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ATLAS at Anywhere (旧 ATLAS at Osaka)

J-PARCハドロンホール近況

今日明日は,J-PARCのPACです。とはいえ,PACの委員でなくなったので私自身はPACへは出席しません。それでも,KOTOの結果の更新とか,J-PARC全体の動きとか,色々気になることがあるので,Indicoをちょっと眺めてみたところ,幾つかマイルストーン達成的なことがあったということを知りました。特にハドロンホール関係。

まずは,ターゲットの交換が無事終わったみたいです。大きな刷新です。これで,遅い取り出しの際のビーム強度をさらに上げることができるようになるはずです。

次にhigh-pラインと呼ばれる,主に原子核の人が実験に使うビームラインが完成して,今まさにコミッショニングを開始しようというそういうタイミング。原子核の人にとっては長らく待ち望んでいたビームラインで,いよいよ2020年からは物理の成果を出し始めることができるのですかね。他分野とはいえ,こういうマイルストーン達成を見るのは嬉しいものです。あ,運転時間が心配ではありますが。

日本中どこでも予算が厳しいのに提案されている研究計画が数多いため,それぞれの研究計画だけを見るとなかなか進んでいないように見えてしまうかもしれませんが,こうして眺めてみると,様々なプログラムがゆっくりではありますが,着々と進んでいることを感じます。KEK機構長の年頭の挨拶でも,ここ2年は雰囲気が若干上向いている感じがしましたし,各プロジェクトの状況も一時の最悪気を脱しつつあるのかな,という印象を受けます。

2020年度以降の計画ですが,J-PARCは主リングの電源交換の作業のために,2021年度はまるまるシャットダウン(スライドを眺めたところ,シャットダウン開始時期が少しだけ後ろに動きそうですが)。2022年度からは,電源交換の恩恵で,早い取り出しも遅い取り出しもより高いビーム強度で走れる予定。さらに,2023年度初めくらいには,COMETにもビームを出せそうとのこと。高エネルギーコミュニティが長ーーーい間待っていた幾つかの案件がようやく片付きそうです。楽観かもしれませんが,そうなるとよいなぁ,という私の願望です。

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夜空に潜むダークマター

これまでに何度か紹介しているプラネタリウム企画が,今度名古屋であります。

「夜空に潜むダークマター」というタイトルで2020年2月18日に名古屋市科学館で開催されます。名古屋大のTくんが企画を立てたもので,彼が解説も行います。私は残念ながら見に行けないのですが,プラネタリウムを使った映像の素晴らしさは何度も繰り返している通りです。また,Tくんはアウトリーチに非常に熱心な人なので,楽しい企画になると確信しています。中京地区の方はぜひ足をお運びください。

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研究会連発

先週の木曜と金曜は,東工大でATLAS日本グループ内の研究会でした。グループとしてどういう方向へ進むか,そのためには,みんなでどういう分担で研究を進めていくか,などを議論しました。LHCの高輝度化に向けた新たな検出器開発は佳境を迎えていて,今は,難題である大量の実機製造を進めていくための準備が主なテーマです。

実機の製造は非常に大規模で困難なので,グループ全体で協力しあうことが必須です。そのためにはグループ内の結束力が非常に重要で,ここ何年間かは結束力が高まるための努力を続けてきました。今回の研究会では,研究分担やお互いの連携について,中堅研究者だけでなく,若手の助教やポスドクが主体的な議論をしてくれて,グループ内がいい雰囲気で研究を進めていることを強く感じました。数年前は,予算だけでなく,大規模な建設を技術的人的に進められるのか非常に不安でしたが,今回の研究会では,大規模建設を進めていけるという道筋が見えてきた気がしました。非常に充実した心持ちになれました。

でもって,明日明後日は東大でまた別の研究会に参加します。こちらは,測定器開発関連で今年立ち上げた新たなアクティビティで,ATLASグループとは独立した動きです。今まであまり交流のなかった研究者と交流できるのを楽しみにしています。

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物理解析のミーティングにて思うこと

今週はまたCERNに来ています。そのついでと言ってはなんですが,ATLASグループの物理解析に関するワークショップをやってるので,それにも顔を出しています。この手のミーティングに出るのは久しぶりですが,私が普段出ているミーティングと違って,物理の話なので楽しいですし,気が楽です。

内容は,新しい解析手法を考えて測定精度や探索感度の向上をしましょう,というものです。ATLASはたくさん人がいて,物理解析に関しては人があふれているので,色々な話題があります。そんなこと言われなくても当たり前だよ,という発表もあれば,そんなこともできるんだ,と感心するアイデアもあります。でも,実際にはアイデアそのものが凄いわけじゃなく,大抵は,検出器の性能の向上のおかげ,あるいは加速器のおかげで高統計のデータが得られているおかげ,あるいは計算機の演算能力の劇的な向上のおかげ,のことが多くて,結局は,実験物理屋としては,物理解析にとってどういう要素が重要で,どういう技術革新が必要なのかを考えることが一番重要なんだよなぁ,という感想に至ります。学生や若いポスドクに口を酸っぱくして言ってることの再確認の連続です。

一昔前だったら,思いついても検出器的に無理と諦めてしまうことをできてしまってたり,できてるとまでは言えないまでもやれそう,というテーマがあるのを見ると,技術革新の凄さに驚きます。って,まあ,だからこそ,個人的にはシリコン検出器開発をやってるわけですが,そういう検出器開発が役に立つんだということを実感できるのは重要です。検出器開発をやってる学生もそういう認識を肌を持って感じることができると,検出器開発のモチベーションがより高くなれるのですが,そういう感触を持てるようになるにはかなりの経験が必要なのも事実で...難しいものです。

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見慣れない単語ばかり

前回のエントリーでも書きましたが,最近は,研究推進のために事務の人たちと一緒に仕事をする機会が多いです。たぶん多くの方がすぐに想像するのは,予算獲得のための手続きやら相談やら書類書きやらではないかと思います。確かにそういうことも多いのですが,KEKに来て初めてやるようになり,測定器の建設を控えて増えているのが,契約書関連です。

たとえば,日本が建設のどこを分担するのかを定めた覚書(MoU)に始まり,共同研究を進めるためには,国内外の研究機関とagreementやらcontractを結ばなければならない案件が結構たくさんあります。国内のは日本語だからまだしも,外国の研究機関との間に締結するものは,単語からして見たことのないものが多い上に,輸出入の段取りなどを細かく規定する場合もあり,事務の人におんぶにだっことはいえ,自分自身でもかなり苦労しています。これまでに知らなかった概念が英語で書かれていると本当にちんぷんかんぷんで,今日も,あるagreementの草稿を試みていたのですが,英和辞典とgoogle先生のお世話になりっぱなしでした。

しかも,国が違うと法律や予算執行のルールも異なり,やりたいこと,大枠は合意できても,細かいところで文章の調整に時間がかかります。さらに面倒なのは,私もKEKに来る前そうだったように,こういうことがないとお金を送金できないことや,この手のことに時間が物凄くかかることを多くの物理屋が理解していないことです。実際,物品調達にCERNでは膨大な時間がかかっていて,それをプロジェクトが遅れてしまうことの言い訳にする人がたくさんいます。各プロジェクトを任されているコーディネーター的な立場の人だったら,そういう事情を踏まえた上で計画を立案して,かつ,事務手続きを数ヶ月,半年あるいは1年オーダーで前もって準備を進めてもらわないと,大きなプロジェクトはなかなか進みません。

かく言う私も,先に書いた通り,KEKに来る前はこういうことを全く知らず,KEK事務の各部署にお世話になりっぱなしだったくせに,最近になって,こんな偉そうなことを言うようになりました。で,わかったのは,この手の事務遂行能力がKEKは高いということです。経験豊富だということが一因ではありますが,本当に各方面にお世話になり頭が上がりません。先週出たミーティングの一つでも,海外との協定の類の話題が出て,面倒なことを言っていつも迷惑をかけている一人としては感謝の気持ちでいっぱいでした。予算係にも相当無理を言ってますし。ありがたいことです。

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