中間子が見えたらしいので今年はK中間子ではどうかと、適当なことを博士課程の学生と一緒に言っていましたが、果たして彼らが何をすることになるのか、楽しみです。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

力仕事

今週は先週よりも少し楽な一週間になりそうです。

今日の午前中は主に授業の準備。午後は5時半から今まで研究室内のATLASグループメンバーでのミーティング。昼飯後5時半まで何をしたかというと、研究室内の別の実験グループが使っている装置の配置変えと整理を手伝いました。実家に帰って私がどんなことを実際してるのか知らない親戚の人たちは、学者と聞くと、箸より重い物を持つことがないと思うようです。私も説明するのが面倒なので、まあそうだと答えておくのですが、理論ならまだしも、実験家は肉体労働も結構あります。

例えば、今日の作業では200kg近い(?)光学台を運んだり、私たちの実験でよく使う電子回路のモジュールを収めるクレートというのは非常に重くて、それが数台入ったラックもゆうに100kgを超えるのではないでしょうか。また実験場での装置の設置・調整のときは毎日毎日延々とケーブル張りの作業をしたり、と、肉体労働も結構あります。特に日本では多いですね。私が事情をよく知るアメリカでは、物理屋が作業をするのはかなり少なくて、逆にそういう作業を専門にしている人たちをそれなりに雇っているので、自分たちでやらずに、専門家に任せることが推奨されます。

……同じくらいの規模の実験でも、それに係わる人の数が、日本と欧米では桁違いなんですよね。結局日本では自分たちがやらないと物事が進まないわけで。

それはさておき、この世界の人たちは子供の頃から科学者を夢見ていたような人が多いですが、私の場合、育った環境のせいもあってそういうことはありませんでした。プロ野球の選手になりたいと思うくらいスポーツなら何でも好きで、学校の授業でも体育が一番好きでした。そういう背景もあって、体を動かすこと自体は嫌いではなく、肉体労働も嫌いということはありません。なにしろ、ビールがいつもより美味しくなりますから。ははは。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

昨日のセミナー

昨日のセミナーですが…恐れていたとおり、授業の実験が長引きました。自分の出番は17:30くらいと予想していたので、さすがに17:15までにはセミナー会場に行かないとマズいと思い(授業は低学年教育のために、キャンパス内で私たちのいる理学部と一番離れた位置にあります)、17時には学生に事情を説明して、実験を終了できなかったグループは残りを宿題としてピンチを切り抜けました。(実験と言っても測定自体は非常に簡単で、主な時間は
計算に使われます。残った計算を宿題としました。)

荒技でなんとかピンチを切り抜け、セミナーでは問題なく発表できたのですが、今日はその一部を説明しようと思います。

LHCが巨大なのはご存知と思いますが、なぜそんなに巨大なのかご存知でしょうか?粒子を光速に近く加速(=高いエネルギーまで加速)するのに加速器が大きい方がいいわけですが、それを説明するためには電荷を持った粒子、例えば電子とか陽子、が円形の加速器を周回する時に失うエネルギーを考えないとなりません。電荷を持った粒子は磁場によって曲げられると(円形加速器では軌道を円形に保つために磁場が使われています)、放射光と呼ばれる光を放出してエネルギーを失ってしまいます。この失うエネルギーが一周あたりエネルギーの4乗、粒子の質量の4乗分の1、円軌道の半径Rの逆数に比例します。

……わかりにくいですかね。
例を出すと、粒子のエネルギーが2倍になると失うエネルギーは2の4乗で16倍、粒子の質量が10倍であれば失うエネルギーは(1/10)の4乗で10000分の1、円軌道の半径が100倍になれば失うエネルギーは100分の1になります。

昔、今LHCで使われているトンネルを使った電子と陽電子を衝突させる実験(LEP実験と言います)では、電子を約105GeV(=105x10の6乗 eV)まで加速していたのですが、一周当たりなんと4GeV近くのエネルギーを失ってしまいます。加速器といいますが、加速(曲げることも力学的には加速ですが、単に速度の絶対値を上げるという意味で)せずに速度を保つだけでも一周あたり4%ものエネルギーを加え続けないとならないのです。

ところが電子よりも約2000倍重い陽子を使うLHCでは粒子の速度はLEPよりも早くエネルギー7TeVですが、一周あたりに失うエネルギーはたった[7TeV]x[0.000000001]です(ゼロの数あってるかな?10の9乗分の1程度)。つまり電子よりも思い陽子を使うことでLEPよりも遥かに高いエネルギーまで加速することができるわけです。ちなみに、7TeVの陽子というのは、光速まであと時速10kmです。ジョギングしてる人の速度程度まで光速に近づいてるわけです。凄い話です。現在稼働してる加速器の最高エネルギーはアメリカの国立フェルミ加速器研究所にあるTevatronという加速器でそのエネルギーは約2TeVです(これも陽子)。その速度は光速まであと時速450km。

話を戻すと、そういうわけで、粒子をより高いエネルギーまで加速させたい場合は、重い粒子を使うか、円形加速器の大きさを大きくするしか方法がありません。供給できるエネルギーには限りがありますので。この発想で電子を使ってさらにエネルギーを上げる計画が半径をRを無限大にしてしまう、つまり、円形でなく直線の加速器(liner colliderと言います)というわけです。

そういうわけで加速器が巨大になっているのですが、LEPに比べて難しいのはエネルギー、あるいは運動量と言ってもほぼ等価ですが、エネルギーが70倍程度になったために、円形軌道を保つための磁場が非常に強力でなければならないという点です。そのために超伝導の磁石を周長27kmにわたって設置しています。大量の液体ヘリウムで1.9Kという超低温を実現してるわけですね。

さて、ここまで書いてくると、加速器に使う粒子は電子より陽子のほうが良さそうです。ですが、世の中に電子を使う加速器が多々存在するわけで、もちろんそれには理由があります。それについてはまた次回、いや、気が向いたら書こうと思います。


大学 | コメント:2 | トラックバック:0 |

インフォーマルセミナー

今日は大学でノーベル物理学賞関連のインフォーマルセミナーが行われます。もともとのアイデアは、今回のノーベル賞の内容について素粒子以外の教員にも理解できるような勉強会(?)ということだったのですが、どうせなら学生も参加可能ということで、インフォーマルセミナーとなりました。

基本的には素粒子理論の方が説明するわけですが、今回の受賞、特に小林・益川さんの業績に関しては、実験結果が受賞を強く後押ししたということで、CP非保存の実験をやっている私たちの研究室の教授もCP非保存を検証した実験について解説します。ここまでならいいのですが、最近マスコミで大きく取り上げられたあおりで、いや、効果もあって、LHCでのヒッグス探索に関する解説を私がすることになってしまいました。昨日のエントリーで書いたセミナーの準備というのは、このセミナーのことでした。

しかし、このセミナーの解説、非常にやりにくいです。専門家相手、あるいは逆に一般の方相手なら、ターゲットを絞りやすいのですが、相手が素粒子でない物理の専門家というのは結構難しいです。例えば、LHCの解説をすると、加速器に使われている超伝導電磁石が目玉だったりするわけですが、そういうピンポイントでは物性の磁石専門家がいるわけですね。要は、各ポイントには自分よりも遥かに専門家がいるわけで、まさに地雷原を歩く気分です。

おっと、実はその前に問題があって、インフォーマルセミナーは午後4時半開始なのですが、私は今日の午後、実験の授業があります。通常は6時までが授業時間なのですが、今日は第一回目ということで5時くらいには終わる予定…。そうです、自分のトークは5時半過ぎくらいの予定なので引き受けたのですが、学生が予想・予定通りに実験を終えてくれないと自分のトークに間に合いません。自分のトークの善し悪しの前に、学生さんが期待に応えてくれないとなりません。どうなることやら。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

悲鳴

私にとって今週はタフな一週間です。

授業、研究関係のミーティング(ちなみに私はミーティングは本当に必要最低限なものにしか出ません。発言もしないのにミーティングに出席することを仕事にしてる方もこの業界にはいますが。)、大学の会議、セミナー等、身動きのとれない時間だけ数えても1日平均6時間近くになってしまいます。後期は授業を3コマ持っており、2つが実験で時間を大きく制約されるというのは、ちょっと前に書いた通りです。今週はその授業以外にも色々重なってしまったために悲惨な状況になってしまいました。

これまたしばらく前のエントリーに書いた通り授業の準備にも莫大な時間を費やしている上、今週は学部内の特別なセミナーの準備が必要になり、研究はおろか、毎日終電に間に合うかどうかという生活になってしまいました。だいぶテンパってきているので、このブログで現実逃避ということすらできなくなっています。

というわけで、今日は短いですが(えっ?これくらいの長さのほうが丁度いい?)、これで終わりです。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

数え方

先日、大学の同僚(別の研究室)と食事をする機会があり、その時にノーベル賞受賞者輩出大学の数え方が話題になりました。というか、話題を提供したのは私ですが…。

どっかで聞いた(読んだ?)話では、南部さん所属のシカゴ大学はノーベル賞受賞者を80人以上輩出したとか。シカゴ大はもともと研究嗜好の強い大学で、学部生よりも大学院生のほうが多いくらいで、かつ、アメリカのトップランクの大学ですから、ノーベル賞受賞者が多いのはわかるのですが、それにしても80人超というのは信じ難い数字です。ロックフェラーが設立した大学でIVYリーグなどの名門と違った意味で裕福な大学なんですね。だから、優秀な、有名になった研究者を多く引き抜いているという現実があり、大学を卒業したという意味ではなく、所属した研究者を含めての数ならば理解可能な数字なのですが…本当のところどうなのかはわかりません。

しかし、アメリカにはやっぱり凄い大学が多いですよね。反論を受け付けない私の独断と偏見で選ぶ超がつくトップ大学は、IVYリーグからハーバード、プリンストン、西海岸からはUCバークレーにスタンフォード、中西部の雄がシカゴ大、そして理工系大学ですが、自分が物理ということで、東のMITと西のCALTechを入れた7校です。大学の実績等全く無視で自分の研究歴でのイメージで選んだベスト7ですが、どの大学も優秀な物理屋が多いです。

ですが、面白いのは校風というか、大学の雰囲気が全然違うことです。日本の大学は多かれ少なかれ似通っていますが、その辺は個性があって面白いなと思います。例えば、IVYリーグやスタンフォードはやはり裕福な学生が多いですしキャンパスには伝統を感じます。UCバークレーは未だに70年代が大学に残っています。ヒッピーみたいな人たちがまだうろうろしていて、かつ街もそういう雰囲気なんですね。とはいえ、私が数ヶ月バークレーにいたのはすでに5年ほど前なので、もしかしたら今は変わっているのかもしれませんが…でも、あの強烈な個性は残っていて欲しいものです。

あと面白いのは、同じ大学でもキャンパス内で雰囲気がガラッと変わることがあります。例えばプリンストンのキャンパスでは、学部生の寄宿舎周辺は非常に華やか。学生が乗ってる車がBWMだったりポルシェだったりと、まさにIVYリーグという感じです。が、大学院生がいる場所はそんなことなくて、ごく普通の学生がたむろしています。大学院生は成績優秀で奨学金をもらっている学生が多いのに対して、学部生は非常に高い授業料と寄宿舎などを払わないとならないので、自然とそういう棲み分けが発生しているんでしょうね。

あ、日本の大学のキャンパスと同じな点も1つあります。どの大学も文科系のスクールのある場所は華やかですが、理科系、特に物理あるいは工学などのスクールがある場所は…いやあ、なんと表現すればよいんですかね。読者のみなさんの想像にお任せしますが、そういう違いは日本のキャンパスと一緒ですねー。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

呼称

ノーベル賞関連ネタになりますが、益川さんと一緒に研究をしてたことのある理論の教授から聞いた話で、私にとって共感できる話がありました。

端的に言うと、私は学生に自分のことを「~さん」と呼んでもらっています。私だけでなく、自分の所属する研究室では全てのスタッフが「~さん」と呼ばれています。当然研究室の体質というのは教授で決まるので、教授がそういう体質なのですが、私も「~先生」と呼ばれるのには嫌悪感があり、かつ、同僚のスタッフを「~先生」と呼ぶのは嫌いです。私たちの研究室だけでなく、高エネルギー関係では「さん」づけが多いのかと思っていたのですが、そうでもないみたいですね。今の実験グループに移って、大学によっては「~先生」と学生に呼ばせてるところがあるのを知ったのですが、それは新鮮な発見というか、違和感を覚える出来事でした。

で、益川さんですが、彼も大学院生から先生と呼ばれるのが嫌いで、個性の強い彼は、先生と呼ばれると、そう呼ぶなと言って怒ったそうです。特に大学院生は同じ研究者なんだから、先生と生徒という関係ではないというのが持論だったそうです。

しかし、世間一般では大学教員は同僚のことすら先生と呼んでるんでしょうかね?かく言う私たちの大学でも同僚のことを先生と呼ぶ人が多いですが、うーん、やっぱり私には馴染めません。例えば、私が自分の幼い子供に向かって私の妻のことを「お母さん」と呼んでるのと同様に感じてしまうのです。他にも色々理由はあるのですが(あまり書くと角が立つので書きません)、とにかく大学生活で違和感を感じることの1つです。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

クォーク質量の生成

β+崩壊のところで説明した質量の話がよくわからない、という意見を一般の方からいただいたので、今日は質量生成に関して、原子核(=陽子と中性子の束縛状態。原子は原子核と電子からなる)、クォーク、陽子・中性子などのハドロンと呼ばれる仲間たちについて、少し詳しく説明してみます。

まず原子核。
原子核の多くは複数の陽子と複数の中性子からできています。ところが、原子核の質量=陽子の個数x陽子の質量+中性子の個数x中性子の質量ではなく、陽子と中性子をくっつけてる強い力によるエネルギーを考慮に入れないとなりません。正しくは、原子核の質量=陽子の個数x陽子の質量+中性子の個数x中性子の質量-結合エネルギーとなります。この前は説明を簡単にするために(陽子・中性子の質量との類推を持ち込むために)、結合エネルギーの符号についてはきちんと説明しませんでしたが、実際にはここでの結合エネルギーはプラスと定義します。ポイントは、原子核の質量はそれを構成する陽子と中性子の質量を足しただけではダメ、ということです。なので、陽子と中性子の質量だけを足し上げるとホウ素のほうが放射性同位元素の炭素よりも重くなってしまいますが、結合エネルギーも考慮に入れると放射性同位元素の炭素のほうがホウ素よりも重く、崩壊してもよいということになります。

次にクォークの質量。
よくある説明を真似ると、真空中にはヒッグス粒子で満たされた場が存在し、ヒッグス場が自発的に対称性を破ると、クォークはヒッグス場からの抵抗を感じ、その抵抗がクォーク質量となります。逆にヒッグス場が対称性を破る前にはクォークはヒッグス場からの抵抗を感じることなく、質量がゼロと考えられます。この段階でのクォークの質量、例えば陽子を構成する(陽子は2個のuクォークと1個のクォークでできている)uクォークの質量は多分4MeV程度、dクォークの質量は7MeV程度と考えられています(測定はされていない、できない)。ちなみにここで破れた対称性はヒッグス場だけではなく、クォークが質量を獲得した結果、カイラリティと呼ばれる対称性(次の段落で説明)も破っています。

スピン1/2を持つフェルミオンと呼ばれる粒子(=電子やクォークなど)はそのスピンの向きで、右巻きと左巻きと区別されます。カイラル対称性というのは、フェルミオンの質量がゼロのときに保存され、右巻き粒子と左巻き粒子が混ざり合わない状態のことを言います。つまり、同じ電子、同じuクォークでも、左巻きと右巻きではあたかも別粒子であるかのように振る舞うわけです。ところが、質量を持つと、左巻きと右巻きの粒子が混ざり合うので、カイラリティを保存しないことになります。質量というのは、左巻きと右巻き粒子を混ぜ合わせる度合いの強さ、とも言えます。

クォークが質量を持った後で問題になるのが、陽子あるいは中性子などのクォークの束縛状態であるハドロンと言われる粒子の質量です。2つ前の段落で説明したように、u,dクォークそれぞれの質量を足しても20MeV程度にしかならず、938MeVの陽子質量には到底足りません。ここでの主役は、クォーク・反クォーク対です。宇宙ができた当初質量ゼロであったクォークは、ヒッグス場が対称性を自発的に破ることで、質量を獲得します。さらに宇宙が冷えると、クォークと反クォークとの間に強い相互作用による強い引力が働きます(宇宙の温度が高いときは、その引力は弱かった。)。結果として、空間のあらゆる場所をヒッグス場が存在するように、クォーク・反クォーク対があらゆる空間に沈殿し、その沈殿状態のほうがエネルギーが低い状態になります。

このクォーク・反クォーク対というのは実は右巻きと左巻きの組み合わせで、実はここでもカイラリティを破ることになります。宇宙の温度が高い時は引力が弱かったためにクォーク・反クォーク対がなかったわけですから、カイラル対称性を保っていたわけです。その対称性がこれまた自発的に破れたわけですね。クォーク質量との類推では、ヒッグス粒子を強い力で生成されたクォーク・反クォーク対に置き換えてもらえばよいかと思います。

こうして再びカイラル対称性を破ることにより(今度はヒッグス場ではなく、強い相互作用によって)、クォークはさらなる質量を獲得し、陽子・中性子などのハドロンは300MeV程度の質量を持つことになります。実際にハドロンの質量を予言するには、クォークの質量を300MeV前後として、軌道角運動量、スピンなどによるエネルギー準位を考慮することにより、比較的精度良く計算できます。さらに、300MeV以下の特別軽いバリオンであるπ中間子(湯川秀樹が予言したやつです)は、対称性が自発的に破れたときに生成される南部・ゴールドストンボソンとすると、上手く説明がつくのだそうです。

以上をまとめると、クォークの質量というのは、まずヒッグス場が自発的に対称性を破るときにカイラル対称性も破り、そして次に、強い相互作用によってカイラル対称性の自発的破れがさらに起こり、この2段階で質量を獲得すると考えられています。ただし…
ヒッグス場による自発的対称性の破れは、電弱相互作用の理論で摂動計算が可能。つまり、定量的な計算が可能な理論なのですが、2段階目の強い相互作用によるカイラル対称性の破れというのは、強い相互作用があまりに強過ぎる領域のために摂動計算ができません(素粒子理論の定量的な計算というのは、相互作用が弱いとき、その相互作用を量子力学の摂動として扱うことで計算しているので。)。数値計算を用いた方法などで計算する努力がなされているのだと思いますが、私には詳細不明です。

いずれにせよ、南部さんが素粒子に持ち込んだ自発的対称性の破れというのが、2段階にわたるクォーク質量獲得のメカニズム両方の解明に役立つ(と言うのは、実験的検証をしないとなりませんが)というのは特筆に値します。本当に彼の業績は素晴らしいです。

と、一般の方にわかりにくいと指摘され、質量生成のメカニズムについて詳細を書き始めたのですが…うーん、書いてるうちにどんどん専門的になってしまったような。もっとわかり易い説明をすることを自分に対する宿題にしておきます。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

降水確率

世間は3連休ですね。記憶力が元々悪いうえに、最近はその悪さに磨きがかかっており、変化を記憶するのが極めて難しいです。ハッピーマンデーだかなんだか知りませんが、休日の幾つかが月曜日に移されたことがまだ頭に入っていません。体育の日といえばいまだに10月10日、東京オリンピック開幕と思ってしまうのでした。あ、いや、東京オリンピックのときはまだ生まれてもいませんが。ははは。

ところで、10月10日というのは特異日(という名前だったでしょうか?)とかで、やたら晴れの日が多いと聞いた記憶があります。ま、この時期は秋晴れのことが多いので、統計的に晴れが多いのはいいとして、ホントに特異日というほどその前後に比べても晴れが多いんですかね?

天気ネタの前フリでしたが、先日、天気が気になる日がありまして、天気予報を見たところ降水確率40%。天気が気になるからと言ってわざわざ天気予報を見るくらいですから、曇の微妙な天気だったわけですが、40%というわりには(?)結局大雨。で、前から思っている疑問がまた頭をもたげたのです…天気予報の降水確率ってどれくらい合ってるんでしょうね?

天気予報で耳にするフレーズでは「1mm以上の雨の降る確率」と言いますが、1mmの雨というのがどれくらいの振り方なのかピンときません。そこからして謎は始まってしまうのですが、そこは目をつぶるとして、結局のところ40%という予想がされた日は40%の確率で1mm以上の雨が降ってるのかどうか、ということが気になってます。実際よりも雨が多く降る予想をしてしまっているとか、その逆とか、そういう傾向がないのかな、と。

自分が小学生か中学生なら、毎日の予報(できれば、翌日の予報、週間予報などに場合分け)と実際の天気を記録して、どれくらいの精度で予報が的中してるのか調べてみたいものです。

にしても…40%だったら大雨とは思わなくないですか。どっちかというと降りそうにないけど、もしかしたらパラっと降るくらいなイメージを私は持ってます。まあ、その辺のイメージはもちろん個人の趣味(?)なんですけど。そういうわけで、大雨でちょっとやられたのでした。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ここ数日の出来事

世間(というか私たち物理屋だけ?)がノーベル賞で盛り上がっているここ数日も、私の生活は、当たり前ですが普段と変わらないものでした。相変わらず授業の準備に追われていますが、すでに2回授業を行い、セメスターを通しての計画が大まかに出来てきたので、先月末の混沌とした状況よりは先を見通しながら淡々と準備をしています。やることが見えればあとはやるだけなのである意味気楽です。ただ、今年度は板書ではなくコンピューター+プロジェクターで授業をやることにしたので、その手間は例年の比ではなくなっています。これで来年度以降も同じ授業の担当ならいいのですが、もしそうではないと先行投資の大失敗です…。

ちなみに、授業を板書でやるかコンピューター+ブロジェクターでやるかは、色々意見の分かれるところです。私も相当迷って、今年度は実験的な意味も込めてコンピューターを使う事にしました。

研究に関しては、超対称性が存在した時の軽いヒッグスのシミュレーションをちょっと始めました。標準理論では電気的に中性なヒッグスが1種類予言されていますが、超対称性では最低5種類のヒッグスが必要になります。中性ヒッグス3種類、荷電ヒッグス2種類が最低存在するはずなのですが、一番軽い中性ヒッグスのシミュレーションを試しにやってみています。ただここで問題が…。

シミュレーションなので、ヒッグスの質量はinput parameterとしてユーザーである自分が勝手に入れるわけですが、生成されたシミュレーションを見ると、自分がinput parameter として入れた値とは違う質量のヒッグスが質量されてしまいます。いつもお世話になっている解析エキスパートのJTくんにアドバイスを求めメールで議論するも、今ひとつはっきりした結論が得られず、とりあえず対処療法的な対応をとることにしました。

とまあ、こんな感じで日々を過ごしています。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

研究室

私たちの大学の物理学科には、素粒子物理の実験にかかわっている研究室が3.5(0.5というのは高エネルギー物理と原子核を両方やっているので)、教授の数で数えれば4あります。素粒子の理論は教授の数で数えると一応4人になります。学科の規模の大きさに比べて素粒子が盛んであるといえます。

さらに4つある高エネルギー物理に関連する研究室に目を向けると、私たちの研究室以外で主に行われていることは、ダブルβ崩壊、あるいはWIMP(weakly interacting massive particleの略で、いわゆるダークマター)探索といった非加速器物理、加速器を使ってのミューオン(という粒子)→電子遷移探索などです。で、ふと気づいたのは、私たちの研究室でやっている実験が今回のノーベル賞を受賞した理論の実証を行った(行おうとしている)ということです。

CP対称性の破れの研究をK中間子という粒子を使って行い、1990年代の後半には小林・益川理論が正しいことをほぼ実証していました。さらに日本のBelle、米国のBaBarという実験で2001年から2002年にかけて、B中間子という粒子の研究で小林・益川理論が疑いの余地のないものになりましたが、そのBelle実験にも参加しています。現在もK中間子の実験、Belleともにやっています。

また、このブログでいまさら書く必要もないことですが、私は現在LHCに参加して、ヒッグスの探索などをしようとしています。ちなみに、今の大学に来る前はTevatronという米国フェルミ研究所の加速器を使った実験でヒッグス探索などをしていました。

だから何だという強い主張があるわけではないのですが、理論を支える実験(あるいは実験を理論が支えている)として、ノーベル賞受賞の理論に係わる実験を行った、行っているというのは、宣伝してもいいことなのではないかと思ったのでした。

そもそも宣伝ということでは、このブログを書き始めたきっかけも宣伝のつもりでした。いや、今もそういう気持ちです。一般の人にも高エネルギー物理に興味を持ってもらおうというのが最大の理由。そしてもう1つはLHCあるいはATLAS実験に興味を持つ学生さんを増やしたかったことです。ATLASは旬な実験なので、他大学でATLASに参加してるとこは希望者が多いのですが、私が今の大学に来たのが割と最近なことと、そして教授がATLASをやっていないということで(学生は研究室の教授がやってることしか知らない傾向がどうしてもあります)、私たちの研究室を希望する学生が特に多いということはありません。かつ、私たちの研究室に来る学生も全員がATLASを希望するわけではない、という状況です。さらに調査を行うと、私たちの大学でATLASをやってることあんまり知らない、あるいはやってることは知っていても具体的にどんなことしてるのかわからない、という意見を聞きました。

そこで一念発起したのが、今年の4月というわけです。それ以降、少しづつですがこのブログを読んで下さってる方が増えている(ような気がする?)のは嬉しいことです。

…と、相変わらず何を言いたいのかわからない文章の垂れ流しでした。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

拍手数について考える

実験を生業としている人間は得られたデータから何らかの解釈を行います。その姿勢は明らかに職業病で、新聞を読んでいたりテレビを見ていてグラフがあると、数値の意味を統計的に有意かどうか瞬時に考えてしまいます。誤差のないグラフあるいは情報を見せられると、誤差無しでどうやって判断するんだ、と勝手にキレてたりします。勝手ならまだいいのですが、「なんで誤差棒を書かないんだ」なんて文句を言い出すので、かみさんからはその職業病をかなり疎まれています。相当慣れたようではありますが。

こういう脊髄反射をするのは私だけではなく、たぶん、自然科学をやってる人なら多かれ少なかれそういうもんなんだと思います(違うのかな?)。前読んだ雑誌では、闘病生活をおくっていた戸塚さんは、自分の容態を克明に記録し、こういう薬を投与したらこういう状態になった、という類いの情報を「自分の体を使って」集め、治療と容態の変化について自ら解析したそうです。

昔一緒に旅行に行ったことのある教授も同様のことをしていました。たまたま風邪をひいて熱があったのですが、自分の体温をしょっちゅう測ってモニターし続け、何をしたら熱が上がり、何をしたら熱がさがったか、詳細なグラフを作っていました。そんなことしてるから風邪が治らないんだ、と周りの人からツッコまれていましたが、それくらい職業病が染みついてるんですね。

というわけで、長ーい前フリの後に短い本題です。

拍手の数を最近気にするようになりました。ちょっと前に書いたように、以前は全然気にしていなかったのですが、最近は毎日チェックしています。そこで、過去30日間で拍手の多かったエントリーをリストアップします。と言っても、そういう機能があるのでそれを使っただけですが。

エントリー名 拍手の数
---------------------------------
検出器の搬入方法 6
ノーベル賞 6
学会の様子 4
続報 4
ノーベル賞報道 4
拍手 3
学会の様子その2 3

以上が拍手が3つ以上のエントリーです。で、データ解析を職業としている人間でなくてもすぐにわかることがありますね。LHC関連も含め、みなさん暴露話系が好きなようです。やっぱり人の興味を惹くのはゴシップですかね。ははは。

逆に私の私生活なんて誰も面白がってませんね。まあ私にファンがいれば私生活も気になるのでしょうが、うーむ、残念っ。と古いギャグで〆ておきます。


日常 | コメント:2 | トラックバック:0 |

ノーベル賞報道

私たちの間では依然ノーベル賞の話題で盛り上がっています。マスコミの報道でも大きく取り上げられ、日本にとっても明るいニュースでよかったです。そういう報道を通して幾つか感じたことがあります。

まず、私たちの業界には、南部さんが受賞したことを本当に嬉しく思っている人がたくさんいることがわかりました。益川さんの記者会見でも、自分が受賞したことではなく、南部さんが受賞したことに対して感極まってしまう場面がありました。自分の周りにいる研究者、マスコミにコメントを寄せた人たち、みんなが南部さんの受賞を心から祝福しています。一般の人には知られていなかったかもしれませんが、それくらい素粒子物理学者としての業績が飛び抜けていて、本人も言っていましたが、それこそ何十年もノーベル賞受賞を多くの人が望んでいました。本当にめでたいことです。

次に、その南部さんの業績を伝えるニュースを見ていて思ったのですが…
南部さんの提唱した自発的対称性の破れは、CP対称性ではなく、カイラル対称性(が保存されていれば、右巻き粒子と左巻き粒子が別粒子として振る舞う。粒子に質量が存在すると右巻きと左巻きが混ざりあってカイラル対称性が破れている、と言います。)に関するものですが、完全に誤解されているようで、南部さんの業績も粒子・反粒子に関する対称性として何度も報道されていました。完全な間違いです。閣僚の細かい発言にツッコミを入れるマスコミの方たちなんですから、あまりにも大きな間違いは避けて欲しいものです。いや、間違い自体は構いませんよ。CP対称性を理解してる人、さらには、カイラル対称性を理解してる人なんてほとんどいませんから。でも、他の人が間違えると社会的制裁といえるほど叩くわけですよね。それなのに…って感じがしてしまいます。

ノーベル賞報道に関するウェブサーフィンをしていて見つけたのが、サイエンスライターの竹内薫という人の割と長いコメントで、流石にサイエンスライター、とりわけ素粒子関係のライターなのでまともなことを書いています。その中で1つ気になったのが、次のノーベル賞候補の話。特にLHCでヒッグス粒子が見つかったら、ヒッグス(=ヒッグス粒子という名前の由来となった物理学者)がノーベル賞受賞確実と書いていたことが気になりました。私たちの知らない情報をライターなだけに知っているのかもしれませんが、個人的にヒッグスって貰えるのか微妙な感じがします。というのは、ヒッグスがその論文を発表したのと同時期か、むしろそれよりも早くアングレとブロウという2人組によって同様の論文が発表されています。なんでか私はよく知りませんが、後から発表したヒッグスの方が有名になってしまったんですね。しかも、ヒッグスが他にもたくさん業績のある人ならまだ理解可能な話ですが、ヒッグス粒子を予言した業績以外はそんなに有名ではないので、余計に不思議な話です。
……そういうわけで、ヒッグスがもし受賞するなら、アングレ・ブロウという人たち、あるいはそれよりもさらに前に同様の予言をしていた(南部さんのアイデアにもとづいて?)物性理論のアンダーソンも黙っていないのではないか、と思ってしまうわけです。まあ、黙っていないで文句を言ったからといってどうなるわけでもないのでしょうが。

昼飯を食べながら、研究室のY教授とも同様の話をしたのですが、そのとき話題になったのが次の日本人物理学賞候補。前にも書きましたが、戸塚さんが亡くなってしまわれたのは本当に残念です。最有力中の最有力だったわけですが、彼に続くとなると結構難しいものがあります。ここで実名出すと何か差し障りがあるかもしれないのでイニシャルにすると、私が予想するのはSさん(Sさんと言っても何人かいますけど。ははは)。Y教授はNさん。それ以外だとちょっと思いつかないのが痛いところです。益川さんのインタビューみたいに「今年くらいに貰えると思った」と言ってみたいものです。ははは。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ノーベル賞

めでたいですっ。
ノーベル物理学賞、日本人3人が受賞しました。しかも、3人とも素粒子物理学者です。

とりわけ私にとっては、南部さんが受賞したことが嬉しいです。彼の研究は多くの素粒子物理屋が評価しており、長いこと候補にあがっていました。しかも彼の研究内容は、ヒッグス粒子を導くための基本的な考え(=自発的対称性の破れ)を生み出したという点で、自分の研究内容にも近く、本当に嬉しいです。淡々と書いていますが、かなり興奮してます。

それから、南部さんは私たちの大学の招聘教授になっていて、普段はシカゴに住んでらっしゃるようですが、たまには大学に来られることもあります。昔、並んで端末に向かったこともあります。なので親近感もあって、余計に嬉しいわけです。

残りの2人(小林さんと益川さん)については、日本国内では有力候補とよく言われていましたが、海外を拠点に研究している私にとっては少し意外でした。ノーベル賞というのは公平なわけではなく、政治力も大きく働き、政治力のある大物があまり評価していないためになかなか貰えないのではないか、という話をよく聞いていたからです。でも、嬉しい方向に意外だったわけで、日本の物理学会、とりわけ素粒子物理学会にとっては嬉しいニュースですね。

LHCの開始も大きく報道され、ノーベル賞も素粒子物理学関係。お祭りですね。


研究 | コメント:2 | トラックバック:0 |

β+崩壊で思うこと(2)

さて続きです。

前のエントリーで説明したのは、原子核中の陽子と中性子の質量とエネルギーです。ではこれを陽子、あるいは中性子を作っているクォークにあてはめて考えてみます。陽子はuud、中性子はuddで構成されていますが、uクォーク、dクォークの質量はそれぞれ3MeV、6MeV程度しかありません(正確な質量は不明)。つまり1000MeV前後の陽子・中性子に比べてクォークの質量を足しても10MeV前後、すなわち1%程度にしかなりません。残りの99%は強い力によるクォークを束縛しているエネルギーに依って生じています。ヒッグス粒子を説明する時に、質量の源みたいな説明をよくする人いますが(いや、私もそう説明しますが)、その質量って物質の質量の1%にしか寄与していません。

……なんてことはこの業界の人には常識ですが、マスコミ報道とかを読んだだけでは、自分を構成する全ての分子・原子の質量をヒッグスが担っているかのようで、どっかで一度書いておきたいテーマでした。

おっと、ヒッグスを探している私がヒッグスなんて大したことないよ、と書いてると受け取らないで下さい。質量の1%にしか寄与していないヒッグスですが、本当はもっと大仕事をしています。

ではもしヒッグスが存在しなかったら宇宙がどうなっていたか考えてみましょう。と言いつつ、流石に書くの疲れてきたので、超簡単に書くと、もしヒッグスが存在しないと当然uクォークもdクォークも質量ゼロです。ですが、陽子と中性子は強い力による束縛力でやはり今と同じくらいの質量を持ちます。ただし、uクォークのほうが電荷(の絶対値)が大きいので(uクォークは電荷2/3、dクォークは電荷-1/3)、電磁気力による束縛力が陽子の方により大きく働き、陽子の方が中性子よりも質量が大きくなります。さらにβ崩壊の速度が今より数千倍速くなります。

これだけ書いて何が起こるかすぐにわかった方(ただし専門家は除く)は鋭いです。そう、先ほど説明したように崩壊は、重い粒子から軽い粒子に起こります。ヒッグスがない世界では陽子のほうが重いので、陽子が中性子に崩壊するのです。しかも今の中性子崩壊の速度の数千倍の速度で。
……陽子がどんどん崩壊してなくなる世界を想像してみて下さい。陽子が安定じゃないんですよ。水作れません。というか、不安定な陽子と、質量ゼロの電子で水素を作れるんでしょうか?ちょっとだけ専門的になって申しわけありませんが、水素の原子核の周りに存在する電子の軌道の半径というのが電子の質量の逆数に比例します。なので、質量ゼロの電子だと軌道の半径が無限大になってしまいます。

ということで、偉そうに説明を続けてきた私ですが、ヒッグスが存在しない世界、宇宙がどんなものになるのか想像つきません。ただすぐにわかるのは、私たちのこの宇宙がいまある宇宙なのは、ヒッグスが存在しているから、あるいはヒッグス粒子は存在していなくても、ヒッグス粒子が果たす役割を別のメカニズムが担っているからなのです。

私がヒッグスを探しているのは、ヒッグスが素粒子の標準理論で予言されているにもかかわらず唯一発見されていない粒子だから、ではありません。標準理論がどうこうではなく、今の宇宙が今の宇宙である理由の1つなんですから、素粒子物理学者だけでなくもっと多くの人が興味を持っていいテーマだと思うのですが…、やっぱり素粒子物理学者の戯言ですかね。


大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

β+崩壊で思うこと(1)

今日は毎週行われている研究室のミーティングがありました。事務連絡以外にスタッフ・学生全員が交代で何か発表します。自分の研究内容の経過報告だったり、面白そうな論文紹介だったりします。

今回は学生が医療用PET(positron emission tomography の略)に使われる検出器開発の論文を紹介しました。PETを簡単に説明すると、まず、陽電子を放射する放射性同位元素を含んだ(正しい表現ではないですね。何と書いていいのかわかりません。)薬剤を体内に入れます。すると放出された陽電子が体内の細胞を構成する分子、というか原子に存在する電子と衝突し、ガンマ線と呼ばれる粒子(=光子)が2個放出されます。この2個のガンマ線はお互いに反対向きに放出されます。この放出されたガンマ線の位置を検出することで(=反対向きに出た2個のガンマ線を検出するのでガンマ線の飛来方向もわかります)放射性同位元素の場所を特定するわけです。

ここで私が気になったのは陽電子を放出する放射線源です。

まずβ(ベータ)崩壊というものを説明します。原子核レベルで見ると、弱い力が働くことによって、中性子が陽子と電子とニュートリノに変化します(このようにある粒子が別の複数の粒子に変化することを一般に崩壊と呼びます)。この変化、崩壊のことをβ崩壊と呼びますが、束縛状態にない中性子は平均寿命約900秒でどんどん崩壊していきます。クォークレベルで考えると、dクォークがuクォークと電子とニュートリノに崩壊しています。

この通常のβ崩壊に対比して、β+崩壊と呼ばれる、原子核中の陽子が中性子と陽電子とニュートリノに崩壊する現象があります。例えば陽子6個、中性子5個からなる放射性同対元素の炭素(11Cと以下書きます)はβ+崩壊によって陽子5個、中性子6個のホウ素(=11B)に変化します。こう書くと不思議なことは何もないように感じますが、私が気になったのは質量差です。陽子単体だと938MeV(1MeV=10の6乗eV、1eVは1個の電子を1ボルトの電位差を与えるエネルギー)、中性子だと940MeVあります。中性子のほうが重いので通常は陽子と電子とニュートリノに崩壊できるわけです。質量=エネルギーと考えれば、高いところから低いところに転げ落ちることはできますが、低いところから高いところへは何か外力がないと動きませんよね。なので軽い粒子が重い粒子に崩壊することはできません。

ところが、11Cと11Bの例だと、陽子と中性子の質量を単に足し上げると11Bの方が重くて、11Cが11Bに崩壊することはありえません。なのに、11Cが11Bに実際崩壊するわけです。なにせ常に束縛されていない1個の粒子を相手に研究している素粒子物理屋なので、一瞬「へっ」と思うわけです。束縛状態にない陽子が崩壊する現象は、陽子崩壊と呼ばれ、素粒子物理屋が昔から探している未知の現象なのです。ちなみにニュートリノ観測で有名なカミオカンデは元々陽子崩壊を観測するために建設されました。

放射性同位元素のβ+崩壊は、もちろん私たちが探している陽子崩壊ではなく、ありふれた現象です。ではなぜかと言うと、11Cと11Bのトータルのエネルギーを考えると、陽子と中性子の質量を足し上げただけではなくて、原子核中でそれらが(強い力によって)束縛されているエネルギーも考えないとなりません。こうやって束縛エネルギーまで足し上げると11Cのほうがエネルギーが大きくなって、それより下の11Bに崩壊していけるわけですね。

……長くなったので、一旦ここで切ります。続きはまたすぐに書きます。

10/9追記:
中性子の質量は1009MeVではなく、940MeVです。何を思って1009MeVと書いたのか自分でも謎です。ここを読んでる方だったら間違い気づく方いますよね。こそっと教えて下さい。変な間違いをそのままにしとくの恥ずかしいので。なんてことを言ったら、間違いだらけという可能性がありますが。ははは。推敲なんて全然しないで凄い早さで文章を書いてアップロードしてしまうので、その辺はお許し下さい。

大学 | コメント:0 | トラックバック:0 |

バーチャル・ツアー

先日、このサイトをいつも見て下さっているという有り難いコメントをいただき、その方に先行情報(?)として以下のサイトを紹介しました。

ATLAS実験の一般の方向けオフィシャルサイト

英語なのでアレルギー反応の出る人がいるかもしれませんが、画面右の方にリンクしてある"Multimedia"、"Videos"あるいは"Virtual Tour"あたりは英語苦手な人でも(このブログを読ん出る人なら)楽しめると思いますので、ぜひ試してみて下さい。今日は Virtual Tour の使い方を少しだけ説明してみます。

とりあえずクリックします。すると以下の画面が現れるはずです。

virtual tour 1

地下100mに実験場があるわけですが、そこの4階に相当する部分(画面左上にLEVとあるのがLevelの略で何階かを示しています)から実験場を眺めてる状態です。このままでは何も起こらなくて、画面をドラッグして前後左右させてみて下さい。ドラッグして動かすとそれに応じて視線が変わります。例えば左を見ると

virtual tour 2

のようになります。あ、この画面の右側に映ってるのが数日前に地下への搬入を説明したときに大型トレーラーで輸送されてたトロイドと呼ばれる磁石ですね。

逆に右を見ると

virtual tour 3

となります。以上2つの画面上ではクリックできる箇所が現れます。"Go to Lift A"とか"Goto Lift B"とかです。実際に歩いて行ける方向がクリックできるようになるわけですね。試しに右を向いた画面上で"Go to Lift A"をクリックするとエレベータAの方へ歩いて行き、エレベータに乗るところで画面が止まるはずです(たぶん)。私のブラウザではここで

virtual tour 4

の画面が現れ、何階に行くか選べるようになります。8階を選んだところ、エレベータで8階まで昇っただけではなく歩いて勝手に最上階へ進みました(説明してる自分自身、このvirtual tourをまだ使いこなしていません…。)。そこからの眺めが

virtual tour 5

で、ここでもまた画面をドラッグして視線を変えることができます。画面が止まって"CROSSPOINT click hotspot to select path"というメッセージがあるときは、いつも画面をドラッグして視線を動かすことができます。それによって、自分が進める方向の候補が出てくる仕組みになっています。せっかく最上階なので、試しにここで上を向いて見ると

virtual tour 6

のような眺めになります。この前説明した検出器搬入のための地上へ通じている大穴ですね。

以上簡単に説明しましたが、実験場だけでなくその横に併設されているエレキハットと呼ばれる検出器からの信号を読み出す装置が置いてある部屋など、色々な行き先があるようです。しかもそれら全てが、実際に私たちが実験場を歩いている時の視線で見ることができます。興味をお持ちの方はぜひお試しを。少しネットワークが重いのがたまにキズですが…。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

動物園

昨日は家族で動物園へ行ってきました。今年度前期はスイスへの出張が多かったことと、プライベートでは人生の節目ともなるべきことがあって実家へ3度も帰省したことがあって、子供とどこかへ遊びに出かけるのは4月の花見(このエントリーでも紹介しました)以来となってしまいました。家にいるときはなるべく子供と過ごすようにしているのですが、大学の業務と、何十年かに一回の大事業であるLHCの開始にかかわる用務を同時にこなそうとすると、どうしても子供と過ごす時間が少なくなりがちです。LHCは私にとってもちろん重大な事業なのですが、親としてはツライ面もあります。

出張の多いお父さんはたまに家に帰ると子供から「このおじちゃん誰?」と聞かれる、みたいな笑い話(?)が世間でよく言われていますが、私にとっては単なる笑い話ではありません。スイスに数週間以上滞在した後家に帰ってくると、子供の私への態度が明らかに他人行儀になります。2、3日すると元に戻るのですが、毎回家に帰った直後は他人行儀な態度で迎えられます。ちなみに、スイス滞在中家族と話をするときは、顔を忘れられないようにSkypeを使い音声だけでなく画像も送受信しています。じゃないと、私も「このおじちゃん誰?」と言われていたかもしれませんね。ははは。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |

訂正

いやぁ、ビックリです。何がって昨日のエントリーに対する拍手の多さです。多くの人に興味を持ってもらえたようでよかったです。って、本当はその前のエントリーで拍手についてコメントしたので、拍手を無理強いしてしまったのでしょうか?
……楽天的な私としては前者だったと勝手に判断して、お約束通りCMSの地下実験場への搬入に関して色々検索してみました。

で、まずは昨日のエントリーで書いたことには間違いがあったことがわかったのでお詫びします。いくらCMSが小さくてもその全てを一度に地下へ搬入することはできないようで、全体を幾つかにスライス(という表現でいいか微妙です)して、何度かに分けて地下へ降ろしたようです。私が前に見たウェブキャストは何度かに分けたうちの一回だったようです。嘘を書いててごめんなさい。

そういうわけで、何度かのうちの一回にあたる降下作業の様子の写真です。

Installation of CMS 1

地上へ通じている丸い穴から、分割された検出器がワイヤーで吊るされています(この写真にはワイヤー映ってませんが)。その後方にすでに搬入設置された別の一部分が見えています。とはいえ、言い訳するわけではありませんが(いや、やっぱり言い訳か。ははは。)、やっぱり重そうですね。

CMSという実験グループには日本の研究機関が参加していないので、日本のマスコミ報道等で取り上げられず、なじみの薄い方も多いかもしれませんが、検出器の性能としてはATLASに比べて遜色なく、こちらの実験グループの動向もおさえておきたいところです。お互い単にライバルというだけでなく、新発見の際には別々の実験で同じ現象を確認することが良いテストになりますし、未知の現象を探索する際にはデータ量が2倍になるわけですから、共同研究という側面もあります。
……とは言いつつ、お互い相手よりも早く結果を出そうと競争してるんですけどね。


研究 | コメント:0 | トラックバック:0 |

検出器の搬入方法

私の参加しているATLAS実験の検出器というのは巨大で、新聞報道等で見られた方も多いかと思いますが、長さ約44m、高さ約24m、重さ約7000トンもあります。この巨大な検出器を地下100mの実験場へ搬入したわけですが、方法としては2つあります。って、そんな偉そうな話ではありませんが、全体を組み上げる前に各パーツを地下に搬入し、そこで組み立てる方法。もう1つは、地上で全て組み立てた後に全体を地下へ搬入する方法。この2つが考えられます。

ATLAS実験では前者の方法を採用し、各パーツを地下へ運んだ後に組み立てる作業が行われました。下に張り付けた写真はその様子の一部です。

toroidsmall wheel 1small wheel 2

一番左はトロイドと呼ばれる電磁石の1つで強力な磁場を作ります。その磁場によって荷電粒子を曲げ、その極率を測ることで粒子の運動量を測定するわけですね。多分トロイドの直径はATLAS検出器全体の半分以下だと思うのですが(自信ありません)、それでもこの大きさです。かつ鉄の塊ですから何トンあるのか知りませんが、猛烈に重いです。上の写真はそのトロイドを作っていた場所から、実験場まで移動するときの様子です。

真ん中と右の写真はスモールホイールと呼ばれるミューオンという粒子を検出するための装置です。名前から想像していただけるかと思いますが、スモールというくらいですから、もっと大きなのもあって、そちらはビッグホイールと呼ばれています。これらの検出器は、地下100mの地点まで掘られている縦穴から写真のようにクレーンで降ろされます。一番右の写真ではスケール感がわかりませんが、この縦穴が約100mもあります。

というように、ATLAS実験では検出器を各パーツごとにクレーンで降ろして地下で組み立てる、という方法が採られましたが、ATLAS実験のライバルとも言うべきCMS実験グループ(LHCには全部で4つ検出器があります。ATLASとCMSはヒッグス、超対称性、余剰次元などを探す実験です。他の2つは物理のターゲットが違います。)では別の方法が採られました。そうです。地上ですべてを組み上げてから地下に降ろしたのです。

CMSはATLASに比べてだいぶ小さな検出器で、長さ約22m、高さ約15mほどです(とは言っても、巨大な検出器ですが。)。そのためATLASとは別のアプローチを採ることが考えられたのでしょうが、凄いのは重さです。サイズは小さいのですが重さはATLASを凌ぐ約12,500トン。検出器全体が鉄の塊と言った感じで非常に重いのです。その駆逐艦(くらいなんでしょうか?)並の物体を地下100mまで降ろすわけですから、並のクレーンでは不可能です。どうしたかというと、そういう巨大な物体を運ぶ会社に外注し、巨大な特別クレーンを設置して、それで地下まで降ろしました。このときの様子はウェブでも流れたのでどこかにムービーがあるのではないかと思います。もし見つけたらまたアップロードしますが、まあ、とにかくビックリするイベントでした。

今日2度目のアップデートは、なぜか検出器搬入の話でした。
……前のエントリーで書いた通り、私はおだてに弱いのです。また拍手されてたのを見て気を良くして2度目のエントリーを書いてしまいました。仕事しろとかツッコマないで下さいね。

10/5追記:
駆逐艦は5,000t前後、10,000tを越えるのは巡洋艦がほとんどだというご指摘を受けました。ご指摘して下さったかたありがとうございます。

追記その2:
10/3のエントリーでコメントしていますが、CMS検出器は12,500トンの検出器全体を一度に地下実験場へ搬入した訳ではありませんでした。ATLASと違い地上で組み立てたのは間違っていませんが、搬入時には数回に分けて地下へ降下させていました。


研究 | コメント:2 | トラックバック:0 |

拍手

普段このブログにエントリーを書く時は、管理者画面に直接ログインしてエントリーをアップロードしています。なのでブログ自体を読むことはあまりないのですが、ふと気づくと……昔はほとんどなかった拍手が毎日ありますっ。素直に嬉しいです。どこのどなたかわかりませんが、ありがとうございます。

大人になってもやっぱり人に褒められるのは悪い気しませんよね。私なんて友人みんなから言われるように非常に単純なので、おだてられると嫌とは言えないタイプです。逆に、そういう私の弱みを攻撃(?)されないと、ノーと言い過ぎる日本人で、研究上の仕事でも自分がやりたいと思う、やらないとならないと思わなければ、遠慮なく断ってしまいます。

世間で語り尽くされていますが、そういう自分の振る舞いを考えても、人に何かを頼むときとか教えるときは、褒めることが大切なんだと再認識します。特に数年前に子供が生まれ、2年前に研究所のスタッフから今の大学に異動し軸足が研究から教育に移ってくると、人を褒めることの重要度が高まってる気がします。山本五十六の「やってみせ 言って聞かせて させて見せ ほめてやらねば 人は動かじ」を肝に命じる毎日です。

でも日本人的には人を褒めるのって難しくないですか?アメリカ人とか学会やら国際会議のトークの後、どんなボロボロのトークでも"great talk!"と、挨拶のように(?)発表者に声をかけます。でも日本人の私にはそういう歯の浮くような台詞言えないし、人を褒めるのってなんか偉そうで、どう褒めていいのか考えてしまいます。

その点、この拍手というシステムはいいですね。私みたいな人でもどうコメントしていいか考え込まずに、応援の意味でクリックできる…んですよね?って、拍手するためにはどっかに登録する必要があるんですか?毎日エントリーを書き込んでますが、FC2のサイトのサービスは全然チェックしてなくて、どういう仕組みになってるのかわかってなかったりします。ははは。

強引に話をまとめて…
拍手してくれてるかたにもう一度感謝申し上げます。ありがとうございます。
ブログを書き続けるモチベーション上がります。


日常 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| HOME |NEXT